ちょうど1年前、「仙台の5人のベンチャーが開発した小型デジタルDJ機が秀逸!より高機能・低価格化してクラウドファンディング実施中」という記事で紹介したJDSoundのGODJ Plusというオールインワンのポータブル・デジタルDJ機。そのクラウドファンディングを行ったMakuake(マクアケ)では、GODJ Plusは1292人のサポーターから過去最高額となる5,300万円を調達した、とニュースにもなりました。大成功となったクラウドファンディングの後、いろいろと苦労はされたようですが、3月末には生産がスタートし、1日約50~60台のペースで出荷が進んでいて、サポーターの元には続々と製品が到着していっているようです。
GODJ Plusの設計をJDSoundの会社がある仙台で行い、生産は石巻と、MADE IN 被災地で行っていることも話題となりましたが、4月中旬に1292人分の製品の生産が完了し、本日4月28日より一般に向けた販売がスタートしました。実際、GODJ Plusとはどんな機器なのか、気になる方も多いと思うので、先日、JDSoundの代表取締役である宮崎晃一郎さんにお話しを伺いました。
GODJ Plusを開発したJDSoundの社長、宮崎晃一郎さん
宮崎:GODJはコンパクトなポータブルDJシステムで、内蔵メモリやSDカードに音楽を入れて、これでDJを楽しめるオールインワンのシステムとなっています。数多くのDJの方々に使っていただきながら意見をいただき、改良に改良を重ねてきたものであるだけに、DJを楽しみたいというみなさんに自信を持ってお勧めできる機材です。GODJ-CもGODJ Plusも基本性能は同じですが、GODJ Plusのほうはアンプとスピーカーを内蔵し、これ単体でかなり迫力ある音量でDJを楽しめるというのが大きな違いです。また見比べてみても分かるとおり、GODJ Plusのほうにはノブが10個ディスプレイの上に並んでいるので、ここでEQのコントロールができたり、CueとMasterの調整をおこなったり、モニターレベルを調整できるのも大きな特徴です。
GODJ Plusのディスプレイ上部にはスピーカーと10個のノブが並んでいる
左右に8つずつのパッドとCUEボタン、PLAYボタンが配置されている
宮崎:GODJ-Cでは出力がミニジャックだったのが、GODJ PlusではRCAのラインアウトに変更になっています。そのほかのヘッドホン出力、マイク入力、ライン入力に関してはいずれも同じですね。一方で、GODJ-CではUSB MINI-Bの端子だったのがmicro USBになったほか、USB Aの端子も搭載しています。このうちUSB MINI-Bとmicro USBは基本的には同機能であり、電源供給と内蔵バッテリーの充電用、またPCとの接続用に使用するものです。一方、USB Aの端子にはUSBメモリーを刺せるようになっているんです。GODJ-CにもGODJ PlusにもSDスロットがあるので、SDカードにWAVやMP3などのデータを入れて使うことが可能ですが、これに加えてUSBメモリーでもデータを扱えるようにしているのです。さらにGODJ PlusではWi-FiやBluetoothに対応したのも大きな機能的な違いとなっています。
GODJ Plusのオーディオ出力はRCAのライン出力になっている
宮崎:Wi-FiやBluetoothもUSBにアダプタを取り付けることで使えるようになる、というものです。このWi-Fi機能は、PCがなくても、ここに直接音楽をダウンロードして使えるようにするため、という目的で搭載しました。具体的に、どの音楽ダウンロードサービスと連携させるかについては、現在各社と交渉中であり、実現可能になったところでファームウェアのアップデートの形で提供していく予定です。ダウンロードだけでなく、ストリーミングにも対応できれば……と目論んでいるところですが、詳細についてはもう少しお待ちください。一方、Bluetoothにおいては2つの使い方を可能にしています。ひとつはせっかく持ち運べるコンパクトなDJ機材なので、クラブ内を歩き回っても使えるように、外部のBluetoothスピーカーから音が出せるようにする、というものです。もう一つは反対に、外部機器から信号を受けて、GODJ Plus自体をBluetoothスピーカーとして鳴らせるようにする機能です。ライン入力からも信号を受けることが可能ですが、それに加えてBluetoothでも同様のことを可能にしたわけですね。
SDカードスロット、micro USB端子に加え、USB A端子もあり、USBメモリ、Wi-FiやBluetoothアダプタが利用できる
DJプレイは液晶ディスプレイに表示されるターンテーブルなどを使って操作する
--DTM的な視点でいうと、先ほどのドラム音源に加え、ピアノ音源やギター音源もあるのも気になります。
GODJ Plus、GODJ-Cに搭載されているドラム音源、シーケンスパターンを組んで使うことも可能
宮崎:これまでのところ、ファームウェアアップデートについては無償で行ってきました。今後も基本性能の向上やバグフィックスなどは無償で行っていく方針ではありますが、たとえばエフェクトの追加やハイレゾデータへの対応などの新機能については、有償にて行うことも検討しているところです。われわれとしても小さな企業で、開発にかなりのパワーが掛かるので、そうしたご協力をお願いする一方、このハードウェアでさらに新しいサービスをお楽しみいただけるように、力を入れていきたいと思っているところです。ぜひ、ご期待いただければと思います。
さまざまな画面が用意されており、細かな設定、細かな操作までが可能になっている
--ありがとうございました。
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ゲーム機風DAWのKDJ-ONEがJDSoundによって製造される!?
ところで、クラウドファンディングという話から、以前、DTMステーションでも何度かとりあげたゲーム機風DAW、KDJ-ONEについて思い出した……なんて方も少なくないと思います。私もサポーターとしてKDJ-ONEを1つ申し込んだのですが、クラウドファンディング実施してから2年以上経った今も、まだ完成に至っておらず、メーカーであるサイバーステップも苦労しているんだな……と思っていたところです。
製造について大幅に見直し、KDJ-ONEの生産にようやくメドがついた
そんな話を雑談的に、宮崎さんにお話ししたら、驚くような回答が返ってきたんです。「実はまだ公開されてないんですが、うちでKDJ-ONEの生産を請け負ったんですよ」と! その数日後、サイバーステップからも、JDSoundにKDJ-ONEの生産を委託したことが発表された次第。実際に手元に届くのは、まだもうちょっと先になりそうとのことですが、こんなつながりがあったんですね。また、詳細情報が入ったらお伝えしようと思います!
【追記】2017.5.1
4月30日に行われたM3にKDJ-ONEが企業ブースとして出展した
残念ながら私は参加できなかったのですが、4月30日に開催されたM3=音系・メディアミックス同人即売会において、JDSoundが生産を請け負って作り直しているKDJ-ONEが一般にお披露目されました。氏家克典さんがデモをするとともに、4台の新マシンが展示され、好評だったとのこと。完成を楽しみに待ってます!