西野カナ、乃木坂46、Little Glee Monster、AKB48、NMB48……今国内最高のヒット作曲家、カルロスKさんの神ワザ音作りの秘密

2015年のオリコン年間ランキング作曲家部門1位を記録した、とにかく今売れっ子のCarlos K.(カルロス・ケー)さん。カルロスさんの名前は知らなくても、カルロスさんのWebサイトWikipediaなどを見れば、西野カナ、乃木坂46、Little Glee Monster、AKB48、NMB48……と「わぁ、あの曲もこの曲もカルロスさんだったのか!」と思うはずです。

そのカルロスさんと初めてお会いしたのは、5月末の「Creators Camp in 真鶴」というイベントで。そのとき「ぜひ、今度カルロスさんの自宅スタジオを見させてください!」ってお願いしたら、その場でOKをいただいたので、先日遊びに行ってきました。実はカルロスさんの家のすぐ近所という、Ryosuke “Dr.R”Sakaiさんのところにも同じ日に行ってきたので、そちらも近いうちに記事にする予定ですが、まずはカルロスさんに、どうすれば大ヒットメーカーになれるのか、その生い立ちから、現在の制作環境、そしてカルロスさん特有のサウンド作りまで、いろいろと伺ってみたので紹介してみましょう。


2015年オリコン年間ランキング作曲家部門1位を記録したヒットメーカー、カルロスKさん



--カルロスさんの書く曲、書く曲、どれも大ヒットですごい勢いですよね。カルロスさんが作曲を始めたのはいつ頃だったんですか?
カルロス:両親は日本人なんですが、自分はブラジル生まれで5歳で日本に戻ってきて山梨の山の上にある親父の手作りの家で育ったんです。家にドラムもピアノ、ギターなども含め、一通りの楽器があったので、子供のころから普通に弾いていたこともあって、小学校の高学年から作曲はやっていましたね。最初は教師でもある母親からクラシックを習っていましたが、譜面を見ながらつっかえると、ひどく怒られたんですよ。だからレッスン前に耳コピして、譜面を見てるふりをして弾いていたりしました(笑)。そのうち、想像力も広がって、人の曲を弾くよりも自分で作るほうが楽しくなり、曲を作るようになったんですよね。
 
--小学校から、そんなに本格的な作曲をしていたんですか!

カルロス:中学時代は曲を作ってはエイベックスなどに送っていたんですが、うんともすんとも……。家にあったKORG Tritonで打ち込んでMDのMTRでドラムやピアノも重ねていって、当時は最高なものができたと思っていたんですけど、今考えれば未熟でしたね。ライブ活動なんかも中学時代にはしていましたよ。ただ、高校では一旦音楽から遠ざかっちゃって、大学に入ってちょっとだけ軽音サークルに入って活動していましたが、進路を迷うようになり、1年休学して自分のルーツでもあるブラジルに行ったんですよ。


作曲は小学校のころからしていたと話すカルロスさん 

--いきなり、単身で乗り込んだんですか?
カルロス:まあ、知り合いとか友達もいるんで、自分探しの旅っていうやつですよ。特に目的があったわけじゃないから、友達の家でグータラしていました。まあ、お金があったわけじゃないので、日本人が経営しているマテ茶工場で働かせてもらい、ブラジル人と一緒に楽しく共同生活をしていたんです。ところが、ある日、その日本人オーナーが病気になって入院。ボク一人工場に取り残されて、ブラジル人との共同生活が始まったんですよ!オーナーには食料とかも残してもらったんですが、それから夜な夜な豪華パーティー。1週間で肉はなくなり、それからは畑の野菜しか食べるものがなくなっちゃったんです。それでも肉が食べたいと、みんなでそこらを飛んでる鳩を捕まえたり、庭にいるアルマジロを追いかけまわしたり……(苦笑)。考えられないような生活を経験しました。それから日本に帰国したら、「何でこんなにモノが溢れてるんだろう?」「こんなに贅沢な社会環境にいながら、自分の夢に挑戦しない意味が分からない!」と思うようになり、アルバイトをしながら、また音楽を始めたんですよね。
 
--話が面白すぎます。そのブラジル生活だけで、1冊の本ができそうです!日本に戻ってきても、まだ大学生ですよね?
カルロス:はい、大学4年生として復学しました。親父からは「モノを作るヤツはMacだ!」なんて言われたんで、そこからGarageBandを使ってDTMの世界に。まあ、就活の時期でもあったから、ガレバンでいろいろ曲を作ってはゲーム会社に送ってたんですよ。ただ、筆記試験にいくと、どこもダメ。あるとき、筆記試験を受けたあと、そこにいた何人かといっしょにカフェで話をしたんですよね。自分は自身満々で曲作ってたんですけど、ガレバンでやってるって話をしたら「え!?GarageBand!?」って言われちゃった。その人たちに「Logicって知ってる?」って言われて、はじめて「へー、そんなのあるんだ!」って、ね。それでLogicに移行して、今に至ってるんですよ。自分のDTMは、実質的にそこがスタートですね。「こんなに機能増えるんだ!」って感激しましたよ。

--そのLogicを使って就職活動?
カロロス:就職活動のほうは、筆記で引っかかって、なかなかうまくいかなかったんですが、アルバイト先の同僚がR&Bシンガーで、自分の話をしたら「だったら、トラック作ってみない?」なんて言われて試してみたり、「彼氏がラッパーだから3万円でトラック作ってよ」なんて別の知人から言われてやってみたり、Logicを使ってトラックを作りはじめたんですよ。そのうち、噂が広がる形で、買ってくれる人がどんどん増えていって、そんなオーダーが全国に広がって、大学時代にご飯が食べられるようになっていったんです。ジャンル的にはHIPHOPやR&Bが中心でしたが、どんどん広まっていき、次第に名前のある人からの依頼も入ってくるようになったんです。

DAWは大学4年からLogicを使いだし、今もLogicで曲を作っている
--やっぱり、根本的なセンスとか実力があるから、どんどん広まっていったわけですよね。

カルロス:結局、就職活動はそのままになって、どんどん仕事が増えていきました。あくまでもフリーで所属はしていなかったけど、知り合いの作家事務所を経由して、22、23のときに、大きいのがポンポンと2曲決まったんです。具体的には、ほしのあきさんが出ていた花王ヘルシアスパークリングのCMや Kyleeさんの機動戦士ガンダム・ユニコーンのエンディングテーマです。そこからメジャーのものがいろいろ決まるようになっていんたです。そそれ以来、ずっと続いて今に至っています。


モニタースピーカーに使っているのはADAM S2X 

--そこからは、もうヒット曲のオンパレードですもんね。ところで先日の真鶴でのCreator’s CampではRyosuke “Dr.R”Sakaiさん、S-KEY-Aと3人でCo-Writing(コーライティング:共同制作)していましたよね。そうしたCo-Writingはよくやっているんですか?
カルロス:コーライト自体は大学生でトラックを作っているころから、普通にしてましたよ。自分がトラックを作って、別の人がメロを載せてくるとか……。ただ、結果的には自分ですべて作ったほうが、決まったケースが多かったですが、コーライトは、ごく普通のこととして、取り組んできました。例えば、板野友美さんのソローデビュー曲は、僕がトラック提供していたR&BシンガーのKeyzさんと一緒に作ってますよ。中には海外とのコーライトもありましたね。何人かとやりましたが、向こうの人は、とにかく速い。メロとトラックを分担して歌詞も作って1日で終わらせちゃう。いろいろと勉強になりますね。


至ってシンプルなカルロスさんの自宅スタジオ。ここで数々のヒット曲が生まれている


--ところで作曲というと、メロだけ作って、あとはアレンジャーにお任せ、っていう人も多いと聞きますが、カルロスさんの場合ってどうしているんですか?
カルロス:ボクの場合、最初から最後まで、全部やっちゃいますね。ウチのMac上のLogicで作って、それがそのままリリースされちゃってます。もちろん、本番のボーカル録りはスタジオでやるのですが、仮歌はここで録って、それをアーティストに聴いてもらって録る。自分が歌のディレクションをしたり、編集をするケースも多いですね。

--スタジオでもLogicを使うんですか?
カルロス:スタジオではやっぱりProToolsです。そのために、スタジオでデータのコンバートをするのも面倒なので、スタジオとのやり取りを簡易にするために、最近ウチでもProToolsを入れたところです。

カルロスさん愛用のオーディオインターフェイス、Mobile I/O ULN-2 Expanded
--カルロスさんの自宅スタジオ、結構簡素な感じに見えますが、実際どんなシステムで、これらのヒット曲を作っているのか教えてもらえますか?

カルロス:見ての通り、いたってシンプルですよ。MacはデスクトップのiMacと持ち歩き可能なMacBook Proがありますが、まったく同じ環境にしているんですよ。オーディオインターフェイスには、Mac専用の機材でMetric Haloの「Mobile I/O ULN-2 Expanded」というのを使っています。このオーディオインターフェイスにはDSPによるコンプが内蔵されているので、歌を録るときもこれで録っちゃうこともあるし、ギターはエレアコでもエレキでもこれで録っちゃいますね。まあ、自分でギターを弾くわけではないので、ギタリストに来てもらったときはこれで録るし、そうじゃないときはトラックを送ってもらって読み込む形です。


KOMPLETEの音源を中心に、Nexus2も定番シンセ音源として活用している 

--音源としては、どんなものを使いますか?
カルロス:NIのKOMPLETEが中心になってますね。KONTACTSession Strings Proなんかは定番だし、シンバル系はStudio Drummer。またDamageなんかも使うし、ピアノはNewYork Grandが多いけど、XLN AudioAddictive Keysなんかも使います。あとはreFXNexus 2とかSpectrasonicsTrilianとか……。

ベース音源にはTrilianをよく使うという
--比較的、オーソドックスなものですよね。ただカルロスさんの曲って、すごくインパクトのある、そして気持ちいいサウンドなんですよね……。
カルロス:曲を作る上では、一番最初の音選びがすごく大切だと思ってるんです。それぞれの音色を聴きながら、「もともと、この音はどういう思いで作ったんだろう」と思いを巡らせます。また、音色を選ぶ上で、各音のバランスが、ものすごく大事。「ベースとキックのどっちがしたにいるのか」「この音を作ったら、この辺にハマる音色が来なくちゃいけない」……。もちろん、それを感覚的に捉えるんだけど、上から下まで、それぞれの音がブツからないように、うまくバランスが取れるように配置する。また、それぞれの音量調整もなかなか重要で、それができないと壁にぶつかります。せっかく下が出てるのに、それをEQで切っちゃうと、ダメなものになっちゃうとか、この辺にすごく気を使っていますね。また、上の音はディレイで飛ばすとキレイになるとか、周波数帯域ごとのノウハウが溜まってくると、曲作りの効率も劇的に向上しますね。ただ、最初の音色選びで、ほぼ固めちゃうから、基本的にそれを使い、何でもエフェクトをかけるというようなことはしていません。

EQもLogic内蔵のChannelEQで設定していく
といって、カルロスさんが見せてくれたのは、実際の曲作り。まずは音の素材集からキック音を色々と試聴するなか、1つを決めてそれをトラックに「ドン」と貼って、並べていく。また、それに合うスネアを見つけ出し、別トラックに並べていき、これで簡単なリズムができてしまいます。つまりBFDとかAddictive Drumsなどのようなソフト音源を使うのではなく、気に入った素材を並べて直接作っちゃう。場合によっては、そこにループ素材を混ぜることもあるけれど、音色を聴いてマッチしそうなものを選びつつも、より合うようにEQでカットしていきます。


素材集なども活用しながら、本当に迷いなく、サクサクと作業していくカルロスさんの制作術

そこに、合うエレピ音色を選んで、MIDIキーボードを使って弾いき、Trilianでベースを入れると、あれ、もうそうれだけでカルロスさん特有のサウンド、まさにこのまま、ヒットチャートに流れていても良さそうなサウンドに聴こえるんですよね。なんか、魔法を見ているような気がします。


ギターの仮入力にはRealGuitarがかなり重宝するという
カルロス:結構、RealGuitarなんかも使うんですよ。最終的にはホンモノのギターに差し替えるんですけど、かなりいい感じに作れますよ。こうやってトラックを重ねていって完成。最初の音選びを真剣に、丁寧に行えば、あとの調整はすごく簡単になり、結果として劇的に効率が上がるんですよ

と、笑いながら語ってくれましたが、その音色選びに経験と才能が発揮されているんでしょうか……、誰でも簡単に真似できるものではないけれど、決して特殊なことをしていないというか、ありふれたものを組み合わせるだけで、ものすごくグッとくるサウンドをその場で3分くらいで作り上げちゃうカルロスさんの神ワザには、感激でした。お忙しい中、お時間を作ってくれたカルロスさん、ありがとうございました!
【関連リンク】
Carlos K. – オフィシャルサイト

Carlos K.FESTA – Blog

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