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木造住宅7畳の部屋を完全防音のレコーディングスタジオに改造

AKBサウンドを編み出す、DTM現場に潜入!」という記事で昨年、取材させていただいたアレンジャーの野中“まさ”雄一さん。AKB48SKE48NMB48SDN48そして各メンバーのソロなどを合わせれば200曲近い数をこなしている野中さんですが、今年、引っ越しをしたのを機に自宅の1階にある7畳の部屋を大改造し、完全防音の仕事部屋=レコーディングスタジオにしてしまったのです。

 

ミュージシャン、DTMユーザーにとって、自宅を防音のスタジオにするというのは、やっぱり大きな夢。部屋の中に設置する防音室の導入などを考えたことのある人は多いのではないでしょうか?そんな中、野中さんの行ったこの大改造、「きっと多くのDTMユーザーの参考になると思うので!」と誘っていただき、工事中から見学もさせてもらっていたので、レポートしてみたいと思います。


自宅1階の7畳間を大改造してレコーディングスタジオにした野中“まさ”雄一さん

 


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多くの人からの突込みがありそうなので、事前に言っておくと、厳密には「完全防音」などというのはあり得ないようです。ただ、野中さんの家の場合、普通の木造住宅ではあるけれど、スタジオ内で爆音(騒音レベルで93dB)でモニターしていても、外ではまったく聴こえないし、振動もないという状況。深夜に、このレベルでの音を出しても近所に迷惑をかけることはないし、家人に対しても邪魔をしない高性能な防音ルームとなっているので、あえて完全防音という言葉を使っています。


1月に野中さんの家に伺った際、まさに7畳間を解体中だった

 

工事が始まった時点で見た時は、普通の7畳の部屋だったのですが、先日完成したスタジオを見たところ、約3.3畳のコントロールルームと、約1畳のレコーディングブースに生まれ変わっていました。そう、AKBサウンドを作り出す拠点はここに移り変わっていたのです。


ドアの向こう側にはボーカルなどをレコーディングするブースがある

当初、話を聞いていたときは、すごく狭く、小さいスタジオになるのでは……と想像していたのですが、実際に入ってみると、そこそこの空間があってなかなか快適。頑丈な密閉された空間という雰囲気もないし、スタジオ特有の物々しさもなく、普通の仕事部屋なんですよね。


ドアは普通の家のものにしか見えない木製扉だが、遮音性は抜群

あえて金属扉ではなく、パナソニック製の木製扉を使いました。だって、このほうが普通の部屋っぽくていいじゃないですか」と野中さん。リラックスして仕事するためにあえて、普通の部屋っぽくしたのだそうです。見た目には普通の木のドアにしか見えないし、力を入れてドアノブを操作することもありません。ところが、この扉を2枚隔てると、ほぼ完全に音がシャットアウトされてしまうのは、なかなか不思議です。

数字的にいうと1枚で35dB下がり、2枚重ねて45dB。つまり90dBの音は45dBに下がるということなのですが、結果的に45dBの音が出ているとしたらどうなんだろう……と思ったら、一般に家の外の騒音レベルは45dB程度なのだそうで、確かにそのレベルですよね。この数字はあくまでも、この扉についてのもので、壁などほかの遮音性能は80dBとか90dBとったレベルなので、外に音が漏れることはないんですね。


玄関ホール側から見たスタジオ。2枚のドアを閉めると、中で鳴る爆音が聞こえなくなる

 

ブース側に人がいるか確認できるように、コントロールルームとブース間のドアは、ガラス入りのものを採用しているのですが、それでも防音性能は変わらないのだとか……。ちなみに、このドア1枚の価格は10万円程度とのこと。金属ドアだと20~50万円程度するそうなので、金額的にもずいぶん安く上がったそうです。

 

このドアそのものは残念ながら、生産完了となってしまったそうですが、木製扉で高性能なものはあるので、こうしたものを導入するだけでも結構大きな効果があると思いますよ」と野中さん。


1畳空間のブース。ビデオカメラを通じてコントロールルームと会話できる

 

ちょっと面白かったのは、ブースの床。野中さんのこだわりで、ここは畳敷きにしているんですね。また、ブースとコントロールルームそれぞれに大きなディスプレイとカメラが置いてあり、高画質・高音質での会話ができるところもカッコよかったです。


ブースの床は職人にお願いし、あえて畳敷きにしている

 

その野中さん、自宅で夜中に大きな音を出しても大丈夫なスタジオを作りたいと、以前からいろいろ検討したそうです。それこそ、部屋の中に置く防音室のようなものから、実際に工事して作るスタジオまで……。ただ、簡易的に設置できる防音室であっても、数百万円はかかってしまうのに、防音性能はあまり高くなく、夜中に大きな音で仕事をするといったことは不可能とのこと。


Digital Performerでの制作作業する際は、MACKIEのモニターからはかなりの大音量を鳴らす

 

各仕事現場であるレコーディングエンジニアを捕まえては、いい業者はないかと、それとなく聞いていたそうです。そうした中、たどり着いたのが都内にある環境スペースという会社。ここは防音工事や防音室の設計、施工を行っている会社ですが、特徴的なのは単に工事を行うだけでなく、建築音響測定という事業を行っていること。よく騒音に関する裁判が行われているという話を、報道で見かけたりしますが、こうした事例において弁護士から依頼されたり、測定した後に相談を受けたりするのだそうです。

 

環境スペースさんを含め、複数の会社で見積りをとったのですが、ここだけが明細まで細かく出してくれただけでなく、問題点や懸念のあることなどを懇切丁寧に話してくれたので、ここなら信頼できそうと思ったのです」と野中さん。しかも、コストパフォーマンス的にも一番よかったので、ここにお願いすることにしたのだとか。

 

確かに、以前、野中さんの家の工事中に伺った際、その環境スペースの営業制作部部長の小野口智也さんにお会いして、少しお話をしたことがありました。その中で室間音圧レベル差を示す遮音等級のD値、床衝撃音レベルのL値、室内騒音レベルのN値……といろいろ出てきて「???」と思ったのですが、これらについてもとても細かく詳しく説明してくれる方で個人的にも勉強になりました。


スタジオ内には吸音材も貼られている

その話の中で一つ印象的だったのは「よく吸音材を貼ると防音されると勘違いされている方がいますが、これはまったく目的が別なものなので、防音の効果は皆無です」という話。部屋の反射が多いときにこれを設置すると、デッドな音になるという目的で使ったりしていましたが、なんとなく防音もされるのだろうと思っていたのは大きな間違いだったわけですね……。

 

見た目には、普通の部屋に見える野中さんのスタジオですが、この部屋の壁も床も家の壁とは直接触れない浮いた空間になっているそうです。もちろん宇宙空間じゃないので、そんなことは不可能ではあるけれど、空気層を置いたり、ゴム材でつなぐなど、素人にはわからない工夫がいっぱいされているようです。また床下にはコンクリートが埋め込まれ、それも家の壁に直接接地しない形になっているのだとか……。とことん、徹底しているようですね。


床下には、周りの壁と接続されない浮いた形でコンクリートの塊が埋められている

100Vのコンセントも、通常はホースのようなもので、外部と接続されるため、ここを通じて音が漏れやすいそうです。そのため、コンセントもしっかりと対策をしているのですが、一方で防音とは関係なく、音へのこだわりから100V整流電源というのも用意して、コンピュータや楽器機材系はそちらを使っているとのこと。わかりやすいように整流電源は赤いコンセントになっていました。


机の下には数十個のコンセントが用意されている。赤いのは整流電源

ここで誰もが気になるのが、このスタジオを作るのにいくらかかったか、ということでしょう。野中さんに聞いてみたところ、防音に関する工事はトータル500万円強とのことでした。この金額を高いと見るか、安いと見るかは人それぞれだと思いますが、ここまで徹底した防音がこの金額できるなら、格安だという印象は持ちました。


机の下にはレコーディング用機材。オーディオIFにはRolandのSTUDIO-CAPTUREが導入された
その他使っているラック機材は上からGRACE DESIGN  m103PreSonus CENTRAL STATION PLUSRoland INTEGRA-7

ただし、前述のビデオカメラのシステムや、このスタジオのために買った机やソファー、その他、電気系、オーディオ系機器の費用は別にかかったのでトータルコストはさらに数百万円だそうですから、簡単には手が出せないレベルではあります。

 

もっとも、野中さんもローンを組んで導入したとのことで、「今後このスタジオでいっぱい仕事をしないと、返済できない」と笑っていましたが、自宅を本気でスタジオに改造したいと思っている人にとっては、参考になる話ではないでしょうか?

【関連サイト】

環境スペース株式会社

【価格チェック】
◎サウンドハウス ⇒ Roland STUDIO-CAPTURE
◎サウンドハウス ⇒ GRACE DESIGN  m103
◎サウンドハウス ⇒ PreSonus CENTRAL STATION PLUS
◎サウンドハウス ⇒ Roland INTEGRA-7

Commentsこの記事についたコメント

7件のコメント
  • 通りすがりの隣人

    「生産完了とあってしまった」

    「生産完了となってしまった」
    喋りをそのまま書き起こしたのかもしれないし、”ドア”と”とあ”で掛けてるのかもしれませんが……
    誤字ですか?

    2014年6月5日 7:36 PM
  • 季節の小箱

    とても参考になりました。ありがとうございます。
    いつか、あこがれの部屋を、と思っているので、
    元気が湧いてきます。
    環境スペースのメールマガジンをとっていますが、
    毎回、音に関する記事があり、勉強になっています。

    2014年6月5日 8:34 PM
  • 音吉

    参考に成りました。
    プロ仕様でも、プライベートスタジオが身近に感じました。
    技術的信頼が野中”まさ”雄一 さんのコメントから伝わって来て、お陰様で今後の計画が見えて来ました。
    今後も更なる情報をお願いいたします!

    2014年6月5日 10:56 PM
  • マロン

    あれだけCD売れてるのに数百万をローンで組まなきゃいけないってアレンジャーって全然儲からないんですか?
    相当大変な仕事だとは思うのですが。

    2014年6月6日 12:08 AM
  • 藤本健

    通りすがりの隣人さん
    タイプミスでした。ありがとうございます。
    季節の小箱さん
    環境スペースさん、ご存じだったんですね。
    音吉さん
    参考になってよかったです。
    マロンさん
    そうなんですよね。あれだけ作ってたら億万長者でいいはずなのに、アレンジャーはかなり条件がよろしくないようですね。そんなこともあり、個人的にも野中さんを応援しているわけなんですが…。

    2014年6月6日 12:27 AM
  • 从*´ ヮ`)<首都圏

    昔、モーニング娘。の「LOVEマシーン」などのアレンジを担当していたダンス☆マンが自身のライブのMCで
    「あのね、アレンジって『買い取り』なの。だからその後いくら売れても俺にはお金入ってこないんだよー」
    みたいなことを言っていた、というのを何処かで見ました。
    だから野中さんも数をこなさないとローンが払えないということからのあの発言なのでしょうね。

    2014年6月27日 9:01 PM
  • 名無し

    ローンがんばってください

    2018年7月28日 6:57 PM

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