プロエンジニアが使うボーカル処理の裏テクがプラグインに!DOTEC-AUDIOのDeeFieldが新発売

日本のプラグインメーカー、DOTEC-AUDIO(ドーテック・オーディオ)が、新製品DeeFieldをリリースしました。これはボーカルが真ん中に集まりすぎるという問題を解決し、バックトラックに馴染ませて、自然なサウンドフィールドを作れるというもの。録音したボーカルトラックは通常モノラルなので、そのままだと絶対にセンターから鳴り、イヤホンなどで聴くと頭のど真ん中に位置づけられます。しかし、日常で生活していると、反響などがあるため、会話をしていても、音楽ライブでも、センターの音を中心に多少のステレオ感が存在します。

そこでリバーブを使って広がりを付けたり、ステレオイメージャーを使って広げるという手法もありますが、反響はいらない、位相をいじりたくない…となったときお手上げとなってしまいます。とはいえ、プロのエンジニアはこうしたファントムセンター(ステレオの2つのスピーカーの間の点から音が聴こえるように感じる現象)の問題を長年の経験と確かなテクニックにより、解決しています。しかし、こうしたテクニックはミックステクニックが書かれた書籍やWebを検索してもほとんど紹介されていません。その門外不出!?な裏テクを1つのプラグインで実現させたのが、このDeeFieldなのです。残響音がまったくつかないので扱いやすく、1ノブでコントロールできるのも嬉しいところ。今回、DeeFieldを開発したDOTEC-AUDIOのフランク重虎さん、飯島進仁さんにお話しを伺ったので紹介していきましょう。

門外不出の極秘プロテクニックが1つのプラグインに集約されたDeeField

ファントムセンターの問題を解決し、ボーカルがオケに馴染むようにするDeeField

まずは、DeeFieldがどういった効果をもたらすのか、言葉よりも動画を観ていただけると分かりやすいので、ぜひヘッドホンやモニタースピーカーなど、しっかりとした環境でご覧ください。

いかがでしょうか?センターにあった、ボーカルが非常に自然な形で、ステレオ感を持っていますよね。この動画では、オケは流れていませんが、DeeFieldを使うことで簡単にオケに馴染んだボーカルを制作することができるのです。音源を広げるタイプのプラグインはほかにもステレオイーメージャーなどがありますが、これはステレオ要素のある音源をさらに広げる一方、DeeFieldはモノラルに焦点をあてており、ボーカルに特化した処理を行いつつ、ファントムセンターを和らげる作用をします。

1ノブで、プロエンジニアの裏テクを再現

使い方は非常にシンプルで真ん中のノブを0%〜100%の範囲で動かすだけ。DOTEC-AUDIOのプラグインらしい、1ノブで使えるタイプの製品となっています。

たった1ノブで、プロクオリティの裏テクを使用可能

これまで、DeeFieldのような専用のプラグインは一切存在していませんでしたが、頭のど真ん中に位置するボーカルを少し左右に逃がして、オケとの馴染み方をよくするというプロのミックステクニックはありました。さまざまなアプローチ方法がありますが、そのどれもが複数の手順が必要だったり、繊細なコントールが必要でした。また、そもそも工程を知らないと再現するのが難しいのですが、このテクニック自体、ほぼ公開されておらず、プロだけが知っている裏テクになっていたのです」と重虎さん。

オンラインでインタビューさせてもらったDOTEC-AUDIO開発者のフランク重虎さん

それが、DeeFieldの誕生により、初心者でも簡単に再現できるようになったし、プロにとってもかなりの時短になるのです。市販のCDやプロのアーティストの音源を聴いてみると、実際にファントムセンターではなく、少しだけ左右に広がっているような聴こえ方をするものが多くあります。実際、自分でボーカルのミックスを行っている方の中には、この表現をうまくできなくて困っていたというケースもあると思います。それが1つのプラグインで、しかも操作は超簡単なのは画期的ですよね。

従来のアプローチ方法では問題だった、複雑さ、余計な残響、モノラルの互換性を克服

さらに、従来のアプローチ方法の1つであるルームリバーブを使った方法では、余計な残響音がついてしまう一方、DeeFieldにはそれがありません。なので、あとからリバーブをかけやすく、静かなセクションでドライに聴かせたいときにも効果的。またモノラルの音源からダブルを作るプラグインを使った場合、時間やピッチをずらすため、モノラル互換が悪くなり、無駄にダブって聴こえるのですが、DeeFieldは完全モノラル互換であるため、これらを解決しています。ではなぜ、DeeFieldには残響音もなくて、完全モノラル互換が実現できているのか、その仕組みを重虎さんに聞いてみました。

DeeFieldは、位相操作とフィルタリングにより実現しています。まずは、完全な逆位相を作ります。これはモノラルになったときに、打ち消し合って互換を保つためです。そして、これに対してボーカルに特化したフィルタリングをかけています。EQに近いものですね。その後、フィルタリングしたものをオールパスフィルタに近いものを使って、時間軸に沿って特定の位相をずらします。こうすることにより、ステレオで聴いたときには、グラデーションがかかったようにファンタムセンターが消えて、モノラルで聴いたときにはこの効果部分は逆位相で打ち消し合い、もとのドライなボーカルだけが残るようになっています」とのこと。

ボーカルの存在感をコントロールすることで、ボーカルもオケも聴きやすくなる

DeeFieldはファントムセンターを消せるというものなのですが、それ以外の効果としてボーカルトラックの存在感をコントロールできるというものもあります。同じセンターに定位することからキックやスネアにかき消されがちなボーカルが聴きやすくなるので、無理にボーカルの音量を上げすぎる必要もないし、シビアな帯域分けも必要なくなります。ドラムに対してサイドチェーンを使ったり、無理なEQがいらなくなるわけですね。逆にいうと、ドラムトラックを含め、ボーカルと干渉しなくなるので、オケも聴こえやすくなり、より完成度の高い音源を作ることが可能になるのです。また下地としてDeeFieldを導入することで、各エフェクトやリバーブのかかり方がよくなり、オケに馴染みやすくなりますよ。

ボーカルにDeeFieldを使うことで、オケとボーカルのバランスが取りやすくなる

DeeFieldはミックス前の下地として使うので、その後はいつも通りの処理でOK

実際にDeeFieldを使う場合には、インサートスロットの上の方に挿しこみます。下地系のプラグインなので、インサート後は、従来のボーカル処理方法でOK。おすすめは、「面倒なボーカルのオートメーション処理が不要に!DOTEC-AUDIOの魔法のツール、DeeTrimX誕生」で紹介した、DeeTrimXやコンプを使って音量バランスを整えた後。1段目で音量を揃えて、2段目でDeeFieldを使います。

コンプなどで音量を揃えた後、DeeFieldをインサート

ちなみに、DeeFieldの使い方のコツとしては、まず50%までパラメータを上げて、バイパスを切り替えてモニタリングしていく方法。そこから効果が足りなければ上げて、かかりすぎていたら下げていけばOK。0%から徐々に上げていくと変化がわかりにくいので、グッと上げてからオンオフを聴くのがいいですよ。

50%を基準にそこから調整すると、変化も分かりやすい

DeeFieldを使う際は、ステレオトラックを使用する

また、DeeFieldはステレオトラックで使うことを前提に作られているので、モノトラックにインサートすると「Please use in stereo track.」と表示されます。

モノトラックだとPlease use in stereo track.と表示される

モノトラックをステレオトラックにする方法はDAWにごとに違いますが、たとえばStudio Oneであればモノラルトラックをステレオにするボタンを押せば準備完了です。

ステレオトラックにすることで使用可能になる

Cubaseの場合なら、別にステレオトラックを作成の上、クリップをドラッグ&ドロップすることでOKです。DAWの機能でステレオにコンバートすればよく、もしそういった機能がなければ、同じ信号の2つモノトラックを用意して、それぞれLとRにパンを振り切ってバスにまとめてから使用します。

Cubaseの場合はステレオトラックを作成し、そこにモノラルのトラックをドラッグ&ドロップして移動させる

でも、なんでファンタムセンター問題を解消するプラグインが、この古いラジオのようなデザインなのか不思議に感じて聞いてみたところ

デザインはアウトドアで使うラジオを意識しています。フィールドという言葉にかけて、アウトドア用品にしました。ステレオという意味でも、スピーカー部分を2つ配置し、後ろの背景は木のテーブルで、そこに置いてある設定です。またライティングも夕焼け風にしたり、DeeFieldという文字も、アウトドア用品っぽいデザインにしています」と、今回はデザインも重虎さんがされていたようです。

DeeDoublerやDeeWiderとの違い

ちなみに、DOTEC-AUDIOでDeeFieldと近い動作のものとして、DeeDoublerDeeWiderがありますが、これらとの違いについても少し説明しておきます。まずDeeDoublerは、単純に声がタブリングさせるものなので、出音が全然違います。そして、DeeWiderはステレオソースに使うプラグインであり、DUOボタンというモノラルソースをステレオみたいに広げる機能を使ったとしても、DeeFieldほどの完全モノラル互換はありません。またボーカルに特化されたチューニングがされていません。なので、ボーカルでファントムセンターを和らげるという目的であれば、DeeFieldが最適です。

DeeFieldは、ボーカルに特化した仕様となっている

11月5日まで新製品発売セール実施中

また現在SONICWIREとの連動企画として、実際にDeeFieldやほかのDOTEC-AUDIOプラグインを使った、ミックス講座の動画もアップされているので、ご覧いただくと参考になると参考になりそうです。人間のボーカル以外、たとえばボーカロイドであってもDOTEC-AUDIOプラグインは効果的ですね。

DeeFieldをはじめDOTEC-AUDIOプラグインを使った、ミックス講座の動画もアップされている

さて、DeeFieldの価格についてですが、通常価格5000円(税別)となっています。でも、これまでと同様、DOTEC-AUDIOの製品は、どれか1つ持っていれば、購入時にそのシリアル番号を入力することで1,500円引きになるシリアル割というサービスが用意されているので、既存ユーザーの方は3500円(税別)。

DOTEC-AUDIOの飯島進仁さん

一方で、新製品リリース時にいつもセール展開をしているDOTEC-AUDIOですが、それは今回も同様のようです。

10月27日(金)〜11月5日まで、新製品発売セールと題し、シリアル割以上の値引きを行っています。DeeFieldをはじめとする、各製品がお得になっているので、新規の方もこのタイミングでご検討いただければ幸いです」と飯島さん。

11月5日まで新製品発売セール実施中。DeeFieldは、通常価格5000円(税別)のところ3500円(税別)

このセール期間はシリアル割は適用されませんが、全製品安くなっているので、DOTEC-AUDIOのプラグインを試してみたかった…と思っていた方にはチャンスですね。

以上、DOTEC-AUDIOの新製品DeeFieldについて紹介しました。これまで公にされてこなかった、プロのテクニックを簡単に実現できる画期的なプラグインとなっていましたね。ほかの製品も魅力的なものが揃っているので、ぜひ新製品発売セール期間に、いろいろとチェックしてみてください。

【関連情報】
DeeField製品情報
DOTEC-AUDIO WEBサイト
DOTEC-AUDIOブログ「DeeTips」
ワンノブ&ワンフェーダー製品だけで手軽にボカル曲をミックス!(SONICWIRE)

【価格チェック&購入】
◎DOTEC-AUDIO ⇒ DeeField
◎Dirigent ⇒ DeeField
◎SONICWIRE ⇒ DeeField

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1件のコメント
  • 菅野 淳

    菅野と申します。とても良いもので購入したいです。デモ版をダウンロードしたのですが、VSTフォルダやdllファイル等の操作が分かりませんのでお教え願いますでしょうか。DAWはSonerです。
    宜しくお願いします。

    2023年11月2日 9:36 PM

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