ゲームボーイ風小型サンプラー、SmplTrekの詳細が明らかに。小さいながら楽しくスゴイ機能が満載

先日「ゲームボーイ風小型サンプラー!?多機能な作曲ガジェット、SmplTrekがKICKSTARTERでクラウドファンディング開始!」という記事で紹介した、日本のベンチャー電子楽器メーカー、SONICWAREが開発中のSmplTrek。すでに購入申し込みをした、という人も多いと思いますが、本日そのSmplTrekの機能の詳細が発表されるとともに、具体的な機能を紹介するデモ動画などもいろいろ公開されました。

見てみると、想像していた以上によくできており、すぐにも欲しい!と思わせる楽しそうな機能がいっぱい。たとえば最大10層を録り重ねられるルーパー機能、サンプリングしたサウンドをパッドに割り当ててプレイできる機能、サイドチェーンコンプも含む数多くのエフェクト機能、そして自由自在なサンプリングデータの編集機能、外部MIDI機器をコントロールできるシーケンス機能、Windows/Macとのオーディオ・MIDIでの連携機能……などなど、これでもかというほどの機能が搭載されているのです。このSmplTrekは、現在KICKSTATERで先行予約を受付中 – KICKSTARTER Limited Price 39,000円(500台限定、4月末まで)。日本から申し込めるのも4月末で終了とのこと。買うなら早めの決断がよさそうです。実際どんな内容なのか紹介していきましょう。

SONICWAREが開発したパワフルな小型サンプラー、SmplTrekの機能詳細が公開!

10トラックまで使える強力なルーパー機能

このSmplTrek、小さいながらかなりの機能が搭載された強力なサンプラーとなっています。本当にさまざまな機能が搭載されているのですが、まずは以下のルーパー機能を紹介するビデオをご覧ください。

Song: Unhiding by Chloe Kibble

これを見ればわかったと思いますが、いわゆるルーパーというより10トラックのMTRといってもいい高性能なもの。クリックを鳴らしてテンポを確認した上で、トラックパッドを順に押していけば簡単にサウンドを重ねていくことができるのです。最大10トラックですが、録り直したいテイクがあれば、そのトラックパッドをもう一度押して録音すればOK。

こうして作ったパターンをベースに楽曲を作っていくというのであれば、Resample機能を使ってステレオトラックにバウンスしてしまえば8トラックの空きができるのです。ちょっと昔懐かしい感じのピンポン録音ですよね。Looperのスタートやトラックの選択はMIDIフットスイッチにも対応しているので、ギターなどの楽器のLooper演奏としても使いやすくできています。

サンプルサウンドをパッドで叩く

続いてはこちらのビデオをご覧ください。

SmplTrekの開発者であり、SONICWAREの代表取締役である遠藤祐さん自身がビデオ出演し、クルマの中でデモしているわけですが、SmplTrekの面白いのはまさにここ。SmplTrekのパッドを指で叩けば、まさに楽器として演奏できるようになっています。ここではキックとスネアを叩いていましたが、あらかじめ用意されている音源だけでなく、自分でサンプリングした音をパッドにアサインして演奏することも可能。この際、Loop Track、Shots Track、Instrument Track、Drum Trackにアサインして演奏できるのです。またInstrument Trackにアサインした場合、アサインしたサンプルサウンドは自動的に各パッドにクロマチックに並ぶので、メロディーやコードを演奏することもできます。

強力なDSPエフェクト機能を30種類以上、3系統搭載

続いて紹介するのはエフェクトです。SmplTrekには30種類以上のエフェクトが搭載されており、

インサートエフェクト x1
センドエフェクト x1
マスターエフェクト x1

の3系統で同時に使用することが可能です。この際、前述のResamle機能を利用してエフェクトをかけた形でバウンスすれば、複数のエフェクトを使っていくことも可能です。搭載しているエフェクトとしては現在以下の35種類です。

ここでこのビデオもご覧ください。

ルーティング次第で、こんな感じにサイドチェーンを効かせていくという使い方も可能になっています。

なお、すべてのエフェクトはリアルタイムにパラメータをコントロールできます。またインサートエフェクトはプリ/ポストの切り替えが可能で、プリに設定することで掛け録りが可能になります。

液晶ディスプレイを使った多機能なメニュー構成

では、ここからより詳細なSmplTrekの機能について、液晶を使ったメニュー構成を見ながらチェックしていきましょう。そのメニュー構成、Home画面を中心に以下のような形になっています。

Home

SmplTrekの中心となる画面で、横軸がシーン, 縦軸がトラックのマトリックス内にクリップが並んでいます。10トラックのそれぞれに使用するトラックを設定したり、シーンのリピート回数や並べ替えなどもここで行います。プロジェクトの全体像を確認し、編集したいクリップを選択してEDITボタンを押せば、すぐに編集画面へ入れます。また、Home画面は、ワンタッチでシーンの再生や、トラック再生のオン/オフができますので、ライブパフォーマンス用のメイン画面でもあります。

Sampling

functionボタンを押しながら、samplingボタンを押すとサンプリングモードに入ります。入力レベルを調整してOKボタンを押すだけで、簡単にサンプリングできます。設定値以上の音が入ってきたら自動でサンプリングを開始するオートサンプリング機能も備えています。万が一、サンプリングされた音が小さくても、画面左下のボタン”NORMALIZE”を押すだけで簡単に最適レベルに修正してくれます。またチョップ(オートスライス)など、さまざまな波形編集もこの画面で行います。以下のビデオを見ると、リアルタイムに鳴らしながらループポイントを動かしていくといった操作が可能であることが分かります(この映像は波形編集画面のテスト用に撮ったもので、ゼロクロスは現在開発中とのこと)。

Rec Source

SmplTrekはさまざまな入力を装備していますが、Rec Source画面でどの入力を録音するのか切り替えていくことができます。この際LとRそれぞれに以下から選んで設定することができるようになっています。

OFF, BUILT IN MIC, HI-Z L(LOW), HI-Z L(NORMAL), HI-Z L(HI), DYNAMIC MIC L(ULTRA LOW), DYNAMIC MIC L(LOW), LINE L, LINE L(PAD),
DYNAMIC MIC R(ULTRA LOW), DYNAMIC MIC R(NORMAL), DYNAMIC MIC R(HI), LINE R, LINE R(PAD), USB AUDIO L, USB AUDIO R

さらに、選択したトラックを内部的に別のトラックへ録音できるResample用の入力ソースも用意されています。
そのほか、ここからTuner画面にも入れます。チューナーはGUITAR / BASS / CHROMATICモードを搭載し、435〜445Hzのキャリブレーション設定が可能です。

Pool

サンプリングした音はすべて、ここに保管されます。プロジェクトで使用した全てのオーディオファイルとシーケンスファイルが一覧でき、試聴/選択ができます。シーケンスファイルは、Standard MIDI file [format 0]でエクスポートすることも可能です。

Edit screens

エディット機能においては、以下の6種類のトラックの編集ができるようになっています。

Loop Track

1つのループサンプルをシーケンサーの任意のステップで再生させることができます。タイムストレッチ機能で、曲のテンポを変更しても追従します。またLooper機能も搭載しており、トラックパッドを順に押していくだけで、簡単に最大10層のサウンドを録り重ねてゆくことができます。なおADエンベロープ設定、ピッチ変更もできます。

Shots Track

1つのワンショットサンプルをシーケンサーの任意のステップで再生させることができます。またアサインしたサンプルは、ループポイントを設定して、ステップキーで開始と終了の長さを指定した分だけ再生時間を伸ばすことができます。ADエンベロープ設定、ピッチ変更ができます。

Instrument Track

1つのサンプルをアサインすると、自動的に各パッドへクロマチックに並ぶので、メロディーやコードを演奏してシーケンサーに記録することができます。方向キーの上下キーで鍵盤の音階移動、左右キーでステップ移動、OKボタンでノートの入力もできます(OKボタンを押しながら左右キーを移動させると、ステップをまたぐタイノートの入力が可能です)。さらにADSRエンベロープ設定、スタート/エンド/ループポイント設定ができます(LFOはありません)。

Drum Track

ドラム専用のシーケンス画面で、多彩なドラムキットを装備しています。
ドラムキットとは、最大15種類のワンショットサンプルを演奏できるようにまとめたセットで、あなただけのドラムキットを作ることもできます(最大128種類の登録が可能)。ADエンベロープ設定、ハイハット等のチョーク設定ができます(ピッチ変更はできません)。

※上記4種類のエディット画面は、画面右下のボタンを押すと、オートメーション可能なパラメーターがグラフ表示されます。
パラメーターは以下の通りで、リアルタイム編集とステップ編集のいずれも可能です。

VOLUME, PAN, VELOCITY, PITCH, TRANSPOSE, EFFECT SEND
※Drum Trackには、PITCHとTRANSPOSEパラメーターはありません

MIDI Track

外部MIDI機器用のシーケンス画面です。1トラックの最大同時MIDIノート数8、複数トラック使用する場合の合計最大同時MIDIノート数は32です。MIDIの入出力は、USB-MIDIとMIDI端子を選択することが可能です。画面右下のボタンを押すと、オートメーション可能なパラメーターがグラフ表示されます。パラメーターは以下の通りで、リアルタイム編集とステップ編集のいずれも可能です。

VELOCITY, PITCH, TRANSPOSE, 任意のMIDI Control Change No. x 4

※シーケンサーの各ステップは、マイクロタイミングを設定することが可能です(-50~50)。これにより、往年のリズムマシンの跳ね具合を再現するなど、好みのグルーヴを設定することができます。

Global Audio Track

3つのGlobal Audio Trackでは、シーンをまたぐボーカル等の長尺なオーディオレコーディングができます。1つのGlobal Audio Trackは、モノまたはステレオで録音でき、3つのバーチャルトラックを装備しています。これにより複数テイクを切り貼りして完璧なバージョンを作ることもできます。

Effects

設定したいエフェクト(INSERT, SEND, MASTER)を選択して、適用したいエフェクトを選ぶだけで簡単にエフェクトがかけられます。A-Dノブでパラメーターを調整できます。
同時に使用できるエフェクトは、インサートエフェクト x 1、センドエフェクト x 1、マスターエフェクト x 1の3系統になります。

Project

1曲の単位であるプロジェクトの選択や保存などを行います。SmplTrekは、SDカード1枚あたり最大128プロジェクトを保存できます。楽曲の2チャンネルMixdownやトラックごとにオーディオファイル化するStem Exportもここで行います。

System

スピーカーのオン/オフ、メトロノームやプリカウントの設定等、SmplTrekの基本設定を行います。

以上、SmplTrekの現在公開されている機能を一通り紹介してみましたが、かなり強力なサンプラーであることが十分伝わったのではないでしょうか?また、これら本体の機能とは別にUSBを使ったパソコンとの連携機能も備わっています。そうUSBでMacやWindows、iPhone/iPadやAndroidなどと接続することでUSBオーディオインターフェイスとして使えるとともに、MIDIでのやり取りも可能になるのです。

基本的にドライバ不要なUSBクラスコンプライアント仕様となっているとのことで、接続すればすぐに使えるようになっています。Macの場合はそのままCoreAudioデバイスとして使える一方、Windowsの場合はASIOには標準で対応しないため、DAWで使うにはASIO4ALLをはじめとする汎用ドライバが必要となるようです。またSmplTrekは、ほとんどの機能にMIDI Control Changeナンバーが設定されますので、外部機器でのMIDIコントロールが可能です。また、DAWなどのMIDI Control Changeナンバーのアサインが可能なソフトウェアのUSB-MIDIコントローラーとしても使用することができるので、さまざまな活用法も考えられそうです。

このSmplTrekはKICKSTARTERで予約販売しているのですが、日本から申し込めるのは4月30日まで。ソニックウェアに話を聞いたところ、KICKSTARTERで予定生産数が売り切れてしまった場合、一般販売はかなり先になりそう、とのことでした。39,000円(消費税込、送料無料)なので、気になる方はぜひ急いで申し込んでみてはいかがですか?

【関連情報】
KICKSTARTER SmplTrekページ
SONICWAREサイト

Commentsこの記事についたコメント

1件のコメント
  • KAZ

    クラファンでゲームボーイ風のガジェットと来るとどうしてもあの嫌な事件を思い出してしまいますね

    2022年5月2日 12:47 AM

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