ね、これまでにボーカロイドでこんな声が出るのを聞いたことないですよね?これは母音を無声化するという技であり、専門用語を使って言うと「スペクトル包絡(ほうらく)はそのまま使用し、ソースにささやき声の母音の伸ばし音を使用」ということをしているのです。ちなみに前半の普通の声でしゃべるようなイントネーションになっているのは、PITとPBSを使っての調教ですね。
VOCALOID3 Editorでは、ひらがなで歌詞を流し込んでいけば、簡単に歌わせることができます。が、流し込んだ結果をよく見てみると、たとえば「こ」と入力すると「こ[ko]」のように記号がついてきますよね。
この記号がVOCALOIDの発音記号です。基本的にはローマ字のようなものなのですが、「る」は「る[4M]」であったり、「にょ」は「にょ[Jo]」であるなど、少し独特なものになっています。この辺、詳細については「VOCALOID3公式完全マスター」で紹介していますので、よかったら参考にしてください。この本では先ほどのしゃべるようなイントネーションにするためのワザも紹介していますよ。
で、VOCALOID3ではこの発音記号を元に発音をしているのですが、たとえば「こ」をささやき声にするには「こ[ko_0]」と「_0」を後ろに追加するのです。このように発音記号をいじるには、音符内の文字をダブルクリックして、歌詞をエディットできる状態にした状態で「ALT」キー+「下矢印」を押すと発音記号が入力できるようになるので、ここで修正をするのです。こうして、母音の無声化をした結果が先ほどのビデオなのです。
ビデオで示したとおり、母音を無声化すると、音程=ピッチの変化はわかりにくくはなるものの、ある程度のニュアンスは残っているので、ささやき声にも、いろいろと変化はつけられそうです。
この方法、剣持さんが講演で発表していたものの、実はヤマハ非サポートの裏ワザ。実際マニュアルにも一切記載はないんですよね。ただ、後で剣持さんに聞いてみたところ、実はこの裏ワザを発表したのは今回が初めてではなかったとのこと。昨年末の楽器フェアで話していたので、すでに使っている人もいるそうです。私個人的には、チェック不足で、今回初めて知ってびっくりした次第です。
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