Cakwalk社長のマイケル・フーバーさんにインタビューしてみた
■Giboson傘下に入ったCakewalk
--Rolandの子会社であったCakewalkが、昨年突然Gibson傘下に移るという発表があったときには、正直驚きました。
フーバー:それは、我々にとっても同様です。それまでRolandとは、テクニカルパートナーとして、ビジネスパートナーとして、とてもいい関係性を築いてくることができました。でも企業も世の中も、常に変化するものですから、こうした関係性の変化は致し方のないことだと思います。その中で、今回CakewalkがGibsonの傘下に入ることになったのは、お互いハッピーだったと思うし、お互いがWin-Winだったと感じています。
フーバー:それは、私もこれまで一番多くもらった質問ですよ(笑)。まず、そうした心配はいりません。CakewalkがGibson傘下に入ったことは、倒産しかかっていたOpcodeを買収したのとは状況がまったく違いますし、今回は目的がハッキリしています。明確な戦略があるのです。ギターを軸に考えた場合、ギターというモノがあり、それを演奏するところまではGibson側の商品、サービスで賄えますが、それをレコーディングし、ミキシングし、マスタリングするといったプロセスを持っていなかったので、そのためにCakewalkが欲しかったのです。これからは、そこまでをトータルにビジネス展開ができるように、タッグを組んでいくわけです。
フーバー:はい、絶対に大丈夫です。当時はリーダーが誰であるかもハッキリしていなかったようですが、今回は役割分担も明確です。それより何より、GibsonのCEOであるヘンリー・ジャスキビッツがSONARの古くからのユーザーなんですよ。ヘンリーから直接、私に「これは、どうやって使うんだ?」なんて電話がかかってくることがありますからね(笑)。
■サブスクリプションはアメリカでも受け入れられていない!
フーバー:そんなことは決してないですよ!私自身も、社長とは名乗らず、「Cakewalkのマーケティング担当のマイケルです。SONARについての意見を伺わせてください」ってユーザーに電話をして話を聞いたりもしたんですよ。そうすると、ほとんどの人が「一度お金を支払ったところで買い切りにしたい」「毎月お金を支払うのは嫌だ」っていう声ばかりでしたね。Adobeのようなレンタルモデルは、広くは受け入れられていませんよ。それは世界共通なのではないでしょうか?一方で、「新機能はどんどん増やしてほしい」という声は大きくあるし、社内体制としても、わざわざ1年後のバージョンアップを待って機能を搭載するのではなく、できたものはユーザーメリットのために、どんどん機能追加していきたいという思いはあったのです。こしたことを、上手に統合するには、どうしたらいいだろうか…と考えた結果、メンバーシップ制というものが生まれたわけです。
フーバー:もちろん、世の中が変化して、ユーザーがサブスクリプションがいい、と求めるようになれば検討しますが、現時点ではそういう考えはありません。
■SONARはMac対応しないのか?
フーバー:まず、Cakewalkとしては、Macに対しても積極的に取り組んでいます。実際、ソフトウェア音源やエフェクトなどは、現在すべてWindows/Macハイブリッドで出しています。ただし、SONARをMacに移植できるかというと、やはり無理なのが実情です。SONARは、Windowsに最適化するように設計してきたという経緯があるので、Macへの移植は実質的に不可能なのです。あるとしたら、まったく別のDAWを開発するという手段ですが、そこにリソースを割くための優先順位をどうするかですね。やはり現行のSONARの機能強化などを優先させたいというのが、現時点での考え方です。
フーバー:私がCakeawlkに入社したのは、Cakewalk Pro Audio 6のころですから、17年前ですね。大学ではオーディオ・エンジニアリングを専攻していたものの、純粋なエンジニアとしてのキャリアではなく、プロダクトマネジャーやソフトウェアデザイナーとして働いてきたんですよ。こうして長年Cakewalkという会社を経験してきたからこそ、ユーザーのみなさんの要望も分かるし、みなさんを満足させられる製品づくりもできるわけです。
フーバー:Cakewalkは長年Rolandと友好的な関係を続けてきたし、音楽の面においても深く関わり合ってきました。そのことは、現在の我々にとっても大きなベースとなっています。今回、Gibson傘下ということで、体制は大きく変わりましたが、Cakewalkメンバー一同、エンジョイしているし、エキサイティングな気持ちでいます。また、Gibson傘下という意味では、TEACも同じであり、Cakewalkとは兄弟関係にあります。そのTEACが日本での流通元となってくれるだけでなく、今回搭載したDSD機能のように、SONARの機能強化を行う上で重要なパートナーとなっているのも、嬉しいところです。これからTEACとも手を携えて、日本のユーザーのみなさんに満足いただけるようなサービス展開を図っていきます。心配しなくて大丈夫です。ぜひ、これからもSONARをどんどん活用いただければと思います。
--ありがとうございました。
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