SONARで始めるDTMの最終回はミキサーを使った音のまとめ方について紹介
ここではドラム(MIDI)、ベース(MIDI)、ギター(オーディオ)、シンセサイザキーボード(MIDI)、ボーカル(オーディオ)の計5トラックで作成した楽曲をミックスするということを前提にその流れを考えてみたいと思います。
初めてミックス作業をしていると、目立たない音をどんどん上げてく結果、音量オーバーで音が割れてしまう……ということになりがちなので、どちらかというと、「目立たせたい音を残して、ほかの音量を下げる」という方向で作業していくのがお勧め。いずれにせよ、各トラックの音は画面右側にあるMasterトラックへとまとめられるので、最終段であるこのMasterトラックの状況も要チェックです。
とくに気にすべき点は、Masterトラックのレベルメーターが赤く点灯していないか、という点です。赤く点灯してしまうということは、音量オーバーで音が割れてしまっていることを意味しているので、明らかな失敗。そうならないように、各トラックを絞って調整する必要があります。
では、このような設定で完了かというと、そうではないんですよね。ここまでの作業はあくまでも大枠の調整。このままでは1曲を通して各トラックの音量は固定された状態です。たとえばボーカルを考えたとき、「Aメロ、Bメロではやや小さめに、サビでは迫力を出すために大きめに」というように、曲の進行に伴って音量を調整したいという場合もあるでしょう。そんな調整をするための機能をオートメーションと呼んでいます。
レコーディングエンジニアやPAのエンジニアが大きなミキシングコンソールのレベル調整しているのをテレビなどで見たことがありませんか?そうした作業を自動で行うのでオートメーションと呼んでいるんですね。DAWではそうしたオートメーションが簡単に行えます。
SONARを含め、多くのDAWのミキサーには各トラックごとにRとWというボタンがあります。ReadとWriteの略なのですが、このWをオンにした状態で再生を行い、曲の進行にしたがって、フェーダーを動かすと、それが記録されていくのです。その後をWがオフ、Rがオンの状態で再生すると、いま記録したものが再現されるんですね。
マウスでフェーダーを操作する場合、一度に1つのトラックしか操作できないので、順番に記録していくしかないのですが、SONARはタッチパネルのディスプレイに対応しているので、画面のミキサーに手で触れる形でフェーダーを操作すれば、同時に複数トラックを記録していくこともできますよ。これによってプロのレコーディングエンジニアとほぼ同じ環境が得られるわけです。
もちろん、このようにして記録したオートメーションも、後でいろいろと手直ししたくなるはず。そんな場合は、エディターを使って修正していくことが可能で、たとえば、曲の最後のフェードアウトでは、手によるガタガタな動きの記録を再現するのではなく、エディターで描いた直線のフェードアウトにすることで、キレイに音が消えていく様子を演出することもできます。こうしたオートメーションはフェーダーの動きだけでなくPanの動きなども記録することができます。
アンプシミュレータやペダルエフェクターなどを組み合わせたギターに特化したエフェクト、TH2 Producer
すると、ギターの音がいきなり、すごい音へ変身すると思います。これはちょっとズルいくらいのギター専用エフェクトであり、TH2 Producerの中に数多くのエフェクトが詰まったセット。プリセットを変えていくだけで、激しく歪んだサウンドから、フランジャーのかかったうねりのあるサウンドなど、いろいろと変えることができます。もちろん、TH2 Producerの代わりにコーラスを入れたり、イコライザを入れるなどすれば、まったく違うサウンドになるし、複数を並べていくことも可能です。
次にちょっと複雑になりますが、センド/リターンによるエフェクトの使い方について紹介しましょう。これは前述のリバーブを使う場合によく用いる方法なのですが、ボーカルにリバーブ効果を与えるだけでなく、バンド全員がホールで演奏していることを想定した音作りをするとしたら、全員が同じリバーブを利用することで音がまとまってきます。そこで、予めリバーブ専用のバスというトラックを作成しておき、ここに各トラックから信号を送り、リバーブが掛かった結果をマスタートラックへとリターンするのです。
そして、バスへ送るための信号は各トラックごとにSENDというところから送ってやり、トラックごとにセンド量を決めていきます。この際、センド量をトラックごとに調整することで、ボーカルのリバーブは深め、キーボードは浅め、パンチ感を出すためにベースはあえてセンドしない……などと設定していくことが可能です。
そして3つ目のマスター・エフェクトはすべての音が出ていくマスタートラックにインサーションの形でエフェクトを入れるという手法です。使い方自体は前述のインサーション・エフェクトと同じなのですが、ここは総仕上げのためのエフェクトなので、主にイコライザとコンプレッサを用います。総仕上げなので、あまり派手な音作りはせずに、音全体を聴きながら、微妙な音の調整をするといった使い方ですね。
イコライザでは「低域が強すぎるから若干抑える」、「高域が物足りないので、少し持ち上げる」といった感じで音を聴きながら少しずつ調整します。一方のコンプレッサは音圧を調整するもので、音質自体は何も変化しないので、初心者にとっては使い方が難しいものなのですが、「同じボリュームで出力していても、大きな音に感じられる音に調整する」といったことが可能になるのです。
以上3回に渡ってDTM入門記事を書いてみましたが、いかがだったでしょうか?もちろん、これを読むだけで、DTMが分かるわけではありませんが、DTMの勘所となる主要ネタを織り込んでみたので、きっと参考になるのでは…と思っています。
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