ボーカルミックスにもう迷わない!好きな楽曲のボーカルの質感を簡単操作で再現する新バージョンNectar 4が登場!

iZotopeからボーカルミックス特化ツールNectarが、約5年ぶりの最新バージョン、Nectar 4として発売されました。Nectarはミックスの中でもボーカルの処理にフォーカスして開発された製品。これ1つで、ボーカル処理のすべてを完成できるプラグインとなっており、EQやコンプはもちろん、そのほかボーカル処理に必要な機能がモジュールとしてすべて詰め込まれています。

そんなNectarが、Nectar 4へと進化し、Nectar 3のときに搭載された人工知能によるボーカル自動処理機能Vocal Assistantが、さらに強力になったのが大きなポイント。好きな楽曲を学習させるとボーカルの質感を真似してくれる機能や、空間系の追加、本格的なハーモニーを生成することが可能になったり、ボーカルのボリュームを自動で調整してくれたりと、通常であれば複数のプラグインが必要な作業も、Nectar 4であれば完結することができるのです。また、Nectar 4に搭載されている13個のモジュールが独立のプラグインとしても扱えるようになったので、利便性も大きく向上しました。そんなNectar 4の進化点について、その概要を紹介していきましょう。

約5年ぶりの最新バージョンNectar 4

iZotope Ozoneもこのタイミングで、Ozone 11へと進化した

Nectar 4が発売された今回のタイミングで、Ozone 11も発売されました。年々進化し続けるOzoneですが、今回は新モジュールClarityの追加、2mixの音源をステムマスタリングのように調整、トランジェントとサステインを別々にコントロール、完成した音源のボーカル音量だけを自動調整…など、アナログ機材では絶対にできなかった最新技術ならではの機能が追加されています。Ozone 11については「最新技術てんこ盛りのOzone 11が新登場!すべての音源をマスタリングする最強ツールへと進化」で紹介しているので、ぜひこちらもご覧ください。

新モジュール、ステムマスタリングなど、新機能が追加されたOzone 11

AIが好きな楽曲のボーカルに似せてくれるVocal Assistant

さて、Nectar 4のバージョンアップ内容を見ていきましょう。まずは、Nectarのメイン機能でもあるVocal Assistantが新しくなった点についてです。そもそもVocal Assistantは、ユーザーがボーカル処理に対して何の知識がなくても、NectarのAIがボーカルを分析するとともに、自動でEQやコンプ、ディエッサ…といったエフェクトを適切にかけて処理してくれる機能。Nectar3では、このVocal Assistantを使う前にどういう音にするか選ぶ形になっていましたが、Nectar 4では分析し終わった後に、ボーカル、ラップ、トークをどんな質感にしたいか選べるようになっています。

Nectar 4では分析後に声素材の質感を選択できるようになった

そしてここに、リファレンスターゲットが追加され、ターゲットとしたい音声ファイルを読み込むことで、自分のボーカルを既存の楽曲の質感に近づけてくれるようになりました。これまでのVocal Assistantは、どういった方向性でボーカルをよくしてくれているか分からなかった一方、Nectar 4では明確に作りたいボーカルの質感へアシスタントしてくれます。

リファレンスターゲットが追加され、既存楽曲のボーカルの質感を真似してくれる

また、Nectar 4の画面デザインがOzoneのようになり、メインのパラメータが1つの画面に集約されています。左上はEQ、右上はコンプと連動しており、Vocal Assistantが提案したパラメータから、より好みの質感へ手軽に調整することが可能となっています。

Nectar 4の画面デザインが刷新された

リバーブ、ディレイ、モジュレーションなどの追加

この画面の下半分は、Nectar 4からの新機能となっており、左下ではリバーブ、ディレイ、モジュレーションをコントロールすることが可能です。それぞれのアイコンをクリックして、機能をオンにすれば、すぐに響きをつけることができます。

左下ではリバーブ、ディレイ、モジュレーションをコントロールすることが可能

MIDIで音程をつけることもできるハーモニー機能

右下では、メインのボーカルに対してのハーモニーをコントロールすることができます。ツマミを右に回せば、ハーモニーが追加されていき、手軽にハーモニーを作成することが可能になりました。オクターブを足したり、3度を足したり…、さまざまなプリセットも用意されています。

右下では、メインのボーカルに対してのハーモニーをコントロールすることができる

今まで存在していたHarmonyというモジュールが、新たによりVoicesモジュールとして生まれ変わり、より高機能になっているわけですが、元のメロディに対して、1つ目のハーモニー、2つ目のハーモニーがどこに追加されるのかもグラフィカルに表示。さらにハーモニーの成分に対してだけフィルターやピッチコレクタを掛けるといった操作も可能です。

Voicesモジュールへと進化し、より高度にハーモニーをつけられるようになった

ただ、普通にメロディに対してハモリを生成しているだけでは、楽曲に合わなかったりするので、その際に使えるのが入力したMIDIに合わせてハーモニーが付く機能。MIDIというボタンを押して、ハーモニーのメロディを打ち込めば、ハモリのレコーディングをしていないのに完璧なハモリを作ることができます。

ハーモニーをMIDIで打ち込んだ音程に合わせて鳴らすこともできる

Auto-Levelモジュールを使えば、自動でボーカルのレベルをコントロールしてくれる

Auto-Levelというモジュールは、設定したターゲットに合わせて、自動でボーカルのレベルを調整してくれます。ターゲットのレベルを大きく超えているものに関しては下げて、大きく下回っているものに関しては上げてくれるというシンプルなモジュールなのですが、コンプよりもナチュラルにレベルをコントロールすることができるので、ボーカルミックスでは必須のモジュールでもあります。どのぐらいレベルを整えるかを自分で設定していくこともできますが、Learnを押せば、自動でその設定も行なってくれます。

通常であれば、コンプに入る前のボーカルのレベルを自分でオートメーションを描いてコントロールしたりすることがありますが、それを自動化できるのです。Nectar 3にもAuto-Levelは存在していましたが、今回のバージョンアップにより、詳細な設定を行えるようになっています。

Auto-Levelが進化し、より繊細なレベルの自動コントロールが可能になった

ハモリの声色を変えるBackerモジュール

ハーモニーの声色を変えるBackerモジュールがNektar 4に追加されました。印象的なUIのこのモジュールでは、ハモリの成分を別の人が歌ったような質感に変えることができます。iZotopeの人気製品VocalSynth 2のテクノロジを利用したこのモジュールには、8人分のプリセットが用意されており、フォルマントやトーンなどを変えて自然に仕上げることも可能。完全な別人にしたり、少しだけ質感を変えるといった使い方ができるようになっています。

VocalSynth 2のテクノロジを応用したBackerモジュール

iZotope RXに搭載されていたBreath ControlがNectar 4に追加された

ボーカルに乗ったブレス音を検知し、抑制する機能を持ったBreath ControlがNectar 4に搭載されました。これまで、わざわざこれを使うためだけにRXを起動したり、購入する必要がありましたが、これがNectarだけで完結できるようになっています。

ボーカルに乗ったブレス音を検知し、抑制する機能を持ったBreath ControlがNectar 4に搭載された

Advancedでは全モジュールが独立プラグインとして利用可能に

これまで、Nectar内にあったモジュールを使おうとすると、Nectarをインサートする必要がありましたが、Naktar 4 Advancedにおいては、今回から搭載されているモジュールを独立したプラグインとして利用可能になりました。EQだけ必要なときに、EQをインサートすることができ、マシン負荷の観点からも、非常に使いやすくなったと思います。

すべてのモジュールが、個別のプラグインとして使用可能になった

初心者の場合だと、まだ最初のうちはプラグインなど揃っていない状態だと思うので、そこから一気にNectar 4に搭載されている、EQ、コンプ、ディエッサー、リバーブ…といった、たくさんのモジュールが使えるようになるのは、嬉しいところ。EQやコンプなんかは、普通に楽器に使用することができるので、デフォルトで搭載されているプラグインと合わせて、選択肢が増えるのはいいですよね。

Nectarのモジュールを普通のプラグインと同様にインサートして使える

以上、Nectar 4の新機能について、その概要を紹介しました。Nectarはおよそ5年ぶりとなるバージョンアップ。さまざまな機能が追加されており、初めてNectarを使う方も、これまで愛用していた方も、さらに使いやすい製品に進化していると思います。また冒頭でもお伝えしたようにOzoneも新しくなり、たくさんの新機能が追加されているので、ぜひそちらもチェックしてみてください。

iZotope Ozone 11 & Nectar 4 & MPS 6イントロセール実施中

なお、発表された9月6日から10月11日までの期間、「iZotope Ozone 11 & Nectar 4 & MPS 6イントロセール」が実施され、通常よりもかなり割安で購入できるようになっています。また8月以降に登録されたユーザーを対象にした格安のアップグレードパスが設定されるとのこと。さらにこの期間に対象商品を購入すると、日本限定特定として「MI Plugin Pack 2023」がもらえるというキャンペーンも実施されています。このMI Plugin Pack 2023とは

Mntra Pripyat
UJAM Virtual Guitarist SILK
Cinesamples Musio 3ヶ月ライセンス
Audiomovers LISTENTO Pro1ヶ月ライセンス
Inject & Omnibus1ヶ月ライセンス

というもの、せっかくならこのタイミングで入手しておくのがよさそうです。ちなみに、これらの特典はすべて国内流通品の場合であり、価格的にもプレゼント品なども含め国内で買うのが一番お得なようですね。

【製品情報】
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