リニアPCMレコーダーを使ってYouTube用のPVを作成する

すべて打ち込みで楽曲を作る場合は、基本的にPC内部でレコーディングからミキシング、マスタリングまで完成させることができますが、ボーカルやアコースティックピアノ、アコースティックギターなどを録るとなると、事情が大きく変わってきます。とくにマイクのセッティングは結構大変で、どんな種類のマイクを何本用意して、さらにそれをどの位置から狙うのかなど、凝ればキリがないところまでいってしまいます。

それを一般のDTMユーザが真似るのは、財力的にも知識的にも経験的にも難しいことですが、最近のリニアPCMレコーダーを使うことで、そこそこのことができてしまいます。今回はローランドのR-05を使って、ボーカルとグランドピアノによる演奏を録ってみたので、紹介してみましょう。

ポプリ/Arearea


まずは、このYouTubeのビデオ、ちょっと見てみてください。これがR-05だけで録音したものなんです。演奏しているのは、お友達のミュージシャンであるAreareaのお二人(ボーカル:RINO、ピアノ:YUKI)。今、彼女たちは“リビングライブ”と題して、いろいろな家でライブを開き、その内容をYouTubeで公開するという活動をし始めたとのこと。その第2回目用にということだったので、ちょっと協力をしたんですよね。
今回レコーディングに使ったローランドのR-05

見てのとおり、ピアノとボーカルというシンプルな構成ですが、ちゃんとレコーディングするとなったら、まずかなりの数のマイクが必要になってきます。ボーカル用、コーラス用、ピアノのオンマイクが2本にアンビエントが1本……といった感じでしょうか。もちろん、マイクによって雰囲気も大きく変わってくるので、それぞれに何を使うかなど決めているだけでもかなりの時間がかかりますし、そもそもスタジオじゃないから、そんなにいっぱいマイクなどありません。また時間的な制約もあって、約4時間の間でセッティングからリハ、レコーディングまですべてを行い、その間に計4曲も録るという強硬手段で挑んだのです。

であれば、やはりリニアPCMレコーダーで録音するのが簡単だし、結構いい音で録音できるので、これを試してみようということにしたのです。私の手元には何種類かのものがあるのですが、最近よく使っていて失敗のない、ローランドのR-05でいくことにしました。最高24bit/96kHzで録音できる機材ですが、今回のリビングライブは、基本的にYouTubeで公開するのが最終作品であるということだったので、あえて24bit/96kHzなどにはせず、24bit/44.1kHzというフォーマットで録音したのです。

When You Wish Upon A Star -星に願いを-/Arearea

R-05に限らず、一般にリニアPCMレコーダーは2chでの一発録りとなるため、ボーカル、コーラス、ピアノのそれぞれの音量バランスやパンニングをどうするかが非常に難しいところ。このピアノ、BOSTON(Steinwayの第2ブランド)のもので、柔らかい響きの音色を持っており、やはり大屋根を開けて弾くことで、豊かで明るい感じになります。ところが、開けた状態だと、その分音量が非常に大きくなってしまい、やや静か目に弾いてもボーカルがピアノに完全に負けてしまうのです。そこで、蓋を閉めてしまうと音量的なバランスは合いそうで、ピアノの音色的にも十分満足のいく範囲で収まります。
2階の角のポイントから録り降ろすことに決定
次の問題は、R-05をどこに、どんな角度で置くかという点。ボーカルのすぐそばにスタンドを立てておいてみたり、ピアノの真上から狙ってみたり、1時間近く試行錯誤してみたのです。この部屋、実は吹き抜けになっていて、2階からも録ることができるようになっているのですが、ヘッドフォンでモニターしながら、2階のいろいろな位置から試した結果、ボーカルから見て真正面より少し左側の位置に置くことで、いいバランスになることが分かりました。1階の床付近で録音するのと比較して、ピアノの低音のパワーは薄らいでしまうのですが、まあ、その辺は仕方ないと妥協した点もあるのですが……。

さらにバランスをうまく調整するために歌うポイントを1歩前に出てもらうとか、やや上向きに歌ってもらうなどなど、工夫していった結果、そこそこ満足のいく状態に持っていけたのです。強いて言うと、場所的な問題でピアノを弾きながら歌うYUKIちゃんのコーラスが弱めになってしまうのですが、その辺は声量でがんばってもらおう、と。

Piece Of My Wish/アレアレア

このセッティングに1時間以上かけてしまいましたが、そこから先はやはりプロ。各曲とも2、3回のテイクでOKということになり、制限時間内にレコーディングを終えることができました。

ちなみに、動画撮影に使ったのはCanon EOS 5D MarkIIという一眼レフ。こちらは別のスタッフが、ほとんど照明も使わずに撮影していたのですが、下手なビデオカメラよりぜんぜんいい性能で撮れるんですね。R-05はこのカメラのポイントより2、3mほど右の位置から録っていました。

家の反響音がそこそこあり、生音のままで十分かなと思っていましたが、Areareaのお二人からの要望で波形編集ソフト上で、若干のリバーブを加えるとともに、コンプレッサで音圧を少し調整しただけで私の作業は終了。これをFinal Cut Proで映像と合成して完成、というわけです。いかがでしょうか?

【関連リンク】
Arearea Official Homepage アレアレア オフィシャルホームページ

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ローランド R-05製品情報