スピーカーやヘッドホンのキャリブレーションソフトの定番、SonarworksのSoundID Reference。そのSonarworksから、非常にユニークかつ強力な新製品「Virtual Monitoring PRO」が登場しました。これは、従来のSoundID Referenceのアドオン製品「Virtual Monitoring」を大幅に進化させたもので、自分の部屋や商業スタジオ、リスニングルームの音響特性を測定・キャプチャし、ヘッドホン上でその鳴りを完全に再現してしまうという、魔法のようなシステム。自宅スタジオをキャプチャすれば、自分の部屋を移動先、旅先へとそのまま持ち歩くことができるツールでもあるわけです。
そんなVirtual Monitoring PROは、12月5日よりついに国内での正式販売がスタート。そしてタイミングを同じくして、Sonarworks製品が最大50%オフとなる大規模なブラックフライデーセールも開催中です。ですが、今回の新製品となるVirtual Monitoring PROはセール対象外。ところが、ブラックフライデーセール対象のSonarworks製品を先に購入することで、Virtual Monitoring PROを少しお得に買える裏技があるので、Virtual Monitoring PROのレビューとともに、12月31日までのブラックフライデーセールを活用したお得な導入方法について、紹介していきましょう。
自分の部屋の鳴りをヘッドホンに移植するVirtual Monitoring PRO
Virtual Monitoring PROの話に入る前に、まずは基本となるSoundID Referenceについて簡単におさらいしておきましょう。SoundID Referenceは、スピーカーの周波数特性を測定し、フラットな特性になるように補正するソフトウェア。部屋の環境や機材のクセを取り除くことで、信頼できる基準の音を作り出し、ミックスやマスタリングの精度を飛躍的に向上させるツールとして、世界中のクリエイタに愛用されています。
そして今回登場したVirtual Monitoring PROは、このSoundID Referenceのアドオン、つまり追加機能として動作する製品です。Virtual Monitoring PROソフトで、部屋鳴りを測定し、そのプロファイルをSoundID Referenceソフトに読み込むことによって、ヘッドホンでも部屋でスピーカーを鳴らした音を再現するというものになっています。実際の使い方は、この後紹介しているので、そちらを見ていただくとイメージしやすいと思いますが、まさに自分のスタジオ環境をどこにでも持ち運ぶことができる画期的なツールなのです。
ちなみに、既存の製品としてVirtual Monitoringというアドオンが存在していましたが、これとVirtual Monitoring PROの違いは以下の通り。
Sonarworksがあらかじめ用意したプリセットを使用して、有名なレコーディングスタジオのモニター環境や、一般的なカーステレオ、テレビ、スマホなどの再生環境をヘッドホン上にシミュレーションする。
プリセットではなく、自由に好きな場所を測定してヘッドホンに再現。専用のマイクを使って実際の音響特性をキャプチャするため、今スピーカーで聴いているサウンドをヘッドホンの中に持ち込むことができます。
Virtual Monitoring通常版とVirtual Monitoring PROは名前が似ていて、Virtual Monitoring PROの方が上位版に見えますが、機能としては似て非なるものとなっています。
専用バイノーラルマイクで「部屋」と「ヘッドホン」を測定
何はともあれ、実際にセットアップを行いVirtual Monitoring PROを試したので、そちらを紹介していきましょう。Virtual Monitoring PROのパッケージには、ソフトウェアのライセンスが書かれた厚紙に加え、付属のUSB-Cケーブルを使ってPCと接続する黒い長方形の機材と、イヤホン型のバイノーラルマイクが同梱されています。
これらを使って、スピーカーのサウンドから部屋鳴りまで測定していくわけですが、システム的には以下の図のように繋ぎます。
手順として、Sonarworks製品を使うのが初めてであれば、アカウント登録をして、その登録したアカウントでVirtual Monitoring PROをオーソライズします。ダウンロード/インストールするものとしては、SoundID ReferenceソフトとVirtual Monitoring PROソフト。インストールが完了したら、まずはVirtual Monitoring PROを起動していきます。
初めての場合、測定に掛かる時間は10分〜20分程度だと思います。日本語化されていないですが、ビジュアル的に分かりやすくセットアップ方法を教えてくれるので、特に迷うことなくセットアップを完了させることができました。まずは、起動して少し進むと、ちゃんとSonarworks EREF USB microphone、つまり黒い長方形の機材とイヤホン型のバイノーラルマイクが接続されているか?再生デバイスのサンプリングレートが44.1kHzに設定されているか?など、チェックリストが表示されます。1つずつ確認しながら、ボックスにチェックマークを入れていき、すべてチェックを入れると次に進みます。
次にバイノーラルマイクの信号チェックがあり、実際に耳に装着して、順番にマイクを触って音がきているかの確認を行いました。
両耳ともOKだったら、続いてスピーカーのチェックに入ります。スピーカーを繋いでいるオーディオインターフェイスを選択して、L/Rのテストサウンドを再生し、きちんとスピーカーが繋がっているか確認します。
これがOKなら、次にVirtual Monitoring PROのプロファイルを作成するにあたり、そのままをキャプチャするか、SoundID Referenceでキャリブレーションした音をキャプチャするか聞かれます。今回私の環境は、NEUMANN KH 80 DSPとKH 750 DSPの組み合わせで、すでにNEUMANN側でキャリブレーションしているので、そのままをキャプチャする方法を選びました。
次にオーディオインターフェイスに繋がっているヘッドホンのチェックです。同様にテストサウンドが流れるので、聴こえれば「Next」をクリックして次に進みます。
ここまでくれば、後もう少し。次にスピーカーの音量を指示通り、上げたり、下げたりして、適切なボリュームに設定していきます。
次にスピーカーを鳴らして、バイノーラルマイクでキャプチャ。同様の手順でヘッドホンの音量を調整し、ヘッドホンを鳴らして、バイノーラルマイクでキャプチャしました。これにて測定完了です。
測定が完了したら、最終調整。用意されたリファレンストラックや自分のリファレンスを聴きながら、最後は自分の耳で低音と高音を調整していきます。比較方法も考えられており、ワンクリックで切り替えられるほか、秒数で自動で切り替えることができるので、ヘッドホンを着けたり外したりしながら、実際にスタジオで鳴っているスピーカーと照らし合わせて設定していきます。
これが終わったら、アイコンとネームを設定して保存。完成したプロファイルをSoundID Referenceに読み込ませていきます。
SoundID Referenceにプロファイルを読み込む
Virtual Monitoring PROで測定した結果が保存されたプロファイルをSoundID Referenceに読み込ませていくわけですが、これも今までと同様、画面の指示に従えば簡単でした。Virtual Monitoring PROでの測定後、デスクトップアプリに読み込むか、プラグインに読み込むか、表示されるので、お好きな方を選んでください。デスクトップアプリ上に読み込んでおけば、音楽制作時以外、たとえばYoutube、Netflix、AppleMusicで音を再生するときにでも、部屋を再現することができるので、私は「Apply using the desktop app」を選んで、設定しました。
上記の画面で、「Open Reference App」をクリックするとSoundID Referenceが起動します。すると、「Click here to add a new output」という指示に従い、「Add new output」をクリックします。
先ほど、測定時に使用したオーディオインターフェイスを選択します。
アウトプット先の選択に移るので、普段からヘッドホンを再生しているチャンネルを指定。
自分のプリセットができた後は、また画面上部に「Click here to select a calibration profile」という吹き出しが表示されるので、「What do you want to do?」をクリック。
Virtual Monitoring PROのプロファイルを読み込みたいので、プルダウンメニューから「Load existing Virtual Monitoring Pro profile」をクリックします。
次に、先ほど保存したプロファイルを選択します。
プロファイルを読み込んだら、全行程終了です。見事にヘッドホンに、自宅のスピーカー環境のサウンドが再現されるようになりました。ちなみに、SoundID Referenceの音を有効にしたいときには、スピーカーの出どころをオーディオインターフェイスでなく、「SoundID Reference」にしてくださいね。
一度設定してしまえば、SoundID Reference上から、有効/無効をワンクリックで切り替えられたり、レベルの調整、モノ化、左右の入れ替え、などなど便利な機能も使うことができますよ。
ブラックフライデーセールを活用したVirtual Monitoring PROを最安値でゲットする方法
さて、ここからはブラックフライデーセール情報を見ていきましょう。今回行われているセール対象製品は以下の通りです。
| 商品名 | タイプ | 割引率 | セール価格 (税込) |
| SoundID Reference ↓ | |||
| for Heaphones | |||
| SoundID Reference for Headphones (download only) | NEW | 50% | ¥8,700 |
| for Heaphones & Speakers | |||
| SoundID Reference for Speakers & Headphones (download only) | NEW | 40% | ¥26,500 |
| SoundID Reference for Speakers & Headphones with Measurement Microphone (retail box) | NEW | 40% | ¥31,800 |
| for Multichannel | |||
| SoundID Reference for Multichannel (download only) | NEW | 30% | ¥62,000 |
| SoundID Reference for Multichannel with Measurement Microphone (retail box) | NEW | 30% | ¥67,300 |
| Add-On ↓ | |||
| SoundID Reference Virtual Monitoring Add-On (download only) | Add-On | 29% | ¥6,200 |
| Apollo Monitor Correction Add-on | Add-On | 37% | ¥8,900 |
| UPGRADE ↓ | |||
| Upgrade from Sonarworks Reference 3 or 4 Headphone edition to SoundID for Headphones (key only) | UPG | 50% | ¥3,400 |
| Upgrade from Sonarworks Reference 3 or 4 Studio edition to SoundID Reference for Speakers & Headphones (key only) | UPG | 45% | ¥8,700 |
| Upgrade from SoundID Reference Headphone to Speakers & Headphones (key only) | UPG | 41% | ¥17,600 |
| Upgrade from Reference 3 or 4 Studio Edition to SoundID Reference for Multichannel (key only) | UPG | 33% | ¥35,400 |
| Upgrade from SoundID Reference for Speakers and Headphones to Multichannel (key only) | UPG | 30% | ¥31,100 |
|
Apollo Monitor Correction Add-on Bundle ↓
|
|||
| SoundID Reference for Headphones and Apollo Monitor Correction Add-on bundle | NEW | 34% | ¥17,600 |
| SoundID Reference for Speakers & Headphones and Apollo Monitor Correction Add-on bundle | NEW | 33% | ¥35,400 |
| SoundID Reference for Multichannel and Apollo Monitor Correction Add-on bundle | NEW | 27% | ¥70,901 |
| Sound ID VoiceAI ↓ | |||
| SoundID VoiceAI Perpetual License | NEW | 40% | ¥10,500 |
ここではVirtual Monitoring PROに絞って、より詳しく「Sonarworks Black Friday Sale 2025」の攻略法を紹介していきます。まず前提として、Virtual Monitoring PROの導入方法は2種類あります。新規購入と既存ユーザー向けアップグレードの2つのパターンです。
1. これからSoundID Referenceを導入する方
SoundID Reference Virtual Monitoring PRO with Binaural Measurement Microphone
価格:49,500円(税込)
こちらは以下の3点がセットになったオールインワンパッケージです。
・Virtual Monitoring PRO ライセンス
・専用バイノーラルマイク(EREF)
SoundID Reference for Headphonesが含まれているため、これ一つ買うだけで「ヘッドホンの周波数補正」と「部屋鳴りのキャプチャ&再現」の両方が可能になります。これから始めるならこちらが基本の選択肢となります。
2. すでにSoundID Referenceをお持ちの方
Upgrade from SoundID Reference to Virtual Monitoring PRO
価格:37,400円(税込)
こちらは以下の2点がセットになったアップグレードパッケージです。
・専用バイノーラルマイク(EREF)
すでにSoundID ReferenceのHeadphones版、またはSpeakers & Headphones版などのライセンスをお持ちの方向けの製品です。ベースとなるソフトは手持ちのものを使い、そこにPRO機能と専用マイクを追加する形になります。
SoundID Reference for Headphonesを経由してVirtual Monitoring PROをちょっとお得にゲット!
冒頭でも書きましたが、今回国内発売されたVirtual Monitoring PROは対象外。ですが、現在開催中のブラックフライデーセールでは、「SoundID Reference for Headphones」が半額の8,700円になっているので、これを活用していきます。
もし、これから新規で導入する場合であれば、
「Virtual Monitoring PROへのアップグレード版」(37,400円)を購入
と別々に買うと、合計46,100円となり、新規購入のオールインワンパッケージ(49,500円)を買うよりも3,400円ほど安く導入することが可能です。少し手間はかかりますが、コストを抑えたい方には、このブラックフライデーセールを利用した合わせ技が断然おすすめです。
以上、Virtual Monitoring PROについて紹介しました。実際に試したわけですが、ヘッドホンをしているのに本当にスピーカーが鳴っているようでした。一番最初に聴いたときは、スピーカーが鳴っているよな、と思ってヘッドホンを外して確認するほど。もちろん、スピーカーは無音。再現性が高く、これならヘッドホンでもスピーカーのように作業できるなと感じました。
普段ヘッドホンだけで作業している方は、一度ちゃんとしたスタジオを借りてみて、Virtual Monitoring PROでキャプチャし、そのスタジオの空間を手に入れてもよし。実際にスピーカーを鳴らしている環境と100%同じかというと、もちろん違うので、最終的にはそのキャプチャしたスタジオをもう一度借りて、最後の調整を行っていくのがいいと思います。1からスタジオでミックスするというのは難しくても、Virtual Monitoring PROを併用して仕込んで、最後ちゃんとスタジオで確認することで、作品のクオリティは上げることができますね。
ほかにも、出先など、どうしてもヘッドホンで作業しなくてはいけないときに、スピーカーでのチェックに近いことができるのは、かなりのメリット。工夫は必要ですが、普段ライブハウスやクラブ、ホール、アリーナで流す音源を仕込む人も、その会場をキャプチャしておいてしまうというのも、面白い使い方じゃないかなと思いました。ぜひ、このSonarworks Black Friday Sale 2025を活用して、お得にVirtual Monitoring PROを試してみてはいかがでしょうか?
Apollo X Gen 2 x Sonarworksの最高のモニタリング環境を入手するチャンス
Universal AudioのオーディオインターフェイスであるApollo X Gen 2シリーズを2025年12月31日までに新規購入するとともに、ユーザー登録すると、SonarworksのApollo Monitor Correction Add-onが無償でもらえるというキャンペーンが開催されています。
これにより、コンピュータのCPUパワーを使うことなく、Apollo X Gen 2シリーズでSonarworksの音響補正ソリューションを活用する準備が整います。ただしApollo Monitor Correction Add-onだけでは補正ソリューションを使うことはできません。というのも、ここにSoundID Referenceシリーズのライセンスが入っていないからです。
そこで、これを使用するには別途
・Sonarworks SoundID Reference ソフトウェア
・SoundID Referenceとの互換性がある測定マイク
のそれぞれを入手する必要があります。
しかし本文で紹介したとおり、現在まさにブラックフライデーセール開催中で、かなりお得にApolloでの音響補正環境を揃えることができるチャンスなのです。このタイミングでApollo X Gen 2シリーズ+Sonarworksという最高のモニタリング環境を入手してみてはいかがでしょうか?詳細については以下のページをご覧ください。
Universal Audio : Apollo X Gen 2「フリー Sonarworks Apollo Monitor Correction Add-on」プロモーション
【関連情報】
SoundID Referenceトップページ
Virtual Monitoring PRO製品ページ
Sonarworks Black Friday 2025
【価格チェック&購入】
◎MIオンラインストア ⇒ Virtual Monitoring PRO + 専用バイノーラルマイク
◎MIオンラインストア ⇒ Virtual Monitoring PRO + 専用バイノーラルマイク(アップグレード版)
◎MIオンラインストア ⇒ SoundID Reference for Headphones


























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