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ポケットに入るホンモノの真空管アンプ、ZuperDAC Ultraが世界に先駆けて日本でのクラファン実施中

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真空管アンプといえば、重厚で大型な据え置き型のイメージが強いのですが、そんな常識を覆す革新的な製品が登場しました。香港を拠点に活動する世界的オーディオブランド、Zorloo(ゾルー)が、日本のクラウドファンディングサイト、kibidangoにおいて真空管を内蔵したポータブルDACアンプ「ZuperDAC Ultra」(予定小売価格49,800円、早期割引あり)のクラウドファンディングを8月21日まで実施しています。このZuperDAC UltraにはJAN6418という真空管を内蔵しており、真空管ならではの温もりのある、暖かなサウンドで聴くことができる一方、チューブモードをオフにすると、サンプリングレート768kHzにも対応した超高音質のヘッドホンアンプとして利用することも可能です。

これを持ち歩き可能なリスニング用の真空管アンプとして使うことができるのはもちろんですが、USB-DACとなっているので、WindowsやMacと接続してアウトボードの真空管アンプ・デバイスとして使うのもありでしょう。いまあるトラックをZuperDAC Ultraに通すことで、プラグインでは出せないホンモノの真空管の音に変換することも可能なわけです。そんなZuperDAC Ultraのプロトタイプを一足早く試すことができたので、どんなものなのかをレポートするとともに、Zorlooの開発者にメールでインタビューすることができたので、その内容も併せて紹介してみましょう。

現在kibidangoで蔵人ファンディング中の真空管搭載ヘッドホンアンプ、ZuperDAC Ultra

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人気オーディオブランドZorloo、同社のZuperDACシリーズの歩み

Zorlooは香港を拠点とする世界的なオーディオブランドで、これまでにも革新的なポータブルオーディオ製品を数多く手がけてきました。特にDACアンプの分野では定評があり、ZuperDACシリーズはその代表的な製品ラインとなっています。

同社は日本市場との関係も深く、これまでkibidangoを通じていくつかの製品を展開してきた実績があります。日本のオーディオファンの厳しい目に鍛えられながら、より高品質で革新的な製品開発を続けてきたのです。

Zorlooは、これまでもkibidangoを通じてコンパクトなDACなどを日本に流通させてきた

ZuperDACシリーズは、コンパクトながら高性能なDACアンプとして、多くのオーディオ愛好家から支持を集めてきました。そのシリーズの最新作となるZuperDAC Ultraは、これまでの技術的蓄積の集大成ともいえる製品となっています。

従来のZuperDACシリーズも十分に高性能でしたが、今回のUltraでは真空管を搭載することで、デジタル時代に失われがちなアナログの温もりを取り戻すことを実現させたユニークな機材。これは単なる機能追加ではなく、音楽体験そのものを根本から変えるというコンセプトを持った製品でもあるのです。

真空管を搭載した第4世代となるZuperDAC Ultra

今回のクラウドファンディングの対象となっているZuperDAC Ultraは、ZuperDACシリーズの第4世代にあたる最新モデル。これまでのシリーズとの最大の違いは、本格的な真空管JAN6418を内蔵していることです。

これまでKORGのNutubeを搭載したポータブルアンプは数多く存在しましたが、昔ながらの真空管を搭載したポータブルアンプは非常にレアな存在でした。Nutubeは確かに真空管の特性を持つデバイスですが、従来の真空管とは構造や音質特性が異なります。一方、ZuperDAC Ultraに搭載されたJAN6418は、クラシックな真空管の設計思想を受け継いだ本格的な真空管です。

ZuperDAC Ultraに搭載されている真空管、JAN6418

JAN6418は軍用規格の高品質真空管として知られ、その信頼性と音質は多くのオーディオ愛好家から高く評価されています。ちなみにJANはJoint Army-Navyの略で、この真空管は1980年代に米軍向けにアメリカのRaytheon社によって製造され、軍用通信機器向けに設計されたサブミニチュア管。そんな真空管をポータブルサイズのデバイスに組み込むことは、技術的に非常に困難な挑戦だったといいますが、Zorlooの技術力によってそれを実現しているのです。

本体のスリットから真空管ヒーターがオレンジ色に光るのが見える

真空管特有の暖かく豊かな音色は、デジタル音源に不足しがちな音楽的な表現力を補完してくれます。特に中域の厚みや高域の滑らかさは、真空管ならではの魅力。バッテリー駆動でありながら、据え置き型の真空管アンプに匹敵する音質を実現している点は特筆すべきです。

ESS Sabre 9281ACPRO DACテクノロジー搭載で、チューブモードのON/OFFが可能

ZuperDAC Ultraの核となるDAC部分には、ESS Technology社の最新チップESS Sabre 9281ACPROを採用しています。このチップは現在市場で入手可能な最高クラスのDACチップの一つで、極めて低いノイズフロアと優れたダイナミックレンジを実現しています。

ZuperDAC UltraにはESS TechnologyのESS Sabre 9281ACPRO DACが搭載されている

特筆すべきは、チューブモードのON/OFFが可能なことです。チューブモードをオンにすると、真空管JAN6418を通した暖かく豊かなサウンドを楽しむことができます。一方、チューブモードをオフにすると、ESS Sabre 9281ACPROの持つクリアで解像度の高いピュアなデジタルサウンドを堪能できます。

この機能により、一つのデバイスで二つの異なる音色を楽しむことができるというのがユニークであり、重要なポイント。楽曲の種類や気分に応じて使い分けることができるし、細部まで真剣にモニターする場合はOFFにして聴き、リラックスして音楽を楽しむならONにするといった使い分けができるのです。

また、真空管の寿命を考慮して、必要に応じてチューブモードをオフにすることで、真空管の消耗を抑えることもできます。これにより、長期間にわたって安定した性能を維持することが可能になっています。

PCM 768kHz、DSD 22.5MHzに対応の超高解像度なUSB-DAC

ZuperDAC Ultraは、PCMフォーマットでは最大768kHz/32bitまでサポートし、DSDフォーマットでは22.5MHz(DSD512)まで対応しています。一般のオーディオインターフェイスで768kHzまで対応したものは、RMEのADI-2 DAC FSなど、ごくわずかな機材しかありません。さらにDSD 22.5MHzにまで対応したものとなると、皆無という状況です。

PCM 768kHz、DSD 22.5MHzに対応している

ZuperDAC Ultraは入力は持っていませんが、再生用のデバイスとしてみたときに、まさに最高性能を持つ機材であるのは間違いありません。これらの高解像度フォーマットに対応したことで、ZuperDAC Ultraは単なるポータブルアンプを超えた、本格的なハイエンドオーディオデバイスとして、さらにはマスタリング用の再生デバイスとしても使える機材なのです。

USB、AUX、S/PDIFの3つの入力に対応

ZuperDAC Ultraは、多様な音源に対応するため、3つの異なる入力端子を備えています。USB入力では前述の超高解像度デジタル音源に対応し、AUX入力では従来のアナログ機器との接続が可能、さらにS/PDIF入力により高品質なデジタル音源の入力も可能です。

USB入力は、PCやスマートフォン、DAP(デジタルオーディオプレーヤー)との接続に使用します。USB-C端子を採用しており、最新のデバイスとの親和性も高くなっています。USB接続時は、デバイスから電源供給を受けることも可能で、バッテリーを節約しながら使用できます。

USB-C端子が2つ搭載されている。左はデータ接続用、右は充電用

AUX入力は3.5mmステレオジャックで、従来のアナログ音源やポータブル機器との接続が可能です。この入力を使用する場合、アナログ信号を一度デジタル変換してから真空管回路を通すため、アナログソースであっても真空管の恩恵を受けることができます。

S/PDIF入力は、AUX入力端子と共用となっており、本体付属の3.5mm-RCAレセプタクルケーブルを経由させて入力する形になっています。

これら3つの入力により、ZuperDAC Ultraはあらゆる音源との接続に対応し、どんな環境でも真空管の魅力を楽しむことができるようになっているのです。

3.5mm、4.4mm、ステレオRCAの出力も装備

出力端子も充実しています。3.5mmシングルエンド出力、4.4mmバランス出力、そしてステレオRCA出力を備えており、様々なヘッドホンやスピーカーシステムとの接続が可能です。

3.5mm出力は最も一般的なヘッドホン端子で、市販のほとんどのヘッドホンやイヤホンとの接続が可能です。高出力設計により、インピーダンスの高いヘッドホンでも十分な音量で駆動することができます。実際に聴いてみて、音量を上げていくと、歪むことなく、かなり爆音が出せることも確認できました。

音量を上げていくと、かなりな爆音まで出すことができる

4.4mmバランス出力は、より高音質を求めるオーディオファンのための端子です。バランス接続により、ノイズの少ない高品質な音声伝送が可能になります。特に高級ヘッドホンとの組み合わせでは、その効果を実感できるでしょう。

4.4mmのバランス・ヘッドホンジャック(左)と3.5mmのアンバランス・ヘッドホンジャックの2つが搭載されている

 

ステレオRCA出力は、ホームオーディオシステムとの連携を想定した出力です。アンプやアクティブスピーカーとの接続により、真空管の魅力をより大きな音量で楽しむことができます。また、録音機器との接続により、真空管を通した音をレコーディングすることも可能です。

RCAでのアンバランス・ライン出力も搭載されている

これらの多彩な出力により、ZuperDAC Ultraは個人のリスニング環境から本格的なオーディオシステムまで、幅広い用途に対応しています。

アウトボードとして真空管アンプを活用するワザ

ZuperDAC Ultraの面白い活用方法として、アウトボード機器としての使用も考えられます。音楽制作の現場では、デジタル音源にアナログ機器特有の味付けを加えるために、アウトボード機器が使用されることがあります。ZuperDAC Ultraも同様に、デジタル音源に真空管の特性を付加するアウトボード機器として活用できる可能性があります。

具体的な接続方法としては、DAWソフトウェアからUSB経由でZuperDAC Ultraに音声を送り、ステレオRCA出力からオーディオインターフェイスのライン入力に戻すという方法が考えられます。これにより、プラグインでは再現できない、本物の真空管による音色変化を楽曲に加えることができるかもしれません。

USB接続することでPC側からはオーディオ出力先としてすぐに認識される

真空管特有の2次、3次高調波歪みは、デジタル処理では完全に再現することが困難です。これらの高調波は音楽的に心地よい歪みとして知られ、音に温もりと豊かさを与えます。特にボーカルトラックや楽器の個別トラックに適用することで、楽曲全体に深みと表現力を加えることができるでしょう。

また、チューブモードのON/OFFが可能なため、元の音とエフェクト音を瞬時に比較することができます。これにより、エフェクトの効果を正確に把握しながら作業を進めることが可能です。

スイッチを押すことで、チューブモードのON/OFF切り替えがすぐにできる

ミキシングやマスタリングの段階でも、最終的な音色調整ツールとして活用できるかもしれません。デジタル環境で作られた楽曲に、最後にアナログの味付けを加えることで、より聴きやすく魅力的な作品に仕上げることができる可能性があります。

日本のクラファンで成功したら、世界展開を開始

ZuperDAC Ultraの展開戦略も非常にユニークです。この製品を世界で最初に発表したのは日本で、kibidangoでのクラウドファンディングが世界初のお披露目となっています。これは偶然ではなく、Zorlooの戦略的な判断によるものです。

「目標金額、550万円達成で日本への正規輸入が決定」との記載がありますが、実はこの製品はまだ本当に試作段階にあります。オーディオマニア、とりわけポータブルオーディオの愛好家が多い日本を選んだうえで、日本に受け入れられるのかをkibidangoでテストマーケティングしている形なのです。

日本のオーディオファンは世界的にも厳しい目を持つことで知られています。音質に対する要求レベルが高く、製品の細部まで厳しくチェックする傾向があります。そんな日本市場で受け入れられれば、世界市場でも成功する可能性が高いという判断です。このクラウドファンディングで成功すれば製品化が確定し、その後世界展開を開始する予定です。つまり、日本のオーディオファンがこの製品の運命を握っているといっても過言ではありません。

世界に先駆け、日本においてkibidangoでのクラウドファンディング実施中

逆に言えば、日本のオーディオファンにとっては、世界に先駆けてこの革新的な製品を手に入れる絶好のチャンスでもあります。真空管アンプの魅力とポータブル機器の利便性を両立させた、まさに夢の製品といえるでしょう。

クラウドファンディングという形式を取ることで、メーカーと消費者が直接つながり、製品開発に参加できるという側面も魅力的です。支援者の声が製品の最終仕様に反映される可能性もあり、より良い製品づくりに貢献することができます。

以上、ZuperDAC Ultraについてみてきましたが、いかがだったでしょうか?真空管とデジタル技術の融合という、一見相反する要素を見事に統合した革新的な製品です。JAN6418真空管による暖かく豊かな音色と、ESS Sabre 9281ACPROによる高解像度デジタル音質を、一つのデバイスで楽しむことができます。

kibidangoでのクラウドファンディングは、単なる資金調達の場を超えて、新しいオーディオ文化の創造に参加する機会でもあります。真空管の魅力を現代に蘇らせ、未来へと継承していく、そんな意義深いプロジェクトといえそうです。

ZuperDAC Ultra開発者インタビュー

--ZuperDAC Ultra開発のきっかけや背景について教えてください。
Zorloo:きっかけは、友人のHiFiシステムで真空管アンプを聴かせてもらったときの印象深い体験でした。特にボーカルの温かみと豊かな響きに強く心を打たれました。ただ、私たちはポータブルHiFiオーディオを手がけるメーカーなので、従来の大型真空管アンプは方向性と合いませんでした。そこで、よりコンパクトな真空管の可能性を探りながら、「この音」を持ち運べる形で届けられないかと考えるようになりました。ZuperDAC Ultraは、従来の製品よりもやや大きくなりましたが、それでも携帯性を維持しつつ、真空管の音をより多くの人に体験してもらうことを目指した製品です。

--JAN6418という真空管を選んだ理由や、この真空管の特徴などあれば教えてください。
Zorloo:当初はKorgのNutube 6P1も検討しましたが、数多くの試聴テストを経て最終的にJAN6418を選びました。DACと違って、真空管の選定はスペックよりも音質を重視します。いくつかの真空管アンプを使ってブラインド比較を行った結果、技術面だけでなく、聴いていて最も心地よいと感じられたのがJAN6418でした。目指していた「温かく包み込むような音」に最も合っていたと思います。

--ESS Sabreを採用した理由について教えてください。
Zorloo:ESSとは長年の信頼関係があり、私自身もかつて彼らの映像製品部門で10年ほど働いていた経験があります。Sabreチップはその高い音質と小型化のしやすさから、これまでも複数の製品に採用してきました。クリアで精密な再生が可能で、ZuperDAC Ultraの方向性にも非常によく合っています。

--ZuperDAC Ultraの開発で苦労した点などあったら教えてください。
Zorloo:この製品は非常に多機能で高度に集積されたデバイスであるため、コンパクトな筐体にすべてを収めるのがまず大きな課題でした。動作モードをシームレスに切り替えながらも、音質を損なわないことが求められました。また、真空管はわずかな振動でも影響を受けるため、ボタン操作などによる微細な干渉を抑える設計にも苦心しました。さらに、様々な使用シーンに対応できる安全なバッテリーの搭載も慎重な設計が必要でした。多くの困難がありましたが、最終的には自信を持ってお届けできる製品に仕上がりました。

--なぜ日本を最初の市場として選んだのでしょうか?
Zorloo:当社はもともとIndiegogoやKickstarterなど、クラウドファンディングを通じて成長してきた会社です。ただ、ZuperDAC Ultraはこれまでと異なる挑戦的な製品であるため、よりフォーカスした形で展開したいと考えました。日本のオーディオ市場は品質に対する要求が高く、非常に洗練された市場です。そのような環境で得られるフィードバックは、今後グローバル展開するうえでも大きな価値があると考えています。

--クラウドファンディングが成功した場合は世界展開を考えていますか?また、失敗した場合はどうなりますか?
Zorloo:はい、キャンペーン終了後のグローバル展開はすでに視野に入れています。ユーザーからのフィードバックを取り入れ、次のステップに活かしていきたいと考えています。ただ、たとえ今回のキャンペーンが思うような結果にならなかったとしても、私たちは前進を止めません。すでに新しい製品のアイデアも進行中ですし、常に”よりよい音”を届けるための挑戦を続けていきます。

【関連情報】
ZuperDAC Ultra製品情報

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