買わない理由はひとつもない、iPad用GarageBandのスゴイ完成度

大震災の影響で国内での発売が延期されたiPad2ですが、iPad2と同時にアナウンスされていたApple純正のiPad用DAW、GarageBandはすでに3月10日に発売されています。遅ればせながら、先ほどダウンロードして使ってみましたが、その完成度の高さには驚きます。確かに見た目はMac版のGarageBandそっくりですが、それとはちょっと違う、「演奏を楽しみなが音楽を作る」アプリに仕上がっているのです。

iPad2じゃないと、まともに動かないのでは……と危惧していたのですが、iPad1でもまったく問題なく使えます。これだけの多機能、高性能、完成度の高さを持って600円というのは反則でしょう。ここではファーストインプレッションとして簡単に紹介してみましょう。

iPad1でも問題なく動作するGarageBand


個人的な思いかもしれませんが、Mac版のGarageBandはループシーケンサであると考えていたのですが(いまや何でもできるソフトにはなっていますが)、iPad版は自分の演奏をレコーディングしていくDAWになっています。しかも、演奏が得意でない人でも簡単に演奏できる「Smart」機能付となっていて、楽器に触れたことがない人でも楽しめるようになっています。

iPad版のGarageBandは、楽器的なDAW

キーボード、ギター、ベース、ドラムと一通りの楽器がそろっており、うまい人は自分の実力を生かして、下手な人はSmart機能でプロ並みに上手に演奏できてしまいます。その演奏において画期的なのは、ベロシティに対応していること。

Smart機能により楽器を弾いたことのない人でも演奏を楽しめる

ご存知のとおりベロシティとはキーを強く叩いたか弱く叩いたかを判断した上で、音に強弱をつけるものです。実際のキーボードの場合、鍵盤を押す速度によって強弱を判断するわけですが、平面のiPadでは、それは不可能のように思います。事実、これまで登場してきた数多くのiPad用キーボードでベロシティ対応のものは、ありませんでしたから(私が知らないだけかもしれませんが…)。

しかし、不思議なことにGarageBandではそれを実現しているのです。Appleの発表会のビデオで初めてGarageBandのデモを見たとき、それに感激したのですが、「どうしてそんなことができるんだろう?」とTwitterで書いたら、すぐに「iPad2には近接センサーが搭載されているから」と教えてもらいました。なるほど、急に指が近づくか、ゆっくり近づくかでベロシティを判断するわけですね。ただ、これはiPad1にはないセンサーだから、iPad2でないとベロシティは実現できない、と。

GarageBandでは不思議なことにベロシティに対応している

ところが、です。iPad1でもベロシティ表現ができてしまうんですよ。なぜなのかは、よくわかりません。iPad1でも実は近接センサーがあったということなのか、何か別のことをしているのか…。もしかしたら、iPad2のほうがよりベロシティ表現が上になっているのかもしれませんが、それはiPad2を入手してからのお楽しみですね。

【追記】Twitterでみなさんから教えていただきましたが、近接センサーではなく、加速度センサーのようです。画面をタッチした際の微妙な振動を感知して反応しているのだとか…。そんなものが検知できるってすごいですねぇ。 

そんな楽器演奏を、トラックへレコーディングしていくわけです。前述のような楽器であれば、それぞれMIDIトラックとして記録されます。その見た目はまさにMac版のGarageBandそっくりですね。

オーディオも自由にレコーディングできる

さらに、オーディオのレコーディングも可能です。マイクからのレコーディングはもちろん、iRigなどを利用してギターを接続した場合は、アンプシミュレータやさまざまなストンプエフェクトをかませての演奏、レコーディングができます。これはもう面白すぎですね。

ギターアンプシミュレーターも標準装備されている

iPad1のパワーで何トラックまで扱えるのかはまだ試せていません。また、iPad2にすると、どれだけ性能が上がるのかはまだわかりませんが、GarageBandのためにiPadを購入しても損はないほどだと思いますよ。

【追記】このiPad版のGarageBand、最大でも8トラックしか扱えないんですね。失礼しました。iPad1でも8トラックは問題なく動作します。

【追記】(2011.11.28)
記事を書こうと思いつつ、タイミングを逸してしまったので、この記事に追記。

ご存知の方も多いと思いますが、11月2日にこのGaragebandがバージョンアップしてVer1.1になるとともに、価格据え置きのまま、iPhoneおよびiPod touchでも使えるユニバーサルアプリに進化しました。すでにiPad用に購入した方は追加料金なしに、iPhoneでも使えるわけです。当然画面サイズは小さくなりますが、機能的にはまったくといっていいほど同じなので、通勤時の電車の中でDTM、といったことがさらにしやすくなっています。ここまで安いのはやっぱり、ズルイと思いますけどね……。

【価格チェック&購入】
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Commentsこの記事についたコメント

21件のコメント
  • Pretty POp

    MIDIデータの編集って出来ませんよね?
    演奏下手なので、これが出来るようになると良いのですが 🙂
    まぁ、そこまでやるならMacBookでってなるんでしょうかね。

    2011年3月17日 7:43 PM
  • iTakahashikun

    こんにちは。
    AppBankというサイトで音楽系iPhoneアプリの記事を書いている
    iTakahashikunと言います。
    ベロシティには加速度センサで対応していると思われます。
    実際、ドラムアプリで加速度センサを使ってベロシティに対応しているものがあります。
    それにしても、本当にiPad版GarageBandには感動しています!

    2011年3月17日 7:49 PM
  • 藤本健

    Pretty POp さん
    そうですね、MIDIデータの編集とかピアノロールといった機能はないみたいですね。その辺もMac版との大きな違いですね。

    2011年3月17日 8:05 PM
  • 藤本健

    iTakahashikun さん
    情報ありがとうございました。いまTwitter上でも多くの方から教えていただきました。後で、記事に追記しておきます。

    2011年3月17日 8:06 PM
  • Pretty Pop

    そのうちアップデートされることを期待しています。
    自分の演奏はだめだめなんですが、かといって、Smart Playで全部出来るわけでもなく…
    #ほぼ復活されたようで、よかったです 🙂

    2011年3月17日 8:23 PM
  • たかたか

    マイク差しても認識してくれないよ。
    なんでだろう。

    2011年3月17日 10:22 PM
  • orz

    8トラック。

    2011年3月19日 12:45 AM
  • 藤本健

    ホントだ、失礼しました。
    そもそも1画面分で収まる8トラックの仕様でしたね。

    2011年3月20日 10:40 AM
  • 8分の7拍子天国

    Flex TimeとGroove Matchingという機能にとっても感心持ちました。
    http://www.youtube.com/watch?v=vcvG_C3z9jo
    最近のDAWツールはまるっきり疎いのですが、pro toolsとかでも普通に出来ることなのでしょうかね・・。
    なんにせよ600円には驚異。桁が間違ってるのではないかと思いました。
    6000円でも安いと思うけど・・・

    2011年5月10日 5:07 AM
  • あれれ?

    楽しみにしてたiRIGが届いて、いざガレージバントをと思って繋げるも、音がでない!?AmpKitは稼働したのに…
    何か注意することってありますか?

    2011年9月11日 10:24 PM
  • 藤本健

    いま、試してみましたが、うちでは問題なくiRigにギター接続してなりましたよ。アンプの画面の左上にあるコネクタのアイコンをクリックして開く画面でモニターがオフになっているということはないですか?

    2011年9月11日 11:12 PM
  • とおりすがり。

    質問があります。
    ミディクロックは送信できますか?
    また、オーディオファイルのインポートできますか?

    2011年9月29日 1:39 AM
  • 藤本健

    オーディオファイルは16bit/44.1kHzの非圧縮に限りますが、iTunes経由でインポート可能です。ただし、MIDI Clockには対応していないようです。

    2011年9月29日 8:43 AM
  • K

    主にギターで作曲しようと思うのですが、MAC版とipad版のどちらがオススメとかありますか?

    2011年10月31日 5:55 PM
  • 藤本健

    Kさん、こんにちは。
    Mac版とiPad版、確かに同じGarageBandという名前だけど、関係のない別モノと考えたほうがいいかもしれません。
    作曲用に利用するなら、やはりMac版のGarageBandか、さらにはその上のLogic Expressなどを使ったほうがいいと思いますよ。ただ、iPad版は、それはそれですごく面白く遊べるソフトですけどね。

    2011年10月31日 5:58 PM
  • K

    回答ありがとうございます。参考になりました。
    これから色々調べて考えようと思います!

    2011年10月31日 9:39 PM
  • Latteguitar

    はじめまして。 
    「ipad」の「GarageBand」と「Windows」の「Sonar」の互換性について質問したいのですが・・・現在「ipad Air2」の購入を考えておりまして「GarageBand」と「Sonar」でのやり取りが出来ないものかと思案しております。質問内容としては「ipad Air2」の「GarageBand」で録音したVoトラック(音声データ)を「Windows PC」に取り込み「Sonar」で読み込み再生および編集が出来ないものかと??アップルサポート・ティアック・ケークウォーク・石橋楽器パワーレックに問い合わせた所?データのやり取り・同期・互換性については試した事がなく過去に例がないとの事で判りませんとの事でした・・・各メーカーと話して考えたのですが?
    その手順としては次のコメントにて説明します。

    2015年10月20日 1:15 AM
  • Latteguitar

    1  「Windows pc」 の 「sonar」 でオケを作ります。
        (sonarのデータだとmidiやオーディオが読まない可能性も有ると思うのでwavもしくは
        mp3に変換したオケ)
    2  「ipad Air2」にオケを取り込み「GarageBand」に読み込ませます。
       (mp3およびwavならデータの移行、読み込みは出来ると各メーカーさん確認済みです)
    3  「GarageBand」で読み込ませたオケを再生しながらVoトラック(オーディオ)音声の
        録音をします。
    4   録音したVoトラック(音声データ・オーディオデータ)を「Windows pc」に取り
        込み移します。
    5   「GarageBand」のファイルデータが「M4A」データで「Windows pc」では取り込み
        は出来るが読み込みは出来ないとの事でしたので「Free Audio Converter」にてM4Aか
        らWAVもしくはMP3に変換します。
        「Free Audio Converter」サイト
        http://www.freemake.com/jp/free_audio_converter/
    6   変換したVoデータ(オーディオデータ)を「sonar」に読み込ませます。
    7  「sonar」で再生および編集をする。
    この手順で「GarageBand」と「sonar」でのやり取りは可能かどうか??
    改め、各メーカーさんに手順を説明して問い合わせたのですが?やはり事例が無く、可能かどうかは判断しかねます。
    との事でした・・・
    私は「Windows」しか持っていないので「Windows」のノートPCを購入した方が良いのでしょうか・・・外に持ち出し用にと考えているのですが・・・あくまで「ipad」はスタジオでの再生・録音とライブで同期演奏させる為だけに使用するので「GarageBand」での編集作業は致しません。(ライブでの同期演奏では出来上がったオケをwav等にしてipadのプレーヤーで鳴らす予定)長文になりましたが、お時間のある時に回答頂ければ幸いです。宜しくお願いします。
       

    2015年10月20日 1:15 AM
  • 藤本健

    Latteguitarさん
    こんにちは。SONARの入ったPCを持って、外でボーカルレコーディングするのは大変なので、iPadを利用できるのではないか……というのが目的ですよね??
    まずGaragebandとの連携、やってできなくはないのかもしれませんが、面倒すぎて、あまり実用的ではないと思います。Garagebandはよくできたアプリではあるけれど、かなり独特な部分もあるので、SONARと整合性をつけるという意味でも扱いずらく、お勧めはしません。
    Garagebandにこだわる理由はありますか?もしないのであれば、DTMステーションでも何度か紹介しているAuriaもしくはAuriaLEを使ってみてはどうでしょう?これならSONARで作ったオケをWAVで渡し、それをバックにボーカルを録音し、録音した結果をSONARに戻すのも簡単です。Cubasisでも同様のことができますね。SONARユーザーであればAuriaあたりが使いやすいのではないかと思います。

    2015年10月20日 9:16 AM
  • Latteguitar

    さっそくの回答ありがとうございます!!とくに「Garageband」には、こだわりはないので今回ご紹介を受けた「Auria」を調べてみました!!とても素晴らしいソフトですね!!私は今までipadなど?所持しておらずアプリに関しては無頓着でしたので・・・時代は進化しているのですね!!知らない無知な事の恐ろしさを実感しました。まずは「Auria」を試してみます♪あと調べていて?HPを見たら?「Auria Pro」なる物も出たらしいですね?懐かしいギターメーカーかと勘違いしてしまいましたww日本で買えるのかな??
    本当にありがとうございました!!これからも楽しく拝見させていただきます♪

    2015年10月20日 4:58 PM
  • 藤本健

    Latteguitarさん
    Auria、検索すれば、
    http://www.dtmstation.com/tag/Auria
    など、DTMステーションの記事がヒットすると思います。
    Auria Proはまだベータテスト中で、発売されてません。
    Auria自体、以前に比べるとだいぶ値段も下がったので、買い時だと思いますよ。
    でも、Latteguitarさんが必要とするトラック数は少ないみたいですし、予算を少なくしたければ、Auria LEでいいかもしれません。

    2015年10月21日 12:05 AM

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