Cubase 8のエントリー版、Elementsが1万円で発売だ!

国内のDAWで圧倒的なシェアを誇るSteinbergCubase。現在、DTMステーションで実施中の4月のアンケートであるDAWシェア調査においても、1位となっており、3年連続の1位がほぼ確実となってきています。そのCubaseの最新バージョンは昨年末にリリースされたCubase 8シリーズで、これまで最上位のCubase Pro 8(店頭税抜価格55,000円前後)、スタンダード版のCubase Artist 8(店頭税抜価格30,000円前後)の2種類がありましたが、このたび、エントリー版であるCubase Elements 8((店頭税抜価格10,000円前後)がラインナップに加わりました。

このCubase Elements 8もCubase Pro 8などと同様に32bit/192kHzが扱えるDAWであり、ユーザーインターフェイスも同様のものを備えています。トラック数や同時に使えるプラグインの数などに制限があるものの、エントリーユーザーにとっては十分過ぎる内容になっているので、このCubase Elements 8とはどんなもので、上位版と何が違うのかなどについて簡単に整理し、紹介してみたいと思います。

Cubase 8シリーズに、エントリー版のCubase Elements 8が誕生

これまでのCubaseシリーズをご存じの方であれば、「Cubase Elemenets 8が登場するのは時間の問題」と思っていたと思いますが、今回は半年もタイムラグなく登場したわけですね。パッケージ版は4月中旬からの発売開始で、それよりも前にSteinberg Online Shopでのダウンロード販売もスタートするとのことです。


4月15日から発売が開始される予定のパッケージ版 

また、今年1月17日以降にCubase Elements 7を購入した人であれば、無償でダウンロード版が入手できる、いわゆるグレースピリオドも設けられているようです。

では、そのCubase Elements 7から何が変わったのか、そして上位版の2つと何が違うのでしょうか?それを簡単な表にまとめてみたのが以下ものです。

Cubase
Pro 8
Cubase Artist 8 Cubase Elements 8 Cubase Elements 7
オーディオ関連機能
最大ビット/ サンプルレート 32bit/192kHz 32bit/192kHz 32bit/192kHz 32bit/192kHz
最大オーディオトラック数 無制限 64 48 48
VariAudio
AudioWarp
VCAフェーダートラック
MIDI 関連、作曲&シーケンス機能
最大MIDIトラック数 無制限 128 64 64
譜面作成・印刷機能 ○(簡易) ○(簡易) ○(簡易)
コードトラック
コードアシスタント ○(フル機能) ○(限定機能) ○(限定機能)
五度圏表示
近接コード表示
コードパッド
VST プラグインエフェクト
付属オーディオエフェクトプラグイン数 71 51 41 39
VST インストゥルメント
インストゥルメントトラック 無制限 32 24 24
付属VST インストゥルメント数 8 8 3 3
HALion Sonic SE 2 音色数 1410音色 1044音色 688音色
Groove Agent SE 4 音色数 179プリセット 179プリセット 96プリセット

この表を見ると、だいたいのことが分かると思いますが、Cubase Elements 8にはCubase 8シリーズで搭載されたさまざまな機能が使えるようになっています。


コードを簡単に入力でき、パターンを割り当てることで、アルペジオ的に鳴らすこともできるコードパッド

たとえば、コードパッド機能は便利な機能の一つ。MIDI鍵盤の低い音程を押すと、そこにコードが割り当てられています。また単にコード=和音として鳴らすだけでなくそこにパターンを割り当てることで、アルペジオ的に鳴らすことができるので、キーボードがまったく弾けない人でも、簡単にコードプレイができるようになっているのです。各キーに割り当てるコードやパターンは、プリセットから読み込むことができ、曲のジャンルやパターンによってずいぶん違い雰囲気のものとなります。リズムに合わせて適当に弾くだけでも、それっぽい曲作りができてしまうのが初心者にとってはなかなか楽しいですよ。


AKAIのMPCライクなUIのドラムマシン、Groove Agent SE 4 

またVSTインストゥルメントの一つとして、Groove Agent SE 4が追加されたのも大きなポイントです。Groove Agent SE 4AKAIMPCライクなドラムサンプラーであり、従来のCubase Elements 7に搭載されていたGroove Agent ONEの後継。サンプルをトリガーする Instrumentパッドに加えて、リズムパターンをトリガーできる Patternパッドが追加されたのがポイントとなっています。


MIXER機能を使うことで、細かく音の調整ができるだけでなく、さまざまな内蔵エフェクトの設定もできる

Cubaseのトラック上で、これにVSTエフェクトを掛けることも可能ですが、Groove Agent SE 4自体に多彩な内蔵エフェクトも搭載されており、ミキサー画面でかなり細かく音作りをしていくことも可能です。また、サンプラーとしてのエディット画面も、かなりしっかりできており、このGroove Agent SE 4だけのためにCubase Elements 8を買っても損しないほどのものだと思います。


新しいHALion Sonic SE 2にはバーチャルアナログシンセサイザー機能も装備している 

またサンプラーシンセとして定評のあるHALion Sonic SEもCubase 8シリーズになることで、HALion Sonic SE 2と新バージョンに置き換わりました。このHALion Sonic SE 2で大きなポイントとなるのがTripという音色。実はこれ、サンプラーのくせに、バーチャルアナログシンセサイザー機能を備えており、このTripを選ぶことで、3オシレータ+サブオシレータで構成され、リングモジュレータレータ&アルペジエーターまで備えた強力なシンセに変身してくれます。

フィルター部もローパス、ハイパス、バンドパスなどを選択できる超強力なもので、VCF、VCAそれぞれにADSRのエンベロープ処理ができるなど、TRIPをいじっているだけでも、かなり遊べてしまいますよ。


マルチディスプレイで画面、目いっぱいにMixConsoleを表示させることも可能に 

一方で、ユーザーインターフェイスが大きく変わったのも、Cubase 8シリーズのポイントとなっています。とくにWindowsユーザーの場合、これまでのCubaseと少し扱いが変わったので、最初戸惑う部分もあると思いますが、マルチディスプレイで使っている人にとっては非常に使いやすい構造になっています。というのも、各ウィンドウが別々のアプリケーションのように独立して動くため、ディスプレイ1はCubase本体の画面を置いて、各種エディット作業をしながら、ディスプレイ2はMixConsoleを全画面表示させる、といった使い方ができるからです。


Instrument (T)rack 2.0によってインストゥルメントがより扱いやすくなった 

またInstrument (T)rack 2.0というものが搭載されたのも、使い勝手においては大きく変わった点です。従来のCubaseと同様に、インストゥルメントトラックを作成していく使い方はできるのですが、インストゥルメントを追加すると、ラックにもその音源が追加される形になっており、逆にこのラックに音源を追加するとインストゥルメントトラックを作ることができる、シームレスな関係になっているのです。

このラック上で簡単な音色編集ができるだけでなく、インスペクターから複数のMIDI入力、オーディオ出力の設定が可能となっているのも使いやすいところ。マルチティンバーのVSTiなら、別々のMIDIトラックから信号を受けてのパラアウトも可能となっているんですね……。

とちょっとマニアックなところに入ってしまいましたが、いずれにせよCubase Elements 8はCubase 8シリーズとしてしっかりした機能を備えており、これからDTMをはじめたいという人にとっては十分すぎる機能を備えたDAWといえると思います。

もちろん、スペックで比較するとCubase Pro 8やCubase Artist 8より扱えるトラック数が少ないなど劣る面があるのは事実ですが、初心者が使う分には、おそらく気にならないレベルではないかと思います。

もちろんプロジェクトが大きくなってきて、「ここで扱えるプラグインの数が足りない」などということになったら、そのときに上位版にアップグレードすればいいのではないでしょうか?

国内で一番人気のDAW、Cubase 8シリーズが1万円で入手できるのですから、まずはここからはじめてみてはいかがですか?

【関連情報】
Cubase Elements 8製品情報
Steinberg Online Shop

【価格チェック】
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