ハリウッド映画御用達のツールメーカーが開発するプラグイン、Energy Pannerを使うと音が背後に!?

「スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け」「アナと雪の女王2」「レディ・プレイヤー1」「ゴースト・イン・ザ・シェル」「ウォーキング・デッド」「アサシン クリード オリジンズ」……など、超有名タイトルの制作で使われているソフトウェアを開発している、ポルトガルの会社Sound Particles。この会社が得意とするところが、3Dオーディオであり、ここがリリースしている製品の中にEnergy Panner(エナジー・パンナー)という、不思議なプラグインが存在しています。

このEnergy Pannerは、パンポット系のプラグインであるのですが、定位をサウンドの強さで制御するという新しい方式をとっており、音を縦横無尽に動かすことが可能。飛び道具的に使ったり、ビートやアクセントに合わせてドラムやシンセサウンドを動き回らせることができ、アイディア次第でどんな使い方もできます。また、ステレオはもちろんのこと、7.1.2chやAmbisonicsなど、イマーシブオーディオに対応したもになっています。業務用だから、すごく高価なものなのかなと思ったら、価格はたったの5,500円(税込)。しかも国内発売記念セールで5月1日~5月30日まで20%オフの4,400円とのこと。実際試してみたところ、ちょっと驚くべき効果があったので、実際の音も交えながら紹介してみましょう。

サウンドの強さでパンニングを制御するユニークなプラグイン、Energy Panner


ポルトガルのプラグインメーカーというのも、ちょっと珍しい印象がありますが、このSound Particles社は、コンピューターサイエンスとミュージックテクノロジー分野の大学教授を務めた、Nuno Fonseca氏が立ち上げたベンチャーで、会社名と同名のソフト、Sound Particlesの開発を2012年にスタートさせています。Sound Particlesのアイディアは、映画で使用されているCG技術から来ており、火、煙、妖精の粉などを再現するために、何千もの小さな点を生成するパーティクル・システムが元となっているとのこと。

このSound Particlesの技術を2012年にハリウッドにプレゼンテーションしたところ、その効果が認められ、スカイウォーカー・サウンド、ワーナー、ユニバーサル、ソニー、パラマウント、フォックス、ディズニー、ピクサー……数多くのところで使用されるツールへと成長を遂げているのです。実際にSound Particlesが使用された作品は、こちらから見ることができます。(https://soundparticles.com/community/customers)

このメイン製品であるSound Particlesは、スタンドアロンのソフトであり、それなりにPCに負荷が掛かります。そこで、その一部の機能を切り取って、DAW上でも使えるプラグインに落とし込んだものの一つが、今回紹介するEnergy Panner。正確にいうと、Energy PannerはSound Particlesの一機能というより、その技術を利用して作った別製品なのですが、驚くべき威力を持っています。簡単にこのEnergy Pannerを使って、簡単なデモビデオを作ってみたので、ぜひヘッドホンで音を聴く形でご覧ください。

いかがでしょうか?アウトプットの設定をBinauralにして、ドラムのループが頭の周りを回るようにしてみたのですが、結構すごいですよね。難しい設定なしに、こういった定位の配置も可能なのが、Energy Pannerです。そんなEnergy Pannerは、 AAX Native、AU、AUv3、VST、VST3対応しており、MacまたはWindowsで起動した、ほぼすべてのDAWで使うことができます。

Studio One上でEnergy Pannerを使ってみた

ではこのEnergy Pannerで具体的にどんなことができるのか見ていきましょう。Energy Pannerは、大きく分けて2つのモードが搭載されており、1つはPANモード、もう1つはSLIDINGモードです。PANモードは、設定した開始点と終了点の間を定位が移動し、サウンドが弱まると開始に戻ります。一方SLIDINGモードは、開始点や終了点を通過して、デフォルトでは円を描くように定位が動き、サウンドが弱まると音源がその場に留まります。どちらのモードでも、音源の音量によって定位を制御していきます。デモビデオで使っていたのはSLIDINGモードで、これで回るように設定していました。

PANモードとSLIDINGモードが搭載されている

Energy Pannerのパラメータは、非常にシンプル。THRESHOLDで、パンニングが作用する入力レベルを決めます。コンプとかと一緒で、ここで設定した値を上回るとEnergy Pannerが動作するようになっています。THRESHOLDの値を超えると音源が動き出し、ここの値を下回ると動作が止まります。またRATIOでは、どのくらいパンニングするか調節します。

Energy Pannerに搭載されているパラメータは、非常にシンプル

定位が移動する範囲は、中央に配置されている円上に乗っているポイントを動かして調整します。開始点と終了点を自由に配置したり、

ドラッグして、開始点と終了点を配置する

開始点と終了点の位置は固定したまま、配置したポイントを通過するような軌道に設定したり、

開始点と終了点を左右に固定したまま、配置したポイントを通過するような軌道を設定

右回り、左回りを指定することができます。

右回り、左回りを設定できる

また、すべてのパラメータを無作為に変更するランダマイズボタンが搭載されていたり、サイドチェインにも対応しています。DRY/WETで原音との混ぜ具合を調整したり、アウトプットレベルを決めるGAINのツマミも搭載されています。

すべてのパラメータを変更するランダマイズボタンが搭載

そして、OUTPUTの設定ですが、デモビデオではBinauralにしていましたが、ステレオの場合は、ほかにも「Stereo」「Stereo(XY)」「Stereo(MS)」「Stereo(Blumiein)」に設定可能です。また、冒頭でもお伝えしたように5.1ch、7.1ch、Ambisonics、バイノーラル、7.1.2chまで、様々な出力に対応しています。

いろいろなフォーマットに対応している

以上が、Energy Pannerの概要でした。機能は非常にシンプルで、直感的に使える面白いプラグインだと思います。このEnergy Pannerのチュートリアルビデオも用意されているので、興味のある方はぜひご覧になってみてください。

このポルトガルのSound Particles社は、Energy Pannerのほかにも、Sound Particlesの技術を切り出したプラグインであるAir、Dopplerという製品をリリースしています。さらに最近では、Brightness Pannerという新製品もリリースしています。

Brightness Panner

Energy Pannerが音声の強さによってパンニングを制御していた一方、Brightness Pannerは音声の周波数や音程、入力MIDI信号によって、パンニングを制御するといった、これまたユニークなプラグインとなっています。以下にそのデモビデオがあるので、興味のある方はご覧になってみてください。

今後機会があったら、Brightness PannerやSound Particlesも、しっかり紹介できればと思っています。

なお、前述の通りEnergy Pannerは、5月1日~5月30日まで20%OFFの4,400円。また新製品であるBrightness Pannerも、Energy Pannerと同じ期間中20%OFFのセール中となっています。この価格ですから持っておいて絶対損のないソフトなので、この機会に試してみてはいかがでしょうか。

【関連情報】

Energy Panner製品ページ
【価格チェック&購入】
◎Rock oN ⇒ Enegy Panner , Brightness Panner
◎Formula Audio ⇒ Energy Panner , Brightness Panner

Commentsこの記事についたコメント

2件のコメント
  • さと〜

    凄い気になります!
    最近SONYさんが360RealityAudioに力を入れてますが、同じような空間再現力や分離感を得られますかね…?

    2021年5月5日 5:30 PM
    • 藤本 健

      さと~さん

      SONYの360 Reality Audio、最高の環境でモニターすると、Eneggy Pannnaerよりリアルになるのですが、その最高の環境を構築することが一般人には不可能すぎるのです。普通に再生すること自体も、Amazon Music HDの契約をしないとできず、かなり縛りが大きす、現時点は実用性の面からすると厳しいように思います。それに比べて、Energy Pannerは万人が使えるものであり、普通にWAVとして再生でき、たとえばYouTubeにも簡単にUPできます。360 RAのように高さ情報はないので、あくまでも前後左右ではあるけれど、手軽さという点を考えるとメリットは大きいと感じています。

      2021年5月5日 6:40 PM

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