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ビンテージ機材とSPARK DUBSTEPを同期させる音楽制作術

91年にGULT DEPでデビューし、伝説のYMOのコピーバンド「Yセツ王」の助教授としても活躍されていたことでも知られる齋藤久師さん。現在はLenaさんとのユニット「pulselize」で幅広く活躍されている一方、私が毎月のように通っている「シンセバー」の主催者であり、そこのシンセ番長としてさまざまなノウハウ、情報を提供してくれています。

 

その久師さんからArturiaSPARK DUBSTEPという音源をアナログのビンテージ音源と一緒に活用しているという話を聞いたので、個人的にとっても興味を持ちました。お願いしたところ、自宅スタジオを見せてもらえるということになったので、先日のシンセバーの翌日、お伺いしてきました。


齋藤久師さんの自宅スタジオにお邪魔しました


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久師さんの自宅スタジオ、シンセバーの姉妹放送?といえるUSTREAM番組「Synth Cafe」でも時々、登場していたので、ちょっと見たことはあったのですが、実際に入ってみると、機材のすごさに圧倒されます。


ビンテージ音源がズラリ。写真を取り損なってしまいましたが、 この右にもPropeht5などがいっぱい

 

数多くのシンセサイザやリズムマシンが並んでいるのですが、見てみるとデジタルシンセは皆無。すべてアナログなんですよね。中央にはLogic Proが動作しているMacがあり、小さな空間の中ですべてができるスタジオになっているんですね。


Macと接続されたMIDIインターフェイスの信号をDIN Syncにコンバートし、各ビンテージマシンと接続 

オーディオはこのミキサーコンソールを通してオーディオインターフェイスへ

しかも、これらの機材、すべてReady状態になっているのにも驚きました。棚に置いてあるのではなく、すべて電源が入った状態になっていて、しかもオーディオ的な接続がされているだけでなく、各器材とも同期がとられているんです。そう、ここにある機材のほとんどはMIDIを搭載していないために、その前世代の規格であるDIN SYNCで繋がっているんですね。またCV/GATEを通じて演奏をコントロールできるようにもなっていました。


TR-808などが現役として動いている

 

MacからもMIDI-DINコンバータを経て同期がとられているのですが、その使い方に感激してしまいました。というのもLogic Proのプレイボタンを押すと、TB-303TR-808TR-909が同期して鳴り出し、すでに音楽になっているんですよ。そう、Logic Proには何ひとつデータを入れてないのに……。実はその延長線上として今回のテーマでもあるSPARK DUBSTEPが使われており、久師さんの音楽制作アイテムとして、すでに組み込まれているようなのです。


Macに向かってサクサクと作業を進める久師さん

 

そこで、どんな作り方をしているのか、お話を伺うと同時に、実際にその場で曲を作ってもらってしまいました。

 

--これらのビンテージ音源、まさに現役として動いているんですね。現在はこうした音源をエミュレーションするソフトシンセも数多く出ていますが、やはりハード音源のほうがいいのでしょうか?
久師:仕事にもよりけりです。トータルリコールができるという点ではソフトシンセはいいですよね。とくにコマーシャル系の仕事で、いったん出来上がった曲をクライアントに聴いてもらい、そこから修正をすることも多いので、トータルリコールして元の状態に戻せるソフトシンセを使うケースが多くなります。でも、自分として使いやすく、音楽的だと感じるのはリズムボックスやTB-303などのハードを利用する方法です。これらリズムボックスだと、蓄積してあるパターンがいろいろあるので、それを流しているだけで、イメージが湧いてきます。そこに、いろいろなものを重ねて行ったり、ちょっとパターンを変えてみると、新たな広がりが出てきます。こうして作ったグルーブをLogicにレコーディングしていくんです。だから、Logicは単なるMTRとして使っているだけなんですよね。

 

--プレイボタンを押すだけで、即さまざまな音が鳴り出すというのは、やっぱりすごいですね。「外部音源とは、DAW/MIDIシーケンサからコントロールするもの」という概念が強かったので、目から鱗が落ちる感じです。もっとも私も大学時代はTR-707のDIN SYNCに外部シーケンサを繋いだりしていたので、当たり前のことなのかもしれませんが、完全に頭から抜けていました……。

久師:この方法は本当に使いやすいですよ。ただ、ダブステップという音楽においてはやや物足りない面もありました。ダブステップはすごく特殊なつんのめるようなリズムを使います。また120のテンポであっても60に感じさせるような、危険なリズム。ドラムンベースとも違うんですよね。また従来のダンスミュージックの概念を覆したのは、定番のTRシリーズの音ではないところに行ったこと。非常にロックですよね。


久師さんが先日入手したというArtriaのSPARK DUBSTEP

 

--TR-808やTR-909ではないリズムとなると、作り方を変える必要がでてきそうですよね。

久師:先日もダブステップ系の曲を作る仕事をしていたのですが、やはりパンチのあるリズムが欲しいなと感じていたのです。そうした中、入手したSPARK DUBSTEPを使ってみたところ、ピッタリとハマりました。これ、使い方はTRシリーズとそっくりだけど、音色の概念が全く違い、まさにダブステップ系なんですね。普通のドラムの音がほとんどなく、「バッコーン」とか「ズッコーン」なんて強調された音がいっぱい入っている。そして、これもLogicのプレイボタンを押すだけで、従来の機材とまったく同じように同期して使えるというのは、ものすごく便利です。全部いっしょに同期して音が出るから、ハイハットだけ差し替えるとかもフェーダーを動かすだけでできてしまうんですよ。


同期されたTB-303のパターンを鳴らし、フィルターをいじっている状況でそのまま1トラック目にレコーディング

 

--確かに、Logicに何もデータも入れていないのに、DUBSTEPがここにあるTB-303やTR-808、TR-909と同期して鳴っています。ソフトシンセって、DAW側で打ち込むモノという思い込みがありましたが、こんな風に使えばいいいんですね!
久師:じゃあ、ボクがいつも作る感じで、短いものを作ってみましょうか。まず、リズム系の音はミュートして、TB-303だけにしてみましょう。これでフィルターをいじると、グイグイ音が変化していきます。それをLogicの1トラック目にそのまま録音してしまいましょう。……(40秒ほど)……はい、これでベーストラック完成。

 

--なるほど、Logicは本当にMTRであって、打ち込みも何もないんですね。

久師:続いて、DUBSTEPのリズムパターンを何か探してみましょう。……(録音したTB-303のトラックを鳴らしながら、いくつかのパターンをピックアップして試す)……じゃあ、こんなのでいいかな。


DUBSTEPのパターンを探して、よさそうなものを選択。それだけでほぼ完成してしまう

 

--おぅ!もう作品になってますよ。これで完成ですね。

久師:これで終わってもいいんだけど、ちょっと寂しいので、少しいじってみましょう。まず、DUBSTEPの音を4小節分だけバウンスしてしまいましょう。これをコピーして、複数トラックに置いていきます。そしてトラックごとに違う設定のローパスフィルターを置いてみると、結構変化が楽しめるんですよ。また、ダブステップって3連を使うことが多いので、ちょっと波形を切り貼りしてみるのもインパクトが出せていいですよ。まあ、単に3連をするだけなら、DUBSTEPのシーケンサ上でやってみるのもいいのですが、波形を切り貼りすると、また衝撃的なサウンドになるんです。


Logic Pro上でDUBSTEPの出力をバウンスした4小節を元に編集していく

 

--これは波形見ながら、サクサクと3連符に仕立てるのって、やっぱり職人技ですね!
久師:あと、これはボクがよくやるテクニックなんですが、リバースリバーブ。これは、企業秘密なんですけどね(笑)。リズム音の最後に深めのリバーブをかけて、それを切り出して逆再生する形にするんです。それを曲の頭にくっつけると、ほら面白い効果になるでしょ。

 

……と、いろいろと解説をしてくれながら、スタートから10分ちょっとで完成。それがい以下のビデオの曲です。

どうですか?すごいですよね。でも、このテクニック、全部ソフトシンセであっても、いろいろと使えそうにも思えました。自分でもちょっと久師さんの真似ゴトをしてみようかな、と企んでいるところです。

【イベント告知】
本文中でも紹介したシンセバーが、ほぼ毎月のように予定されています。3月、4月の予定は以下のとおり。次回の3月6日は、まさにTB-303をフィーチャーする回になってますよ

Every 1st Wednesday 18:30 open -23:00 close ent 1,500円(with 1 D) 
3/6(水) episode 13 TB-303
4/3(水) episode 14 Vocoder特集
シンセを肴に大いに呑んで語る集い―それがSYNTH BAR
ありそうでなかったエレクトロな機材に着目し音楽を語る集い。ヴィンテージ・ シンセはもちろんリズムマシンやサンプリング・ガジェットにも注目。MCはシンセサイザーアーティスト齋藤久師と電子音楽の知識が豊富な玉山詩人。毎回こだわりの選曲と意外なゲスト、そして齋藤久師(pulselize)プロデュースユニット「dubcid」によるガチンコ・モジュラーシンセ&DINシンク・ライブも繰り広げられる刺激的な宴。今宵、特製カクテル「シンセサイダー」と共に未体験ゾーンに貴方は足を踏み入れる……。
MC:齋藤久師 a.k.a シンセ番長+口だけ番長 a.k.a 玉山詩人

【関連情報】
Arturia SPARK DUBSTEP製品情報



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