さっそく、これを先日購入して、そのまま放置状態になっていたNexus10にインストールして使ってみたところ、ちょっと驚くべきことが!! そう、これまでAndroidデバイスはレイテンシーが大きいからダメという印象だったのですが、こいつはまったく問題なし!iOSと同等か、もしかしてそれ以上?というものだったのです。ついにAndroidデバイスのDTM市場本格進出がスタートしたということのようなので、レポートしてみましょう。
まずはFL STUDIO mobileの機能についてですが、確かにiOSのバージョン1.xとまったく同じようです。手元のiPad3はバージョンアップによってオーディオトラックをサポートした2.1となって、ちょっと内容が変わってきていますが、1年以上放置されていたiPad2を久しぶりに起動してみると、FL STUDIO mobile 1.3.2というのが入っていたので、Nexus10と並べてみたのが、以下の写真です。
左がiPad2、右がNexus10でFL STUDIO mobile 1.xを動かしたもの。同時に再生ボタンを押したら同期した!
機能の詳細は以前にも記事「iPad用MIDIシーケンサ、FL Studio Mobile HDはいい!」で紹介しているので、そちらに譲りますが、見た目もまったく同じだし、各機能もまったく同じになっています。
簡単に概要だけを紹介すると
といったものであり、オーディオのレコーディングはサポートしていないまでも、内容的にはかなりしっかりしたDAWになっています。
まあ、すでにAndroidで使えるソフトシンセやDAW的なものは、複数登場しているようですが、ここで注目したいのが、FL STUDIO mobileのソフトシンセのレイテンシーに関してです。Image-Lineの説明によれば、デバイスによってレイテンシーは異なり、デバイスごとに最高のパフォーマンスを出すように調整されている、とのこと。Musikmesseの会場においてNexus7にインストールされているFL STUDIO mobileを触ってみたところ、まずまずの結果。あくまでも私の感覚値ですが、100msec程度あるかな、という感じ。そこそこ演奏はできるけれど、iOSにはやはりだいぶ劣るな、という印象だったのです。
そして一昨日、製品がリリースされたわけですが、これをすぐに購入し、誰よりも早くビデオレポートを上げていたのがIT mediaのONETOPIチーフキュレーターの松尾公也さん。松尾さんのONTOPIコメントによれば、HTC EVO WiMAX(Android 2.3.4)で試してたところ、若干レイテンシーはあるし、2音ポリしか鳴らないとのこと。「ダメダメだったAndroid楽器の中ではピカイチの実装」としつつも、「現時点で1899円分の価値はないと思うんですよね」という感想を上げていたので、ちょっとガッカリした思いで見ていました。
が、やや出遅れ、翌日に使ってみたところ、松尾さんの印象とはまったく違う、すごい出来であることが私の環境で確認できたのです。そう冒頭で書いたとおり、レイテンシーは極めて小さく、iPadと並べて比較しても、同等かそれより小さい感じ。もちろん和音もしっかり出ます。同時発音数は分かりませんでしたが、少なくとも6音以上は出ているようです(画面のセンシングの問題か、バグなのか、うまくキーが押せないケースは頻繁に発生したが……)。
これまで、いくつかのAndroidのソフトシンセ、DTMアプリを見てきましたが、このFL STUDIO mobileは現時点においてダントツ、最高の出来であると断言して間違いないと思います。Image-LineがFL STUDIO mobileのAndoroid版の開発をしているのを知ったのは、昨年の10月で、銀河ボブさんのブログ記事を見て知ったのです。その後、ときどきImage-LineのWebサイトをチェックしていましたが、なかなか前進していないようなことが書かれていたので、「開発、大変なのかなぁ…」と思っていましたが、時間を掛けての開発の成果が出たわけですね。
でも、ここで疑問に感じたことが、いくつかあります。なぜMusikmesseの会場で使ったNexus7だとレイテンシーを感じ、ウチのNexus10だと感じなかったのか。なぜ松尾さんのマシンだと、かなりのレイテンシーがあったのか、どうしてGalaxy NexusのOSをアップデートしたら、レイテンシーが小さくなったのか…という点。