往年の名スピーカーをシミュレーションするVST/AUプラグイン、V MONITOR誕生

国産DAWであるABILITYSinger Song Writer Lite、波形編集ソフトのSound it!など開発する株式会社インターネットが、ユニークなプラグイン、V MONITORを開発し、11月18日から発売を開始しました。これはオーディオの世界で名機と呼ばれるスピーカーから鳴らした音をシミュレーションするプラグインエフェクトで、「B&W 802D」や「JBL 4367」などの音を再現するというもの。

DAWで音楽制作をする際、最後のマスター段に掛けることにより、名スピーカーで鳴らしたようなサウンドに仕立てることができるのです。開発元のインターネットによると、実際のスピーカーの音響特性をキャプチャーしたIR(インパルスレスポンス)データを元に畳み込み演算でリアルなサウンドを再現しているとのこと。WindowsおよびMacのVST2、MacのAudio Unitsで動作するダウンロード型の製品となっています。価格は7,700円(税込)ですが、12月7日までは発売記念キャンペーンで30%オフの5,390円となっています。実際試してみたので、どんなプラグインなのか紹介してみましょう。

日本のソフトメーカー、インターネットから名スピーカーをシミュレーションするV MONITORが発売に

音楽制作において、結構重要になるのが、最終的な音のチェックです。自分では「完璧な作品ができた!」と思っても、人に聴かせると、最終的な音の調整不足から、思った通りの評価が得られない……ということも少なくありません。

極端な例でいうと、「すべてヘッドホンでモニターしながら、綿密に音のチェックをして仕上げたのに、知人に聴かせたら、『作品としての評価の前にまともに音が聴こえない』と言われた……」なんてことも。このケース、立体的な音の効果を狙って左右チャンネルで逆相にしていた結果、知人がスマホのスピーカーで鳴らしたら左右が打ち消しあって、まともに音が聴こえなかったんですね。

Ability Proのマスタートラックに挿したV MONITOR

ここまで極端なことはあまりないにせよ、はやり音のチェックをする際には複数のヘッドホンで聴き、さまざまなスピーカーで聴いたり、ラジカセ、スマホで聴いたり…といろいろ試してチェックすることが重要。とはいえ、そんなにさまざまな再生環境は持っていない……という人が大半ではないでしょうか?

そうした中、インターネットが出したV MONITORというプラグインは名機といわれる往年のスピーカーから出す音を忠実にシミュレーションしてくれるというもの。手持ちのモニタースピーカーの音を名機から聴いているようにできるのはもちろんのこと、ヘッドホンボタンをオンにすると、ヘッドホンで聴きながらも、前方にあるスピーカーから聴いているような音にできるユニークなプラグインです。

Cubase Pro 11でも問題なく動作

使い方はいたって簡単。DAWのマスターチャンネルの最終段にV MONITORを挿して、鳴らしたいスピーカーを選ぶだけ。VST2およびAU対応なので、WindowsでもMacでも利用でき、Ability Proで動くのはもちろんですが、CubaseでもStudio Oneでも問題なく使うことができました。

Studio One 5 Professionalでもしっかり動作

通常はモニタースピーカーで聴くためのモードになっていますが、右にあるヘッドホンボタンをオンにすると、ヘッドホンやイヤホンで聴きながらスピーカーから聴いているような音にしてくれます。

ヘッドホンボタンをオンにすることで、ヘッドホンを使いながらスピーカーから聴いているような前方定位した音になる

これ、どういうことかを簡単に説明しておくと、ヘッドホンやイヤホンで聴いた場合、左の音は左耳に、右の音は右耳に聴こえてきます。当たり前ではありますが、これがスピーカーと大きく異なるのです。そう、スピーカーは左の音が左耳に届く一方、右耳にも届きます。部屋の大きさやスピーカーから人までの距離、また壁がどこにあるかなどによって、左右のバランスも変化してくるのです。このV MONITORのヘッドホンモードでは、そこをシミュレーションしているのです。

BASS、TREBLEで音質補正することも可能

その下にあるSPACEは部屋の広さを調整するためのもので、これによっても聴こえ方はかなり変化しますね。

その下にBASSとTREBLEという項目がありますが、これは音質を補正するためのもの。こうした高級スピーカーだと、柔らかい音になるのが一般的ですが、高域はあまり出ないのも特徴のひとつ。そこで、少し自分の好みに合わせて調整できるようになっているのです。

さて、そのV MONITORでは、5つのスピーカーをシミュレーションできるようになっており、メニューで選ぶと表示されるスピーカーのデザインも変化します。

メニューから5つのスピーカーのモデルを選択できる

そのメニューにはJB 67とかGEN 31などそれっぽい名称が書かれていますが、そのものズバリの表記はされていなんですね。でもこの画像と名称から推測はできます。以下がその関係です。

JB 67 JBL 4367
TA CB-GR TANNOY Canterbery/GR
SONU CRE Sonus faber Cremona
BW 02D B&W 802D
GEN 31 GENELEC 1031A

1本何十万円~何百万円のスピーカーのサウンドを手元にヘッドホンで味わえるのですから、持っておいて損のないプラグインだと思います。

JBL 4367をシミュレーションするJB 67

TANNOY Canterbery/GRをシミュレーションするTA CB-GR

Sonus faber CremonaをシミュレーションするSONU CRE

B&W 802DをシミュレーションするBW 02D

GENELEC 1031AをシミュレーションするGEN 31

もちろん、このV MONITORを挿したままの状態でマスター書き出しをすることは可能ですが、通常はモニター用に使うものなので、最後は外すか、オフの状態で書き出すように気を付けてくださいね。

ちなみに、このV MONITORはプラグインとして発売される前に、オーディオファン向けにPC Audio FXというWindowsソフトとして今年8月に先行販売されていました。このPC Audio FXはプラグインではなく、Windowsに常駐する形のソフトとなっていて、Windows Media Playerでも、iTunesでもSpotifyでも、音楽再生ソフトを鳴らすと、このスピーカーシミュレーターを通した音で鳴らすことができるというものでした。

今年8月に発売されたPC Audio FX

PCで音楽を聴く人にとって、とっても便利に気持ちいい音にしてくれるソフトとして話題になっていましたが、それをDAWで利用できるようにプラグイン化したのがV MONITORだったというわけなのです。キャンペーン期間中は、30%オフで入手できるので、この機会に買ってみてはいかがでしょうか?

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