独自路線を突き進むBitwig Studio、4.1へのVerUPでMIDIノートに革新的な新たな可能性を

2014年にリリースされてから7年が経過したBitwig Studio。登場当初はAbleton Liveの真似?のようにも言われていたいましたが、バージョンアップを繰り返すうちに、モジュレーターというユニークな機能を装備したり、The Gridというシンセサイザー構築機能を搭載するなど、明らかにほかのDAWとは違う独自の進化を続けてきています。

そのBitwig Studio、この夏に4.0へのメジャーバージョンアップがされたばかりですが、つい先日バージョン4.1が登場(12月14日現在、バージョン4.1.1)。このタイミングで、MIDIノートに関する強力な機能が多数追加されたのです。「いまさら、MIDIノート?」と、いぶかしがる方もいるかもしれませんが、Bitwig Studioに今回搭載された8つの新しいノートFX(ノートエフェクト)はDAWに新たな可能性を開く強力な機能、といって間違いないと思います。「ノートFXって何だ?」という方も少なくないと思うので、Bitwig StudioのノートFXに焦点を絞って紹介してみたいと思います。

Bitwig Studio 4.1になり、ノートFXが8種類追加され、MIDIに新たな可能性が生まれた

8月に「異彩を放つDAW、Bitwig Studio。バージョン4が誕生し次の次元へ!」という記事で、バージョン4.0をレポートした際には、コンピング機能やオペレーター機能などを紹介するとともに、M1 Macへのネイティブ対応についてもチェックしてみました。この時点では、比較的順当なアップデートであり、メジャーバージョンアップの派手さはあまりなかったようにも思いました。

12月12日現在、Bitwig Studio バージョン4.1.1となっている

が、それから4か月で登場したバージョン4.1のほうが実はバージョン4.xとしての本命だったのかもしれません。そう、ここには8つのノートFX機能が追加され、MIDIノートの新しい活用法が見いだされるとともに音楽制作の新しい可能性が提案されたのです。

MIDIノートとは言うまでもなく、MIDIでの音符情報のこと。通常はソフトウェア音源などを鳴らす際の、ドとかミ、といった音符のことをMIDIノートと呼んでいます。ピアノロール画面を使い、マウスをドラッグすればMIDIノートを入力することができるし、MIDIキーボードからリアルタイム入力すれば、ピアノロール上に表示される、ごく当たり前のもので、MIDIが誕生した約40年前から基本は何も変わっていません。

こうしたMIDIの音符のことをノートと呼んでいる

そのMIDIノートの新たな可能性を、2021年の現在に探ろうというのが、今回のBitwig studio 4.1なのです。そう、MIDIノートをさまざまに変化させるノートFXというプラグインというかMIDIエフェクトを搭載してきたのです。

ノートFXというのは、一般的なオーディオエフェクトとはまったく異なり、MIDIノート自体を変換するもの。よくある例としてはアルペジエイターなどがその一つといえます。ドミソと和音を押さえると、和音としてのノートではなく、その音が下から上へ、また上から下へなど、順番になるノート信号に変換してくれます。実際、ほかのDAWでもノートFXとかMIDIエフェクトと呼ばれるものが搭載されているものもあります。

計21種類のノートFXを搭載

またBitwig Studioにとって、このノートFX自体は4.1で初登場というわけではありません。以前から13種類のノートFXが搭載されていましたが、今回新たに8つが追加されて計21種類となったのですが、その8つがかなり革新的なノートFXであるため、バージョン4.1になって、大きく脚光を浴びる形になったのです。

以下にその8つのノートFXを紹介するYouTubeビデオがあるのでご覧になってみてください。

英語のビデオではありますが、だいたい雰囲気はわかったでしょうか?「日本語じゃないとわからないぞ!」という方は、こちらのリンクでYouTubeを開いた上で設定画面から自動翻訳にして、日本語にすると、まあまあな日本語で表示できるので、試してみてください。

簡単に見ていくと、まず最初に紹介するのはRicochetというノートFXです。Ricochetとはピストルなどで撃って命中しなかった弾が壁などに当たって跳ね返る現象を意味するのですが、そんな現象を画面のグラフィックで行い、MIDIノートに反映させるというのが、これ。

ノートを鳴らすと、ピンボールのように弾が発射され、壁にぶつかると、ノートが再度発音される…というもの。ノートのベロシティが強いと発射する弾の速度は速くなり、和音を弾けば複数の弾が発射される形です。デフォルトでは5角形になっていますが、パラメーターを動かすことで三角形から八角形まで変化させることができたり、跳ね返り方を調整でき、さまざまなパターンの音を生成することが可能になります。

Note Repeatsはノートを繰り返し発生させるためのもの。“ドーー-”と全音符で鳴らしたとしても、それを“ドドドドドド”と8分音符に分解するとか32分音符に分解して鳴らす形にMIDIノートを変換してくれるというのが基本機能。

さらにBitwigが持つモジュレーター機能を使って、その分割のしかたを自在に変化させるといったことも可能。さらにはPatternオプションというものを使うと、ビジュアル表示がされるとともに、そのビジュアルにしたがってノートがなるシーケンスが自動で作成され、そのビジュアルをパラメーター調整によって変更することで、まったく別のシーケンスを作り出すことができる……るといった具合で、このNote Repeatsだけでも、かなり幅広い可能性を持っています。

Randomizeはその名前の通りにランダム化を実現することで、各ノート表現に多様性を追加するというものです。具体的にはピッチ(Pitch)、ベロシティ(Velocity)、ティンバー(Timbre)、チャンネルプレッシャー(Pressure)、パン(Pan)、ゲイン(Gain)という6つのパラメーターが用意されており、初期設定ではVelocityのみがオンになっています。このパラメーターを0.00セント~24.0セントの範囲で調整できるのですが、値を大きくすれば最大上下2オクターブの範囲で音程が変わります。同様に、Velocityは0~100%の範囲で調整できるようになっていて、これによって音の強さを変化させることができるというわけです。

たとえばピッチの変化をピアノなどの音源に適用するのもありですが、ドラム音源に適用するとスネアがキックになったり、シンバルになるなど、まったく違ったリズムが生成させるため、意図しない面白いパターンが生成されたりもするわけです。

Humanizeは、直訳すれば人間らしくするというわけで、機械的なMIDIノートを人間っぽくするというもの。具体的にはチャンス(Chance)、タイミング(Timing)、ベロシティ(Velocity)の3つのパラメータがあります。このうちTimingはドンピシャのタイミングに揺らぎを与えるものということでわかるし、Velocityは均一で機械的なベロシティをバラけさせるものということですぐにわかるのですが、Chanceって何だろう?と思って試してみました。これを100%にしておけば、MIDIノートは素通りする形になり、たとえば鍵盤を使って弾けばそのまま演奏されます。ところがこれを50%にすると、鍵盤を弾いた音のうち半分は音が出ないのです。この辺もたとえばハイハットで刻むリズムに適用するとか、スネアに適用することで、面白い演奏ができそうです。

Multi-Noteは1つのノートを和音に変換するというもの。1つのノートに対して、+12なら1オクターブ上の音、+7なら5度上の音を鳴らすことができる形になっています。初期設定の状態だと1オクターブ上とか1オクターブ下の音がでるとともに、小さく5度上の音が出る形になっていて、普通に弾くと音が厚くなる感じで違和感もありません。

しかし、プリセットで、Major 6thとか、Minor 7thといったものがあるので、これを選ぶと、まさにコードが生成される形になっています。この際、生成される別の音のベロシティーを調整したり、その出現度を調整するといったことも可能になっています。

そしてQuantizeは、クォンタイズをかけるノートFX。要するにリアルタイム・クォンタイズをかけるものなのかなと思ったら、ちょっと雰囲気が違いました。リアルタイムに演奏してみるとわかりますが、次の音が発音できるようになるまでのタイミングを待つ形にあんですね。またForgivenessというパラメータを上げると、ある程度は許容させてしまう形のようで、クォンタイズによる正確さを崩していくことができます。

Dribbleは、その名の通りドリブル現象を起こすエフェクトです。ボールをドリブルしてバウンドしていくかのようにノートが、繰り返しバウンドするのです。もともとBitwig StudioのノートFXにはDelayというのがあったので、それに近いけれど、単にディレイが発生するというのではなく、繰り返し跳ねるけど、その跳ね方は徐々に小さくなっていく形で、聴いていてもとっても気持ちいい音の響きになるのです。もちろん、ドリブルするタイミングは調整できるし、徐々に小さくなっていくDampingも調整できるようになっており、その軌跡がグラフ表示されるのも面白いところです。

Strumはアルペジエーターの一種といえそうですが、繰り替えしパターンが続くアルペジエーターとは異なり1発だけで鳴らすアルペジエーターであり、押さえたコードを「パラリ~ん」って感じで弾くことを可能にしてくれます。飛び道具的に便利に使うことができそうです。

そして8つ目のBendは各ノートに単純なピッチエンベロープを与えるというものです。つまりベンドを使って音程を上げたり下げたりする操作を加えることができます。この際Timeを使って、どれくらの時間を使ってピッチベンドを動かすかを設定するとともに、Bend fromでどのくらいピッチを上げていくか、下げていくかを設定することができます。これによって、普通はできない面白い演奏ができるようになるはずです。

こうしたノートFXによって、音楽にバリエーションをつけることが可能になります。またリアルタイムに演奏することで、一期一会な音楽を作っていくこともできるし、もちろん、その結果を記録していくことも可能です。うまく活用することで、音楽制作の可能性も大きく広がっていきそうです。

なお、Bitwig Studio 4.1では、これら単体のノートFXの追加だけでなく、ノートFXを複数組み合わせたプリセットを収録したサウンドパッケージ「Note In Bloom」が登場しており、とりあえず適当に試してみるだけでも面白い効果が得られます。実際そのNote In Bloomのでもがあるので、聴いてみると面白いと思います

Bitwig · Notes In Bloom Sound Package Demo

ほかにもトラック、クリップ、レイヤーでカラーパレットが使えるようになり、ファクトリーパレットだけでなくJPEGやPNGをドロップすることで好きな色を設定することが可能。やろうと思えば写真をドロップすることで、その写真で使っている色のトーンの一部を利用する…なんてことも可能になります。

そのほかにも、トラックのMIDI出力が直接利用できるようになるなど、さまざまな機能強化が図られています。

なお、これまでも何度か紹介してきた通り、Bitwig Studioは日本のみの特別製品として販売されているクロスグレード版というのが割安なのでお勧めです。クロスグレードなので、ほかのDAWを持っていることが前提となりますが、CubaseやStudio One、Logic、Live……といった各種DAW(有償版)から乗り換える形で安く購入できるのです。もちろん、乗り換えといっても従来から使ってきたDAWを没収されるわけではなく、その後も使い続けられるので、心配はいりませんよ。

またDAWの購入はこれが初という方であれば、2022年1月12日までWinterセールが展開されているので、今がいいタイミングだと思いますよ!

※2021.12.17追記
昨夜、Bitwig Studio 4.1.2のアップデートが行われるともにTwitterを通じて、以下の発表がありました。そう、今ならオーケストラ・ストリングスという音源パックが無料で入手可能となっています。

【関連情報】
Bitwig Studio 4製品情報
Bitwig Studio 4ニュースページ
Bitwig Studioデモ版ダウンロード
Bitwig Winter Specialセル2021-22情報
Bitwig Studio “Note FX Spotlight” – vol.1

【価格チェック&購入】
◎ディリゲント・オンラインショップ ⇒ Bitwig Studio 4
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※パッケージがBitwig Studio 3などとなっていても、Bitwig Studio 4発売以降にアクティベートするとBitwig Studio 4としてインストールされます。

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