Banner B0
640x200伸縮サイズ
Banner B1
640x200伸縮サイズ
Banner A0(728x90)伸縮サイズ

RolandがAIRAのPLUG-OUTで復刻させた名シンセ、PROMARSとは

Roland自らがTR-808TR-909を忠実に復刻させたTR-8TB-303を現代に蘇らせたTB-3など、1年前にセンセーショナルに登場したAIRA。そのキーボード型シンセサイザであるSYSTEM-1ではPLUG-OUTというユニークな仕組みを搭載するとともに、これまでSH-101、そしてSH-2というアナログシンセを復刻させてきました。

 

そして、そのPLUG-OUT製品の第3弾として、先日PROMARSがリリースされたのです。パっと見から、「あれ、これってJUPITERシリーズ?」なんて思う方も少なくないと思いますが、これはJUPITER-8が出る直前の1979年にリリースされたシンセサイザであり、JUPITERの系譜を引くアナログシンセサイザなんです。実際、そのサウンドはJUPITERシリーズに近いもので、SH-101やSH-2の図太いサウンドとはちょっと違うもの。そこでPROMARSとはどんなアナログシンセだったのか、どうしてPROMARSを復刻させたのかについて考えてみたいと思います。


AIRA SYSTEM-1のPLUG-OUTのシンセサイザとして、PROMARSがリリースされた

 


Banner B2
640x200(320x100)
伸縮サイズ
Banner B3
640x200(320x100)
伸縮サイズ
Banner A1(728x90)
伸縮サイズ

SYSTEM-1のPLUG-OUTについてはこれまでも「PLUG-OUT対応の新コンセプトシンセ、AIRA SYSTEM-1を触ってみた」「SH-101を再現するAIRA SYSTEM-1のPLUG-OUTを使ってみた!」、「往年の名機、武骨なアナログシンセSH-2をRoland自ら忠実に復刻」といった記事で紹介してきたので、ここでは詳細を割愛しますが、一言でいえば、「VSTやAUのプラグインシンセをSYSTEM-1に転送することで、PC無しのスタンドアロンの音源として使うことができる機能」です。


JUPITERっぽいデザインのPROMARSのPLUG-OUTシンセサイザ 

 

そのPLUG-OUTの第3弾としてPROMARSがリリースされたわけですが、みなさんは、PROMARSというシンセサイザをご存じでしたか?これは1978年に発売されたJUPITER-4のモノフォニック版として、その翌年に発売されたシンセであり、まさにJUPITER-4の姉妹機種。当時の価格としてはJUPITER-4が385,000円、PROMARSが198,000円と、およそ倍の価格差になっていましたが、「COMPUPHONIC SYNTHESIZER」というネーミングされたシンセはこの2機種だけなんですよね。


1979年に発売されたPROMARSの実機の写真

 

実際に機能的にもソックリであり、JUPITER-4の写真とPROMARSの写真のパラメータ部分を拡大して見比べてみると、右側からVCA、VCF、NOISE、VCO、LFOとほぼまったく同じであることが分かると思います。


1978年に発売された4音ポリフォニックのJUPITER-4

またこの2機種にはDELAY/BENDという、あまり見かけないセクションも搭載されています。これはLFOのスピードを調整するためのセクションであり、LFOスピードを超高速にすることで、リングモジュレータ的な効果を出したり、設定によってはノイズジェネレータ的にも使うことができるというもの。


JUPITER-4とも共通する、なかなかユニークなセクションであるDELAY/BEND

このLFOがVCO、VCFさらにはPWMにも掛けられるので、ほかのシンセにはないユニークな音作りが可能になっています。


世界中で大ヒットしたプロミュージシャン御用達のシンセサイザ、JUPITER-8はPROMARSの後、1981年の発売

では、JUPITER-4とPROMARSの違いはというと、4音ポリフォニックか、単音のモノフォニックかという違いのほかに、まずアルペジエイターの有無がありました。今でこそシーケンサは当たり前の時代ですが、当時としてはこれが非常に重要な機能だったんですね。アルペジエイターがあるかどうかで、値段も大きく違っていました。またJUPITERといえば、コーラスというイメージも強くありますが、JUPITER-4に搭載されていたアンサンブルコーラス・エフェクトがPROMARSにはありません。

JUPITER-6はJUPITER-8の低価格版として1983年に発売されている

 

一方で、JUPITER-4が1音につきVCOとサブ・オシレーターを1基ずつ搭載していたのに対し、PROMARSはそれぞれを2基ずつ搭載しています。2基のVCOのピッチをズラすデチューンが実現できるようになっており、ユニゾン、コーラス効果を生み出すことが可能になっていました。しかも、それぞれのVCOにサブ・オシレーターを1基ずつ割り当てることができ、まるで4VCO搭載のシンセサイザーを使用しているかのような深みのあるリッチなサウンドを実現できたいというアドバンテージもあったんですね。

 

そのPROMARSを、今回、Roland自慢のアナログ回路を再現する技術、ACBを用いてSYSTEM-1に復元しているんですね。ちょっと前置きが長くなってしまいましたが、そのPLUG-OUTしたPROMARSをちょっと弾いて音を出してみたので聴いてみてください。

どうですか?SH-101やSH-2などの「図太い音」とは明らかに違う、サウンドですよね。1番目、3番目に鳴らした音は、かなりきらびやかなサウンドだし、2番目の音は「キックドラム?」なんて感じに聴こえてしまうかもしれませんが、低音の出るスピーカーで聴くと、他ではなかなか出せないサウンドになっていることが分かります。


2015年4月時点でSYSTEM-1にバンドルされているPLUG-OUTのSH-101

SH-101、SH-2がリードやシンセベースなど得意とするのに対し、もっと幅広い楽器系で演奏するキーボーディスト向けのシンセサイザ。RolandによるとJUPITER-4やPROMARSは、当時、ストリングスやトランペットなどアコースティック楽器をシミュレーションしようとしていたシンセサイザであった、とのこと。まあ、音を聴くと、アコースティック楽器とはまったく違う音なんですけどね……、でもそれを目指したサウンドが、いい雰囲気を出しているんですよね。


SYSTEM-1がPCと接続された状態で、DAW側でPLUG-OUTボタンをクリックすると、 このようなメッセージが表示される

 

つまり、なぜSYSTEM-1の第3弾PLUG-OUTとして開発されたのがPROMARSだったのかという答えは、上記のとおり既にリリースされている2機種との大きなキャラクターの違いにあったということなんですね。

 PROMARS実機のブロックダイアグラム

 

また、ここまで見てきたPROMARSのスペックや、JUPITER-4との違いから想像できるとおり、この回路をシミュレーションするには、かなりの演算処理能力を必要となるのも事実です。


RolandサイトではPROMARSやJUPITER-4など当時のマニュアルもPDFで公開されている 

 

とはいえ、すでにお気づきのとおり、これはかなりJUPITER-4に近いPROMARSなんですよね。まずはアルペジエイターを備えており、しかもSYSTEM-1のSCATTER機能により、さらに過激なフレーズを作り出すことが可能になっています。


PCのDAW上で起動させれば、PROMARSを複数起動させたり、SH-101やSH-2との共存も可能 

 

また、リバーブやディレイを装備しているので、かなり音作りの幅も広がってきます。さらにオリジナルを超える機能として、VCOレンジを拡大し、LFOにランダム波形が追加されています。各VCOとNoiseのボリューム制御やPULSE幅の細かい設定もできるようになっているなど、ある種、JUPITER-4を超える機能まで装備しているわけなのです。

 

もちろん、DAW上でVSTインストゥルメントやAUのプラグインとして使うこともでき、この場合にはさまざまなエフェクトを自由に掛けることができるし、複数トラックで立ち上げれば、実質的にポリフォニックサウンドも実現できますよね。


SYSTEM-1のパラメータと同じ画面デザインのモード 

 

ちなみに、このプラグインの画面は、オリジナルのPROMARSとはレイアウトが違っています。パッ見て目立つアナログメーターはオリジナルにはないものですし、パラメータの配置も微妙に違っており、より扱いやすくなっているようです。また、SYSTEM-1で使いやすいようにしたパラメータ配置の画面モードがあるのはSH-101やSH-2と同じですね。


SH-101やSH-2など、ほかのPLUG-OUTとは排他的になっているので、PLUG-OUT転送すると上書きされる 

 

プラグインの場合、SH-101、SH-2と同時にPROMARSを起動して使うことができますが、SYSTEM-1へPLUG-OUTする場合は排他制御となるために、同時に使ったり、SYSTEM-1本体内で切り替えて使うということはできません。SH-101からPROMARSにしたり、PROMARSからSH-2にするためには、PCと接続した上でPLUG-OUT転送する必要があります。ここが多少面倒なところではありますが、こうすることで、まったく違うアナログシンセサイザに変身させることができ、それを持ち歩けるのですから、贅沢な不満というところでしょうか……。


プリセット=パッチの数はトータル150にもなる

このPROMARSにはさまざまな音色=パッチが用意されており、そのパッチの数はトータル150にもなります。またその中には1979年当時のオリジナル版に入っていたパッチが搭載されているのも魅力の一つだと思います。そんな音色を呼び出しながら使ってみるのも楽しそうですね。


1979年出荷のPROMARSと同じ音色プリセットも用意されている 

 

なお、PROMARS PLUG-OUT Software Synthsizerには体験版も用意されているので、SYSTEM-1を持っていない人でも、Windows上、Mac上でそのサウンドを試してみることが可能ですよ。しかもSYSTEM-1を持っている人の場合、これをPLUG-OUTして、SYSTEM-1で使うこともできるようになっているんです。「だったら、買う必要ないのでは!?」と思ったら、SYSTEM-1の電源を切ると、自動的にPLUG-OUTしたPROMARSが消える仕掛けになっていたんですね。もちろん、再度PCと接続してPLUG-OUT転送すれば使えるので、まずは体験版を使ってみて、気に入ったら購入するというのもよさそうです。

【関連情報】

SYSTEM-1製品情報
PROMARS PLUG-OUT製品情報
SH-101 PLUG-OUT製品情報
SH-2 PLUG-OUT製品情報
Roland Content Store

Promars Compuphonic (MRS-2) 取扱説明書
JUPITER-4 オーナーズ・マニュアル