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DJヘッドホンのV-MODAは、音楽制作で使えるのか!?最新鋭ヘッドホンM-100 Master/M-200の開発者とエンジニアの飛澤正人さんにインタビューしてみた

ハイエンドDJ向けのヘッドホンとして、世界中から評価を受けているヘッドホンブランド、V-MODA。世界のDJランキングトップ10に入るアーティストの半分がV-MODAのヘッドホンを使っているなど、DJの世界での知名度は抜群のメーカーでもあります。そのV-MODAは2016年にRolandの傘下に入り、より高音質なヘッドホンを作るメーカーへと進化してきています。そのV-MODAが、Rolandによって開発された新たなモニターヘッドホン、M-200およびM-100 Masterを発売しています。

このうちM-200はスタジオワークを想定して開発された制作用のモニターヘッドホン。実際に聴いてみたところ、中音域の解像度が高く、ほかのモニターヘッドホンには真似できない出音をしています。デザイン的には従来のV-MODA製品と同様、六角形のハウジングである非常にユニークなヘッドホンでもあります。そのM-200の開発に携わったローランド株式会社 V-MODA事業部 小林輝喜さんに、どういう設計方針で、どのような機材を目指したのかなど、お話しを伺ってきました。またレコーディングエンジニアの飛澤正人さんに、プロのエンジニアから見て、モニターヘッドホンとして使えるものなのか、チェックしていただいたので、紹介してみましょう。

ローランド株式会社 V-MODA事業部 小林輝喜さん(右)とレコーディングエンジニア 飛澤正人さん(左)にお話しを伺いました

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--まずは、V-MODAのブランドについて教えてください。
小林:ハイエンドDJ向けのヘッドホンとして、世界からトップの評価を受けているブランドで、2016年にRolandグループに参加してます。世界のDJランキングにノミネートされている半分のアーティストが、V-MODAのヘッドホンを使用しています。日本でも知っている人は知っている、そんなヘッドホンメーカーです。V-MODAがRolandグループに加わった後は、新しいチューニングコンセプトを持つヘッドホンを、Roland開発で昨年発表しました。それが、M-100 MasterとM-200です。

新しいチューニングコンセプトを持つヘッドホンM-100 MasterとM-200

--現在Roland開発になったとのことですが、もうアメリカ側での開発は行っていないのでしょうか?
小林:開発はすべて日本のRolandで行っています。デザインの一部に関しては、イタリアのミラノになっています。これまでのV-MODAが設計していたヘッドホンの設計方針は、ライブ向けDJヘッドホンだったのですが、Roland傘下に加わってからは、現代のトップクリエイター向けのヘッドホンに方向を定めています。

--設計方針が変わってから、M-200が開発されたということでしょうか?
小林:はい、まさにM-200の誕生に繋がる部分の話になるのですが、もともとRolandは、TR-808、TR-909などの伝説的なマシーンを開発してきました。これらが得意とするのが、ダンスミュージックであり、RolandはライブDJブランドとしても通用する背景があります。現代のDJプロデューサーの在り方が変わってきており、スタジオワークがメインに変わってきているので、その流れに合わせスタジオ向けのM-200を開発しました。

--なぜ、現代のDJはスタジオワークがメインになったのでしょうか?
小林:もとの音から作りこむアーティストが増えたからです。今まではクラブハウスでのイベントが主だったのですが、自分で楽曲を制作して、外へ配信していく流れが出てきたからだと思います。

ローランド株式会社 V-MODA事業部 小林輝喜さん

--では具体的にM-200の強みについて教えてください。
小林:モニターヘッドホンを作る上で、定位、奥行き、解像度、周波数特性の4つのポイントを大切にしています。このポイントを踏まえた上でM-200の開発に取り組みました。出音に関しては、今まで聴こえなかった音が聴こえるヘッドホンを目指して開発しました。その中で、3つの開発ポイントを注視しています。まずはドライバーユニット部分です。モニターヘッドホンは、レスポンスが重要です。レスポンスというのは、音への反応速度であり、技術的には振動板がクイックに動くかどうか、という部分であり、これが鈍いと細かい音を再生できません。レスポンスをよくするには、素材や振動板の厚み、カットのデザインなどがベストな状態でないといけません。なので、何種類もトライして、M-200は作っています。またドライバーユニットでは、プロテクターも重要であり、M-200はできるだけ開口を広くして、ダイレクトに音が伝わるように設計しています。2つ目は、イヤーパッドです。耳にピッタリくるように、前後で厚みを変えています。前後の厚みを変えることで、耳のうしろ側までフィットするようになっています。また簡単に取り外し可能なイヤーパッドを採用しています。実はマグネットでくっついているので、除菌する際など、かなり便利です。メンテナンスする場合は、アルコール濃度の高いものでなければ、さっと拭くことができます。そして、3つ目は、空気のコントロールです。この空気のコントロールで、ヘッドホンの良し悪しが決まるといっても過言ではありません。というのも、アコースティックギターなどは、フロントに穴が開いており、これがなければ綺麗な音は出ません。同様にヘッドホンも、ハウジングの部分の空気のコントロールがしっかりしていないと、いい音は出ないというわけです。空気のコントロールで、低域から高域まで、音を出すこともできるし、出さないこともできます。M-200ではハウジングに7か所の穴が開いており、ドライバーユニットには10か所開いています。この穴からの空気のコントロールによって、いい音を鳴らしています。実際に空気の流れをコントロールするには、紙やナイロンメッシュ、ウレタンなどの材料を駆使します。こればかりは、経験がものをいう部分であり、開発者の見せ所でもあります。

イヤーパッドはマグネットなので、簡単に取り外し可能

--M-100 Masterは、DJヘッドホン寄りですが、小林さんの今までのヘッドホンの作り方と基本的には同じですか?

小林:基本は同じです。M-100 Masterに関しては、低音域を重視して作っております。M-200に関しては、全体域がフラットに出るようにチューニングしております。開発において、私のヘッドホンの作り方がすこし特殊なのかもしれませんが、最初音作りをする上で、周波数特性を計らず作っています。というのも、ヘッドホンを作る上でバランスが重要だと思っており、周波数特性が綺麗な波形が出てたとしても、ヘッドホンとして使いものにならない経験を若い頃にしているので、まずは自分の耳でチューニングします。その後に、周波数特性を計り、最後の微調整をしています。画像(下図)の一番上のものが、M-200の特性です。真ん中のものが、ダミーヘッドで録音した、補正を掛けていない数字です。補正というのは、人間の頭には頭蓋骨、外耳道、鼓膜などがあるので、その係数を掛けたものが一番上の数字となっています。見てわかる通り、結構フラットで、綺麗な特性が出ていることが分かると思います。

M-200の周波数特性

--一方、飛澤さんがM-200を初めて効いたときの感想をお伺いしたいのですが、どんな印象だったのでしょうか?
飛澤:M-200を初めて聴いたときに思ったのが、中域にすごくフォーカスしているなということ。その後、2、3日エイジングしたら低音域が出てきたんですね。そうしたら、すごくいい感じのヘッドホンだと思いました。エイジングした後でも、中域が強いという印象はありますが、僕らはいろいろなモニターを聴きながら音作りをするので、こういったヘッドホンを持っておくのは、アリだと思います。普段ベーシックな音決めは、いつも使っているフラットなヘッドホンで行うことが多いのですが、ある程度作った後に、スピーカーも含め、いろいろな再生環境で自分のミックスを聴きます。僕の場合、スピーカーだと4種類から5種類、ヘッドホンだと3種類から4種類聴き比べます。フラットなヘッドホンで、音作りはしますが、M-200のような中域の解像度が高いヘッドホンで自分のミックスを聴くと、特定の場所が出過ぎていることに気づけるんですよね。ミックスは、どの再生環境で聴いても、カッコよく聴こえるのがベストなので、微調整が必要です。ヘッドホンによって得意なところがあり、M-200だと1kHzの辺りが、すごく分かりやすいです。フラットなヘッドホンで作っていて気にならなかった倍音の溜まりが、M-200だと一発で分かります。なので、M-200を使いつつ中域をEQで調整した後に、フラットなヘッドホンで聴くと、すごくよくなったことを実感できます。フラットなヘッドホンだと、邪魔な部分が分からなかったりするんですよね。

飛澤さんは、普段いろいろなモニターで、ミックスをチェックしている

--飛澤さんは、1つのモニターだけでミックスするわけではなくて、それぞれ使い分けをしているのですね。
飛澤:今回M-200を使ってみましたが、こんなに中域の解像度がいいヘッドホンには、出会ったことないです。1kHzは、高域と低域が出ていれば、気にしないポイントではあるんですね。ですが、M-200で聴いたら970Hzが、めちゃくちゃ出ているな、とかに気づけて、本当にびっくりしました。ロック系のギターサウンドで、歪みの音色は、倍音が高域の方に溜まってくるので、ポイントごとに切っていき、混ざったところでカッコいいサウンドを作るのですが、1つのモニターだけ使っていては、気づけないことが多いです。なので、M-200のようなヘッドホンは重宝しますね

中域の解像度が抜群とのこと

--また、音に直接関係はないかもしれませんが、着け心地についてはいかがでしたか?
飛澤:最初見たときに小さいなと思ったのですが、実際着けたらフィット感がものすごくいいと思いました。六角形のハウジングも初めてだったのですが、耳の形ピッタリに作られているので、隙間が空かなくていいですよね。六角形のハウジングも新鮮ですし、コンパクトさもちょうどいいです。また、M-100 Masterの方は、DJヘッドホンなので、取り回しがよく、片耳で聴く用途でも使えますね。

コンパクトなサイズなので、持ち運びも簡単

--ユーザーの評価として、飛澤さんに感想をお伺いしましたが、小林さんいかがでしょうか?
飛澤:たしかに飛澤さんがおっしゃられたように、中域から低域の方が聴きやすくできています。現代の楽曲制作では、中域や低域はポイントになる部分だと思っています。もともとDJヘッドホンという流れもあり、意識をしてチューニングしております。またデザインについてですが、ヘッドホンを装着した状態でも、頭にフィットして、スタイリッシュに見えるような形にしています。ほかのヘッドホンだと、出っ張ってしまうところを意識して無くし、外観的なフィット感を演出しています。

耳や頭にフィットするように設計されている

--飛澤さんは、今後M-200をどのように使っていきますか?
飛澤:中域のチェックには重宝するので、そこは外せないですね。自分の普段使っているヘッドホンでミックスした曲をM-200で聴いたときに、出過ぎているポイントを見つけてショックを受けたので、ディストーションギターなど、途中段階のチェックで今後使用します。ピアノやボーカルなど、倍音楽器のチェックで大活躍すると思います。

飛澤さんは今後も中域のチェックに使用するという

--最後に、今後どんなユーザーに使ってほしいか、コメントをお願いします。
小林:今まで、いろいろなヘッドホンを使っていると思われますが、M-200は今まで聴こえなかった音が聴こえるようになります。実際に聴き比べていただければ、確実に分かります。それをまず体感していただきたいです。コンシューマーの方からスタジオの方まで、こんな音があったんだ、という感覚を楽しんでほしいです。

以上、小林輝喜さんと飛澤正人さんへのインタビューでした。またインタビューの様子は全編YouTubeで配信もしているので、興味のある方はぜひそちらもご覧ください。

※2021.01.28追記
2021.01.12に放送した「DTMステーションPlus!」から、第166回「ZOOM V3でDTMに新次元のVocalを!」のプレトーク部分です。「DJヘッドホンのV-MODAは、音楽制作で使えるのか!?最新鋭ヘッドホンM-100 Master/M-200の開発者とエンジニアの飛澤正人さんにインタビューしてみた」から再生されます。ぜひご覧ください!

【関連情報】
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