• 意外と知られていない!? 定番のコンデンサマイク、RØDE NT1-A、NT2-Aが生まれた背景とその実力

コンデンサマイクは、ボーカルやアコギ、弾き語り……など、いろいろなレコーディングに使うことができるので、自分で楽曲を録音するのであれば、揃えておきたい機材。最近では、エントリーモデルも各メーカーから販売されるようになってきましたが、ひと昔前までは、その選択肢は限られていました。その当時からエントリーモデルの定番であり、現在も多くのミュージシャンやボーカリストが愛用しているだろうマイクがRØDEのNT1やNT2です。2003年にNT1からNT1-A、2005年にNT2からNT2-Aへとリニューアルがあり、型番のうしろにAが付く製品名になっているのですが、「RØDEが一番最初に買ったコンデンサマイクだ」という方も多いと思います。

そんなRØDEのマイク、エントリーの定番なのでとりあえず買ったみたというケースは多いと思うますが、実はあまりRØDEがどんな会社なのか、国内ではあまり知られてないようです。そこで今回は、あらためてRØDEの歴史を振り返りつつ、プロの定番コンデンサマイクU 87になぜ見た目が似ているのかなど、エントリーの定番だけど知られていないRØDEについて紹介したいと思います。またNT1-A、NT2-Aを含めRØDEのマイクを音響ハウスで本気でレコーディングしたデータがあるので、これもチェックしていきましょう。

定番コンデンサマイク、RØDEのNT1-A(左)、NT2-A(右)


RØDEは、オーストラリアのシドニーに拠点を持つオーディオ機器メーカー。そのRØDEを生み出した親会社、フリードマン・エレクトロニクス社は1967年設立なので、今年設立55年を迎えるという歴史の長い会社でもあります。最初はダイナコード社のコンソールを販売からスタートし、スピーカー、アンプ、カスタムエレクトロニクスの専門会社として歴史を歩んできました。その後1990年にRØDEを設立。設計・構築、製造するためのインフラなどは、オーストラリアで行われ、今もそれは引き継がれているとのこと。2000年には、最新の機械と技術に多大の投資。2000年初頭には、カメラ用のマイクとしてVideoMicが発売され、2008年にベストセラーとなり、その後今に至いたります。RØDEは、VideoMicをはじめ、映像系の機材が揃っているので、中には映像系のメーカーだと思っていた方も多いかもしれませんね。

オーストラリアのシドニーに拠点を持つオーディオ機器メーカーRØDE

さて、RØDEのマイクはNEUMANN U 87に似ているわけですが、これには開発された経緯との関係があります。80年代後半、世界中で中国の輸入マイクが流行り始めており、オーストラリアでもよく見かけるようになっていたそうです。それを見たフリードマン・エレクトロニクス社のエンジニアは、実際に購入し、分解して中身を確認したところ、見た目はU 87っぽいけれど、かなり劣悪な性能であることが分かったのだとか。これなら自分たちで作ったほうが断然性能がいいものが作れるはずと確信し、オリジナルのマイクを設計しつつ、当時売れていたU 87風なデザインにしたのが、RØDEのマイクのスタートだったそう。それをさらにブラッシュアップし、完全にオリジナルのマイクとして設計し、高い製造技術で生産をしていった結果、劣悪なコピー品とは比較にならない高性能なマイクを、安く販売できるようになったそうです。

RØDEの歴史が書かれた書籍、「RØDE TRIP」
そんなRØDEのマイクですが、冒頭でも書いたように音響ハウスで音質比較のためにレコーディングされたデータがあるので、聴いていきましょう。レコーディングには、ボーカリストの高瀬”makoring”麻里子さん、シンガーソングライターの手島 正揮さんが参加。エンジニアはアニメ『半妖の夜叉姫』『おしりたんてい』『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』や宝塚歌劇団の舞台公演などの劇伴作品を年間500曲以上の収録・Mixを行う古川健司さん。

エンジニアの古川健司さん

収録方法としては「女性ボーカル、男性ボーカルの歌唱2種、アコースティックギターのアルペジオ、ストローク中心の演奏2種を、音響ハウス様 第2スタジオ(ブースA)にて収録。SSL コンソール(SL 4064G PLUS-64VU)のヘッドアンプを経由して、Avid HD I/OからProToolsに96kHz/24bitで収録。すべてノーEQ、ノーコンプレッション、共通のHA Gain設定。音源とマイクの距離はできるだけ同じコンディションにて実施しました。数回に分けて収録しているためテイクごとに多少ニュアンスが異なる場合もありますが、それぞれのマイクロフォンの特性をより純粋に比較できる環境を整えました」とのこと。

ではさっそく、音を聴いていきましょう。まずは、NT1-Aです。ちなみに録音96kHz/24bitですが、サウンドサンプル自体は48kHz/24bitとなっています。

ボーカルはオケなしと、誤魔化しが効かない状況なわけですが、いかがでしょうか?NT1-Aは38,500円(税込)なのですが、価格に対して結構なパフォーマンスを発揮していると思います。RØDEを取り扱う銀一株式会社のページでは、ポップスから劇伴、ゲーム音楽、ライブ録音まで、幅広いジャンルを手掛けてきた櫻井繁郎さん(音響ハウス)と古川さんのコメントもあるので、ぜひそちらもご覧ください。男性・女性ともにしっかり録れていますし、アコギもきれいに録れているので、弾き語りのアーティストに選ばれる理由がよく分かりますよね。

次にNT2-Aです。

NT2-Aの価格は、60,500(税込)なので、NT1-Aと比べると上のポジションなわけですが、ワンランク上の出音という印象ですね。音の傾向としてNT1-AとNT-2Aは、似ているので、やはりこちらもアコギでもボーカルでもしっかりレコーディングできます。特に女性ボーカルに関しては、魅力的でいい音していますよね。

ここで少しスペック的なところを見ていきましょう。NT1-AもNT2-Aも48Vのファンタム電源で動くコンデンサマイク。見た目でいうとNT2-Aは、なにやらいろいろスイッチが付いています。

いろいろなスイッチが装備されているNT2-A

詳しく見てみると、まず上から指向性のスイッチが付いています。ここでは単一指向性、双指向性、無指向性を選択できるようになっています。ボーカルやアコギの録音では単一指向性を使うことがほとんどですが、たとえば対面で座ってラジオ放送をするときは双指向性、スタジオ全体の音を録音したいときは無指向性など、場面によって音を拾う方向を選べるようになっています。

3段階で切り替えられる指向性スイッチ

中段には、ハイパスフィルターが搭載。バイパス状態と40Hz、80Hzの3段階で切り替えることができます。これにより不要な低域をカットできるので、低音域の楽器を収録するとき以外は、オンにしておきたいですね。これがマイク側でサクッとできるのは嬉しいところ。

ハイパスフィルターは80Hz、OFF、40Hzと設定できる

そして、下段にはPADスイッチが付いています。デフォルトの0dB、-5db、-10dbの3段階のPADスイッチとなっており、入力の音が大きすぎるときに使います。自宅で歌を録ったりする場合はあまり使うことがありませんが、たとえばドラムのレコーディングやギターアンプを録音するのであれば必須なので、バンドで使う予定がある方は、こういったところもチェックしておきたいところですね。

PADスイッチも-10dB、OFF、-5dBと3段階

一方NT-1Aには、特にスイッチなどは付いておらず、指向性は単一指向性固定となっています。ボーカルのレコーディングを中心に使いたいのであれば、この設定だけで十分なので、マイク選びでは音質はもちろんのこと、どんな用途で使うかを想定することが大事です。

よりシンプルな形のNT1-A

ほかのマイクと比べても、引けを取らないRØDEのマイクですが、むしろ付属品が充実しているので、これから歌ってみたや弾いてみたを始めてみたいと思っている方は、要チェックです。NT1-A、NT2-AともにSM6という着脱式ポップフィルターを備えたショックマウントとXLRケーブルが付属しており、コンデンサマイクを使う際に必要なアイテムが全部入りしています。コンデンサマイクは地面から振動などでもノイズが入るので、ショックマウントは必要で、ものによっては別途購入が必要だったり、ポップフィルターについては付属してるのはめずらしいです。またXLRケーブルも付いてくるので、初心者の方にとってはかなり嬉しいところだと思います。

NT1-A、NT2-Aともに付属品が充実している

さらに輸入代理店である銀一株式会社は、正規流通品に限り原則10年保証をしています(※M1に関しては生涯保証となっているほか、一部に2年保証のものもあるなど、例外もあります)。マイクで10年保証が付いてくることは、ほとんどなく、ある意味RØDEのマイクの耐久性に自信があるということなのだと思います。修理は銀一株式会社の修理担当の方が行っているとのことで、パーツは正規品を交換するので、かなり安心して使っていくことができますね。

銀一株式会社では、都内でRØDEマイクの修理、メンテナンスを行っている

以上、RØDEのNT1-AとNT2-Aを紹介しました。実際にレコーディングされた音を聴くと、十分に使えるものですし、付属品が充実しているのは嬉しいところ。また保証といったサポート体制もバッチリなので、初心者の方でも安心して使うことができますね。定番のコンデンサマイクだけあって、エントリーとしては最適なので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか?

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