楽器がまったく弾けない人でも1分の練習で弾けるようになる電子楽器InstaChordが発売カウントダウン。その使い勝手を体験できるiPhoneアプリが無料で遊べる

1年前「楽器がまったく弾けない人でも1分の練習で弾けるようになる!?これまでにない新しい電子楽器“InstaChord”のクラウドファンディングスタート」という記事で紹介したInstaChordインスタコード)。このクラウドファンディングに申し込んだ、という方も少なくないと思いますが、クラウドファンディング自体は2,354人のサポーターを集めて無事成功。現在は製品版の開発もほぼ終了し、もうすぐ生産開始という段階まで進んでいます。まずはクラウドファンディングに参加した方に届けるのが先決ですが、2,354人分のほかに1,500台を初期ロットとして生産するので、その先行販売(34,980円:税込み・送料込み)が行われているというタイミングです。

私は先日プロトタイプの第2号機を触らせてもらいました。昨年試したものと比較しても断然進化し、確かにこれなら楽器未経験、音楽の授業も苦手だった……という人でもすぐに好きな曲の伴奏ができるようになるのは間違いないと感じました。「そうは言っても、ホントにそんなに簡単なのか、ちょっと信じられない!」という人もいるはず。そんな人のために、InstaChordの使い勝手、世界観をある程度体験できるiPhone/iPadアプリ、InstaChord-iが昨年リリースされ、先日も大きなバージョンアップがありました。弾きやすさ、操作のしやすさという点からすれば、断然ホンモノのInstaChordのほうがいいのですが、このアプリを試してみれば、「なるほど、これなら弾けそうだ!」ということが体感できるはず。実際どんなものなのか紹介してみましょう。

楽器が弾けない人でも簡単に演奏できる画期的電子楽器、InstaChordを持つ、開発者の永田雄一さん


InstaChordは、作曲家・ミュージシャンでもある永田雄一さんが開発し、現在まさに生産準備中という日本のベンチャー企業が生み出した電子楽器。形状的には、ギターとかウクレレみたいな感じですが、左手で番号ボタンを選んで押して、右手で黒いパッド部分を指ではじくと、ジャララ~んと、ギターのように演奏ができる不思議な機材です。

小さなギターのような楽器で、左手でボタンを使ってコードを選び、右手でパッド部分を弾く(左利きモードもある)

現在、特許出願中という、この黒いパッドを叩けば鍵盤のように鳴らすこともできるし、ジワ~と押し込んでいくとその強さに合わせてストリングスっぽい感じ、ブラスっぽい感じで演奏することも可能な、これまでにない楽器です。強力で高音質なスピーカーも内蔵されているからこれ単体で気持ちよく演奏できるんですね。以下のビデオを見ると、どんな機材なのか分かると思います。

抱えてギターのように弾くこともできるし、机の上に置いて鍵盤的に弾くこともできるけれど、共通して言えるのは本当に楽器の経験がなくても弾けてしまう、ということ。もちろん、楽器が弾ける人であれば、即この新しい楽器の演奏方法を習得できるはず。とはいえ、実際触ってみないことには、その簡単さが実感できないと思います。そこで、登場したのがiPhoneおよびiPadで動く無料のアプリ、InstaChord-iです。

InstaChordをiPhone/iPad用のアプリにした、InstaChord-i

画面を見れば、すぐにどんなものなのか、だいたい想像がつくのではないでしょうか?この画面がまさにInstaChordそのもの、という感じなのですが、中央部のボタンでコードを選び、右側の弦の部分=ストラムパッドを指でスワイプしたり、タップすることで、ギターのように演奏できるのです。以下に、このInstaChord-iの概要を紹介した動画があるので、ご覧ください。

C、F、G、Am、Dm…とコードが分かる人であれば、「なるほど、ダイアトニックコードを選べるようになっているんだね」と分かると思いますが、ビデオにもある通り、コードが分からない人でも心配ありません。基本的には、意味が分からなくてもコード譜などを見て、それに合わせてボタンを押せばいいだけなのですが、コード譜サイトとしてお馴染みの「楽器.me」がまもなくInstaChord対応機能を搭載する予定なので、それが実現すれば、単純にそこに表示されている数字を選べばOKとなり、コード知識ゼロで使えるのです。

楽器.meが間もなくInstaChord対応するので、番号を選ぶだけで膨大な曲を簡単に弾けるようになる

これこそが、InstaChordの醍醐味ともいえる部分ですが、先日このアプリがアップデートしたことで、ギターのように弾くだけでなく、ピアノなどの鍵盤のような感覚で弾くことも可能となったのも大きなポイントです。

先日のInstaChord-iのバージョンアップで、鍵盤モードが搭載された

以下に、作詞・作編曲家のみやびさんが、このInstaChord-iのピアノモードの解説動画を上げているので、ご覧いただくと、どう使うかなど、分かりやすいと思います。

一方で実物のInstaChordの場合ストラムパッドを鍵盤のように上から押すように弾くのですが、このアプリだと画面そのものが鍵盤風に変わるので、より分かりやすい感じでもあります。

先日、Zoomで永田さんにInstaChordのその後の状況をいろいろ伺った

でも、こんな便利なアプリを無料で出してしまったら、実際の商品であるInstaChord自体が売れなくなるのではないのか……。そんな疑問を開発者である永田さんに投げてみたところ「まずは、このInstaChordの面白さを多くの人に体験してもらいたいと思って、アプリを開発しました。でも、やはりiPhoneやiPadでの操作性には限界があるのも事実。実物のInstaChordを触ってもらえれば、断然使いやすく、弾きやすいことが実感できるはずです。本当なら、誰もがすぐに触れるところにデモ機があればいいのですが、このコロナ禍、そうしたことは難しいため、とりあえずアプリで体験していただけたら、と思っています」とこと。なかなか太っ腹ですね。

InstaChord-iは無料アプリだが、3つの内部課金の機能拡張が用意されている

とはいえ、このInstaChord-i、基本的には無料ではあるものの、全機能が無料で使えるわけではなく、いくつかの機能が制限されていて、アプリ内課金で解放される形となっているのです。

無料だとギターの演奏スタイルだと、Ac.GuitarとAc.Pianoの2つの音色しか使えない

その一つ目が音色。無料の状態だとアコースティックギターの音色とアコースティックピアノの音色の2種類となっています。演奏するという意味では、もちろんそれだけでも十分楽しむことができるのですが、250円で「全てのサウンドが利用可能」を課金すると、ロックが外れ、エレキギター、マリンバ、リードシンセ、ロックオルガン、シンセストリングス、トランペット……と数多くの音色が利用できるようになります。

無料の状態だと、sus4、aug、dim、9、m7-5などがグレーアウトしていて使えないようになっている

また使えるコードが制限されているというのも一つです。InstaChordは基本的なダイアトニックコードをボタン1つで演奏できるだけでなく、メジャーとマイナーを入れ替える「~(スワップ)」キーや、半音上げる「#(シャープ)」キーと組み合わせれば、セカンダリードミナント、サブドミナントマイナーといった、いわゆる「おしゃれコード」もボタン2つで演奏できるのが特徴です。しかし、無料の状態だとsus4やdim、augといったコードは使えません。そこで別途250円で「すべてのコードが利用可能」を内部課金することで、本来InstaChordがサポートするすべてのコードが利用可能となるのです。

そして、もう一つの重要な追加機能が610円の「MIDIメッセージの送信が利用可能」、というもの。何だろう……と思う方も多いと思いますが、これがiOSのDTMという面で見ると、なかなか複雑で面白い機能をサポートしているのです。以下に詳しく解説している動画があるので、ご覧ください。

お分かりいただけたでしょうか?前述の通り、「全てのサウンドを利用可能」にすることで、多くの音色が利用可能になるのですが、このMIDI機能を利用できるようにすれば、InstaChord-i内蔵の音色に限らず、iOS用にある数多くにMIDI音源をInstaChordから弾けるようになるのですから、画期的だと思いませんか?

出力方法を「MIDI」に切り替えると、内蔵音色による音が消え、MIDIで出力されるようになる

試しに、いつもiPhoneでの実験に使用しているbismarkさんのbs-16iで試してみました。InstaChord-iの設定で出力方法を「サウンド」から「MIDI」に変更することで、簡単にbs-16iを鳴らすことができました。

bismarkさん開発のiOS用プレイバックサンプラー、bs-16i

また上記ビデオにもある通り、Bluetoothを使ったBLE-MIDIを利用して、別のiPhoneやiPadと接続してそれを音源として鳴らすこともできるし、Wi-FiのMIDIを使ってMacと接続してMac上のDAWで起動しているソフトシンセを鳴らしたり、さらにはrtp-MIDIというフリーウェアを用いることで、WindowともWi-Fi接続して、Windows上のDAWの音源を鳴らすこともできますね。

BLE-MIDIに対応しているので、InstaChord-iを親機としてBLE-MIDI対応機器と接続可能

さらに追加実験として、先日「現時点、最強のBluetooth MIDIかも!? 各種BLE-MIDI機器と自動でペアリングしてくれるWIDI Masterがスゴイ!」という記事で紹介したCMEのWIDI Masterを使ってみたところ、MacやWindowsとのペアリングと比較して各段に簡単に接続できました。オーディオインターフェイスに搭載されているMIDI端子にこれを取り付ければ、こちらのほうが断然簡単に使えてしまいますね。

CMEのWIDI Masterとの接続ができ、PC上のDAWで起動した音源を簡単に演奏することができた

ついでに、もう一つ試してみたのがInstaChord-iが起動しているiPhoneにMIDIインターフェイスを接続するとどうなるのか、という実験。ここではiRig-MIDI2を接続してみましたが、これもバッチリサポートしていますね。この場合はケーブルが必要になるというネックはあるものの、Bluetoothよりも、より確実にMIDI信号を送ることができ、さまざまなMIDI機器をInstaChord-iから演奏できるようになるのです。

iPhoneにMIDIインターフェイス、iRigMIDI2を接続してみたところ、InstaChord-iによる演奏を出力することができた

ここまでの機能を提供しちゃって大丈夫なのか……という心配がないでもないですが、InstaChord-i、スゴイです。このMIDI機能についてもBluetoothのBLE-MIDIを含め、すべて実物のInstaChordにも搭載されています。また実際にそれぞれを使いながら、比較してみると、ボタンの押しやすさ、演奏のしやすさという面では断然、ホンモノがいいことは間違いありませんが、ぜひ、この辺は触って比較してみて欲しいところです。

この4月25日に都内でも発出された第3回目の緊急事態宣言によって、残念ながら延期されてしまったのですが、永田さんによると、以下のスケジュールで、体験会を実施するとのことです。

インスタコード体験スタジオ(恵比寿)
https://instachord.com/20210425trialstudio/
5月2日(日)13時~19時、・5月3日(月) 10時~17時
1時間1組の予約入れ替え制で、インスタコードをじっくり触って試せる会です。体験の様子はYouTubeチャンネルでライブ配信を予定しているので、現地に行けない方も演奏気分を味わえるかもしれません。

インスタコード体験ショールーム(秋葉原)
https://instachord.com/20210408gwakihabara/
5月14日~16日 11:00~19:00
JR秋葉原駅高架下の商業施設SEEKBASEに、インスタコードの試作機を自由に触って試せるショールームを期間限定でオープンします。専用スタンドやソフトケースのサンプルも展示します。入場無料・予約不要です。

開発者である永田さんによると「実際に触っていただくと、ほとんどの方が『想像以上に良い製品ですね』と言われます。初回生産分の残数はあとわずかになっているので、ぜひ、この機会にインスタコードに触れていただき、予約していただきたいです。また、東京以外の地域にも伺いたいと思いますので、ぜひメールやTwitter(@insta_chord)などで直接ご連絡ください」とのこと。もちろん、このアプリを触るだけで購入を決めるのもありだとは思いますが、この機会に体験会などに参加してみると面白そうです。

【関連情報】
InstaChordサイト
InstaChord-i情報
【購入&価格チェック】
◎InstaChordサイト ⇒ InstaChord
◎AppStore ⇒ InstaChord-i

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