株式会社インターネットが、本日2025年9月12日に次世代歌声合成ソフトウェアSynthesizer V 2専用の歌声データベース、3製品を同時発売しました。「Synthesizer V 2 AI Megpoid」(CV:中島愛)、「Synthesizer V 2 AI 音街ウナ」(CV:田中あいみ)、「Synthesizer V 2 AI 花響琴(Hibiki Koto)」(CV:立花れおん)で、いずれもAI技術を使用して開発された最新の歌声データベースです。
同社がSynthesizer V 2に対応した歌声データベースを発売するのは今回が初めて。各製品には新しいボーカルスタイルが追加され、既存スタイルもSynthesizer V 2用に最適化されています。また、「Synthesizer V Studio 2 Pro」とのスターターパックも用意され、初心者でも手軽に高品質な歌声合成を始められる環境が整いました。価格は各歌声データベース単体でパッケージ版10,780円(税込)、ダウンロード版9,680円(税込)となっています。既存ユーザー向けのアップグレード価格も設定されており、同一キャラクターのSynthesizer V専用歌声データベースを持つユーザーは、パッケージ版6,600円、ダウンロード版4,950円で購入できます。スターターパックは「Synthesizer V Studio 2 Pro」と歌声データベースがセットになってパッケージ版、ダウンロード版ともに22,000円です。その3製品を手掛ける株式会社インターネットの社長、村上昇さんに、開発の背景や前バージョンであるSynthesizer VやVOCALOIDとの関係など、話を伺ってみました。

Synthesizer V 2に対応したMegpoid、音街ウナ、花響 琴が発売
Synthesizer V 2の進化とボーカルスタイルの拡充
Synthesizer V 2については、これまでも何度かDTMステーションの記事で紹介してきましたが、より人間らしい歌唱を実現するため、高度なダイナミクス表現を実装し、表情豊かで様々な歌唱表現を可能にする最新エンジンを搭載しているのが特徴です。スマートコントロールポイントの実装によりピッチコントロールが統合され、AIリテイク機能では歌声のピッチや声色の特徴をボタン一つでリテイクできるようになっています。

Synthesizer V 2で大きく進化した
そのSynthesizer V 2に対応した新たな歌声データベースとしてインターネットから以下の3製品が同時リリースされました。
Power、Ballade、Cute、Downer、Whisperを新規録音し、デフォルト用にも追加録音を実施しました。既存のSoftとVividも含め、すべてのスタイルがSynthesizer V 2用に最適化されデフォルト含め8スタイルを収録しています。
やさしく透明感のあるAngel、可憐で繊細なFragileを新たに追加しました。既存のBoyish、Cute、Downer、Power、Whisperと合わせて、デフォルト含め8スタイルになります。なお従来のFalsettoスタイルは8スタイル制限のため今回は含まれていません。
Whisperを新規録音し、既存スタイルを含めてすべてがSynthesizer V 2用に最適化されています。デフォルト含め8スタイルを収録しています。
いずれの製品も8つのボーカルスタイル(ノーマルを含む)に対応しているのがポイントであり、従来のSynthesizer V(以下、Synthesizer V 1)対応製品と比較して、より幅広い歌声表現ができるようになったのも大きな特徴となっています。
非常に表現力豊かなSynthesizer V 2対応の3製品
以下に各公式デモソングがあるので、ぜひ、その歌声を聴いてみてください。
いかがですか?非常にリアルな歌い方であり、高い歌唱力、表現力を持っていることが分かると思います。
インターネット 村上昇社長に、Synthesizer V 2対応の3製品同時発売の背景を聞いてみた
このSynthesizer V 2の新製品、Megpoid、音街ウナ、花響 琴の3製品どのように生まれ、V 1とは何が違うのか、またこれらが同時発売になったことなどについて、株式会社インターネットの代表取締役である村上昇さんにお話を伺いました。
3製品をSynthesizer V 2用にリリースした経緯
――まずは今回、3製品を同時発売することになった経緯を教えてください。
村上:V 2を発表した時点から、これらの製品を出すということは決めていました。あとはスケジュールだけの話で、AHS社といろいろ協議した結果、このタイミングになったということですね。1ヶ月ずつずらして発売すると3ヶ月もかかってしまいますし、「自分の欲しいのはいつになるの?」というお問い合わせもいただくので、それなら3製品を同時に出してしまおうと思いました。うちとしては3製品同時発売は初めての試みです。

Synthesizer V 2対応の歌声データベースが3製品同時リリースとなった
――実際に開発を始めたのはいつごろからだったのでしょうか?
村上:今年の春ごろからですね。春前からスケジュール調整や収録のスケジュール調整などを行って、実際の収録も春ごろから始めました。3製品で収録期間は1ヶ月半ぐらいかかりましたが、収録自体よりも製品化の準備の方が大変でしたね。デモ曲、新イラストの制作、パッケージングやマスター作成、各バージョンのアップグレード準備、販売システムの準備……などなどが重なって、本当に大変でした(笑)。
Synthesizer V 2はSynthesizer V 1と何が違う!?
――Synthesizer V 2はV 1と比較して、いろいろと進化していると思いますが、村上さんご自身はV 2について、どのような印象をお持ちでしょうか?
村上:Synthesizer V 2の発表前にAHSさんからベータ版をもらって、いろいろと試していました。第一印象としては、歌唱はV 1とはかなり変わるなという感じがしました。V 2用に学習しないとV 2の良さや本来の合成はできないだろうということもあって、V 2を出すことを決めていました。単純にV 2用に学習しなおすだけではく、スタイルの追加や、Megpoidではデフォルトの追加収録やスタイルをゼロベースでいちから検討したいと考えていました。
――各製品、単純にV 1からV 2に変換したというわけではなく、V 2用に新たにレコーディングしたりしているわけですよね?
村上:それぞれで違っています。Megpoidの場合は、V 1ではもともとVOCALOID6用に収録したものを使っていたんですが、今回のV 2ではそれに加えてデフォルト用の学習用にさらに追加収録しました。デフォルトの学習元も増えているので、出る声も多少違ってきます。

Megpoidには8つのスタイルが搭載されている
今回のスタイルについては、Ballade、Cute、Downer、Power、Whisperを新たに収録しています。V 1にもCuteやPowerはありましたが、スタイル名は一緒でも中身は全然違います。SoftとVividはV 1と同じ収録データを元にしていますが、V 2用に学習し直しているので、やはりある程度、歌い方に変化がありますね。歌唱の幅はすごく広がっていて、琴に匹敵する歌唱幅になっていると思います。
Synthesizer V 2対応の音街ウナと花響 琴の実力
――その琴については、V 1と比較してどう違うのでしょうか?
村上:琴に関しては、もともとV 1でかなり良いところまでできていたので、V 2用のWhisperというスタイルを新規に追加したのが大きな違いです。V 1ではウィスパーボイスがなかったので、V 2の開発に当たっては、ウィスパーボイスを収録し、Whisperというスタイルを追加しています。それ以外はV 1で使った歌唱データをV 2用に学習させています。とはいえ、同じスタイルでもV 1の歌唱とV 2の歌唱は違ってきますね。

花響 琴には新たなスタイルとしてWhisperが追加された
――そして、もうひとつの音街ウナはいかがでしょうか?
村上:ウナに関してはAngel(エンジェル)とFragile(フラジール)という2つを新規に収録しています。AngleとFragile、ちょっとイメージ的なスタイル名になっていますが、「天使」と「儚い」みたいな意味ですね。他のものは一緒なんですが、Falsetto(ファルセット)がV 2ではなくなっています。8スタイルまでという制限があって、1個抜かないといけなかったんです。

音街ウナには新たなスタイルとしてAngleとFragileが追加された
もともとV 1においても、Falsettoは微妙なところがあって、ノーマルでもファルセットボイスになるんですよね。音域によってはファルセットになったりするので。一方で、Falsettoというスタイルを指定しても、全部がファルセットボイスで歌うわけではないので、抜いても良いかという判断でした。
V 2版が出た後も、V 1版は入手できるのか!?
――各3製品、歌い方に違いがあるのであれば、選択肢が残っているといいわけですが、V 1との併売は続けるのでしょうか?
村上:はい、V 1もそのまま引き続き販売します。どちらが好きかはユーザー次第ということですね。同じスタイルを選んでも結果は違いますし、V 1も使いたいという方もおれらるかと思いますので。
Megpoidに関してはV 2でスタイルが大幅に強化され、歌唱の幅が格段に上がっているのでV 2が断然お勧めです。また、V 1エディターは販売終了されているので、今後は、V 2に移行していただければと思います。V 2にアップグレードした場合でもお使いいただいているV 1製品はそのまま継続してご使用いただけます。
――とはいえ、機能面において、V 2になっての進化点もいろいろあると思いますが、その点はいかがですか?
村上:そうですね。とくに子音や母音の発音タイミングを自由に細かくエディットできるようになったのは、非常に便利だと思います。表情コントロールや、スタイル毎にピッチ、声色、発音をコントロールできるようになった点も大きく役立つと思います。

Synthesizer V 2は音素タイミングの調整を自在に行えるのが大きなポイント
ライブイベントや今後について
――ところで来月ライブイベントも予定されているそうですね。
村上:はい、10月12日に3Dライブステージ「ライブリーパラダイス2025」を開催予定です。池袋のHarevutaiで行います。技術的にも面白い内容になっていて、4K定点映像と、配信用の3Dバーチャルカメラ映像、2-3本の別アングル3D映像の映像トラック、オケとボーカルトラック、コーラスの音声トラックを走らせて、現場でライブ用に空間エフェクトやEQ処理を行います。配信用にはクレーンを含めてカメラ6台を設置し、現場カメラとシーケンス上のの3D映像をリアルタイムでスイッチングする予定です。本日16時から以下で配信チケットの一般販売(https://www.zan-live.com/live/detail/10659)の案内が行われ、9月16日(火)17時から販売が開始されます。ぜひ、多くの方にご覧いただければと思います。
※以下のコラムをご参照ください
――今回のSynthesizer V 2製品にも購入特典のABILITY4 SEは付くのでしょうか?
村上:はい、今回の3製品はいずれも購入特典として、ユーザー登録していただければ、当社のDAWソフトであるABILITY 4 SEをプレゼントします。ボイスバンクのみのご購入でも付きますので、Synthesizer V Studio 2 Pro機能制限版(V 2製品版歌声データベースをお持ちの方は14日間はフル版として使用可能でその後機能制限版になります)と一緒に使えば、ボイスバンクのみのご購入でも始めることができます。これをキッカケにDTMを始めるという方にとっても、非常に便利にご利用いただけるので、ぜひ活用してみてください。

Synthesizer V 2対応の各歌声データベースにはDAWであるABILITY 4 SEが付属している
――ありがとうございました。
—
今回の3製品同時発売により、Synthesizer V 2の可能性がさらに広がることになります。それぞれ異なる魅力を持つ3つの歌声データベースが、より豊かな音楽制作の選択肢を提供してくれることでしょう。各製品の詳細やデモ音源は公式サイトで確認できますので、ぜひチェックしてみてください。また、3製品とも、本日から体験版がSynthesizer V Studio 2 Proエディター上からインストールできるようになっているので、使ってみてはいかがですか?
GUMI がくぽ ウナ 3Dライブステージ「Lively Paradise 2025」開催
10月12日(日)に、東京・池袋の未来型ライブ劇場「harevutai」にて3Dライブステージ「Lively Paradise 2025」が開催されます。インターネット社の人気キャラクターであるGUMI(Megpoid)、神威がくぽ、音街ウナが3Dで登場するライブイベントです。
今回のコンセプトは「スイーツ」。10月のハロウィンシーズンに合わせて、カラフルで楽しいステージが展開されます。オープニングとエンディングでは3人一緒のパフォーマンスが楽しめ、全22曲のセットリストが予定されています。有名ヒット曲から最新曲まで幅広い楽曲で、「Lively Paradise 2025」キービジュアル衣装での最高のパフォーマンスが目指されています。
当日は17:00開演です。最新のライブ劇場設備を持つharevutaiでは、音響・照明・映像、透過スクリーン、LEDスクリーンなど最新鋭の技術を使った本格的なライブが実現されます。9月16日(火)17時から以下で配信チケットの一般販売が開始されます。ライブの詳細は公式サイト(https://www.ssw.co.jp/products/lively_paradise2025/)でご確認ください。
Synthesizer V 2 花響琴 公式デモソング『私だけのメロディ』の秘密を教えます
記事冒頭にもあった、Synthesizer V2 花響 琴の公式デモソング、『私だけのメロディ』を制作したのは、作編曲家でMusicSchool WOOD講師の立川恵三さんと、作詞・作編曲家で同じくMusicSchool WOOD講師の星和生さんのお二人。その公式デモソングがどのようにして作られたのかを解説するビデオが公開されました。
これはお二人によるコーライト(共作)となっているのですが、まずは立川さんがワンコーラスを作り、それを元に星さんが歌詞をつけてフルコーラスへとしていったとのこと。その過程のサウンドも含めて公開しつつ、制作したお二人がどのように作っていったかを解説しているとっても貴重なものとなっています。コード進行についてやSynthesizer V 2での歌わせ方のコツ、さらには作詞についてなど、かなり幅広く語られているので、多くの人にとって参考になるのではないかと思います。よかったら、ぜひご覧になってみてください。
【関連情報】
Synthesizer V 2 AI Megpoid製品情報
Synthesizer V 2 AI 音街ウナ製品情報
Synthesizer V 2 AI 花響琴製品情報
Lively Paradise 2025情報
Lively Paradise 2025チケット販売
【価格チェック&購入】
◎Amazon ⇒ Synthesizer V 2 AI Megpoid
◎Amazon ⇒ Synthesizer V 2 AI Megpoid Studio Pro スターターパック
◎Amazon ⇒ Synthesizer V 2 AI 音街ウナ
◎Amazon ⇒ Synthesizer V 2 AI 音街ウナ Studio Pro スターターパック
◎Amazon ⇒ Synthesizer V 2 AI 花響 琴
◎Amazon ⇒ Synthesizer V 2 AI 花響 琴 Studio Pro スターターパック
◎DL Site ⇒ Synthesizer V 2 AI Megpoid
◎DL Site ⇒ Synthesizer V 2 AI Megpoid Studio Pro スターターパック
◎DL Site ⇒ Synthesizer V 2 AI 音街ウナ
◎DL Site ⇒ Synthesizer V 2 AI 音街ウナ Studio Pro スターターパック
◎DL Site ⇒ Synthesizer V 2 AI 花響 琴
◎DL Site ⇒ Synthesizer V 2 AI 花響 琴 Studio Pro スターターパック
コメント