といっても実はとってもシンプルなシステム。一言でいえば、まさに“超高音質電話”であり、「NY1」という専用の電話機を使い、相手の電話番号に電話をして繋いだらおしまい。そこは従来の電話とはまったく違う、新たな異次元空間なのです。相手は見えないのに、同じスタジオの中にいる感じで音が聴こえ、いっしょに演奏ができるこの感覚は体験してみないと、なかなか分からないかもしれません。これをどうしても使いたかったので、私のウチの光回線を「auひかり」から「フレッツ光ネクスト」に乗り換え、導入してみました。
お弁当箱サイズのNY1のトップパネルにはボタンやツマミが並んでいる
入力は標準ジャックでもXLRのキャノンジャックでも接続可能なコンボジャックがINPUT 1、INPUT 2と2つ、出力はRCAピンジャックによるLとR、それにステレオミニジャックでのヘッドホンアウトとなっており、2IN/2OUTという構成です。
このうちINPUT 1はボタン操作でHi-Z入力、つまりギターとの直結が可能になっています。またINPUT 1、INPUT 2ともにPHANTOMスイッチをオンにすることでファンタム電源を供給できるからコンデンサマイクとの接続も可能となっています。また、それぞれの入力レベルもトップパネルにあるツマミで調整可能です。
前述のとおり、これを使うには、NTTの光回線である、フレッツ光ネクストが必要となるので、事前に工事をしてもらったわけですが、これ自体はいたって普通の光回線。私はプロバイダ経由で申し込みましたが、量販店の店頭で申し込んでも、ネット経由で申し込んでも同じ。ひかりDUETTOを使うための申請なども一切不要です。
普通にインターネットが使える環境においてNY1にLANケーブルを接続すれば、これでセッティング完了。この状態で、NY1で相手先の電話番号を押し通話ボタンを押したら、呼び出し音が鳴ります。そして相手が取れば、ついに異次元空間へと繋がるわけですね。
1回目は大阪と、2回目は東京と接続してみましたが、本当に目の前にいるような感覚です。ノイズもまったくなく、非常にクリアな音。とりあえず試してみたのはちょっとした実験ということで、私はドラムを叩き、東京側ではギターを弾いてもらってのリズムセクションでのセッションでしたが、気持ちいいですね。
マイクを使って歌うこともできるし、もちろんスタジオ内にいる感じで話をすることもできますが、本当にリアルで遠くにいるとは信じられないほどですよ。
ここではINPUT 1にRolandのV-Drumsを接続し、INPUT 2にはコンデンサマイクを接続。音はヘッドホンでモニターしました。相手側もマイクとベースをそれぞれ繋いでヘッドホンで聴くという形状だったので、コンピュータも使わないし、ミキサーも使っていないという極めてシンプルな構成です。ドラム演奏時、私のほうのマイクが、ドラムパットを叩くコツコツという音を思い切り拾ってしまうので、演奏中はマイクレベルを絞りましたが、それだけリアルに音が伝わるわけですね。
実際に使っていて、音の遅れはまったく気になりませんでしたが、NTTによると東京・大阪間だと18msec程度とのことです。このレイテンシーにおいて16bit/44.1kHzでオーディオ伝送ができるというシステムなので、セッションでもレコーディングでも、さまざまな用途で使えますよね。また、普通の電話とどのくらい音質が違うのかを試すために同じ音を電話、ひかりDUETTOのそれぞれで送って比較してみたので、以下のビデオを見てみてください。
このように、ひかりDUETTOは光回線を利用し、1対1で接続することを基本とするシステムなのですが、IPv6を用いた「フレッツ・v6オプションモード」、インターネットを介した「IPv4インターネットモード」というものも備えており、これらを使うことで最大4か所を接続することが可能になります。
【関連情報】
ひかりDUETTO(NTT東日本)
ひかりDUETTO(NTT西日本)
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