積極的な音作りもできるAddictive Drums2を使ってみた

DTM用の3大ドラム音源といえば、FXpansionのBFDToontrackのEZ Drummer、そしてXLN AudioのAddictive Drumsだと思います。先日BFDの最新版、BFD3について紹介しましたが、5月30日、Addictive Drumsの新バージョン、Addictive Drums2が発売になりました。

国内ではハイ・リゾリューションが取り扱っているのですが、ラインナップを見ると、膨大な数があって、何がどうなっているのか分からない、という人も少なくないはず。直販価格を見ても11,340円のものから45,360円のものまでいろいろ。そこで、改めてAddictive Drums2とはどんなものなのか、その膨大にあるラインナップは何なのかを含めて整理しながら紹介してみたいと思います。


2014年5月30日に発売が開始されたAddictive Drums2



Addictive DrumsはスウェーデンのXLN Audioが2006年に開発したドラム音源で、高音質なのに軽いことで定評のあるソフトです。もちろんWindowsでもMacでも使うことができ、各種プラグインフォーマットにも対応していました(前バージョンでは、VSTAudioUnitsRTAS)。またSONAR X3 Producerにフルバージョンがバンドルされたことでも大きな話題になった音源でもあります。

そのAddictive Drumsが2014年、大きくバージョンアップしてAddictive Drums2となり、新たな音源が追加されると同時に、エディット機能が強化されたり、ビート制作ツールをはじめさまざまな新機能が追加されています。

まずは、細かな説明の前に、Cubaseの標準音源、HALion SONIC SE2のドラム音源とどう違うかを聴き比べられるようなビデオを作ってみたので、ご覧ください。

これは、同じフレーズをHALion SONICの標準ドラムキットであるStereo GM Kitと、Addictive Drums2のContemporary Progというドラムキットのそれぞれで鳴らしたものですが、明らかに質が違うのがよくわかると思います。Addictive Drums2のほうが、明らかにリアルなサウンドになっているのと同時に、サンプリング時間が長いので、シンバルの余韻なども長く残っていますよね。

ちなみに、このデータはBFD3の記事の際に作成したデータなので、BFD3と聴き比べてみても面白いと思いますよ。

さて、このAddictive Drums2は前バージョンのAddictive Drumsと商品構成という点で大きく変わったことがあります。それは前バージョンでは製品を購入すると
・Tama Starclassic
・Sonor Designer
・DW Collectors Series

という3つの音源が標準で搭載されており、必要に応じてADpakという音源素材集を追加するという形になっていたのが、Addictive Drums2では標準では何もバンドルされていないけれど、本体自体はタダになった、ということです。


現在15種類のADpakが販売されている

一方ですべての音源はADpakとして個別販売される形になったので、欲しい音源だけを購入すればいい形になったのです。現在発売されているADpakは15種類で、直販価格で11,340円。つまり、とりあえずADpakを1本購入すれば使えてしまうわけですね。

せっかくなら複数セットで欲しい…というときはセット製品もあり、そちらのほうが圧倒的に割安になっているのも一つの特徴。たとえばAddictive Drums2 ArtistバンドルならADpakを2つ、好きな組み合わせで入手できるほか、MIDIのドラムデータ集のMIDIpakさらにKit piece(単体キットピース)もそれぞれ好きな組み合わせで2つずつ入手できて、直販価格が19,440円と圧倒的に割安です。さらに、それぞれ3つずつ選べるAddictive Drums2 Producerバンドルが25,920円、6つずつ選べるAddictive Drums2 XXL Studioバンドルが45,360円などとなっています。


インストールはオンラインからのダウンロードとなる 

いずれも購入した製品に付属するライセンスナンバーをXLN AudioのWEBサイトに登録し、ダウンロードでのインストール(DVDなどの提供ではないようです)。またVST、AU、AAXのプラグイン以外にもスタンドアロンでも動作するようになったのも大きなポイント。ただしRTASが非サポートになったのでProTools 10以前では使えないので要注意ですね。

起動すると、各ADpakのサウンドを確認することができる

Addictive Drums2を起動すると、インストールされているADpakを選択することができ、ドラムキットを表示させて、音を確認することができます。


3つのADpakをインストールしたところ、膨大なドラムキットが用意されている

たとえばStudio RockというADpakひとつだけでも37種類のキットが入っており、結構違うサウンドがいっぱい収録されているという印象です。プレビューでいろいろなサウンドをチェックするだけでも、なかなか楽しいですよ。

ここでもう一つのデモをご覧ください。

これもBFD3のときに使ったのと同じデータを鳴らしており、こちらはADpak Rockに入っているPOP ROCKというキットを使っています。もちろんキットによってかなり雰囲気は変わるのですがピアノとベースが入っていると、さらに曲になったときのニュアンスが見えてきますよね。ちなみにこのデータは、ニコニコ生放送として隔週で放送している「DTMステーションPlus!」の番組内で、作曲家の多田彰文さんが作成したものを使っています。


ドラムキットのピースを自在に変更することができる

さて、このように選んだキットをそのまま使ってもいいのですが、Addictive Drums2が面白いのはここから。まずは、そのキットの交換を自在に行うことができます。1キットあたり計18のキットピースを自由に組み合わせることができ、それぞれのボリュームを設定することができます。


各ピースの音量を設定したり、それぞれの出力のルーティング設定もできる 

また必要に応じて、キートピースの出力をAddictive Drums2のマスターに送るのが個別に出力するのかの設定もできるので、DAWとの組み合わせ方によっては、かなり複雑なエフェクトのルーティングなんかも可能になりますね。


EDIT画面では、各ピースの音を細かく作り込んでいくことができる

さらに各ピースごとに、かなり細かく音作りができてしまうのが、Addictive Drums2の大きな特徴でもあります。このEDIT画面を見ても分かる通り、RESPONSE、PITCH、TONE DESIGNER、VOLUME ENVELOPE、CUTと、さまざまなパラメータが用意されています。


VOLUME ENVELOPEの設定でもドラスティックにサウンドは変化する

PITCHでチューニングを変えたり、上から狙うマイク、下から狙うマイクでのバランスを調整したりできるだけでなく、VOLUME ENVELOPEを使うことで、各ピースの響きを抜本的に変えることができます。また、CUTを使って、高域をカットしたり、低域をカットすることでも、音を大きく調整できるほか、EQやテープシミュレーターなども入っており、ドラム専用のシンセサイザという感じで音を作りこんでいくことができるのです。


2つのDELERBが搭載されたFX画面 

さらに、EDITとは独立する形でエフェクトの調整ができるFXというものがあります。ここにはDELERBというちょっと変わったエフェクトが2つ用意されています。そう、これはディレイとリバーブを組み合わせたもので、パラメータの設定によってディレイっぽくしたり、リバーブっぽくすることが可能で、かなり音の雰囲気も変わってきます。

またEDITとは別のパラメトリックEQも用意されているため、エフェクトを用いた積極的な音づくりも可能なわけです。


MIDIpakとして用意されているリズムパターンをDAWへドラッグ&ドロップで持っていける

さらに、もうひとつ便利に使えるのがBEATSです。これは、前述のMIDIpakというドラムパターン素材集を扱うページなのですが、これがかなり使えるんですよ。プロが叩いたという、カッコいいパターンがいっぱい入っているので、ここから選択し、気に入ったものがあれば、それをDAWへドラッグ&ドロップで張り付けて使うことができます。これなら、とっても効率よくドラムの入力ができますよね。


リズムパターンから目的のビートを検索できるのはとても便利 

とはいえ「ドラムパターンなんて自分で打ち込むからいいよ」という人も少なくないでしょう。膨大にあるパターンから探すより、自分の頭にあるリズムを打ち込んだほうが速い、というのが最大の理由だとは思いますが、そうだとしても、結構使えるんです。

BEATS上で、まず頭に浮かぶリズムパターンを入力します。すると、それに近いビートのパターンを検索して表示してくれるため、効率よく求めるパターンを選ぶことができ、そのあとで少しエディットするというのもありなのです。

このようにAddictive Drums2は、好みに応じて、さまざまなキットが入手できるだけでなく、かなり音色づくりを積極的にできるのが大きな魅力のドラム音源です。やはりDAW付属のドラム音源を使うのと比較して、かなり音作りの幅も広がってくるので、試してみてはいかがでしょうか?

【価格チェック】
■ADpak単品
◎Amazon ⇒ Addictive Drums2 Studio Rock
◎サウンドハウス ⇒ Addictive Drums2 Studio Rock
◎Amazon ⇒ Addictive Drums2 Studio POP
◎サウンドハウス ⇒ Addictive Drums2 Studio POP

■ADpak2つセット+MIDIpak2つセット+Kit piece2つセット
◎Amazon ⇒ Addictive Drums2 Artist Bundle
◎サウンドハウス ⇒ Addictive Drums2 Artist Bundle

■ADpak3つセット+MIDIpak3つセット+Kit piece3つセット
◎Amazon ⇒ Addictive Drums2 Producer Bundle
◎サウンドハウス ⇒ Addictive Drums2 Producer Bundle

■ADpak6つセット+MIDIpak6つセット+Kit piece6つセット
◎Amazon ⇒ Addictive Drums2 XXL Studio Bundle
◎サウンドハウス ⇒ Addictive Drums2 XXL Studio Bundle

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