そう聞くと「あれ、nanaと似たもの?」という印象を持つ方も多いと思いますが、方向性に多少違いはあるものの、完全な競合といえるサービスだと思います。そのignoteの社長である中西孝之さんとは、melocyの立ち上げ当初から何度かお会いしたきとがあったのですが、先日「『melocyフェス 2017sprinrg』というライブイベントを初めて開催するので、ぜひ見に来てほしい」という連絡をもらい、ゴールデンウィーク中で、ちょっと時間があったので覗きに行ってきました。小規模ながら、なかなか盛り上がっていたので、レポートしてみたいと思います。
melocyはnanaと比較すると、小さな規模で行っているサービスであり、集まっている人数も少ないのですが、スタートしたのはほぼ同時期で2012年10月。nanaが歌を中心に展開しているのに対し、melocyはどちらかというと演奏寄りな展開をしているという印象です。クリックを流しながらの演奏ができたり、録音の尺が5分までとなっているあたりも、演奏系の人が集まる所以となっているところかもしれません。
「バンドなど一緒に音楽をする仲間を探すのはなかなか難しいものです。とくに地方になるとそのハードルは上がります。スタジオや楽器屋さんでメンバー募集してもなかなか集まらないし、まして自分の好きなジャンルとなると、ほぼ無理というのが実情です。もちろん地理的な問題だけでなく、時間的な問題で休みが合わなかったり、夜勤の人、昼に働いているひと……と難しいですよね。でもそれをネットなら解決できるはず、という思いは10年ほど前から考えていて、地元の開発仲間とブレストはしていたんです」と語るのは中西さん。
「PCベースだと、なかなか現実的でないな……と思っていたところ、iPhoneなどのスマホが登場するようになり、これならできそう!と同じ福井県のウォンツさんなどにも協力してもらいながら開発したんです」と中西さんは当時を振り返ります。
そのスタートから約5年。これまでmelocyユーザーのオフ会は何度か行われていたそうですが、今回初めてライブハウスを借り切ってのイベントを行ったとのこと。場所はDTM系のイベントでも時々使われる、東京・渋谷にある音楽学校MI JAPAN東京校のライブステージです。
開場時間に行ってみると、10代~20代と思われる人たちがいっぱい集まってきており、歓喜に沸いています。そばにいって聞いてみると「わぁぁ、〇〇さんですね!初めまして!!会いたかった!」なんて言い合って盛り上がっているんですね。まさに「THEオフ会!」という感じです。
その一方で、プロの歌い手さんも参加しているのも面白いところ。ステージ上でback numberの『青い春』を熱唱していたわん子さんは「もともと芸能事務所に所属して歌をやっていたんですが、いまはフリーでモデルと歌をうたってます。私がmelocyを始めたのは3年くらい前ですね。ここはプロの世界みたいにカッチリしすぎず、でも技術がある人もいっぱいいてコミュニティーがしっかりしているのが楽しいところ。ここでいろいろなことを教えてもらっています。ライブと違って歓声は聞こえないけれど、melocyではコメントは結構いっぱいもらえるので、気分もいいですね。今後はmelocyの人たちと組んでライブとかをやってみたいですね」と話していました。
もちろん、ここにはDTMをしている人もいました。今高校3年生で理系大学を目指して受験勉強中という霧馬さんは「melocyは人と人の繋がりの温かさが、すごく好きでやってます。曲はGarageBandで作ってアップしていて、ボカロ曲のカバーを作って投稿すると、いっぱいの人たちがコラボしてくれたり、コメントがつくのが楽しいですね。またTwitterで“これすごい!”なんてシェアしてくれると、すっごく嬉しいですね。私自身はエレキギターを弾いていて、これをGarageBandにレコーディングしたりもしています」とのことでした。
このイベントでは、オープニングはSkyscrapersという2人組のユニットによるギターの弾き語りからスタート。もちろんmelocyで活躍している方々なんですが、実はギターの方は福井県出身で、melocyの立ち上げ当初からライブの現場とmelocyとの橋渡しに関わっていたのだとか…。
その後は事前にエントリーのあった9人のmelocyユーザーによる歌の披露。事前にくじ引きをして順番を決めてのライブです。気になるバックバンドはMI JAPANの先生などのプロが担当したのですが、その日・その時が初セッションとのこと。どんなことになるのだろう……とちょっと不安もありましたが、さすがプロ、その場で譜面を見ての演奏ですが完璧ですよね。もちろん歌い手の方々も、みなさんなかなかの力量でした。
その後登場したのが、このmelocyフェスのメインとなるMeRodickというバンドによる演奏。実は、このMeRodickは、まさにmelocyのコミュニティーの中で生まれたバンドであり、melocyの在り方を象徴するようなバンドのようです。
ちなみにビンゴの景品にはIK MultimediaのiRig NANO AMPやインターネットのSinger Song Writer LOOPSなどDTM機材もいろいろ。会場に行くまでまったく知らなかったのですがIK製品の発売元であるフックアップやインターネットが後援として参加していたんですね。
当日の様子はYouTube Liveで配信されており、その内容はアーカイブされているので、興味のある方はご覧になってみてはいかがでしょうか?
そのmelocyでは昨年11月からDTM制作した楽曲データのPCからの直接アップロードが可能になっていましたが、今後のmelocyの発展を期待しつつ、DTMとどう絡んでいくかなどについて、注目していこうと思います。
【関連情報】
melocyサイト