ダイナミックマイクの出力レベルをレコーディング品質まで上げる!ライブでも使える、高音質なプリアンプCloudlifter CL-1

ソフトシンセやプラグインなどを販売しているbeatcloudがハードウェアを扱っているのはご存知でしょうか?以前話題となったOutput社のDTMデスク、Platformもbeatcloudが取り扱いを行っており、ほかにも各種ハードウェア製品やケーブル、DI、スピーカースタンドなどの取り扱いをしています。中でもB級品ハードウェアを扱っているのは注目ポイント。箱が潰れてしまったり、本体に擦り傷が入ってしまったりしていて、新品として販売できないものが格安で売られているので、結構掘り出し物が見つかる可能性があるサイトでもあります。もちろん1年間の保証も付いているのも大きなポイント。

さて、そんなbeatcloudの取り扱い製品の中にCloud Microphones社のCloudlifter CL-1という、ダイナミックマイクやリボンマイクなどのパッシブマイクのゲインを+25dBしてくれる機材があり、これがなかなか便利だったのでピックアップしたいと思います。これは、どうしても出力レベルが小さくて、オーディオインターフェイスのゲインだけでは上がりきらなかったり、ノイズがひどいときに使える機材。特に配信など、歌ったり、大きな声を出さない場合のゲイン不足を解決することができるので、紹介してみたいと思います。

ダイナミックマイクのポテンシャルをフルに発揮させるプリアンプCloudlifter CL-1(左)とShureのSM7B(右)


beatcloudは、ableton、Celemony、IK Multimedia、UVI、PSP Audioware、Output……など、数多くのプラグインやソフトを販売している、株式会社フックアップが運営するダウンロードストア。

数多くのブランドを取り扱っている株式会社フックアップが運営するダウンロードストアbeatcloud

そんなbeatcloudは、実はハードウェアの取り扱いも行っており、さまざまな製品が揃っているのです。なかでも注目度が高いのが冒頭でも書いたOutput社のDTMデスクPlatform。これは見た目にもカッコいい木製のデスクですが、正面に3Uのラックマウントができるスペースが3つあるため、人気が高い製品なんです。ご存知の方も多いと思いますが、Output社は斬新なプラグイン音源などを出すメーカーですが、こんな家具も作っていたんですね。

Output社のDTM用デスク、Platform

ただ、人気が高く、モノが入ると右から左へとすぐに無くなってしまうのだとか……。楽器店や家具店などでは販売されておらず、国内で入手できるのはbeatcloudだけ。そのため予約しても、入荷まで数カ月を要するそうなので、気になる人はチェックしてみてください。

Platformには3Uのラックマウントスペースが3つある

また5.25インチのモニタースピーカーreProducer AudioのEpic5、プニュプニュな最先端MIDIコントローラーExpressiveEのToucheなど、DTMステーションで取り上げたこともあるDTM機材がずらっと並んでいます。

さまざまなハードウェアが販売されている

また、B級ハードウェアというカテゴリでは、箱が潰れてしまったり、本体に擦り傷が入ってしまったりしていて、新品として販売できないものが安く売られています。具体的には、IK MultimediadのiRig Keys I/O 49やUNO Drum、NektarのMIDIキーボード類、UNIVERSAL AUDIOのUAD-2 Satellite USB QUAD CUSTOMなどです。もちろん、販売数はかなり限られているので、早い者勝ち。また随時更新されるので、定期的にチェックするとよさそうです。

B級ハードウェアカテゴリ

さらにApollo Twinを持ち運ぶためのハードケースやIK Multimediaのキャリングケースといった細かいところまで扱っています。

Apollo TwinのケースやApollo Soloのケースなど、UDGが出すキャリングケースも以上に便利

そんなbeatcloudが取り扱う製品の中で、今回ピックアップするのがCloud MicrophonesのCloudlifter CL-1。これは、接続すると+25dBしてくれるシンプルな機材で、ゲインが低く、S/Nが悪い場合に使うことで、オーディオインターフェイスに入力する前のマイク信号をクリアなまま上げることができます。

今回ピックアップしたのは、Cloud MicrophonesのCloudlifter CL-1

Cloud Microphonesは、もともと1930年代のRCA社の名器といわれたリボンマイクを独自の技術で現代に復活させたアメリカのメーカー。リリースしているリボンマイクは44-A Ribbon Microphone、JRS-34 Ribbon Microphoneの2機種あり、そこで使っている特許取得のゲイン回路の技術を抜き出して、マイク信号を増幅する装置として発売されたのがこのCloudlifter CL-1。

もともとはリボンマイクを開発していたメーカー

使い方はいたって簡単で、マイクとオーディオインターフェイスの間に挟むだけ。入出力はXLRのキャノン端子となっているので、接続ケーブルの間にCloudlifter CL-1を接続して使います。

XLRのキャノン端子(オス)

だたし、Cloudlifter CL-1を動作させるためにはオーディオインターフェイス側から+48Vのファンタム電源を供給する必要があります。これだけで、ほかに設定する必要なく、マイクの本来の実力を発揮させることが可能になります。

XLRのキャノン端子(メス)

そもそもボーカルやギター、アコースティックピアノ、またリコーダーやフルート、バイオリン……など生の音をレコーディングするとなったら、マイクが必要です。どのマイクを使うかによって、その音の雰囲気もずいぶん変わってくるわけですが、そのマイクにダイナミックマイクを選んでいる人も多いと思います。最近はネット配信をする人も急速に増えていますが、たとえばShureのSM7Bのような配信に人気のマイクを使っても、なんか思った音にならない…という人も少なくないと思います。

SM7Bとオーディオインターフェイスの間にCL-1を入れる。マイクスタンドにも取り付けが簡単

その理由は、これがダイナミックマイクであると点が大きくあります。一般的にダイナミックマイクは丈夫で安価なため、導入しやすいタイプのマイク。コンデンサマイクと比較すると、小さい音や繊細な音は捉えにくいけれど、大きな音は破綻することなく、しっかりと録音できるメリットがあります。安く買ったのでダイナミックマイクを使用しているという人も多いと思いますが、激しい音を確実に捉えるためにあえてダイナミックマイクを使用しているという人もいると思います。

丈夫で大きな音にも対応するダイナミックマイク

ただダイナミックマイクをレコーディングに使う場合、マイクからの出力レベルが小さいことが問題になることがあります。電気を使って動作するコンデンサマイクと比較し、電源不要で使えるダイナミックマイクは、その仕組み上、どうしても出力レベルは微弱なものとなります。これはリボンマイクでも同様(電気を使って動作するアクティブ・リボンマイクというものもありますが、ここでいうのはパッシブ・リボンマイク)で、とってもレベルが小さいのです。

そんな微弱な信号を、しっかりDAWにレコーディングするには、マイクプリアンプというものを使ってレベルを引き上げてやる必要があります。通常、多くのオーディオインターフェイスには、そのためのマイクプリアンプが内蔵されており、これでゲインを上げることによって、音量を上げることが可能ですが、それでも適度な音量まで引き上げられないケースがよくあります。

オーディオインターフェイスのゲインのツマミをMAXにしても適正レベルならない場合があ

マイクから近い位置で、大きな音量で入力すればいいのですが、少し離れていたりすると、マイクプリアンプをフルレベルにしても、DAWに入ってくる音は小さくなってしまうし、フルにまで持ち上げると、マイクプリアンプ側の性能の問題でノイズが目立ってきてしまうケースがあります。もちろん、DAWに入ってきてから、DAWの機能でレベルを上げることは可能ですが、そもそもの入力レベルが小さいと、ノイズも一緒に持ち上がってしまうので、解像度が低くなって音に粗が出てしまいます。

そんな入力レベルの問題を一発で解決するのがCloudlifter CL-1。25dB増幅してくれるというのは、つまり元の音量を約17.7倍するという意味であり、このプリアンプを使えばダイナミックマイクの特性を持ったまま、レベルに関してコンデンサマイクと同等に扱えるようになります。

一般的にはコンデンサマイクに送るためのファンタム電源を用いてCL-1のマイクプリアンプを駆動する

リボンマイクの出力は非常に小さく、それをクリアに上げることを前提として作られた技術が盛り込まれているCloudlifter CL-1なので、通した音は非常にクリーンでナチュラル。また、マイクに近いところでゲインを増幅すれば、Cloudlifter CL-1からオーディオインターフェイスまでの間、長いケーブルを這わせてもノイズは最小限に抑えられます。なので、レコーディングでダイナミックマイクを使うことを前提に紹介してきましたが、ライブシーンでもノイズ対策として効果は十分にあります。

もちろん、Shure SM58でも利用できる

また配信する際のゲイン不足にも対応でき、単純にゲイン不足を解決するだけでなく、オーディオインターフェイスのゲインで調整できる幅が広くなるので、適正なレベル調整が簡単になります。

作りもかなりしっかりしているので、一度繋いでセッティングを変えないのであれば、繋ぎっぱなしにしておけます。パッシブマイクのゲイン問題を解決する方法には、性能のいいマイクプリアンプを搭載したオーディオインターフェイスを導入する方法もありますが、それだとそこそこ費用が掛かります。それに比べるとCloudlifter CL-1は15,840円(税込)と手ごろに導入でき、今使っている機材も無駄にすることなく導入できるので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか?

【関連情報】
beatcloudサイト
Shure SM-7B製品情報

【価格チェック&購入】
◎beatcloud ⇒ Cloudlifter CL-1
◎beatcloud ⇒ Output Platform ドリフトウッド・グレー

Commentsこの記事についたコメント

3件のコメント
  • Shion

    SM7BとCL-1を購入してUR-RT2に接続しているのですが、SM7Bを接続した状態でもCL-1単体でもUR-RT2に接続しファンタム電源を入れるとサーというホワイトノイズが発生します。CL-1の初期不良の可能性はありますか?

    2022年3月28日 3:30 AM
    • 藤本 健

      Shionさん

      こんにちは。実際、どのくらいのホワイトノイズなのか、確認してみないと何ともいえないですが、UR-RT2の入力ゲインはどのくらいになっていますか?また、CL-1と使わずに直接SM7Bと接続して適度な音量になるときと、CL-1を使って同じ程度の音量になる場合でのホワイトノイズの差はどのくらいですか?明らかに後者が大きいのであれば、不良だと思います。

      2022年3月28日 9:23 AM
  • Shion

    ご返信ありがとうございます。
    教えていただいた手順で試してみましたが
    やはりCL-1の不良のようなので、交換して貰います!

    2022年3月29日 2:52 PM

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