このキーボード、バーチャル・インストゥルメント(ソフトウェア音源)とADVANCE KEYBOARDSを有機的に結び付けることで、まるでハードウェアのシンセサイザを扱う感覚でプレイできるというユニークな機材。市販のソフトシンセでも、オンラインソフトでも、このキーボードから自由に呼び出すことができ、さまざまなDAWとの連携も可能になっているのです。なかなかユニークで便利な機材なので、具体的に紹介してみたいと思います。

61鍵のADVANCE KEYBOARDS 61
このADVANCE KEYBOARDSは、一般のUSB-MIDIキーボードと同様の使い方もできるのですが、最大の特徴ともいえるのはハードウェア側と対をなすVIP(Virtual Instrument Player)というソフトが存在すること。これによってさまざまなソフト音源をハードウェア感覚で使うことを可能にしてくれるのです。
VIPを一言でいってしまえば、VSTインストゥルメントの母艦。DAWなしで各種VSTiを読み込んで使用できるホストアプリなんですね。もちろんWindowsでもMacでも使えるハイブリッドアプリ。これを起動した状態で、ADVANCE KEYBOARDSとUSB接続すると、お互いが連動するようになるのです。
これをVIP上でマウスを使った操作ができるのは当たり前ですが、同じことがADVANCE KEYBOARDSの画面上でもできるため、PC側を操作する必要がないんですね。選択すると、液晶には、そのプラグインのアイコンが液晶に表示されると同時に、各種パラメータがノブに割り当てらえるので、音色エディットなどもADVANCE KEYBOARDS側のみで行うことが可能です。
またMULTIというボタンを押すと、マルチ音源モードとなります。いわゆるパフォーマンスモードといえばいいでしょうかね。最大8つまでの音源をレイヤーしたり、スプリットする形で割り当てることが可能なのです。もちろん、どの音色をどう割り当てるかは自由自在に設定できますよ。
この際、ユニークなのは、8つあるパッドがカラフルに光ること。実はこの色がVIP側にある8つのチャンネルの色と同じになっており、プレイしながら、このパッドを押すことでミュートすることもできるし、上のツマミでレベル調整することもできます。また、そのチャンネルごとのバランスを確認できるミキサーを液晶画面に表示させることもできるようになっているのです。
さらにアルペジエーターなども搭載されており、さまざまなパターンが予め用意されています。こうした操作もすべてADVANCE KEYBOARDSのみで行うことができるので、ユーザーとしてはまさにハードウェアのシンセサイザ・キーボードを使っている感覚になるのです。
の7つで、そのほかにToolroomというHybrid 3用の追加プリセット・パックも用意されているんですね。
ADVANCE KEYBOARDSにバンドルされているアナログ&ウェーブテーブル・シンセサイザ、Hybrid 3
この音源名を見て、あれ?と思った方もいるのではないでしょうか?そう、これらはPro Toolsにバンドルされいる音源やその上位バージョン。以前Avid Technologyの中にあったAIRが現在、inMusicへと移籍した関係で、AKAI製品にバンドルされているんですね。これらの音源だけでもかなりの価値があると思いますよ。
またこのVIPの中からinMusicブランドおよび協賛デベロッパのソフト音源を直接購入できる機能も用意されているんです。これを考えるとVIPって、iTunesのソフト音源版みたいな感じですよね。フリー音源を含め手持ちのVSTインストゥルメントを管理して呼び出すことができ、追加購入できるわけですから……。
つまりPro ToolsやLogicなどVSTが使えないDAWであっても、VIPを介すことによって、VSTインストゥルメントのプラグインが使えてしまうという副次的な効果もあるわけです。
さらに、DAWにプラグインとしてVIPを組み込んで使う場合、VIP自体を複数起動させることも可能となるので、かなり複雑なことまでできそうですよね。もちろん、どれだけ多くのソフト音源を同時に使えるかはマシンパワーによりけりではありますが、VIP自体はとても軽いソフトなので、結構なことはできそうですよ。
以上、簡単にADVANCE KEYBOARDSとVIPについて紹介してみましたが、理解いただけたでしょうか?ADVANCE KEYBOARDS自体はPCからのUSB電源供給で動作し、オプションのACアダプタを使えば、スタンドアロンで動くMIDIマスターキーボードとして使うことも可能です。
リアにはMIDI入出力のほかエクスプレッション・ペダルとサステイン・ペダル接続用の端子も用意されているので、61鍵モデルを購入してマスターキーボードとして使うのも悪くないと思います。逆に、すでに愛用のマスターキーボードがあるという場合は、サブキーボードとして25鍵モデルを購入し、セットで利用するというのもいいと思いますが、いかがでしょうか?
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AKAI ADVANCE KEYBOARDS製品情報
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