国産のDAWとして多くのユーザーを持つ株式会社インターネットが開発するABILITY。これは25年の歴史を持つ同社のSinger Song Writerをベースに発展させたソフトであることは、「国産の最高峰DAW、ABILITY誕生」という記事などで、何度か紹介してきたとおりです。

正確には上位版のABILITY Proと、標準版のABILITY Elementsの2ラインナップが存在するわけですが、先日5月19日にメジャーバージョンアップを果たし、ABILITY 2.0 ProおよびABILITY 2.0 Elementsになりました。でも、やっぱりすごいなぁ、と感じるのはその後のアップデートのスピードです。数日~1週間に1度といった頻度で新バージョンが登場し、バグフィックスだけでなく、機能強化も図られていってるんですよね。その一方で、ABILITYのエントリー版として位置づけられるSinger Song Writer Liteも間もなく9.5になるとのことなので、合わせて最新状況をレポートしてみましょう。


ほぼ毎週のようにアップデートされ機能強化しているABILITY 2.0 Pro
 
以前「サポート有償化は日本のユーザーに受け入れられるのか?国産DAWメーカー、インターネット社長が語る」という記事を書いたことがありましたが、このとき伺ったのは、初心者を中心に毎日100件近いサポートの問い合わせが来ており、それに1つずつ丁寧に対応しているという話。かなり理不尽な問い合わせもある一方、ユーザーからもバグの指摘や、もっともだと思われる要望もあるので、それもソフトに反映させているということをインターネットの村上昇社長はおっしゃっていました。


7月8日現在の最新バージョンは2.01.3 

その結果、1、2週間に一度という高頻度でアップデートをかけているということでしたが、このABILITY 2.0を見ても、そこは変わっていないんですよね。実際、本日7月8日現在の最新バージョンは2.01.3というもので、5月19日にリリースされた2.00.0から数えて13番目のリビジョン。試しに日付で追ってみたところ、

5/20 2.00.5
5/23 2.00.6
5/26 2.00.7
5/30 2.00.8
6/13 2.00.9
6/17 2.01.1
6/22 2.01.2
6/27 2.01.3

などと、やっぱり尋常ではないスピードでのアップデータがリリースされているんですね。もちろん、まだ登場して2か月も経たないABILITY 2.0ですから、細かなバグフィックスというものが中心ではあるものの、よく見てみると、新機能も次々と搭載されているようです。


MIDIファイル読み込み時に、VSTiを割り当てる機能なども便利 

たとえば「設定メニュー ショートカットキーの設定で 保存と読み込みができるようになりました(2.00.1)」、「ステップシーケンサーで試聴中もパターンの切り替え、プリセットの読み込みが行えるようにしました(2.00.6)」、「ピアノロール、スコアのストリップチャート(コントロールエディター)で複数コントロールを表示した場合、新たに追加したものが下になるようにしました(2.00.7)」、「VSTiウインドウの右クリックメニューで前面に表示を追加。前面に表示すると、ABILITY 2.0 アプリケーションウインドウ外にVSTiウインドウを出すことができます(2.00.8)」、「ACID WAVE化した曲中WAVのテンポ変換時の精度が向上しました(2.00.9)」、「ミキサーのCOMP、EQセクションで他社のVSTプラグインも選択可能になりました。またトラック追加時にインサートされるデフォルトプラグインも変更可能です(2.01.2)」、「MIDIFILE 読み込み時、VSTiの自動割り当てが行えるようになりました(2.01.3)」、「ソングエディターのオーディオトラックの縦幅は変更せずに波形レベルを拡大表示できるようになりました(2.01.3)」……などなど、ほかにもいっぱいあるんです(ABILITY 2.0アップデート情報参照)。

普通のソフトであれば、バグフィックスはともかくとして、新機能をこんなにポンポン追加したりしないですよね。次期バージョンまでじっくり寝かせておいてアピールするところだと思いますが、インターネット社の場合は、比較的簡単に実現できる機能なら、もったいぶらずにどんどん追加していく、という方針なんですよね。


2.01.3で追加されたLinPlug Organ3

また太っ腹と思ってしまうのが、ときどき追加されるプラグイン。たとえば、最新の2.01.3では、ドイツLinPlugOrgan3というオルガン音源がさりげなく増えているんです。これはHammond B3と伝統的なVoxFarfisaのサウンドをエミュレートした音源。レスリースピーカーを完全にエミュレートした同期可能なデュアルエフェクトプロセッサーやドローバー、ビブラート、パーカッションセクションなどオリジナルB3にあるすべてのコントロールを持っているという音源で、これまでも単体で10,000円という価格で販売されていたものです。


LinPlug Organ3は10,000円で販売されている

もっとも販売されているのはWindows/Macハイブリッドで使えるVST/AUの汎用プイラグインであるのに対し、今回バンドルされるのはABILITY専用で、ほかのDAWやMac上で使えるものではありません。とはいえ、これだけのものが細かなアップデートの中で追加されちゃうというのは驚きですよね。


新しいアップデータが登場すると、ABILITY起動時に知らせてくれる 

ちなみに、ABILITYの新アップデータが登場した場合は、起動時に自動チェックして、ダウンロードを促される形になっています。でも「せっかく安定して動いているから、アップデートは今度にしたい」、「アップデートはしたけれど、先々週のバージョンのほうがよかったような気がする」なんてこともあると思います。そのな場合には、インターネット社のWebサイトからアップデータをダウンロードしてインストールすることができ、しかも以前のアップデータも含め、主要なリビジョンを好きにダウンロードして、インストールできるというのも安心なポイント。たとえば2.01.3にアップデートした後で、2.00.8のアップデータをインストールすると、以前のリビジョンに戻る仕掛けになっているんですよね。こうした利便性もユーザーの声が反映されているんでしょうね。

このようにABILITYが日々進化していく一方で、エントリー版であるSinger Song Writer Liteのほうも進化を続けており、7月28日からはバージョン9.5へと大きくアップデートされます。この新バージョンでは、ついに64bit対応のアプリケーションとなったり、VST3に対応したほか、さまざまな機能強化が図られます。


エントリー版のSinger Song Writer Liteは間もなく9.5へアップデートされ、64bit対応にもなる 

分かりやすいところからいうとプラグイン関連。前述のLinPlug Organ3が収録されるほか、STEREO DELAYREVERB 2Adv.Pitch Shift 2Pitch Shift RTの4種類のVSTプラグインエフェクトが追加されるのです。


新たに追加されるVST3のプラグイン、STEREO DELAY

いずれもABILITYに入っているプラグインエフェクトですが、これらが搭載されることで、エントリー版ながらも、かなりしっかりしたDAWへと進展します。


強力なリバーブとしてABILITYでも評価の高いREVERB 2もSSW Lite 9.5に収録される

また本体機能としてはシャッフル入力モードをクリックするだけで、8分音符にシャッフルのノリをつけて入力できる機能、ABILITYの機能としても評価が高い、ボーカルエディタの搭載、ピアノロールエディタが、どのトラックでもマトリクス表示でき、ロール表示での音名表示/鍵盤表示の切替が可能となるなど、ABILITYの機能を結構持ってきているんですよね。


オーディオでレコーディングしたボーカルをMIDIのようにエディットできるボーカルエディタも収録される 

こうした新機能が山ほどあることもあり、、こちらSinger Song Writer Lite 9.5は新商品の扱いとなっています。ただし、最初のアクティベーション完了日が今年5月28日以降であれば、Singer Song Writer Lite 9からは7月28日から無償アップグレードできるとのこと。詳細についてはインターネット社のサイトのほうをご覧ください。

製品としてはSinger Song Writer Lite 9のままで、9.5へのアップグレードという形でリリースされます。今後、どんな機能が追加されていくのかはまだ分かりませんが、ABILITY 2.0とともに頻繁に行われるアップデートで、どんなプレゼントが飛び出してくるかも楽しみなところです。

【関連情報】
ABILITY/Singer Song Writer 機能比較表

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