• 今さら聞けないDTMで使うオーディオケーブルの種類とその接続法

TSTRSXLRRCAコンボジャック……など、DTMで使うコネクタやオーディオケーブルには、たくさんの種類があります。オーディオインターフェイスやスピーカーを購入したら、それらを接続するためにケーブルが必要ですが、何を選べばいいか分からず、いい加減に選んだという人も少なくないと思います。またケーブルにはバランス伝送アンバランス伝送といったものもありますが、よくわからないまま、適当にケーブルを接続していませんか?

ケーブルは、さまざまなメーカーのものがあるし、価格的にもピンからキリまでいろいろあるため、何を選べばいいのかなかなか検討がつかないという人も多いでしょう。でも、基本的な知識を身に着ければ、ケーブル選びの勘所も見えてきます。そこで、ここでは、主にDTMの世界に登場する端子、コネクタや伝送の基礎知識を紹介しながら、ケーブルの選び方を紹介していきます。ここではDTMにマッチした製品を数多く出しているVITAL AUDIOの製品を例に紹介していきます。VITAL AUDIOのケーブルは私自身も20年くらい愛用しているのですが、神奈川県の工場で生産されている純国産品。高品質でありながら価格も手ごろで扱いやすいのです。なかにはギター用にキャラ付けがされたケーブルもあるなど、種類もいろいろあり、信頼のおける国産ケーブルなのです。もちろん、VITAL AUDIO製品に限らず、どこの製品でも正しくマッチしたケーブルを選ぶことで、トラブルのない接続が可能になるので、端子やコネクタについて改めて整理りしていきましょう。

DTMで使う各ケーブルについて紹介

ケーブルやプラグの形状は、世の中にたくさんの規格がありますが、DTMで主に使われるのは数種類。これをしっかり覚えておけば、「スピーカーをオーディオインターフェイスに接続したのにノイズが大きいな……」など、なにかトラブルがおきたときに対処が可能になります。では、まずはプラグから見ていきましょう。

DTMで主に使われるプラグは、

フォンプラグ
ステレオ・フォンプラグ
XLR型コネクタ(キャノンコネクタ)
RCAプラグ

の4種類です。フォンプラグは、日本では標準プラグとも呼ばれている直径6.3mmのもの。そのフォンプラグが両端に取り付けられたケーブルをシールドとも呼びます。主にギターアンプに接続する規格として使用されており、後ほど紹介する3極のフォンプラグと区別するためにTSフォンや2P、2Pフォンなどとも呼ばれます。アンバランスやバランスについては、後述しますが、これはアンバランスのオーディオプラグ。

ギターやシンセなどに使われるTSフォンケーブル

ステレオ・フォンプラグは、TSフォンのチップ(先端の部分)とスリーブ(円柱の部分)にもう1つ電極を入れたプラグで、もともとはステレオのヘッドホン用のプラグとして使われ始めました。こちらは、TRSフォンや3P、3Pフォンとも呼ばれています。ステレオ信号の場合はアンバランス伝送、モノラル信号の場合はバランス伝送です。このバランス、アンバランスについては後述します。

左の3.5mmステレオミニプラグは、ステレオでアンバランス伝送。右は6.3mmでモノラルのバランス伝送

XLR型コネクタは、キャノンコネクタとも呼ばれており、XLR型コネクタが両端に取り付けられたケーブルをマイクケーブルとも呼びます。もともとは、アメリカのキャノン・エレクトリック社が開発したことから、このように呼ばれているのですが、今では音響機器の代表的なコネクタとなっています。また、XLRというのは、オリジナルのキャノンコネクタの型番がXLRだったことに由来しています。特徴としては、ケーブルの延長が容易であり、何も気にせず接続してもフォンプラグを接続したときに起こりがちなノイズを防ぐ構造になっています。XLR型コネクタは、バランス伝送です。

マイク接続などにも使うXLRケーブル

プラグ側を見ればそれがTSフォン(アンバランス)なのか、TRSフォン(バランス)なのかの区別がつきますが、オーディオインターフェイスなどのジャック側を見ただけでは、どちらに対応したものなのかが判別しずらいのも事実。これについては仕様書やマニュアルをチェックしてみてください。ただ、その仕組み上、バランス対応のジャックにTSフォンを挿しても問題はなく、その場合はアンバランスとして機能するだけです。反対にアンバランス対応のジャックにTRSフォンを挿して壊れることはありませんが、この場合も当然バランス接続にはなりません。

ジャック側を見てもバランスなのかアンバランスなのか判別しづらいケースが多い

ところで、本来このフォンプラグを挿すフォンジャックとキャノンコネクタを挿すキャノンジャックは、まったく別の形状ではありますが、オーディオインターフェイスでは小型化のためなどもあって、その双方を挿すことが可能なコンボジャックというものを搭載しているものが多くなっています。両方同時に挿すことはできないので、挿したほうが有効になる仕様になっています。

オーディオインターフェイスに搭載されているコンボジャックはキャノンとフォンの兼用になっている

RCAプラグは、DTMではあまり使われませんが、これについても説明しておきましょう。主に民生機器のオーディオ機材に使われているプラグで、ピンプラグとも呼ばれています。ちなみにRCAは、Radio Corporation of Americaの略。もともとは、高周波向けの同軸プラグの一種ですが、現在はアンバランス接続のオーディオ用プラグとして広く普及しています。ビデオデッキや昔のゲーム機で使われていた、赤・白・黄の3色ケーブルとして慣れ親しんだ方も多いと思います。

AVアンプやテレビなど民生機器で広く使われているRCA

ではバランス伝送とアンバランス伝送についても紹介しておきましょう。見た目の違いでいうと、以下の画像の左がTRSフォンケーブルつまりバランス接続、右がTSフォンケーブルつまりアンバランス接続となっています。違いは、絶縁リングの本数。TRSは黒い線が2本入っているのに対し、TSは1本です。

TRSフォンケーブル(左)は、絶縁リングが2本。TSフォンケーブル(右)は1本

バランスはノイズに強くて、アンバランスはノイズに弱いというのは知っている方も多いと思いますが、基本的にはその解釈で大丈夫。機器同士で信号の伝送を行う場合は、2本の電線が必要で、2本のうちの片方を信号、もう片方をグランドとしているものをアンバランス伝送と呼びます。一方バランス伝送は、グランドでない2本の電線を使用し信号を送ります。この2本のうち片方をホット、もう片方をコールドと呼びます。バランス伝送は、ホットとコールドそれぞれの信号の差分が伝送されるので、ホットが2Vでコールドが1Vの場合、1Vが伝送する信号となります。たとえば、ノイズ成分をxとした場合、

ホット  2V+x
コールド 1V+x

だとすると、

(2V+x)-(1V+x)=1V

となり、ノイズが除去されるので、これがバランス伝送はノイズに強いという理由なのです。

では、実際にオーディオインターフェイスとモニタースピーカーを接続するシチュエーションを見ていきましょう。一般的なオーディオインターフェイスの出力は、フォンジャックのことがほとんど。前述したようにフォンプラグのケーブルには、TSとTRSというものがあるため、このどちらかを選ばなくてはいけません。実際、TSでもTRSでもスピーカーに接続することは可能ですが、通常モニタースピーカーを繋ぐ際は、ノイズに強いTRSフォンケーブルを使って接続します。

オーディオインターフェイスは、TRSフォンケーブルを繋ぐ

一方、ここで接続しようと思っているモニタースピーカーには、フォンプラグとXLR型プラグが繋げるようになっています。このモニタースピーカーは、305P MkⅡなのですが、標準フォン(3P)またはXLRを接続するようにスペックシートに書いてありました。なので、TRS-TRSケーブルを使って接続するか、XLR-TRSケーブルを用います。実際どちらで接続しても問題ないのですが、無難なのはTRS-XLRです。XLR型コネクタは、ラッチロック機構を採用しているので、引っ張って抜けることもないですし、電源を入れた状態でもXLRであれば、ノイズを防ぐことができます。

スピーカー側は、XLRで接続

つまり、オーディオインターフェイスとモニタースピーカーを接続するのであれば、XLR-TRSを使うのがベスト。とはいえ、いろいろなメーカーからケーブルは発売されているので、買う時に迷ってしまうこともしばしば。それであれば、冒頭でも紹介したVITAL AUDIOを選んでおけば、間違いないでしょう。

国産ケーブルメーカーVITAL AUDIO

VITAL AUDIOは、20年ほど愛用していると書きましたが、実際に2003年にAV Watchで実験のためにVITAL AUDIOのケーブルを購入した際の記事がこちら(参考記事:https://av.watch.impress.co.jp/docs/20030106/dal83.htm)。その後もAV Watchの連載でオーディオインターフェイスの検証をする際には、ずっとこのケーブルを使っています。もっとも、私が愛用しているケーブル自体は廃盤になってしまっていますが…。

そんなVITAL AUDIOは、線材からプラグの生産までも日本国内で行っており、クオリティの高い材料を使用しているとのこと。

VITAL AUDIOのケーブルは国内で生産されている

作られた材料は国内の専門工場で日本トップクラスの熟練の職人の手によって、1本1本丁寧な作業で行っているそうです。


1本1本丁寧に制作されている

ラインナップは、以下のようになっています。


VITAL AUDIO:VAB / VAB Pair ラインナップチャート

先ほどのオーディオインターフェイスとモニタースピーカーの接続では、XLR-M / TRS-3PのVAB Pairというものを選べばOK。VITAL AUDIOでは、XLRのオスをXLR-M、XLRのメスをXLR-Fと表記しています。それぞれのケーブルの長さは、0.5mからはじまり1mから5mまであるので、自宅の環境にあったものを選ぶといいでしょう。なお、表にもあるように1本で発売しているケーブル4mとペアケーブル4m以上は特注になっています。

もし安物ケーブルを使っているのであれば、音質が変わってしまったりするので、この機会に国産ケーブルのVITAL AUDIOを試してみてはいかがでしょうか?

【関連情報】
VITAL AUDIO製品情報

【価格チェック&購入】
◎Rock oN ⇒ XLR-M / TRS-3P VAB Pair 0.5m , 1.0m , 2.0m , 3.0m
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Commentsこの記事についたコメント

2件のコメント
  • kura

    毎回参考になる記事をありがとうございます。初心者なので今回の記事は助かります。シンセの出力口の”R”と”L/MONO”の使用法に確信が持てませんでした。
    記事を読み、オーディオインターフェースのインプット1~2(バランス伝送対応)への接続には、RとLから1本ずつTRSシールドで繋げばノイズの無いバランス接続になることが分かったような気がしています。
    シールドって、結構高額なものもあるのですね。VITAL AUDIOのシールドには、ギター用とベース用と記されたものがある様子ですが、シンセにはどちらを使うべきなのでしょうか。

    2022年1月31日 4:43 PM
  • 鶉見

    オーディオインターフェイスとモニタースピーカーを接続する記事中の例、出力側がアンバランスのTSフォンだったとすると、TRS-XLRでバランス入力した場合、出力側のピンの内部構造によってはRが非接続になります。出力機器のTSのS側のGND接点部分が広くRもGNDに落ちればよいのですが、Rが浮くとノイズが出ます。TS-XLRであれば多くの場合ケーブル内部でXLRのコールドがGNDに落とされているのでより安全かと思います。

    ところで、メーカーの仕様でもレビュー記事でもあまり触れられませんが、コンボジャックの扱いが不明確のことが多くて困っています。例えば、XLRはマイク、TRSはバランスライン、TSはギターと接続形式で信号レベルが固定されている製品と、TSでアンバランスラインとギターのHi-Z切替が、XLRもバランスラインとマイクの切替可能な製品があるようですが、マニュアルを見てもよくわからず、困ります。
    (今どきの常識と異なる古い機器ばかりの私がいけないのですが、それでもどうにかなってしまうのがアナログオーディオの優れた点だと思っていますので、変則的なケースに対応できるといいですね。逆にわざと設定をずらして歪むのを楽しむ人もいるようですし)

    2022年1月31日 11:15 PM

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