500号を超したSound & Recording Magazineのバックナンバー読み放題。サンレコWebバックナンバー閲覧システム刷新で超便利に!

音楽制作をしている人であれば、ほとんどの人が購入してきたであろう雑誌、リットーミュージックSound & Recording Magazine。私も創刊以来、ずっと、ずーーーっと買い続けてきた雑誌であり、すべてのバックナンバーを資料用に保存しているので、部屋がトンでもないことになっています。そのSound & Recording Magazine、3年前の2020年4月からWebサイト「サンレコ」をスタートするとともに、有料のコンテンツとしてバックナンバーをオンラインで読み放題というサービスを展開していました。私もこのスタート時から利用していましたが、閲覧スピードや検索面など不満点もあり、最近はあまり使わない状態になっていたのも事実です。

ところが、そのサンレコのバックナンバー閲覧システムが2月末に刷新され、とても使いやすいものへと生まれ変わっていました。2023年1月号で通算500号を迎えた40年超の歴史を持つ膨大なライブラリを簡単に検索し、サクサクと読むことができるようになったのです。個人的にも、いろいろな思い入れもあるし、思い出もいっぱいのSound & Recording Magazineですが、この新システムの誕生により、いよいよ手元にある莫大な紙の雑誌の山を処分すべきか、非常に悩ましく思っているところ。そのバックナンバー閲覧システムとは、どんなものなのか、どんな活用ができるのかなど、紹介してみたいと思います。

サンレコWebバックナンバー閲覧システムが刷新、全バックナンバーを自由自在に閲覧できるようになった

Sound & Recording Magazineがどんなものであるか、ここで紹介するまでもありませんが、日本では、この業界で最も歴史ある、もっともメジャーな雑誌です。冒頭で、「創刊号からずっと買い続けてきた」と言いましたが、正しくは月刊第1号である1982年5月号から。高校2年生になったばかりのころ、近所の書店で見つけて以来、ずっと買い続けてきた雑誌なんです。

高校2年生のときに最初に買ったSound & Recording MagazineはiPadでもブラウザ経由で同じように読める

でも、ホントはその前に1981年11月にキーボードマガジンの増刊号としての創刊号、さらに1982年2月の創刊2号があったので、私が最初に買ったのは創刊号ではありません。が、そこから大学時代、会社員時代、そしてフリーになってからも、ずっと買い続けるとともに、捨てずにずっと保存してきたんです。ここにすべての歴史が詰まってますからね。

ウチの倉庫にはSound & Recording Magazineが40年分眠っているが…

もっとも、高校、大学時代から電波新聞社の月刊マイコン、アスキーの月刊アスキー、工学社の月刊I/Oなんて雑誌も保存していたので、単に雑誌を捨てられない、ダメな人間ともいえそうですが、20年ほど前に、それらパソコン誌の大半を処分してしまったので、やっぱりSound & Recording Magazineは自分にとって特別な雑誌なのです。

引っ張り出すと懐かしくて読んでしまうけど、紙で保存していると、どこに何の記事があるのかの検索性はゼロ

ちなみに、普段は「サンレコ」と愛称で呼んでいますが、先日編集部に聞いてみたところ、雑誌はSound & Recording Magazineまたはサウンド&レコーディングマガジンの表記が正しく、Webのほうがサンレコという表記になっているんだとか……。ちょっと紛らわしい気もしますが、ここでは、その正式表記にならって記述していきますね。

Sound & Recording Magazineの創刊当初というか、80年代後半まではDTMなんて言葉すらなかった時代。でもコンピュータとシンセサイザの関係などを積極的に取り上げてきた雑誌だったので、学生時代ひたすら読み込んで勉強していました。そんな昔の記事も、今回刷新されたバックナンバー閲覧システムで、すぐに読めてしまうのは感激です。こんなページを読むと、40年近く前の記事が、昨日のことのように蘇ってくるんですよね。

確かに手元にバックナンバーが全部あるとはいえ、キレイに整理しているわけではないから、500冊にもなると目的のものを見つけ出すのは、もう不可能といってもいい状況。とくに80年代のバックナンバーは、そのほとんどが実家にあるので、同じ横浜市内とはいえ、取りに行くのも面倒ですから……。

小沢さんの跡を継ぐ形で、1993年からWindows連載をスタート

ちなみに、その憧れだった小沢靖さん(灰野敬二さんとのバンド、不失者のベーシストとしても知られている方。その後2008年に肺がんでお亡くなりになっています。ここで改めてお礼申し上げるとともに、ご冥福をお祈りいたします)から指名いただく形でバトンを渡され、1993年11月号から私もSound & Recording Magazineで連載をするようになりました。1993年なのでWindows 95の登場前のWindows 3.1という原始的なOSの時代でしたが、Windowsの連載をスタートさせたんです。

タイトルはいろいろ変わりながらも連載は続いていった

それ以来、タイトルは何度か変わりながら、編集担当者も何人も変わりながらも連載は続いていきました。いつまで続いたんだっけ…?と「藤本健」で検索をかけてみると、連載の最後は2000年6月号となっていました。約7年の連載だったということのようです。

このようにバックナンバー閲覧システムではキーワードを入れると簡単に検索できるのが嬉しいところ。実は、今回のシステムリニューアル前から検索機能はあったのですが、使ったことのある方ならご存じだと思いますが、かなりの問題児だったんです。

サンレコのバックナンバー閲覧システムならキーワードを入力すれば、目次を元に検索できる

たとえば「YMO」と検索すると、膨大にヒットしてしまい使い物にならなかったのです。たとえば誰かのインタビューの中で「YMOが好きでした」なんて言葉があったり、「YMOのように」なんて表現があってもヒットするから、目的のものが見つからなかったんです。そう全文検索をしていたので、何でも同じようにヒットしてしまうのです。Google検索に慣れてしまったわれわれにとって、重みづけのない検索機能は、もはや使い物にならないのです。

では、今回の新システムではどうなったかというと、全文検索は廃止し、目次からのみ検索する形へと変更になっています。そのため、検索速度も速いし、たいていのものがこれで見つかるというわけです。ただし、完璧ではないですよね。たとえば、先ほどの私の連載も、当初、目次にはタイトルだけで著者名が入っていなかったので、見つけることはできません。また「Scritti Politti」と英語のアーティスト名で検索したら見つからないけど、「スクリッティ・ポリッティ」とカタカナで検索したら見つかるなど、曖昧検索はできないので、ある程度の試行錯誤は必要となります。とはいえ、紙の雑誌がそこらに積んであるのとは次元が違いますからね。

Sound & Recording Magazineの広告も大きな財産。表4はずっとヤマハが抑えてきたという歴史もある

Sound & Recording Magazineのバックナンバーの意義は記事ばかりではありません。広告にも莫大な価値があります。私個人的には、この広告こそが重要な資産だと思って保存してきたのです。最近は製品資料や広告類はネット上にあり、検索すればたいてい何でも出てきますが、2000年以前のものとなると、紙でしか情報が残ってないのが実情。私も2000年以前のDTM関連のカタログはかなり保存していますが、Sound & Recording Magazineにはかなわないですから。本当に貴重な財産です。ご存じの方も多いと思いますが、表4=裏表紙はずっとヤマハが押さえています。そして、その表4を見るだけでも、時代の流れを感じられるのも、この雑誌の面白いところ。

そうした表4はもちろん、中のカラー広告も、モノクロ広告も半ページサイズの広告や1/4ページサイズの広告だって、ページをめくっていけば、みんな見ることができる。これって、ものすごい重要な情報だと思うんです。製品広告だけではなく、通販の広告なんかも、今バックナンバーを見てみると面白いですよ。

著作権処理の関係で、楽譜に関しては削除されてしまっている

ただし、100%すべてがバックナンバーとしてアーカイブされているかというと、一部、あえて削除されて空白になっているものがあるんです。それの一つが楽譜です。これは著作権処理の関係上、削除されてしまっています。昔のスコアが見たい…という思いを持った人もいたと思いますが、その要望には残念ながら応えられないようです。

プライバシーの観点から読者投稿欄は、削除されて空白になっている

そして、もうひとつ消されてしまっているのが読者投稿欄です。インターネット普及前は、ハガキや封書でコメントを投稿していて、それを編集部がピックアップして名前とともに載せていいたんですよね。さらにもっと昔は「売ります・買います」といったコーナーもあり、名前はもちろんのこと、住所まで掲載していたんですから、今の世の中からしたら信じられないですよね。こうした部分は、プライバシー保護の観点から削除されている、というわけなのです。

ちょっと蛇足な感じではありますが…、2000年6月号でSound & Recording Magazineの私の連載が打ち切りになるよ、という話を当時の編集長から聞かされた後、リットーミュージックのすぐそばのビルに寄ったんです。そう、リットーミュージックの兄弟会社?(当時は親会社だったかも?)のインプレスという会社のビル。当時、DOS/Vパワーレポートという雑誌でも連載していたので、寄ったのですが、その時、隣の部署の人を紹介されて、AV WatchというWebメディアを創刊するということを初めて聞いたのです。その立ち話の中で週刊の連載を始めることが決まったのが、今週で第976回を迎えた「藤本健のDigital Audio Laboratory」なんです。

私のSound & Recording Magazineでの最後の連載「Windowsオーディオ・ラボラトリー」はAV Watchへ!?

現在、リットーミュージックもインプレスも同じビルに入っているので、まさにSound & Recording MagazineとAV Watchはお隣の編集部という関係。最後のころの連載のタイトルが「Windowsオーディオ・ラボラトリ」だったので、まさにそれを引き継いだ感じで続けているんですよ。

と、私の昔話をつらつらと書いてしまいましたが、きっとみなさんにはそれぞれ違ったSound & Recording Magazineへの思い出があるのではないでしょうか?そんな過去に簡単にタイムスリップできるのが、このバックナンバーのシステムなのです。

もちろん最新号もブラウザ上で読むことができる

もちろん、このサンレコのシステムのスゴイのは昔と今が同居していること。そう、なんといっても最新号のSound & Recording Magazineも同じように読めるのです。最近は雑誌不況で雑誌が売れない時代になってきていますが、このサンレコであれば、紙の最新号と同じものも、Webブラウザで読めてしまうのです。これをiPadで開くと、まさに紙の雑誌感覚でページをめくっていくこともできるので、すごくいい感じですよ。

最後に、サンレコWebバックナンバー閲覧システムの料金体系を紹介しておきましょう。これを利用するためには、会員登録した上で、会員プラン購入が必要となるのですが、以下の通り、3つのプランが存在しています。

サンレコWebの3つのプラン。Web+印刷版プラン(1年)が30%オフの特別割引実施中

1か月間読み放題の形で、全号にフルアクセスするのが「Webプラン(1カ月)」というもので、649円です。これに紙の雑誌であるSound & Recording Magazineの最新号をセットにしたのが「Web+印刷版プラン(1カ月)」というもの。現在、紙の雑誌を買うと1,375円ですから、紙も欲しいという人にとっては割安となっています。さらに、「Web+印刷版プラン(1年)」というものもあり、こちらは通常17,149円と割安なのですが、3月30日までリニューアルキャンペーンということで、さらに安い11,979円。紙の雑誌を12カ月分より断然安いので、いまがチャンスですね。私はこの1年間、紙の雑誌のみの購読にしていて、そろそろ次の更新時期。Webプランに変更してしまうべきか、やはりWeb+印刷版プランに乗り換えるとともに、バックナンバーを処分すべきか、しばらくは悩んでいそうです。

【関連情報】
サンレコWebバックナンバー閲覧システム
サンレコ会員プラン
サンレコ

Commentsこの記事についたコメント

2件のコメント
  • dee909

    サンレコだけでなく、電子化されたリットーの雑誌や音楽書籍が、全部読み放題で月額980円からなら、音楽業界の文化保護目的で率先して加入しても良いと思いました。(サンレコ以外にキーボードマガジンやGROOVEなど購読していました)

    あと情報誌や技術誌は、電子書籍のほうが検索しやすく、外出時もスマホで読めたりとメリットが多いので、紙より重宝しています。特に音楽理論書などはその筆頭株かなと思っています。リットーさん何卒ご検討のほど、よろしくお願いいたします。

    音楽理論というかコードを覚えるのが当時は苦手で、大昔にこのようなコード検索用システムをJavaScriptで自作して使っていましたが、今でも動作するようですw
    http://dee909.sakura.ne.jp/script/chord.html

    2023年3月17日 7:18 PM
  • 一体さん

    これは激アツ。時間泥棒確定の沼。

    2023年3月17日 9:06 PM

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