ネットセッションツール、NETDUETTOが大きく進化!NETDUETTOβ v2.0の実力

DTMステーションでもこれまで何度か取り上げてきたヤマハ開発のネットセッションツール、NETDUETTO(ネットデュエット)。そのNETDUETTOが大きく進化し、NETDUETTOβ v2.0として本日リリースされました。個人的には「NETDUETTOは、この10年の中でもっとも偉大な発明だ!」と思っているシステムであり、実際に使ったことのある人なら、きっとそう思うはずだ、と確信しているシステムです。

 

そう、これを使うと遠くにいる人と、まるで同じスタジオにいるような感じでリアルタイムにセッションできてしまうんですよ!バンド活動なんて社会人になったら、そうそうできないけど、NETDUETTOなら自宅にいながら友達と、また知らない人とでもバンドが組めちゃうんだから、夢のシステムだと思いませんか?そのNETDUETTO、これまでも十分満足はしていたけれど、「やっぱりあったらいいのに…」と思う機能がいくつかありました。それがこのたび、一気に追加され、大きく生まれ変わったのです。とはいえNETDUETTOについてまったく知らない人も少なくないと思うので、改めてこれが、どんなシステムなのか紹介してみたいと思います。


大きく機能アップしたフリーで使えるネットセッションツール、NETDUETTOβ v2.0


NETDUETTOはインターネット回線で接続したPC同士をオーディオ的にも接続し、リアルタイム通話を可能にするでセッションを実現できるようにする、というシステムです。


NETDUETTOはインターネットを介して低レイテンシー、高音質でオーディオ接続するシステム

そんなの電話じゃダメなの?SkypeやLINE通話でいいじゃん」なんて思う方はぜひ一度試してみてください。
・音の品質
・音のレイテンシー
の2点で、難しいのです。話をするだけなら、音の品質はそれほど気になりませんが、音楽の演奏を双方向通信するとなると、品質は重要な問題。電話だと超Lo-Fiを掛けたようになりますからね。光回線でSkype接続すると、そこそこの音質にはなりますが、それでも音楽用となるとなかなか厳しいところ。

 

音質よりもさらに切実な問題になるのがレイテンシー。電話だと500msec以上の音の遅れがあるため、テンポ的に合わせるのが不可能なんです。テンポ120の曲で500msec=0.5秒となると1拍分になりますからね。SkypeやLINEでも100msec以上の遅れがあるので、演奏は不可能なんです。


先日、横浜・浜松間での接続テストをしてみたところ、25~27msecのレイテンシーと表示された

 

それを20~30msecに縮めてくれるのがNETDUETTOなんです。通信回線が速く、距離的にも近いと20msec以下にすることも可能になるなど、既存の通話の世界とは明らかに異なります。しかも音質的には16bit/44.1kHzの非圧縮で伝送できますから、まさにCDクォリティーなんです。

20msecは大きいのでは?」「今の時代24bit/96kHzはなくちゃ」という方もいるとは思います。実際それが実現できればいいのですが、現在のインターネット回線やPCの処理能力の面から、ここがギリギリというところ。あまりスペックから見ず、ぜひ一度試してみてください。ヘッドホンを付けた瞬間「ここはスタジオの中なの!?」と驚いてしまう、不思議な世界を体験できるはずです。


NETDUETTOを使うと、まるでリハスタに入ったような感覚に!(写真はイメージです、この写真に関連する記事はこちら) 

しかも、そのNETDUETTOは過去5年間、無料で提供されており、現在も無料だというのも重要かつ最大のポイント。だからNETUDETTOβという名称になっているんですね。そして今回最新バージョンもNETDUETTOβ v2.0であり、今のところ有料化される予定もなく、WindowsユーザーもMacユーザーも無料で楽しめるんですよ。


従来は4人までしかセッションできなかったのが、NETDUETTOβ v2.0では5人まで可能に

というわけで、ここから今回のバージョンアップのポイントについてみていきましょう。従来のNETDUETTOでは最大4人を接続してのセッションとなっていました。バンド編成を考えたとき「せめてもう1人……」と思っていたところ、ついに5人接続が可能になったのです。


新たに搭載されたルーム連結機能により、最大10人でのセッションが可能となった

さらに今回は「ルーム連結」という機能が搭載されたのが画期的なポイント。このNETDUETTOで接続されている1つのグループをルームと呼んでいるのですが、今回のNETDUETTOβ v2.0では、2つのルームを連結することによって、最大10人のメンバーでのセッションができるようになったというわけなんです。


ルーム連結されると、一番下のラインに接続先ルームの状況が表示される

 

実はこれまでも1人のユーザーが2台のPCでそれぞれNETUDETTOを起動した上で、物理的に2つのルームを接続して……なんてことをしていたケースもありましたが、それを公式にサポートし、もっと手軽に接続できるようになった、というわけなのです。もっとも10人が自由にやりとりできるようになるのではなく、あくまでも1ルームは5人までで、その2つがオーディオ的に連結されるだけなので、「接続された先のルームのベースの音だけを大きくしない」といったことはできないものの10人でのセッションが可能というのは大きな飛躍ですよね。


設定画面を見るとMIDIコントロール設定という機能が追加されているのがわかる

 

そのほかの新機能としてMIDIコントロール機能というものが搭載されるようです。これは、NETDUETTOβ上の各メンバーのボリュームや、パンポットなどをMIDI経由でコントロールすることができる機能です。たとえばUSB接続のMIDIコントローラーなどを使用して、手元で音量バランスを簡単に調整する、などの用途が考えられます。

また3ch以上の入力ポートを持ったオーディオインターフェイスがあれば、「拡張入力ch」というものも使えるようになっています。これはステレオのキーボードを接続しつつ、さらにボーカルもといった3ch入力体制を実現させるものです。もっとも3chを別々に送れるわけではなく、内部的にはステレオ2chにミックスした上で送信する形になっているんですね。


拡張入力chを設定することで、最大3chの入力が可能になる 

 

ところで「家にいながらにしてバンドが組めるのはいいけど、今バンド仲間なんていないし……」という人も多いですよね。そうしたコミュニティーづくりもNETDUETTOが手助けしてくれるんです。「ルーム一覧」というボタンを押すと、現在NETDUETTOが使われているルームの一覧が表示されるので、その中から、自分に合いそうなルームを選択し、そこに参加できるようになっているんですね。

 

ルーム一覧は、いわば「バンドのメンバー募集の張り紙」みたいなもの。知らない人たちの中に突然参加するのはなかなか勇気がいるところではありますが、アニソンを演奏しているルーム、好きなアーティストの演奏をしているルームを探して参加してみるというのも楽しいと思いますよ。もっとも、このルーム一覧に表示されるのは公開設定されているルームだけであり、完全に仲間内だけセッションするのであれば、非公開にすることもできますよ。


ルーム説明を記述できたり、タグを設定することも可能になった

また、従来ルーム名しか表示されませんでしたが、NETDUETTOβ v2.0からは「ルーム説明文」を表示でき、メンバー募集などがよりしやすくなったほか、タグ機能というものも搭載されました。あらかじめ「アニソン」、「J-POP」、「ボカロ」、「ジャズ」、「おしゃべり」、「初心者OK」……といったタグが用意されているので、これらを使うことができるほか、独自タグもつけることができるため、仲間探しには便利そうですよ。

 

さらにTwitter連携という機能もあるので、ルームを作成したら、その旨を自動ツイートしたり、NETDUETTO上でのニックネームをTwitterの名前にしたり、NETDUETTOβのアイコンをデフォルトのものではなく、Twitterのアイコンを流用するなんてこともできるので、これも普段からTwitterを使っている人にとっては便利に活用できそうですね。


Twitterとの連携機能も用意されている

とはいえ、「実際にルームに入ってみたら、みんな上手すぎてビビってしまった」とか反対に「みんなあまりにも下手すぎて、これじゃあセッションなんてできないよ」など、レベル差が生じることもあるだろし「確かにアニソンではあるけど、こっち系のは苦手なんだよな…」なんてこともありそうです。だからといって一旦ルームに参加して、すぐに退出というのも申し訳ないところですよね。

 

そんなトラブルをなくすため、今回のNETDUETTOβ v2.0では「仮入室機能」というか「ちょっと聴き機能」が搭載されたのも大きな進化ポイントです。ルーム一覧ページから、メンバーの空きがあれば、一定の秒数の間だけ、聴くだけの匿名メンバーとして参加できる機能が搭載されたので、どんな演奏をしているのかを少し聴いてみて、大丈夫そうなら正式に参加する、ということができるわけですね。かなり面白そうな世界だと思いませんか?

 

なお、これまでのNETDUETTOβ v1.xと新しいNETDUETTOβ v2.0では、システムが少し異なることもあり、相互接続はできないようです。またそのため、当面はv1.xのルームとv2.0のルームは別々のものとして扱われ、ルーム一覧も別となるようですよ。将来的にはすべてNETDUETTOβ v2.xへと集約されるのだろうと思いますが、無料ですし、まずは一度試してみてはいかがですか?
(協力:ヤマハ株式会社)

【関連情報】
NETDUETTOラボ
NETDUETTOβ v2.0.0ダウンロードページ

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