Banner B0
640x200伸縮サイズ
Banner B1
640x200伸縮サイズ
Banner A0(728x90)伸縮サイズ

生ドラムそのものと話題のエレドラ、aD5がDAWとの連携で究極の機材に!

ローランドの創業者であり、元社長、元会長である梯郁太郎(かけはし・いくたろう)さんが、ローランドを抜けて昨年11月に新たに設立した電子楽器メーカー、ATV株式会社。そのATVから今年、第一弾の製品、aD5というドラム音源が発売されたことはご存知の方も多いと思います。ドラムパッドはローランドのV-DrumsやヤマハのDTXなど他メーカー製品を使うことが前提となっていて、製品としてはこの音源だけなのですが、サウンドエンジンに徹底的にこだわったというだけに、「これは生ドラムそのものだ!」、「エレドラの再発明だ」と大きな話題になっています。
そのaD5がこのほどファームウェアのアップデートをすることで、DAWとの連携が可能となり、レコーディングにおいても大きな威力を発揮する新世代エレクトリック・ドラムへと進化するそうです。実際、どんなことができるのか試してもらったので、その内容を紹介してみましょう。


ATVのエレクトリックドラム音源、aD5が大きく進化し、DAWとの連携で実質的パラアウトが可能に!


Banner B2
640x200(320x100)
伸縮サイズ
Banner B3
640x200(320x100)
伸縮サイズ
Banner A1(728x90)
伸縮サイズ

ATVという会社の設立の経緯などについては、昨年の記事「MIDIの父、梯郁太郎さんがCOME BACK!! 電子楽器メーカー、ATV始動」にあるので、そちらを参照いただきたいのですが、まだ総勢20人にもならないベンチャー企業。とはいえ、既存の大手楽器メーカーではできない徹底的にこだわった楽器を作ろうと開発をしてきた結果、生まれたのがaD5というドラム音源なんですよね。


昨年11月、ATV株式会社の設立を発表したときの梯郁太郎さん

 

音源としてはサンプリング方式で、実際のドラムのサンプリングに他のメーカーではありえないほどの手間をかけ、パワーを割いているんだとか。もちろんハイレゾでのサンプリングで(カタログではピュアオーディオという言い方をしてますね)、エフェクトもEQもかけてない、完全な素の音。また、パッドを叩いてから発音するまでのレイテンシーをなくそうと、ここにデジタル処理パワーを集中しており、他メーカーと大きく差別化しているようです。


パッドにはローランドのV-DrumsやヤマハのDTXを利用する

とはいえローランドのメッシュのパッドを使うのか、ヤマハのDTXの発泡シリコンのパッドを使うかなどによって、反応は違ってきそうですが、ここはどうなっているのか?担当者によると「国内メーカーのパッドはもちろん、海外メーカーのものも含め、その特性を記録した情報を持っているので、各パッドと接続する際、どのメーカーのどの型番のものを使ったかを設定することで、最適な鳴り方をするようにしてあります」とのことで、ホントに細かく作り上げていることが分かりますよね。

 

実際に叩いてみると、まさに生ドラムという音がするし、もちろんドラムキットを切り替えれば、まったく違う生ドラムへと変身します。今後もこうしたこだわり抜いたドラムキットのデータをオプションとして追加できるように準備を進めているとのことですが、現在の用途としては自宅でのプレイ用が中心。せっかく最高の音が鳴らせ、それをラインで録れる機能を持っているのだから、レコーディングでも活用したいところですが、一つ大きなネックがあったのです。


aD5の出力はステレオ2chで、パラアウトはできないのがネックだった

 

それは、aD5はステレオ出力で、パラアウトができないという問題。もちろん、aD5本体でキック、スネア、ハイハット、シンバル……とバランス調整はできるのですが、やっぱり録った後でレベル調整はしたいところ。また、音を作り込んでいくためには各音ごとにEQやコンプ、またリバーブなど各種エフェクトを使って加工していきたいところですが、aD5だとステレオ出力しかないので、エフェクトも全体に掛けるほかなかったのです。

 

だったらパラアウトができるラックマウント型の新製品を出すとか、オプションのブレイクアウトボックスを使ってパラアウトする……なんてことができればいいのですが、この反応性、低レイテンシーを実現するには処理能力的に難しいのだとか……。


ファームウェアのアップデートによりINDIVISUAL MIDIという機能が追加された 

 

そこで編み出された新しい機能が「INDIVISUAL MIDI」というもの。キック、スネア、ハイハット、シンバル……といったパッドそれぞれに個別のMIDIチャンネルを割り振ることで、実質的なパラアウトを実現するという機能なのです。でも「個別のMIDIチャンネルがどうパラアウトと関係するの!?」と思う方も多いのではないでしょうか?実際にパラアウト化する実験を行ってみたので、簡単に手順を追っていきましょう。


SONARとQUAD-CAPTUREを使ってaD5のパラアウト化に挑戦

ここではDAWにCakewalkのSONARを用意し、オーディオインターフェイスにはRolandのQUAD-CAPTUREを使っていますが、多くのDAW、オーディオインターフェイスでも基本的には同じことができますよ。


aD5のUSB端子をPCと接続するとともに、オーディオ出力をQUAD-CAPTUREの入力へと接続 

 

まずaD5にはUSB端子があるので、これをPCと接続します。これは実質的にMIDIケーブルの役割をするものですね。SONARからはMIDIの入出力デバイスとしてaD5が認識されているのが確認できます。


SONARにはMIDI入出力としてaD5が認識されている

さらにSONAR側に10個のMIDIトラックを作成した上で、上から順にMIDI 1ch、2ch、3ch……と割り振っていきます。そう普通ドラムってMIDI 10chを使って全部送るのが一般的ですが、INDIVISUAL MIDIによってチャンネルをバラしているのです。


予めMIDIトラックを10個用意し、それぞれに別のMIDIチャンネルを割り振る

準備ができたら早速レコーディングです。このビデオを見ても分かる通り、各パッドごとに別々のMIDIトラックにレコーディングされていくことが分かりますよね。

これを再生して、MIDI信号をUSB経由でaD5に送ってやれば、今の演奏が再現できるわけですが、ここではちょっとトリックを行います。そう上から1トラックずつソロで演奏させて、それをaD5で鳴らすとともに、オーディオ信号をQUAD-CAPTUREを経由させてオーディオトラックに取り込んでいくのです。これを1トラックずつ10回繰り返すことで、先ほどのドラムプレイが、完全にパラの形で10個のステレオ・オーディオトラックに展開されるわけです。


1トラックずつソロで再生し、オーディオトラックへバウンスしていく 

 

あとは、MIDIトラックは消してしまってもOKですし、SONARのミキサーで音量バランスを整えたり、EQで調整したり、コンプやリバーブを掛けるなど自由自在。パラでのレコーディングができたというわけなのです。いかがでしょうか?

 

「でも、わざわざINDIVISUAL MIDIなんて機能を使わなくても、そもそもキックもスネアもハイハットも、別々のMIDIノートで信号が送られているのだから、それをトラックに分けて利用すればいいのでは!?」と思った方も少なくないのではないでしょうか?私も当初そう思ったのですが、そんなに簡単にはいかないようなのです。

 

というのもドラムを叩く信号はMIDIのノートオン、ノートオフだけではなく、コントロールチェンジの情報も数多く飛び交っているからです。たとえばシンバルをミュートするのに、手でシンバルの揺れを止めると、ここでコントロールチェンジ情報が発生するのですが、すべてのパッド情報がMIDI 10chに流れていると、どれをミュートするのかわからなくなってしまいます。

 

もちろんシンバルのミュートに限らず、キックのチューニングやアタック、コンプ、ディケイ、レベル、同様にスネアのチューニング、スナッピー、コンプ、ディケイ、レベル……とさまざまなコントロールチェンジが混在するので、MIDI 10chですべてのパッドを独立して制御するのは不可能。そのためにINDIVISUAL MIDIという機能が用意されたわけなのです。

 

確かに10回バウンス作業を行うので手間といえば手間ですが、機材的には2INのオーディオインターフェイスがあれば済み、10ch(ステレオだから20chですね)の入力を持つオーディオインターフェイスを用意する必要もありません。


オーディオインターフェイスは2INあればOKというシンプルな構成でパラアウトが実現できるのがポイント

またオーディオで直接レコーディングするのと違い、MIDIの段階でエディットすることができるのも大きなメリットでもありますよね。

 

もちろん、この方法はレコーディングに有効なものであって、ライブ演奏でのパラアウトには使えません。でも、ドラマーが演奏した音を完全な形でDAWにレコーディングし、後で加工していくという点では、最高の手法だと思いますが、いかがでしょうか?

INDIVISUAL MIDIという手法は、これまで他社では扱っていない新しいアプローチ。さすがMIDIという規格自体を生み出した梯さんの新しい会社の製品という感じですね。MIDIが誕生して30年以上経過しても、こうした新しい使い方が登場してくるというのが面白いところでもあります。

 

今後もaD5ではファームウェアのアップデートという形で機能追加していくとともに、新しいサウンドをネット経由で入手可能になるなど、どんどん進化していくようです。

なお、6月7日(ニコニコ生放送)および6月11日(AbemaTV FRESH!:ニコニコ生放送の録画再放送)で放送する第57回:DTMステーションPlus!で、このaD5とDAWの連携などを実演していく予定です。よかったら、ぜひご覧いただければと思います。

【関連情報】
aD5製品情報

【関連記事】
MIDIの父、梯郁太郎さんがCOME BACK!! 電子楽器メーカー、ATV始動

【DTMステーションPlus!】
6月7日 21:00~  ニコニコ生放送
6月11日 21:00~ AbemaTV FRESH!

Commentsこの記事についたコメント

1件のコメント
  • ねむねむ☆

    あーなるほどちょっとした発想の転換なんですね
    頭良いわ~

    2016年6月1日 7:20 AM

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です