AI歌声合成を実現するCeVIO AIが年内発売。IA、ONEに加え、結月ゆかり、flowerなどもCeVIO AIに対応

AI歌声合成の世界が、一気に活気づいてきています。今年2月にNEUTRINOがフリーウェアとしてリリースされ、AIきりたんが話題になり、現在その第2弾となる東北イタコのクラウドファンディングが実施中なのは先日も記事にしたとおりです。さらに6月26日にはAI歌声合成と従来の歌声合成のハイブリッドというSynthesizer Vが発表され、7月30日に発売が開始されます。

そこに来て、CeVIOの新ラインナップであるCeVIO AIが登場し、年内に発売されることが本日発表されました。CeVIO AIでの歌声合成は、従来の歌声合成とは一線を画すもので、AI技術を利用することでまさに人間が歌っているかのようなリアルな歌い方を実現するもの。そしてそのCeVIO AIで利用可能なソングボイス(歌わせるためのデータベースライブラリ)・トークボイス(しゃべらせるためのデータベースライブラリ)として、これまでもCeVIO用としてあった「IAトーク」、「ONEトーク」に加え、「結月ゆかり」、「flower」も登場することが発表されました。ご存知のとおり結月ゆかり、flowerはこれまでVOCALOIDとしてリリースされていたキャラクタですが、それらがCeVIO AIに対応するということで、業界内での激変が起きているようです。

年内にAI歌声合成を実現するCeVIO AIがリリース。IA、ONE、結月ゆかり、flowerのソングボイス・トークボイスなども登場予定

今回、CeVIO AIの発表を行ったのは、CeVIOの開発を担ってきたテクノスピーチです。同社については、これまでもDTMステーションで何度か取り上げてきましたが、名古屋工業大学の中で生まれた技術ベンチャーで、名古屋工業大学の研究者である大浦圭一郎さんが社長を務める会社。

そのテクノスピーチがIAやONEを出す1stPLACE、結月ゆかりを企画するVOCALOMAKETS、そしてflowerや鳴花ヒメ・ミコトなどを出すガイノイドの共同の形でCeVIO AIを発表するともに、CeVIO AIで利用可能なソングボイス・トークボイスの発売を各社が行うことを発表したのです。

このCeVIO AIのエンジン部分であるあまりにもリアルな歌声合成技術に関しては2018年末に発表しており、DTMステーションでも「歌声合成技術に革命!ディープラーニングで人間さながらに歌うAI歌声合成システムを名工大とテクノスピーチが開発」という記事で紹介していました。改めてその時の動画を紹介すると以下のようなものです。

いま聴いてみても非常にリアルな歌声であることがわかります。また、その技術を使わせていただく形で、DTMステーションのレーベルであるDTMステーションCreativeから世界初のAI歌声合成CDとして「Sing truly」というアルバムを2019年4月にリリースしていました。

その時点では、まだエンジン部分だけだったAI歌声合成が、UIなども装備し、使いやすい形になって、いよいよ製品化される見通しが立ったというわけです。

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、テクノスピーチでは今年2月に「CeVIO Pro(仮)」なるものを開発中であることをTwitterでビデオとともに発表していました。

それが、いよいよCeVIO AIとしてリリースされるということなのかな?と思ったら、そうではないようなのです。

社長である大浦さんにお伺いしたところ
CeVIO Proとは別のもので、スタンドアロンで動作する歌声合成ソフトです。もちろん従来のCeVIOの新バージョンというわけでもなく、別製品として発売します。動作環境はWindowsになりますが、まだ正確な発売日程や価格なども決まっておりません。詳細が決まりしだい、またお知らせいたします」とのこと。

テクノスピーチの社長、大浦圭一郎さん

確かに、Twitterにあった動画では、Cubaseと連動して動いているようなので、VSTのプラグインとして動作しているものではないか……とみていましたが、CeVIO AIがスタンドアロンであるということは、別製品のようです。とはいえ、AI歌声合成という意味では基本的には同等のもののようではあります。

現行製品であるCeVIO Creative Studio 7

また気になるのは、現行バージョンのCeVIOのソングボイス・トークボイス、つまり、さとうささら、すずきつづみ、タカハシ、さらにはサードパーティー製品であるIA、ONE、白咲優大、金咲小春などのボイスを読み込んで使うことができるのか、互換性があるのかという点。これについても大浦さんに伺ってみると

これについても、現状ではまだ決まっていません。ただし、今後リリースされるボイスはCeVIO AI専用になります。そのことからもわかる通り、基本的には別のものとなります」と大浦さん。

そこに来て、ソングボイス・トークボイスとして、結月ゆかり、flowerが登場してくるとなると、バリエーションが一気に広がり、DTMの世界にも大きな影響が出てきそうです。

開発中のCeVIO Pro(仮)はCubaseと同期する形で動作している

そして、歌声合成ソフトの利用を考えている人にとって、大きく気になることのひとつのが、調声についてでしょう。NEUTRINOの場合、基本的にはMusicXMLによる楽譜データを渡すと、歌声が生成される形であり、基本的には調整要素がありません。それに対し、CeVIO AIでは「人間による歌声・話し声をリアルに再現することが可能となるだけでなく、使いやすいGUIにより、ピッチパターン、タイミング等を自在に編集することが可能となり、これまでとは異なる新しい音声創作の可能性が広がります」とあるので、制作者が歌わせ方をある程度調声していくことが可能になっているようです。

現在、このCeVIO AIは、まさに開発中であり、詳細が決まっていないことも多いようですが、各種情報がわかり次第、記事で紹介していく予定です。

※2020.07.29追記
2020.07.28に放送した「DTMステーションPlus!」から、第156回「待望のメジャーアップデート!Studio One 5」のプレトーク部分です。「AI歌声合成を実現するCeVIO AIが年内発売。IA、ONEに加え、結月ゆかり、flowerなどもCeVIO AIに対応」から再生されます。ぜひご覧ください!

【関連情報】
CeVIO AIプレスリリース
テクノスピーチサイト

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