ネット放送で使えるUS-2×2・US-4×4用Software Mixer設定術

高品位でありながら手頃な価格として人気のあるTASCAMのオーディオインターフェイス、US-2×2およびUS-4×4。これらの機材自体は2014年に発売されていたのですが、2016年2月1日にリリースされたWindows専用のユーティリティソフト「TASCAM Software Mixer V1.00」をインストールすることで、その機能が大きく進化するようになりました。

 

内容としては「『歌ってみた』、『演奏してみた』に救世主誕生。プラグインエフェクトを自由に使えるTASCAM US-2×2/4×4用ソフトウェアが便利!」という記事で書いている通り、インターネット放送などで便利に使えるようになったというものです。そこで、ここでは具体的にどのように設定すればいいのか、その手順について紹介してみたいと思います。

※3月3日、レイテンシーを改善するV1.10がリリースされています。


US-2×2およびUS-4×4を使ってネット放送を行う場合の手順を紹介していきます


[STEP1]基本的設定
ニコニコ生放送やUSTREAMで放送するにあたり、まずはドライバのインストールなど、基本的な設定操作を紹介していきます。
1.ドライバをインストールする

まずはUS-2-2、US-4×4用のドライバをインストールする
US-2×2、US-4×4を利用するには、必ずドライバのインストールが必要になります。まずは、最新のドライバをTASCAMのサイトからダウンロードしてインストールしてください。

 

2.TASCAM Software Mixerをインストールする

続いてTASCAM Software Mixderをインストールする
ドライバのインストールができたら続いてTASCAM Software Mixerをダウンロードし、インストールします。

 

3.機器をUSBで接続し、TASCAM Software Mixerを起動します

USB接続後、TASCAM Software Mixerを起動する(US-2×2接続時の画面)

US-4×4接続時の画面
インストールが完了したら、US-2×2またはUS-4×4をUSBケーブルでPCと接続します。その後、TASCAM Software Mixerを起動してください。起動する際に、アラート表示がでますが、ここではとりあず無視して「OK」をクリックします。


起動途中に上記のような画面が出てくるがとりあえず「OK」をクリックする

※TASCAM Software Mixerの画面はドライバの設定画面と非常によく似たものとなっており、機能的にはドライバ設定画面を包括するので、今後はドライバ設定画面を利用する必要はありません。

 

4.MODE設定を行う
画面左側に「MODE」というエリアがあります。DAWとBROADCAST/KARAOKEの2つが選択できますが、初期設定ではDAWになっています。
●DAWモード

DAWモード
SONARやCubaseなど一般のDAWで利用する際に使うモードであり、TASCAM Software Mixderをインストールしない場合と同様の動作をするモードです。

 

●BROADCAST/KARAOKEモード

BROADCAST/KARAOKEモード
ニコニコ生放送やUSTREAMなどのネット放送、もしくはカラオケを歌う場合に使うためのモードです。STEP2では「BROADCAST/KARAOKEモード」に設定することを前提に話を進めていきます。


上記のアラートが出てもとりあえずOKをクリック

※BROADCAST/KARAOKEを選択すると「External Effects(ASIO)が不要な場合はチェックを外してください」というアラート表示が出るので、いったんOKをクリックするとともに、チェックを外します。
[STEP2]ループバックとモニタリング
ニコニコ生放送やUSTREMAなどで放送する際、iTunesの再生音など、PCから出す音とマイク入力をバランスよく放送するための手順を見ていきます。
1.Windowsのサウンドの「再生」の設定を行う

Windowsのサウンド設定で再生においてはUS-2×2 & US-4×4 Mixing Driverを設定する
BROADCAST/KARAOKEモードに設定したら、まずWindowsのサウンドを開いてください。「再生」タブを見ると、「US-2×2(もしくはUS-4×4)」と「US-2×2 & US-4×4 Mixing Driver」という2つのデバイスが見つかるはずです。ここでは「US-2×2 & US-4×4 Mixing Driver」を選び「既定値に設定」をクリックしてください。

 

2.Windowsのサウンドの「録音」の設定を行う

録音もUS-2×2 & US-4×4 Mixing Driverを設定する
「録音」タブでも同様に「US-2×2 & US-4×4 Mixing Driver」を選び「既定値に設定」をクリックしてください。

 

3.DETAIL画面を表示する


DETAIL画面

改めてTASCAM Software Mixderの画面に移るとともに「BROADCAST/KARAOKE」が選ばれ、「External Effects(ASIO)」のチェックが外れていることを確認し、隣の「Detail」ボタンをクリックします。すると「DETAIL」という画面が表示されます。

 

4.MONO/STEREOと入力レベルを設定する

必要に応じて入力元に応じてモノラル(MONO)かステレオ(STEREO)の設定をする
MONOとSTEREOを選ぶ項目があります。マイクやギターなどモノラル信号を入力する場合はMONOを、ステレオ信号を入力する場合はSTEREOを選択の上、その下にあるフェーダーを利用して、入力レベルを調整します。

 

5.ループバック入力の設定をする

入力レベルや出力レベル、PCからのループバックレベルなどを設定する
iTunesやWindows Media Playerの音、さらにはゲームなどの音を放送する場合には「PC Audio Out」のフェーダーを動かすことでループバックさせて送り出すことができます。適当な音量になるように調整してください。またBROADCAST Volumeは通常最大の設定でいいはずですが、必要に応じてこちらも調整します。

 

ここまでの設定で、PCからの再生音とともにマイクをミックスして放送することが可能になります。
 
[STEP3]エフェクトを利用する
ここではSONAR X3 LEを利用して、マイクからの入力にリバーブをかけて放送できるようにします。
1.External Effects(ASIO)をオンにする

「External Effects(ASIO)」にチェックを入れる
TASCAM Software MixderのMODE設定が「BROADCAST/KARAOKE」であることを確認の上、「External Effects(ASIO)」にチェックを入れ、Detalボタンをクリックしてください。するとExternal Effectsを通って出力する図になることが確認できます。

 

2.SONAR X3 LEを起動する

SONARを起動して表示されるクイックスタートで「新規プロジェクト」をクリック

「オーディオをプロジェクトのオーディオフォルダに保存」のチェックを外してから「OK」をクリック

SONARの新規プロジェクト画面が表示される
次にインストール済みのSONAR X3 LEを起動します。クイックスタート画面が表示されるので、「新規プロジェクトの作成」をクリックします。さらに「新規プロジェクトの作成」ダイアログが出てくるので「オーディオをプロジェクトのオーディオフォルダに保存」のチェックを外した上でOKをクリックすると、新規プロジェクトが表示されます。

 

3.SONARのオーディオドライバを設定する

SONARの環境設定画面でオーディオの入出力ともに「US-2×2 & US-4×4 Mixing Driver」にチェックを入れる
メニューから「編集」-「環境設定」を選択すると、環境設定画面が出てくるので、オーディオの「デバイス選択」において、「US-2×2 & US-4×4 Mixing Driver」に入出力ともにチェックが入っている状態にしてください。

 

4.SONARでエフェクトの設定を行う

オーディオトラックのインサーションエフェクトにリバーブを設定する
最後にオーディオトラックにエフェクトを組み込みます。具体的にはオーディオトラックを選択の上、画面左端のFXの欄で「+」マークをクリックすることで、エフェクトの選択画面が出てきます。ここでは「オーディオFX」-「DirectX」-「Sonitus:fx」-「Reverb」を設定すればOKです。

 

5.モニターをオンにする


モニターボタンをオンにすればエフェクトが利用できるようになる
以上で準備完了です。最後にオーディオトラックのモニターボタンをオンにすればリバーブが使えるようになります。リバーブがかからない聴こえない場合は、US-2×2またはUS-4×4のMONITOR BALANCEのツマミがCOMPUTER側に回っているかを確認してください。これで放送を行えば、リバーブがかかった状態となり、必要に応じてSONAR側を設定することでリバーブのON/OFFやほかのエフェクトの利用なども可能になります。

※スタンドアロンのプラグインホストを活用する 


SONAR X3 LEの代わりにBlue Cat PatchWorkを利用するのも手
ここでは、US-2×2やUS-4×4にバンドルされているDAW、SONAR X3 LEをエフェクト起動用ソフトとして活用しましたが、もっと軽いソフトで運用する方法もあります。たとえば、以前「VST、AU、AAX、RTAS…何でも来い、Blue Cat PatchWorkが超便利!」という記事で紹介したBlue Cat PatchWorkというソフトなら、エフェクトを組み込むだけの目的のソフトとして活用できます。これならば無駄にPCのCPUパワーを食わず、エフェクトを利用することが可能になるわけです。

【関連情報】
US-2×2製品情報
US-4×4製品情報
TASCAM Software Mixerダウンロードページ

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