超低レイテンシー実現のFL STUDIO mobile登場でAndroid快進撃スタートだ!

先日のAV Watchの連載記事でも紹介したとおり、ドイツ・フランクフルトのMusikmesseで、Image-LineFL STUDIO 11とともに、Android版のFL STUDIO mobileを発表し、4月19日にリリースしました。価格は1,899円とちょっと高めだけど、Line-Imageの説明によれば、これはiOS用にリリースしているFL STUDIO mobile 1.0と機能的にはまったく同じとのこと。

さっそく、これを先日購入して、そのまま放置状態になっていたNexus10にインストールして使ってみたところ、ちょっと驚くべきことが!! そう、これまでAndroidデバイスはレイテンシーが大きいからダメという印象だったのですが、こいつはまったく問題なし!iOSと同等か、もしかしてそれ以上?というものだったのです。ついにAndroidデバイスのDTM市場本格進出がスタートしたということのようなので、レポートしてみましょう。

ついにFL STUDIOのAndoroid版がリリースされた

まずはFL STUDIO mobileの機能についてですが、確かにiOSのバージョン1.xとまったく同じようです。手元のiPad3はバージョンアップによってオーディオトラックをサポートした2.1となって、ちょっと内容が変わってきていますが、1年以上放置されていたiPad2を久しぶりに起動してみると、FL STUDIO mobile 1.3.2というのが入っていたので、Nexus10と並べてみたのが、以下の写真です。

左がiPad2、右がNexus10でFL STUDIO mobile 1.xを動かしたもの。同時に再生ボタンを押したら同期した!

機能の詳細は以前にも記事「iPad用MIDIシーケンサ、FL Studio Mobile HDはいい!」で紹介しているので、そちらに譲りますが、見た目もまったく同じだし、各機能もまったく同じになっています。

FL STUDIO mobileのトラック画面

簡単に概要だけを紹介すると

・99トラックのMIDIシーケンサ
・133音色を備えたサンプリングシンセサイザ搭載
・MIDIピアノロールエディタを装備
・ドラム入力にピッタリなステップエディタ搭載
・TrごとにLimiter、Reverb、Delay、EQ、Amp simulator、Filterが利用可能
・スライス化したループ素材の利用もできる

といったものであり、オーディオのレコーディングはサポートしていないまでも、内容的にはかなりしっかりしたDAWになっています。

計133音色を装備するとともに、ドラムきっと、ループデータなどを標準で多数装備

まあ、すでにAndroidで使えるソフトシンセやDAW的なものは、複数登場しているようですが、ここで注目したいのが、FL STUDIO mobileのソフトシンセのレイテンシーに関してです。Image-Lineの説明によれば、デバイスによってレイテンシーは異なり、デバイスごとに最高のパフォーマンスを出すように調整されている、とのこと。Musikmesseの会場においてNexus7にインストールされているFL STUDIO mobileを触ってみたところ、まずまずの結果。あくまでも私の感覚値ですが、100msec程度あるかな、という感じ。そこそこ演奏はできるけれど、iOSにはやはりだいぶ劣るな、という印象だったのです。

FL STUDIOでお約束のステップ入力画面

そして一昨日、製品がリリースされたわけですが、これをすぐに購入し、誰よりも早くビデオレポートを上げていたのがIT mediaのONETOPIチーフキュレーターの松尾公也さん。松尾さんのONTOPIコメントによれば、HTC EVO WiMAX(Android 2.3.4)で試してたところ、若干レイテンシーはあるし、2音ポリしか鳴らないとのこと。「ダメダメだったAndroid楽器の中ではピカイチの実装」としつつも、「現時点で1899円分の価値はないと思うんですよね」という感想を上げていたので、ちょっとガッカリした思いで見ていました。

アンプシミュレータも搭載しており、トラックごとに設定して使える

が、やや出遅れ、翌日に使ってみたところ、松尾さんの印象とはまったく違う、すごい出来であることが私の環境で確認できたのです。そう冒頭で書いたとおり、レイテンシーは極めて小さく、iPadと並べて比較しても、同等かそれより小さい感じ。もちろん和音もしっかり出ます。同時発音数は分かりませんでしたが、少なくとも6音以上は出ているようです(画面のセンシングの問題か、バグなのか、うまくキーが押せないケースは頻繁に発生したが……)。

画面の鍵盤を弾けばリアルタイムに音を出すことができ、レイテンシーは極めて小さい

これまで、いくつかのAndroidのソフトシンセ、DTMアプリを見てきましたが、このFL STUDIO mobileは現時点においてダントツ、最高の出来であると断言して間違いないと思います。Image-LineがFL STUDIO mobileのAndoroid版の開発をしているのを知ったのは、昨年の10月で、銀河ボブさんのブログ記事を見て知ったのです。その後、ときどきImage-LineのWebサイトをチェックしていましたが、なかなか前進していないようなことが書かれていたので、「開発、大変なのかなぁ…」と思っていましたが、時間を掛けての開発の成果が出たわけですね。

Galaxy Nexusでもまったく同じように動いてくれた

さらに試してみたのは、もう1台手元にあって、まったく電源を入れないままにあったGalaxy Nexus。これにもFL STUDIO mobileをインストールして使ってみました。あ、もちろん同じGoogleアカウントの設定をしているので、追加料金は発生しませんよ。

まず、FL STUDIO mobileは画面サイズとして1280×800、800×480、960×640、480×320のそれぞれをサポートしているとのことで、問題なく動作させることができました。機能的にもNexus10で動かしているものと同じですが、どうも若干のレイテンシーを感じるのですよね。と、ここで表示が出たのはOSの新バージョンが出ているのでアップデートするか、というアナウンス。とりあえず、やっておこうとアップデートして、再起動してみると、なんとレイテンシーが小さくなっているではないですか!元に戻せないので、しっかりとした比較ができないのと、前のOSのバージョンがいくつだったかは確認できませんが、現在のバージョンを確認すると「Android 4.1.1」となっています。ちなみに、Nexus10は「Android 4.2.2」でした。

でも、ここで疑問に感じたことが、いくつかあります。なぜMusikmesseの会場で使ったNexus7だとレイテンシーを感じ、ウチのNexus10だと感じなかったのか。なぜ松尾さんのマシンだと、かなりのレイテンシーがあったのか、どうしてGalaxy NexusのOSをアップデートしたら、レイテンシーが小さくなったのか…という点。

設定画面のGeneralのところ、iOS版にはあるレイテンシー の設定はなく、自動で最適化される模様

そこで、この辺のシステムに詳しいbs-16iの開発者、bismarkさんに疑問を投げかけたところ、明快な答えが返ってきました。現時点、Androidデバイスで低レイテンシーなアプリを作るには、いくつかの条件があるのだとか。具体的には以下の4つ。
1) OpenSL ES使用
2) 低レイテンシ対応デバイス(現時点Galaxy Nexus、Nexus4、Nexus10らしい)
3) 最新OS
4) OpenSL ES使用時のサンプリング周波数、バッファ長をデバイスやOS毎に最適値に設定
なるほど、偶然ではあったけど、その低レイテンシーデバイスが2つ私の手元にあったということなんですね。いや、もともと、それを狙って、この2機種を買ったんですよ(Nexus4は国内発売はされていない)。そうGalaxy Nexusはbismarkさん情報で、Nexus10は松尾さん情報で「低レイテンシーだ」と教えられて飛びついたけど、これまでのアプリを使ったところ、さっぱり実感できず、ガッカリしていたのですが、ついに条件が揃った、と。

あとは、こうしたDTMアプリが次々と登場してくれたら、Andoroidもどんどん楽しくなってきそうです。いろいろ情報を教えてくれたbismarkさん、bs-16i for Androidの開発中で、近いうちに登場しそうとのことですから、これから勢いがついていきそうですね。

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