相性は抜群によかったSONAR X3とPiapro Studio
VOCALOIDをどのようにDAWと連携させるかは、VOCALOIDユーザーにとっては非常に重要なテーマです。従来のWAVファイルをエクスポートしたりインポートする手法は確実ではあるけれど、非常に効率が悪く、使いやすいものではりません。
そうした中、VOCALOIDとDAWをつなぐ架け橋として注目されているのが、Piapro Studioなのです。Piapro Studioについては、これまでもDTMステーションで何度も取り上げてきているので、詳細については過去記事も併せてご覧いただきたいのですが、簡単にいえば、クリプトンが開発したVOCALOIDのEditorであり、WindowsベースのDAWから見るとVSTインストゥルメントのプラグインとして利用できる、ちょっと不思議なツールです。
SONAR X3 Producerが入っているマシンに、初音ミクV3をインストールした後、Crypton Software Installを使ってPiapro Studioをインストールします。いまSONAR X3を使っているユーザーの大半は64bit版を使っていると思うので、こちらも64bit版をインストールするようにします。
インストールが完了したら、SONAR X3側でPiapro Studioが認識できるようにします。そのためには、「ユーティリティ」メニューから「Cakewalk Plug-in Manager」を起動して、「VSTの設定」の「オプション」を選択。ここで、Piapro Studioの入っているフォルダを指定するのです。通常は、「c:\program files\crypton\piapro studio vst x64」を指定すればいいはず。設定が終わったら、「VSTプラグインの検索」ボタンをクリックすると、しっかり認識されるはずです。
ここで、SONAR X3の新規プロジェクトを作成した上で、SONAR X3のブラウザの「Plugins」からInstrumentsを選択してみましょう。その中のVST2フォルダを見ると、「Piapro Studio VSTi」という項目が見つかるはずです。これが見当たらなければ、うまく組み込めていないということなので、一度見直しをしてみてください。
見つかったら、これをドラッグしてトラックに展開してみましょう。この際、プラグインシンセの挿入オプションというのが出てきますが、画面のようにインストゥルメントトラックとシンセのプロパティページにチェックが入っていればOKですよ。
Piapro Studioをインストールした直後に、これを行うとアップデートの案内が出てくると思います。4月4日現在、version 1.2.1.2というものでしたので、これにアップデートしてしまいましょう。この際、この画面を表示させたまま、SONAR X3をいったん終了させて「アップデート」ボタンをクリックすればOKです。
改めてSONAR X3を起動して、同じようにトラックにPiapro Studio VSTiを組み込めば、準備完了です。はじめてPiapro Studioを使う人にとって、かなり違和感を感じると思う点は、このVSTインストゥルメントのトラックには何のデータも入力しない、という点です。普通なら、ここにMIDIのデータを入力していくのですが、このトラックは何も使わないし、このトラックを選択した状態でMIDIキーボードを弾いても、初音ミクは歌ってくれません。
では、どうするのか?その入力をPiapro Studioで行うのです。おそらく、Piapro StudioはSONAR X3の画面の裏側に隠れてしまっていると思いますが、SONAR X3に表示されている、Piapro Studioのラックをクリックすると、画面が登場してくるはずです。
Piapro Studio上のプレイボタンで再生する場合は、SONAR X3側の別のトラックは鳴らない
さて、先ほどこのVSTインストゥルメントのトラックには何のデータも入れないとは説明しましたが、トラック自体は非常に重要であり、初音ミクの歌声は、このトラックを通ってミキサーへと出ていくのです。画面左にはSONAR X3自慢のProChannelがあるので、ここでEQをいじったり、真空管アンプを使ったり、NEVEやSSLシミュレーションのコンソールを通して音作りをすることで、初音ミクの声がドラスティックに変化していきます。
いずれの場合も、Piapro Studioで入力したメロディーを変更しても、すぐに別のトラックと合わせて再生することができるので、本当に効率よく便利ですね。
さらに、普通の初音ミク、VOCALOIDの歌声とはニュアンスを変えるために有効なのがCelemonyのMelodyneを使うという技です。そのためには、一度、VOCALOIDの歌声をオーディオトラックにバウンスする必要があるので、「ファイル」メニューの「エクスポート」-「オーディオ」で目的のトラックをWAVとして書き出します。
その後、新たにオーディオトラックを作成して、そこに読み込み、Melodyne用のRegion FXを作成
その後、別のトラックに読み込んで、Melodyneで編集すると、Piapro Studio上でVOCALOIDのエディットをするのとはまったく違う雰囲気のものに仕立てることができて独特な雰囲気にすることができますよ。
※追記(2014.7.27)
コメント欄のところで、Piapro Studioを使ったら重くてドロップアウトが生じたという報告がありました。確かにPiapro Studioは一般のVSTプラグインと異なり、それなりに処理能力を有するためCPUパワー、メモリサイズが足りないと処理が追いつかず、ドロップアウトが起こる可能性はあります。その場合は、オーディオインターフェイスのバッファサイズを大きく設定した上で、試してみてください。
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