2014年1月に鳴り物入りで誕生したまったく新しいDAW、Bitwig Studio。ドイツ・ベルリンにあるBITWIG社が開発したWindows、MacさらにはLinuxで動作するDAWです。新しいDAWと言われるStudio Oneでさえ誕生から12~13年が経過している中、ゼロからスタートしたBitwig Studioは国内外で大きな話題になり、これを活用するユーザーもジワジワと増えてきているところです。

そのBitwig Studioが初のメジャーバージョンアップを果たし、Bitwig Studio 2として本日3月1日、リリースされました。ダウンロード版の国内発売は3月中旬、パッケージ版は4月に入ってからとのことですが、日本発売に先駆け、Bitwig Studio 2を入手して、試すことができたので、これがどんなDAWなのか実際に試してみました。「Bitwigの名前は聞いたことあるけど、イマイチよく分からない」という未体験者も多いと思うので、ここでは改めてBitwig StudioとはどんなDAWなのか、という視点から紹介してみたいと思います。

※【追記】2017年3月10日
本日よりダウンロード版が発売されました

Modulators
 
Bitwig Studioは、新進気鋭のDAW。随所に今どきの音楽制作にマッチした機能が盛りだくさんとなっています。最初に触ってみて、おお!と思うのはオーディオファイルをトラックに読み込んだときの動作でしょう。同梱のドラムループやベースループなどの素材を読み込むとテンポにマッチして貼り付けられるのは当たり前として、ACIDizedデータやAppleLoopsを読み込んでもマッチするのはもちろん、ただのWAVファイルでもテンポに合う形で貼り付けられます。


オーディオを読み込むと自動的にテンポ検出してプロジェクトのテンポに合わせてくれる 

しかも、短いループ素材に限らず、2ミックスされた普通の楽曲でも、ビートさえしっかりしていれば、プロジェクトのテンポに合う形で読み込まれるんです。だから、これにループ素材を重ねて並べていったり、読み込んだ素材を切ったり貼ったりすることで、自由自在にリミックスができちゃうんですよね。


MIDIのトラックの一部を選択して「Bounce in place」を実行すると… 

また使っていてとっても不思議に感じるのはMIDIトラックとオーディオトラックに分類がないこと。そう、1つのトラックにオーディオもMIDIも混在可能であり、その辺の概念を持たないDTM初心者であっても、違和感なく、使える設計になっているのです。もちろん、内部的にはオーディオとMIDIは別ものなんですが、それを意識させないんですよね。


MIDIの一部がオーディオ化される 

そのMIDIとオーディオの混在という面で非常にユニークな機能がBounce in placeという機能です。これはMIDIで作ったフレーズの一部分を選択した上で、Bounce in placeを実行すると、その部分がオーディオ化されるというものなんです。「え?それの何がすごいの?」と思う方もいるかもしれませんが、オーディオ化することで、MIDIでは不可能ないろいろなことができるようになります。


スライスして、それをドラムマシンにもっていくといったことも可能 

たとえば、そのオーディオ化した部分をリバースすれば、MIDIでは不可能な演奏が可能になるし、そのオーディオを細かくスライスした上で再加工するなんてことも自由にできるわけです。そのため、MIDIで構築しながらも、オーディオ感覚で使うことができるわけです。


Ableton Liveのように、ループを並べて、スイッチで切り替えてリアルタイムプレイをするといったことも可能

MIDI編集機能、オーディオ編集機能ともに、ほかのDAWに引けをとらない一通りの機能を装備しているほか、クリップ・ランチャーという機能を装備しているのもBitwig Studioの大きな特徴の一つです。これはオーディオとMIDIの格納ボックスであり、ここにループ素材などを置いておけばスイッチ一つで同期を保ちつつ、リアルタイムに演奏内容を切り替えていくことができるわけです。見た目的にも機能的にもこの辺はAbleton Liveの機能にかなり近いものですよね。


画面を見る限り、前バージョンとほとんど違いを感じられないBitwig Studio 2 

さて、そんなBitwig StudioがメジャーバージョンアップしてBitwig Stduio 2へとなったわけですが、パッと見はそれほど変わりません。ユーザーインターフェイスは、そのまま引き継ぎつつ、新機能を搭載したというわけですね。

その新機能の目玉として打ち出しているのが「Modulation System」というもの。BITWIG社のWebサイトや、国内代理店であるDirigentのWebサイトにおいても、ウニョウニョと動く画面を掲載していたので、「何だこれ?」と思って見た方もいるのではないでしょうか?

でも、Bitwig Studio 2のデバイスメニューを探しても、Modulation Systemというものがあるわけでもないし、それっぽい名称のものも見当たりません。では、これはどんなもので、どうやって使うものなのでしょうか?


矢印のアイコンをクリックすると…… 

Bitwig Studioではソフト音源やエフェクトなどをトラックに組み込むと画面下にそのモジュールが表示されます。それは従来のBitwig Studioと同じなのですが、その各モジュールの左下に矢印のアイコンが追加されるようになったのです。


隣に「+」と書かれたスペースが3つできる 

そしてこの⇒のアイコンをクリックすると、「+」と書かれたエリアが3つ追加され、これをクリックすると、モジュレーション専用のブラウザが現れるのです。


ブラウザが立ち上がり、っこにモジュールを組み込めるようになっている

見てみると、ADSR、Beat LFO、Button、Classic LFO、Keytrack……とさまざまなモジュール名が表示されるので、これを選択して組み入れてみると、小さなモジュールが表示されます。そう、これが先ほどのウニョウニョの正体なんですね。


beat LFOを選ぶとこんな感じシンセやエフェクトの動きをコントロールできるようになる
 

たとえばBeat LFOはプロジェクトのテンポに同期する形で動くLFOとなっているのですが、その動きをソフト音源やエフェクトのパラメーターに割り当てることができるのです。一般のDAWでもパラメータの動きをオートメーション機能で制御するこということはできますが、これはオートメーションではなく、LFOやエンベロープジェネレータなどそれぞれが自立する形で動作して、それぞれがパラメータを動かしていくという、なんとも不思議な構造になっているんですね。


フリーウェアの人気音源、Synth1も組み込むことができ、A UNIVERSE OF MODULARSで制御できた 

Bitwig Studioでは、標準搭載されているソフト音源やエフェクト以外にも、VSTに対応しているので、他社製のプラグインやフリーウェアのプラグインなども、MIDIのコントロールチェンジを利用することで、このModulation System機能を活用することができますよ。

ちなみに、Bitwig Studio 2では従来のVST2.4に加え、VST3に対応したので、より簡単に他社プラグインを使うことが可能になっているほか、32bit版と64bit版のVSTプラグインを認識して使うことができるというのも大きなポイントですね。他社のDAWが32bitプラグインを切り捨てる中、古いVSTプラグインを使い続けられるのも一つのメリットといえるのではないでしょうか?


VST3対応のMODO BASSもバッチリ使うことができた

さらにBitwig Studioでは従来より、プラグインとの独立性と親和性をうまく打ち出したプラグイン・クラッシュ・プロテクションというシステムを導入しています。これはプラグイン側の問題でプラグインが落ちても、Bitwig Studio自体は落ちずに、そのまま曲の演奏を続けることができ、途中でプラグインを復帰させることもできるというシステム。ライブでの活用などを考えると、非常に心強いシステムですよね。

そんなBitwig Studio 2、気になる価格は新規ユーザーの場合、46,250円(税抜き)で、従来のBitwig Studio 1のユーザーも無償アップグレードではなく19,000円となっています(2016年12月10日以降に購入した場合は無償アップグレード)。また、新規ユーザーのエデュケーション版は31,000円とのことです。


Bitwig Studio 2になってライセンスの形態が変更になった

またライセンスの在り方というか、アップグレード・アップデートに関する考え方が少し変わり「アップグレードプラン」というものに切り替わっています。これはSONARのライセンス方式とかなり近いものだと思いますが、購入してから12か月間は無償でアップグレード、アップデートすることができるけど、12か月を過ぎた後もアップグレード・アップデートしたい場合は、そのための権利を別途購入するという仕組みになっています。

いわゆるサブスクリプション制度ではないので、現状のバージョンのまま使い続けることは可能で、アップデートしたくなったら、その時点で再度払えばいいというものですね。

いずれにしてもBitwig Studio 2は、すでに他のDAWを使っている人が乗り換えるというよりも併用することで、新たなDTMを体験できるものだと思います。Bitwig Studioの体験版も配布されているので、まずは試してみてはいかがでしょうか?

【関連情報】
Bitwig Studio 2製品情報
Bitwig Studioデモ版ダウンロード
 
【ダウンロード購入】
◎Dirigentショップ ⇒ Bitwig Studio 2ダウンロード版
◎SONICWIRE ⇒  Bitwig Studio 2ダウンロド版

【パッケージ版価格チェック】
◎Amazon ⇒ Bitwig Studio 2
◎サウンドハウス ⇒ Bitwig Studio 2 
◎Dirigentショップ ⇒ Bitwig Studio 2