楽器が弾けなくたって鼻歌でMIDI入力

DTMって興味はあるけど、楽器はまったく弾けないからなぁ……、なんて尻込みしている人はいませんか?でも、DTMってまさに楽器が弾けない人のためにあるといっても過言ではありません。実際に、楽器が弾けないからこそ、DTMを始めたという人はすごく多いのですから。

とはいえ、MIDIの場合、マウスを使って音符を一つ一つ入力するというのは、やはり面倒。そんなときに結構便利で面白く使えるのが鼻歌を使っての音符入力方法です。そんな方法にいち早く取り組んでいたのが、大阪のインターネット社。10年以上前から「シングtoスコア」という鼻歌入力機能を同社のDAW、Singer Song Writer(SSW)に搭載しているのです。

鼻歌で音符入力ができるシングtoスコア機能



現在、SSWシリーズは、Windows版として
Singer Song Writer 9 Professional
Singer Song Writer 9 Standard
Singer Song Writer Lite 7
Singer Song Writer Start
の4ラインナップ、Mac版として
Singer Song Writer Lite 3.0
がありますが、このシングtoスコア機能は全シリーズに搭載されています。そして、Windows版はいずれも試用版が用意されており、これらでもシングtoスコア機能が利用可能となっているので、これで試してみると面白いと思います。

ここでは、いま売れ筋のエントリーユーザー向けソフト、SSW Lite 7を使って、シングtoスコアがどのようなものなのかを簡単に紹介してみましょう。

まずSSW Lite 7は定価15,750円という安価なDAWで、MIDIで音符を入力して、ソフトシンセを鳴らしたり、オーディオインターフェイスを介してボーカルやギターなどのオーディオをレコーディングし、エフェクトをかけて、ミックスダウンして……ということが一通りできるアプリケーションです。

このシングtoスコア=「Sing to Score」という機能はその名のとおり、歌を譜面に変換するという機能であり、MIDIの入力機能の一つとして搭載しているものです。これを使うには当然マイクを用意する必要があるのですが、それほど高性能なマイクが必要になるわけではないので、比較的安価なダイナミックマイクで十分でしょう。ちなみに、SSW Lite 7 MIC BOX(定価17,325円)というマイクが同梱されたパッケージも用意されていますが、ここにはオーディオテクニカのダイナミックマイク、AT-VD3(定価2,730円)のものが入っています。

「演奏」メニューから「シングtoスコア」を選択

では、どうやって入力するのか。まず「演奏」メニューから「シングtoスコア」を選択します。すると入力レベルの調整画面が出てくるので、ここでマイクに向かって歌ってみます。このときポイントとなるのは、いわゆる歌ではなく、鼻歌であること。「んーんーんー」といった感じで歌い、マイクに息がかからないようにしつつ、鼻に近づけて歌いながらレベルを調整するのです。
まずはマイクレベルの調整を行う
またなるべく静かな部屋で行うのも重要ですが、ノイズレベルの設定という画面を通じて、ある程度、騒音のある部屋でも使えるように調整することが可能になっています。

レベル調整が終わると、シングtoスコアの画面が登場してくるので、まずはキチンと音程がとれるかをテスト。必要に応じて再度入力レベルを調整することができるほか、自分の歌える音域に合うように調整することもできます。

マイクからの鼻歌が検知されるかをチェック

うまくいったらいざ入力。入力先のトラックが正しく設定されていることを確認した上で、「開始」ボタンを押して鼻歌で歌ってみましょう。メトロノームが鳴るので、それに合わせて歌っていきます。歌詞をつけて歌ったりすると、うまく入力できないので、あくまでも鼻歌でね。また初期設定のテンポは120とやや速めなので、少し遅く設定しておいたほうがいいかもしれません。

鼻歌を歌ってみると、音程が検知されていく 

するとピッチスコープには音程がリアルタイムに表示されるとともに、譜面へと入力されていきます。慣れるまで、音符の区切りなどがうまくいかないかもしれませんが、多少練習してみると、効率よく入力できるはずです。
入力結果がMIDIトラックへ反映される
多少間違えるのは仕方ないところ。それは後で譜面上で直すといいでしょう。楽器が弾けなくてもこんな感じで入力できるのって楽しいと思いませんか?

このシングtoスコア機能の解説を含め、Singer Song Writer Lite 7の使い方をビデオで紹介する「Singer Song Writer Lite7映像講座」というDVD3枚組みのビデオが先日、株式会社ウォンツから発売されました。そのビデオ教材の監修という形でシナリオ作りのお手伝いをしたのですが、ビデオサンプルがあるので、興味のある方はご覧になってみてください。

また下記ページからだとDTMステーション読者限定での優待販売(12%オフで9,980円)となるそうなので、よかったらどうぞ。

【関連情報】

Singer Song Writer製品情報

Commentsこの記事についたコメント

6件のコメント
  • Jimi♪

    そういやAndroidでもこんなのリリースされてます。
    使ってみましたけどなかなかいい感じでMIDIに変換してくれます。
    これも日本人が作ったアプリみたいですけど、鼻歌をMIDI変換したいってのは、日本人的なんですかねー。
    https://market.android.com/details?id=com.kohei.android.musicdictation
    最近ではCubaseもVariAudio使えばMIDI化出来るようになりましたね
    これもYAMAHA傘下が関係あるのかどうなのか

    2011年11月7日 2:03 AM
  • 藤本健

    知らなかった、ありがとうございます。
    しばらくAndroid、放置状態だったので、ちゃんと触ってみないとまずいですね…。
    でも鼻歌は日本特有な気がしますね。
    Windows3.1時代だったでしょうか、「鼻歌君」なんてフリーウェアも存在していたし、いまは廃盤になった「鼻歌ミュージシャン」なんてソフトもあったし、確かヤマハのXGWorksにもそんなような機能が搭載されていたような気がします。
    その中で唯一生き残ったのがSSWですね。
    ちなみにCubaseのVariAudioは某社からのOEMという話であり、XGWorksの流れではないようです。

    2011年11月7日 8:36 AM
  • GumiTube

    フリーソフト「鼻歌君」、確かこれがメーカーの目に留まりプログラムのバックアップもあってDTM機能を持った本格的なDTMソフトに成長したのがこのSinger Song Writer、というのがこのSSWの経緯だったかと思ったけれど、記憶違ってたらご容赦です。
    パソコンソフトを紹介する雑誌に鼻歌君が紹介され、その雑誌に添付するCDからインストールしましたが、適当なマイクがなかったのでとうとう使わなかった。しかし注目はいつもしていたので、ある時当時の最新版「鼻歌君」に添付されていた作者からのメッセージで「実はこの度メーカーさんの目にとまりそちらで開発を継続することになりました」みたいな文面がRead Meの中にあったのをうっすらと覚えています。
    鼻歌入力機能が先でDTM機能が後だったという(記憶違いでなければ)面白いSSWの経緯。

    2011年11月13日 6:13 PM
  • 藤本健

    鼻歌君、私も覚えているし、確か当時、電波新聞社のコンピュータ・ミュージック・マガジンのオンラインソフトを紹介する連載で書いた記憶があります。
    が、それがSSWに搭載されたというのは知りませんでした。今度、村上社長に会ったときにでも聞いてみますよ。ただし、それが発展してSSWができたというのは明らかに違うと思います。SSWはDOSの時代からあったもので、それをWindowsに移植した後に、鼻歌機能などを搭載していますからね。ただ、鼻歌機能が元はフリーウェアだったとしたら、それは面白いですね!

    2011年11月13日 11:10 PM
  • GumiTube

    どうもその様です(失礼しました)!
    村上社長のインタビューで私も確認してみましたが、PC98用ソフトとしてSSWは既にあったと・・・。そういえばそうだったと私。PC98用ミュージ郎のバンドルソフトだったもんな、と。Windows版への移行の際に鼻歌君を取り込む形で融合したパターンかな。
    機会ありましたら村上社長に聞いてみてください。間違いでなければ面白いです。
    私が見た雑誌は「Windows100%」か「iP」だったと思います。

    2011年11月15日 8:01 PM
  • 藤本健

    はい、ぜひ、今度、村上社長にお会いした先に聞いてみますね。

    2011年11月15日 10:21 PM

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です