現代版ラジカセ、BB-1000CDは結構便利かも!

その昔は誰もが使っていたラジカセ。当然かもしれませんが、いま家電量販店に行ってもほとんど売ってないんですよね。確かにラジオとCDが鳴らせる数千円の製品は見かけますが、音質的にはさすがに許容範囲外といった感じです。そんな中「そういえば!」と思って、棚から引っ張り出してきたのがTASCAMBB-1000CDという機材。3年ほど前にレビュー記事を書いたことがあった、まさに現代のラジカセです。いまチェックしてみると、現行機種として、今も販売されているんですね。

比較的地味な存在だったこともあり、知らない方も多いと思うので、改めてこのBB-1000CDについて紹介してみたいと思います。

現代版ラジカセ、TASCAMのBB-1000CD


現代のラジカセといったって、実際にはラジオ機能もカセットテープもないので、まったくラジカセではないのですが、手軽に持ち運べて、音楽を再生したり、ダブルカセットデッキのように手軽にダビングができてしまうという意味で、昔のラジカセ感覚なのです。もっとも価格的には実売で42,000円程度とそれなりではあるのですが、TASCAMブランド製品だけあって、かなり音質的にはよく、高級ラジカセという感じでしょうか…。

単3電池8本での駆動も可能。CDのスピーカー再生なら1.5時間持つ

サイズ的にも380(W)×204.7(H)×107(D)mm、重量3.4kgとまさにラジカセサイズで、取ってを持って持ち歩くことができます。ACアダプタで使うこともできるし、単3電池×8本で駆動し、アルカリ電池およびニッケル水素電池の利用が可能となっているので、ポータブル性という面でも昔ながらの感じですね。

サイドにCDおよびSD/SDHCカードが入る

では、このBB-1000CDでいったい何ができるのか?まずは、CDとSD/SDHCカードの再生ができること。CD再生はともかくとして、SD/SDHCのほうはWAVおよびMP3ファイルの再生が可能になっています。フォーマット的には16bit/44.1kHzに限定されますが、5W+5Wというスピーカーであることもあり、さすがにハイレゾ再生のための機材ではないので、これで十分かな、と。またMP3については64kbps、128kbps、192kbpsをサポートしています。

CD、WAV、MP3の再生においてスピードやピッチをいじることができる

この再生時に、スピードやピッチを変更できるというのも、ラジカセ機能としてちょっと面白いところ。本体のトップパネルにはSPEED(スピード)、KEY(キー)、FINE PITCH(キー微調整)という3つのツマミが用意されており、これらを使うことで、さまざまな再生が可能になるのです。

SPEEDは-50%~+16%の範囲で再生速度を調整できるもので、この際、音程は変化しません。反対にKEYは±6半音の範囲でピッチを調整するもので、こちらはスピードは変わりません。またFINE PITCHではセント(半音の1/100)単位でピッチを上下させることができるので、微妙な設定が可能です。

これらの調整はCDの再生でもSDの再生でも同じように使うことができるので、楽器の練習用などにも役立ちそうですね。

さらにBB-1000CDは単に再生ができるというだけでなく、実はレコーダーとして使えるというのが大きな特徴になっています。ご存知のとおり、TASCAMではDRシリーズというリニアPCMレコーダーを出していますが、それに相当する機能がBB-1000CDにも採用されているというわけです。

フロントのスピーカー上にマイクがあるほか、リアにも2つのマイクが搭載されている

スピーカーのあるフロント面と、リア面それぞれにステレオマイクを装備しておりトータル4つのエレクトレット・コンデンサマイクが搭載されているのです。これによって360度、音を捉えることが可能です。
CDやSD/SDHCスロットの反対サイドには各種入出力端子が用意されている

そしてサイドにはライン入力、そしてXLRのマイク入力も装備しており、手持ちのマイクを使ってのレコーディングも可能となっているのです。もちろん、マイク入力はファンタム電源対応となっているので、高性能なコンデンサマイクを接続しての利用も可能なのです。

普通に録音できるのはもちろん、オーバーダビングも可能

ここで面白いのはオーバーダビング機能を備えていること。その昔、DAWはもちろん、カセットMTRもなかったころは、ラジカセを2台並べての多重録音を行ったものですが、BB-1000CDなら簡単。SDにレコーディングしたファイルを選択した上でOVERDUB(重ね録音)ボタンを押すと、そのファイルを再生しながら、マイクからの入力を重ねた音を、新たな別ファイルに録音することができるのです。

普通、スピーカーで再生しながら、マイクで音を拾うとハウリングが起こってしまいますが、そこはそうした問題が生じないようなテクノロジーが施されているため、大きな音量でBGMを再生しながらボーカルをレコーディングするといったこともできます。

このような現代版ラジカセですが、実はこれミックスダウン、マスタリングの現場で結構使われているという話を聞きました。昔からミックスした音をモニタースピーカーで聴くだけでなく、ラジカセで聴いてみて確認するということが行われていますが、今それに適したラジカセがあまりないんですよね。そのため、BB-1000CDが重宝しているというわけです。iPodのDOCKスピーカーを使うと行った方法もありますが、こちらは出力もそれなりに大きいし、直接CDの再生ができるという点もウケているのだと思います。

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