SONARで始めるDTM① ~ 初めてのオーディオレコーディング

これからDTMにチャレンジしてみたい…という人も多いと思います。DTMステーションとしても、ぜひそうした初心者ユーザーを応援していきたいと考えていますが、最初はなかなかハードルが高く感じられるかもしれません。とくにDTMによって、どんなことが可能になるのか、何ができるかを理解するのは、難しい点もあるでしょう。

そこで、これから3回に渡ってDTMで何ができるのかを紹介する短期連載をしてみたいと思います。「DTMをはじめよう!」、「DTM初心者のためのオーディオインターフェイス選び 2015」といった記事も併せてお読みいただきたいのですが、そのDTMをする上で必須となる中枢的なソフトがDAW=Digital Audio Workstationというもの。SONAR、Cubase、Logic、Studio One、ProTools……とさまざまなものがあり、基本的にはどれでも同様なことができますが、ここでは米Cakewalk社のSONAR PLATINUMを例に、紹介していきます。

DAWの代表の一つ、CakewalkのSONARを用いてDTM入門を展開していきます


DTMという言葉から、みなさんはどんなイメージを持たれるでしょうか?「ああ、ピコピコサウンドでしょ」とか「打ち込みのことだよね」といったことを想像する人も多いとは思いますし、それも間違いではありません。でも、DTMの中心的ソフトであるDAWを使えば、ロックやポップスはもちろん、クラシックだって、ジャズだって制作していくことができるし、実際、いま発売されている音楽作品でDAWを使っていないものは、皆無といっていいでしょう。

というのも、DAWはレコーディングをするためのソフトであり、いまレコーディングするためにはDAWが必須だからなのです。確かに10~20年前まではテープレコーダーに録音するという手法がありましたが、これがDAWへと置き換わったんですよね。


PCにオーディオインターフェイス(写真はUS-2×2)を接続してレコーディングする

では、具体的にどんなことをしていくのでしょうか?たとえば、ドラム、ベース、ギター、キーボード、ボーカルというパート構成でロックの制作をしていくことを考えてみましょう。これをレコーディングするには、まずはPCにSONARをインストールすると同時に、オーディオインターフェイスを接続しておきます。そしてオーディオトラックを作成した上で、ここに各パートを順にレコーディングしていくのです。音はオーディオインターフェイス経由で直接つなげたり、マイクを介してレコーディングしていきます。


US-2×2とコンデンサマイク、モニターヘッドホン、そしてSONAR X3 LEをセットにしたTASCAM TRACKPACK 2×2

一言でマイクといっても、カラオケなどでも使われているダイナミックマイク、より高感度に音を捉えることができるコンデンサマイクの大きく2種類に分類され、しかも各メーカーからさまざまな製品が出ているので、どれを選べばいいかが難しいところですが、たとえば上記US-2×2とコンデンサマイク、モニターヘッドホン、それにSONAR X3 LEというDAWを1パッケージに収めたTRACKPACK 2×2なんていう製品もあるので、初めてDTMをするというユーザーにはいいかもしれませんね。


オーディオトラックを1つ作成し、ここにドラムをレコーディングしていく

さて、最初にドラムパートをレコーディングしていくとしましょう。この際、SONARが出す「キッコッコッコッ」というクリック音に合わせて、「ドッタン、ドドタン…」というようにドラムを叩いて録音していきます。録音後、再生すれば、まさに今叩いた通りに録音されているのが聴こえるわけです。続いて2つ目のオーディオトラックを作成し、この2トラック目に今度はベースをレコーディングしていきます。この際、クリック音が鳴らせるのと同時に、さっき録音したドラムを再生しながら、それに合わせてベースを弾いていくことができるんですね。


2つ目のトラックにベースパートをレコーディング

これによってドラムとベースのパートができました。まさに合奏をしたわけですが、マルチプレイヤーの方であれば一人で順番にプレイして重ね合わせることも可能だし、バンドメンバーに順に弾いてもらってもいいですよね。同様にして新しいトラックを作成して、ギター、キーボード、ボーカルと重ねていくことで、1つの曲が完成するわけです。


新しいトラックを作り、各パートを順番にレコーディングしていくことで多重録音ができる

この際、機材一式をリハーサルスタジオに持ち込んで、ドラムを録音し、自宅に戻ってベースやギターを重ねてみるといったこともできるのが楽しいところです。しかもこのレコーディング、かなり高品位な音でレコーディングが可能であり、1~2万円のオーディオインターフェイスを使っていても、業務用の機材に引けを取りません。

このように録音して、音を重ねていくということだけを考えれば、ロックだろうとジャズだろうと、クラシックだろうと曲のジャンルは何だってOKなのです。


ミスした部分のみを指定して、再録音することも簡単 

またDAWでレコーディングする大きなメリットは、修正が可能である、という点です。1曲を通して完璧に演奏できればいいですが、やはり何か所かミスってしまうこともあるでしょう。そんなときは、パンチイン・パンチアウトという機能を使って、該当部分だけを再録音して修正するなんてこともできるのです。もちろん、これは各トラック個別でできるので、ギターだけを何度も録り直すといったことができますよ。

さらに、SONAR PLATINUMの場合、メロディー修正ができるMelodyneという機能が搭載されているのも大きなポイントです。たとえばボーカルの音程が微妙に外れている場合、それを補正して正しい音程にすることや、微妙に外したタイミングを正しい位置に直すといったこともできてしまうんですよ。

SONAR PLATINUMに用意されているMelodyneという機能でボーカルをエディットすることも可能

また、いまの例ではSONARに複数のトラックを順番にレコーディングしていく例で紹介しましたが、せっかくリハスタにバンドメンバーで入っているなら、ドラム、ベース、ギターと同時に演奏して録ってみたいところですよね。それぞれのパートごとにマイクを立てれば、同時に複数トラックをレコーディングすることだって簡単にできてしまいます。もっとも、そのためには複数の入力端子を装備したオーディオインターフェイスが必要とはなりますが、そうすることで、バンドならではのグルーヴが出せるというメリットもあると思います。

と、ここまで読んで、「DAWって楽器が何でも演奏できないと、使えないのか……」とガッカリしてしまった人もいるかもしれません。また「ギターとボーカル、頑張ればベースは弾けるけど、さすがにドラムは……」なんて人もいますよね。でも、大丈夫。楽器が弾けなくたって使えてしまうのが、DAWのすごいところなんです。


画面右側にあるエクスプローラで気に入ったループ素材を見つけ出し、ドラッグ&ドロップでオーディオトラックに張り付ける

楽器が弾けなくてもトラックを作っていく方法はいくつかあるのですが、手っ取り早いのがループ素材を利用するという手法です。ループ素材というのは、実際にプロが演奏した1小節分とか2小節分のデータで、SONAR PLATINUMには膨大な数のループ素材が収録されています。ドラムフレーズはもちろん、ベースフレーズ、ギターフレーズ、ピアノフレーズ……と何でもあり。数多くあるフレーズから検索機能を使って絞り込んでいき、その中から気に入ったドラムパターンを見つけたとしましょう。これをドラッグ&ドロップで、ドラム用のオーディオトラックへ持っていけば、もうそれだけでドラムパートができてしまうんですよ。

張り付けたループ素材をトラック内でドラッグして引き延ばすことができる

もちろん、いまドラッグ&ドロップしたのはたった1小節とか2小節分です。でもこれをマウスで右へドラッグしていくと、伸ばしていくことができるんです。何回でも繰り返すことができ、キレイにつながるフレーズだから「ループ素材」というわけで、驚くほど簡単。しかも全体のテンポを変更すれば、ループ素材もそれに合わせて、ゆっくりになったり、速くなったりするのもスゴイところです。

もっとも「1曲を通して同じループを繰り返すのではつまらない」という人もいるはず。その場合は、適当に違うループ素材へ差し替えていけばいいのです。その際、複数のドラムトラックを作ってそこに別々のループ素材を並べて行ってもいいし、一つのトラックに複数のループ素材を並べて行ってもOKですよ。


極端な手法としては、ループ素材を並べていくだけでも曲を作っていくことができる

このようにして、自分で弾けないパートはループ素材の力を頼っていけば簡単に曲を構成していくことが可能です。極端なことを言えば、ドラムパート、ベースパート、ギターパート、キーボードパートと、全部ループ素材を引っ張ってきて並べていったって、それなりの曲ができてしまうのもSONARの面白い使い方です。こうなると、演奏というよりも、単にパズルをしているような感覚ですが、こんなことができるのが現在のDTMなんですよね。

次回は、楽器が弾けない人が利用できるもう一つの手段。打ち込みについて紹介していきたいと思います。

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SONARで始めるDTM② ~ 初めての打ち込み

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