• AKAIがMPC Studio 2をリリース。抜群の操作性を持つMPCシステムに100種以上の膨大なプラグインをセットで29,800円

AKAI ProfessionalからMPC Studioの新モデル、MPC Studio 2(以下MPC Studio)が発表され、9月30日から国内での発売が開始されます。1987年に4×4のパッドを持つサンプラー、MPC 60が登場したことで、世界のビートメイキング、トラックメイキングの世界を大きく変えたAKAI ProfessionalのMPCは、その後もMPCシリーズとして脈々と受け継がれてきたわけですが、その最新モデルであり、手ごろな価格で打ち出してきたのが、このMPC Studioです。

上位グレードのMPC XやMPC Live II、MPC Oneなどのスタンドアロン機材とは異なり、MPC StudioはWindowsやMacと連携して使う機材となっており、MPC2 SoftwareというDAWとセットで利用することを前提としたシステム。そのため持ち歩いて使うという機動性の面では少し劣るものの、DTM環境で使うことを考えると非常に扱いやすく、MPC2 Softwareをスタンドアロンで使うだけでなく、各種DAWのプラグインとしても利用可能。また膨大なサンプルライブラリが付属しているほか、数多くのソフトウェアインストゥルメント、エフェクトも付属しているので、非常に自由度高く音楽制作をしていくことが可能です。実際どんなものなのか試してみたので紹介してみましょう。

AKAI ProfessionalからMPC Studioがリリースされた

今回発売されたMPC Studioは305mm x 171mm x 37mmで、0.8kgというサイズの機材で、USBバスパワーで動作させるというもの。そのため、MPC Xなどと比較するとかなりコンパクトながら、4×4のパッド部分だけを比較するとほぼ同寸で、実測で145mm x 145mmあるので、使い勝手の面では抜群です。

フルサイズで、叩き心地もかなりしっかりした4×4のパッド

WindowsやMacと連携させることが前提であるということからもわかる通り、MPC Studio本体はUSB接続のMIDIコントローラーであり、頭脳はDAWであるMPC2 Softwareが担当し、音の入出力は別途オーディオインターフェイスを用意して、これを使うのが基本。別の見方をすれば、すでに何らかのDTM環境が整っているのであれば、そこにMPC Studioを追加すればピッタリとフィットする構成となっています。

MPC Studio Software Managerを使うことで、ソフトウェア一式をWebからダウンロード、インストールできる

USB接続し、akaipro.comで製品登録後にダウンロード可能となるMPC Studio Software Managerを使ってインストール作業を行うと、ほぼ自動でMPC2 Softwareと各種素材、プラグインなどをダウンロードし、インストールしてくれます。

中核ソフトであるMPC Software

そしてMPC2 Softwareを起動すると、そこからは完全にMPCの世界。もちろんPC上の画面でマウスを使いながら操作して、打ち込んで制作していくことは可能ですが、ほぼすべての操作をマウスを使わなくても、MPC Studioの操作で行えるようになっています。操作ボタンを見てもわかる通り、トランスポートボタンはもちろん、TRACK SELECT、PROGRAM SELECT、BROWSEといったボタンがあり、大きなデータダイヤルを回して押して…と操作していけばいいのです。

MPC Softwareの操作はMPC Studioのボタンなどの操作だけでできてしまう

この際、PCのディスプレを見ながら操作することもできますが、メニュー内容やファイル名も含め、データダイヤル上のカラーLCDに細かく表示されるので、スタンドアロンのMPC同様のワークフローで操作していくことができます。

画面を見なくてもデータダイヤルとカラーLCDでほとんどの操作が可能

また16あるパッドにはオレンジ色でSAMPLER、LOOPER、STEP SEQ、SAVE……といったコマンドが記載されていますが、MODEボタンを押しながらパッドを押すことで、各モードに切り変えることも可能なので、操作性は抜群です。

MODEボタンを押しながら各パッドを押すことでサンプラーやルーパーなどの画面に切り替えられる

MPC2 Softwareは、CubaseやStudio One、Ablity、Ableton Live…といったDAWとは、ちょっと雰囲気が異なるDAWですが、ここで打ち込みを行ったり、オーディオレコーディングをして曲制作をしていくことができます。使い方は人それぞれだと思いますが、やはりMPCなので、4×4のパッドを使ってリズムを打ち込んでいくことからスタートさせるのが定番でしょう。

しっかりしていて、叩きやすいMPC Studio

実際、このパッドを叩いてみると、フルサイズであることもあって、とても気持ちよく鳴らせます。RGBバックライト付きで、赤・黄、緑…とMPC2 Software上での色がここにそのまま反映されており、もちろんベロシティ対応しているので、叩く強さによってサウンドも変わってきます。またノート・モードとコード・モードを切り替ることによってメロディーを入力したり、コードを入力したり……と効率よくトラックを作り上げることが可能です。

膨大なサンプルライブラリからプログラムを読み込めば、すぐ演奏できる

あらかじめ数多くのサンプルライブラリが用意されているので、これらを読み込んで使うだけで、ほとんどのここでできてしまいますが、MPC Studioは単なるプレイバックサンプラーに留まりません。サンプラー画面を開けば、ここでサンプリングを行い、それを自分の音源としてすぐに使っていくことができます。この際、オーディオインターフェイスを通じてマイクからでもラインからでも音をサンプリングしていくことができるわけですが、重要なのはスタートポイントやエンドポイント、ループポイントの設定。

自分でサンプリングし、波形エディットしていくことも可能

もちろん、そうした設定も簡単に行えるし、実はMPC Studioの操作でも、そうした設定ができるようになっているんですね。

サンプルデータのループポイントなどの設定も、MPC Studio本体だけで行うこともできる

もちろん、MPC2 SoftwareはDAWなので、サンプリング音源を鳴らすだけでなく、各種インストゥルメントを利用できるのもポイントであり、ここには数多くのインストゥルメントが搭載されています。たとえばHybrid 3は6つのオシレーターを持つバーチャルシンセサイザーで、オシレーターには100種類用意されたWaveTableの利用も可能。1000以上のプリセットも用意されているので、何にでも利用可能なマルチ音源として重宝します。

定番シンセサイザであるHybrid 3

またTubeSynthはビンテージのアナログポリシンセのサウンドをアナログモデリング技術によって再現するというものパッド、プラック、ベース、リードなどの最先端のプリセットサウンドが収録され、即戦力として利用可能です。

アナログモデリングによって、アナログポリフォニックシンセを再現するTubeSynth

BassLineはTB-303の発展版ともいえるベースシンセ。4種類のAIRエフェクトに加え2つのディストーションアルゴリズムを内蔵するとともに、OCTAVESAW、SAW、PULSE、SINE波形を含む連続的に変化する幅広いサウンドを表現するオシレータを持っているため、TB-303よりも、幅広い音作りが可能になっています。

TB-303の発展版ともいえるBassLine

そして、最新版のMPC2 Softwareに搭載されたのがAIR Hype、AIR Mellotron、AIR Solina、WayOutWare Odysseyというインストゥルメント。前述のMPC Studio Managerでのインストールだけでは、起動させることができず、おや?と思ったのですが、Helpメニューから「Get Synth Contents」を選んでインストールすることで利用可能となりました。

Mellotronを再現するAIR Mellotron

名前からも分かる通り、AIR Mellotronは1960年代に開発された元祖サンプラーともいえるテープベースの音源Mellotronを再現するもので、フルート、バイオリン、歌声などのプリセットが用意されています。

4種類の異なるシンセエンジンを組み合わせたHype

またHypeはFM音源、Wavetable音源、バーチャルアナログシンセ、サンプリングシンセを組み合わせたパワフルなハイブリッドエンジンを持つシンセ。膨大なパラメーターがあり自由度高く音作りができますが、プリセットも莫大にあるので、まずはここから始めてみるのがよさそうです。そのほか、Arp Odysseyを再現するWayOutWare Odysseyや6種類(コントラバス、チェロ、ヴィオラ、ヴァイオリン、トランペット、ホルン)を組み合わせて作るSolinaなどいずれもMPC Xなどのスタンドアロン版で搭載されている強力な音源がMPC Softwareでも使えるようになった形となっています。

Arp Odysseyを再現するWavOutWare Odyssey

一方、膨大なエフェクトが搭載されているのもMPC Studioの重要なポイント。コンプ、EQ、ディレイ、リバーブ、フランジャー、コーラス……といった定番エフェクトが搭載されているのは当然ながら、ユニークな新エフェクトも数多く収録されています。

ボーカル用エフェクトであるVocal Harmonaizer

たとえばVOCAL SUITEは、まさにボーカルのためのエフェクトでAUTOTUNE的なピッチ強制補正をするVOCAL TUNER、一人でハモリをリアルタイムに歌えるVOCAL HARMONIZER、一人でダブリングして、音を厚くできるVOCAL DOUBLERといったものがそろっています。

EDM系ツールとして大きな威力を発揮するAIR STUTTER

またAIR STUTTERは、いわゆるスタッターであり、ボーカルオーディオトラックのテールをアニメーション化したり、刺激的なビートドロップを作ったり、ドラムやパーカッションのトラックをグリッチやスタッタースタイルのエフェクトを使ってクリエイティブなアレンジやトランジションにしたり……といったことが可能です。

グラニュラーシンセシスを実現するGranulator

ほかにも音の雰囲気を大きく変えるDIODE CLIP、音を分解して生成しなおすGranulatorをはじめ、膨大なエフェクトが装備されているので、これらを組合すだけでも無限な音作りができそうです。

Cubase上のプラグインとして起動させたMPC Studio

このインストゥルメント、エフェクトはMPC専用のプラグインとなっていて、外部のDAWで直接利用できるわけではないのですが、MPC2 Software自体がVST、AUおよびAAXのプラグインとして利用できるため、各種DAWと完全に連携することが可能です。あらかじめスタンドアロンのMPC2 Softwareである程度のプロジェクトを組んでおき、それをDAW上で呼び出して使うということも可能。もちろん、テンポなどもDAWと同期して使うことができるので、リズムとサンプラーのみMPC Studioに任せ、それ以外のオーディオトラックは慣れたDAWで制作していくといった使い分けも可能。とっても柔軟な制作ができそうです。

冒頭でも紹介した通り、発売は9月30日で、価格は29,800円(税込)と手ごろ。このライブラリやプラグインの豊富さを考えると、かなりコストパフォーマンスの高い機材の登場といえそうです。

【関連情報】
MPC Studio製品情報
AKAIの無料DAW、MPC beatsで誰でもビートメイキング。多機能ミニ鍵盤MPK mini MK3との連携で威力は最大化する

【価格チェック&購入】
◎Rock oN ⇒ MPC Studio
◎宮地楽器 ⇒ MPC Studio
◎OTAIRECORD ⇒ MPC Studio
◎サウンドハウス ⇒ MPC Studio

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