昨年、無料のStudio One Primeが廃止されて以来、さまざまな方面から「Studio One Primeの代替となるDAWはないか…」という声が上がっていました。そうした中、注目が集まっていたのがアメリカ・マサチューセッツのソフトメーカーが開発したSoundBridgeというDAWです。2018年に発表されて以来、少しずつ進化を重ねてきた中、昨年10月に有料の製品版をリリースするとともに、そのエントリーモデルという位置づけで無料版の提供も続けています。無料版といっても、オーディオもMIDIも扱えるしっかりしたDAWであり、VST2/VST3のプラグインも利用できるという点においてはStudio One Primeを大きく超えているわけです。
そのSoundBridgeが先日、日本上陸し、クリプトン・フューチャー・メディアが運営するオンラインDTMソフト販売サイト、SONICWIREを通じて、無料版、有料版ともに入手可能になりました。無料版であるSoundBridge Freeのほうは扱えるトラックが10トラックまでという制限はあるものの十分に使えるDAWです。一方有料版のほうはトラック制限がないほか、MIDIトラックをそのままパワフルなサンプラーとして使える機能や高度なバージョン管理機能、ビデオトラック機能、コンピング機能などを持っており、よりパワフルなDAWとして使えるようになっています。その有料版は税込み32,428円(199.99ドル相当で、日々の為替レートで変動)と手ごろな価格ですが、日本でのリリース記念セールということで2025年8月18日まで30%オフの22,699円と、本国よりも安く購入することが可能になっています。そのSoundBridgeを試してみたので、どんなDAWなのか紹介してみましょう。

無料で入手できる高性能なDAW、SoundBridge
2018年に誕生の「とにかく簡単」を目指したDAW
読者のみなさんの中には、「だいぶ以前から使ってるよ」なんて方もいると思いますが、私がこのSoundBridgeの存在を知ったのは、今年の1月、アメリカのNAMM Showに参加した際です。DTM系のソフトハウスなどのブースが並ぶ一角に、見慣れないDAWをデモしているブースがあったので、立ち寄ってみたのがSoundBridgeだったのです。

NAMM SHOWでのSoundBridgeのブース
説明してくれたのはSoudBridge,LLCのCEOであり、開発者のWake Andersonさん。そのときWakeさんは「これまで、いろいろなDAWがありましたが、どれもメニュー階層が深くて、使いこなすのが難しいという問題点がありました。それをなくし、できる限りシンプルな構成で、誰でも簡単に使えるDAWが欲しいとゼロから開発をはじめ2018年に初期バージョンを無料でリリースしました。SoundBridgeは右クリックを使う複雑な操作をなくし、階層がなく、1つの画面の中ですべてのコントロールが見えるような設計にしたんです」と話していました。

SoundBridgeについて紹介してくれた開発者でCEOのWake Andersonさん
では、初心者用なのかというと、必ずしもそうではないようです。機能的には充実していて、MIDIシーケンサはもちろん、オーディオレコーディング、ミキシング、マスタリングにいたるまで、音楽制作に必要な機能は一通り網羅しており、プロが使ってもまったく遜色のない仕様となっているのです。
そしてマニュアル不要で、とにかく軽いDAWを目指して設計されたものなので、既存のDAWに慣れている人が、気軽に使えるサブ用DAWとして利用するのにピッタリ。もちろん、まずはコストをかけずにDTMを始めたいという人にとっても、おすすめできるDAWとなっています。以下にそのSoundBridgeの概要を紹介する1分半のビデオがあるので、ご覧になってみるといいと思います。
実際に使ってみた!SoundBridge Freeの実力をチェック
早速、SONICWIRE経由でSoundBridge Freeを入手し、指示にしたがってダウンロードして実際に使ってみました。まず驚いたのは、インストールの簡単さとソフトの軽さです。ダウンロードサイズも比較的コンパクトで、インストール後の起動もかなり高速。メモリ使用量も控えめで、他のDAWと比べても明らかに軽快に動作します。

インストールもサクサク簡単に行える
起動してすぐに気づくのは、確かにメニュー階層が浅く、画面上にほとんどの機能が見えていること。トラック作成も「+」ボタンをクリックするだけで、オーディオトラックかMIDIトラックかを選択できます。ドラッグ&ドロップでオーディオファイルを読み込むのも直感的で、WAVやAIFFはもちろんMP3にも対応していました。

SoundBridgeの起動画面。とてもシンプルでありつつ、ここにすべてが揃っている
MacならCoreAudio、WindowsならASIO、MME、WASAPIまで使えるのでオーディオインターフェイスがなくてもレコーディング、プレイバックができてしまいます。トラックを作って、クリック設定をして、録音ボタンを押せば即レコーディングできるから、DAWを使ったことのある人なら、マニュアル不要でほぼ迷うことなく使えるはずです。

Windowsの場合、ASIO,MME、DirectSound、WASAPIのそれぞれが扱える
ちなみにインストールのためのクイックスタートガイドも日本語マニュアルも用意されているので、この点でも安心ですね。

日本語でのクイックスタートガイド、詳細マニュアルが用意されている
12種類のエフェクトを標準装備
レコーディングにおいて、すぐに使いたいのがエフェクトでしょう。画面左側にあるファイルブラウザ上のプラグインボタンをクリックすると、プラグインの一覧が表示されるのですが、SoundBridgeにはあらかじめ12種類のエフェクトが入っているので、これらを即利用することが可能です。

12種類のエフェクトがあらかじめ用意されている
具体的には
Chorus/Flanger
Delay
Phaser
Bit Crusher
Resonance Filter
Noise Gate
Limiter
Compressor/Expander
Reverb
Filter Unit
EQ
のそれぞれ。ディストーションやギターアンプシミュレーターなど歪み系がないのが、ちょっと寂しいかな…とは思いましたが、どれも実践的なものが揃っているので、便利に使えそうです。

12種類のエフェクトが入っているので、即実践できる
VST2およびVST3プラグインに対応
もちろん、その歪み系エフェクトも含め、このSoundBridgeにない機能があれば、プラグインを追加すればいいだけです。世の中には無料のプラグインも含め、膨大なものが揃っているので、これらをインストールすればいいわけです。

VST2もVST3も利用することができる
ご存じの通り、世の中全体としてはVST3へとシフトしており、VSTの生みの親であるSteinberg自体もVST2を非サポートとしたわけですが、このSoundBridgeはWindowsもMacもVST2にも対応しています(MacであってもVST2/VST3に対応する一方で、AudioUnitsは非対応)。

VST2もVST3も、手持ちのプラグイン、フリーのプラグインが自由に利用でき、無料版でも制限はない
VSTエフェクトはもちろん、次に紹介するVSTインストゥルメントにも対応しているので、いろいろとインストールすると、かなり使えるDAWへと進化させることが可能です。
MIDIエディタの使い勝手と打ち込み機能
続いてMIDIトラックについてです。前述のとおり「+」ボタンをクリックすればAUDIOトラックかMIDIトラックを追加できるわけですが、無料版であるSoundBridge Freeを使っている場合、ここで一つ問題が発生してきます。

「+」ボタンを押したのち、MIDIを選べばMIDIトラックが作れる
実はSoundBridge Freeにはインストゥルメントが標準で用意されていないため、このままだとMIDI入力しても音を鳴らすことができないんです。そこで、ここではVSTインストゥルメントを予めインストールしておく必要があります。たとえば先日話題になっていたNative InstrumentsのMassive X Playerなんかもいいし、Kontakt Playerなんかもいいでしょう。同じく無料であればUVI Workstationなんかもいいですし、以前紹介したSOUND MAGICのPiano Oneなんかもよさそうですね。

VSTインストゥルメントも自由に追加して利用できる
またVST2が使えるので、昔懐かしSynth1なんかをSoundBridgeで動作させることもできました。大昔の日本のフリーウェアではありますが、しっかり使えるところは感激ですね。

昔懐かしい、Synth1も動作してくれた
セッティングさえ終えれば、あとはいたって簡単。リアルタイムレコーディングしてもいいし、ピアノロールエディタを開いてみると、これがなかなか使いやすい。ノートの入力はマウスクリックで行え、長さの調整もノートの端をドラッグする形。ベロシティの調整も画面下部のベロシティエリアで直接編集できます。

ピアノロール画面で自由にMIDIのエディットも可能
また、よくできているなと思ったのがMIDI CCの編集機能。モジュレーションホイールやピッチベンドなどのコントローラー情報も、同じ画面内でグラフィカルに編集できるため、表現豊かな演奏データを作成できます。クオンタイズ機能もしっかり搭載されており、1/4音符から1/32音符まで、さらにトリプレットにも対応。「人間らしさ」を残すヒューマナイズ機能もあるので、機械的すぎない自然な演奏感を得ることができます。
ミキサー画面とオーディオ処理能力
ここでミキサー画面に切り替えてみると、各トラックのフェーダーやパンポット、EQやコンプレッサーなどの基本的なチャンネルストリップが並んでいます。EQは4バンドのパラメトリックEQで、Low、Lo-Mid、Hi-Mid、Highの各帯域を調整可能。コンプレッサーもThreshold、Ratio、Attack、Releaseといった基本パラメーターがすべて揃っており、実用性は十分です。

ミキサーも一通りの機能が装備されている
オーディオレコーディングも試してみましたが、遅延のないモニタリングが可能で、録音品質も良好。オーディオの編集機能では、カット、コピー、フェードイン/アウト、正規化といった基本的な編集機能はもちろん、タイムストレッチやピッチシフト機能も搭載されています。
有料版で追加される注目機能をチェック
さて、ここまでSoundBridge Freeで見てきましたが、ここから少し有料版のSoundBridge で何が違うかを見ていきましょう。基本的な機能は同じですが、最大の違いとなるのが、無料版だと10トラックしか使えないのに対し、有料版はトラック数に制限なく使えることです。
SONICWIREにある有料版と無料版の比較表があるので、これをもとコピーしたのが以下の表です。
機能 | 有料版 | 無料版 |
トラック数 | 無制限 | 10トラックまで |
プロジェクトファイルの作成・保存 | 〇 | 〇 |
シーケンサー | 〇 | 〇 |
オーディオの録音・編集 | 〇 | 〇 |
MIDIエディター | 〇 | 〇 |
FXラック | 〇 | 〇 |
ミキサー | 〇 | 〇 |
外部プラグイン(VSTなど)のサポート | 〇 | 〇 |
ファイル・プラグインブラウザー | 〇 | 〇 |
ファイル / プラグイン タグ機能 | 〇 | 〇 |
オートメーショントラック | 〇 | 〇 |
トラック・グループ | 〇 | 〇 |
チャンネルストリップ・プリセット | 〇 | 〇 |
プラグイン・プリセット | 〇 | 〇 |
MIDIマッピング | 〇 | 〇 |
内蔵エフェクト | 〇 | 〇 |
GUIのカラー変更 | 〇 | × |
リニア・タイムモード | 〇 | × |
一部GUIの非表示 | 〇 | × |
オートバックアップ機能 | 〇 | × |
ビデオのインポート | 〇 | × |
プラグイン・ブラウザーのフィルター機能 | 〇 | × |
MIDIトラック:サンプラー機能 | 〇 | × |
テイク・リスト機能 | 〇 | × |
コメント・レーン機能 | 〇 | × |
これをご覧いただくとわかる通り、無料版でも10トラックという制限があるほかは、主要機能はほぼそのまま使えるという太っ腹。普通なら、無料版のほうはプラグインを使えなくするなど制限を設けそうですが、重要な機能までそのまま使えちゃうんですね。
とっても便利なMIDIトラック・サンプラー機能
とはいえ、有料版には便利な機能がいろいろあるわけですが、最も注目すべきは、MIDIトラックがそのままサンプラーとして機能する点です。考え方的にはCubaseのサンプラートラックに近いものですね。

無料版においてSampler機能を使おうとオーディオをドラッグ&ドロップすると、こんなメッセージが表示される
MIDIトラックを作り、ピアノロールを開いたうえで、その左側を見ると、Samplerというボタンがあるので、これをクリックすると、有料版であるとサンプラーが立ち上がってきます。ここにWAVやAIFF、MP3などをドラッグすれば、それだけで強力なサンプラーとして使えるのです。

有料版なら、MIDIトラックをすぐにサンプラーとして使うことができる
この際、一つのオーディオファイルだけをおいてもいいですが、最大64スロットあるので、64個まで置いていくことも可能。デフォルトではそれぞれドロップしたファイルがレイヤーされていく形ですが、Note Rangeを利用することで、どのノートにどのサンプルを割り当てるかを指定することができます。

読み込んだサンプリング素材を自由に設定できる
もちろん読み込んだオーディオファイルをトリミングしたり、ループポイント設定できるのはもちろん、必要に応じてフィルターをかけたり、エンベロープを設定することができるなど、かなり高機能なサンプラーになっています。これだけのために、有料版買ってもまったく損はない内容ですね。
有料版にはコンピング機能やバージョン管理機能なども
さらに有料版にはコンピング機能も実装されており、同じフレーズを何度も録音して、それぞれのベストな部分を組み合わせることが可能。ボーカルレコーディングや楽器演奏の録音で威力を発揮しそうです。

有料版であればコンピング機能も搭載
ビデオトラック機能では、MP4やMOVファイルを読み込んで、映像に合わせた音楽制作ができます。YouTubeやゲーム実況などの動画制作にも活用できそうな機能です。

ビデオトラックも利用できる
また有料版独自の機能として、プロジェクトのバージョン管理機能があります。これは制作の各段階でスナップショットを保存し、いつでも過去の状態に戻れる機能。「この編集を加える前の状態に戻したい」といった場面で重宝しそうです。
実際の制作フローで感じたSoundBridgeの魅力
一通り試してみましたが、ほぼマニュアルを見る必要もなく、スムーズに使うことができたので、なんらかのDAWを使ったことがある人であれば、違和感なくすぐに使いこなせると思います。
普段はどのアプリでも右クリックを多用しているので、最初は右クリックが効かないことに、おや?と違和感を感じたのも事実ですが、1画面にすべてが揃っているので、多くの操作を直感的に行うことが可能です特に、トラックの複製や移動、エフェクトの追加などが非常にスムーズで、創作の流れを邪魔しない設計になっています。
CPUの負荷も軽く、10トラック程度であれば古めのPCでも十分に動作しそうです。メモリ使用量も控えめなので、他のソフトとの併用でも問題ありませんでした。
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実際に使ってみた結果、SoundBridgeは確実にStudio One Primeの代替以上の価値があると感じました。無料版でも十分に音楽制作が可能で、VST対応によりプラグインの制限もありません。
そして有料版のSoundBridgeは、通常価格32,428円のところ、8月18日まで30%オフの22,699円で購入可能。この価格でサンプラー機能、ビデオ対応、バージョン管理といった高度な機能が手に入るのは、かなりお得です。

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