今さら何を!」と言われてしまいそうですが、みなさんはiPadアプリであるKORG Gadgetを使ってますか?「一度触っていら手放せない」という人も多いKORG Gadgetは、その名の通り、まさにガジェットといえるテクノ系、ダンス系のシンセやベースマシン、ドラムマシンを数多く集めて1つの音楽制作環境にまとめた超強力なツールです。各ガジェットのちょっと鳴らすだけで、「うわぁ、これやばい!」と思う音が飛び出してくるのですが楽器が弾けない、音楽理論なんてさっぱりわからないという人でも簡単にカッコいいダンスミュージックが作れちゃうのですから、不思議というか、とにかくスゴイです。

今年1月にリリースされたときに、すぐにDTMステーションでも取り上げようと思ったものの、ちょっとタイミングを逃してしまい、そのままになっていたんです。夏前に、やはり記事にしようと思ったら、大幅なアップデートがありそうという噂を耳にして、そのタイミングを待っていたのです。そうしたところ、9月4日、KORG Gadget 1.0.3(コードネーム:Santa Clara)というものが登場し、より強力なツールへと進化したので、改めてKORG Gadgetとは何なのかを紹介してみたいと思います。


KORG Gadgetの新バージョンでは2つのアイテムが追加された
 
KORG Gadgetを一言で表すとしたら「ダンスミュージック制作用のDAW」ということになるでしょうか……。細かい機能説明をする前に、まずは以下の音をちょっと聴いてみてください。



どうですか?これらはみんなKORG Gadgetだけで作った音楽であり、iPadとKORG Gadgetさえあれば、こうした曲ができてしまうのです。ちなみにこの3曲は4月にKORGが行った「KORG Gadget Remix Contest #1」の受賞作品です。しかし受賞作品に限らず、多くのユーザーが作った楽曲がGadget Cloudというサイトで公開されているので、聴いてみると面白いですよ。楽器を触ったことがない人でも、こうした曲が作れちゃうというのは、やっぱり夢が大きく広がりますよね。


KORG Gadgetの画面。新バージョンでは横向きの画面にも対応するようになった 

ではこれが実際どういったものなのか、もう少し具体的に見ていきましょう。KORG Gadgetには標準で15種類の音源が搭載されています。ドラムマシンであるLondon、ブッといベース音を鳴らせる真空管ベースマシンのChicago、いかにもアナログというサウンドのリード音色のモノフォニックシンセ、Berlin……と、いろいろあり、ユーザーはこの中から好きな音源を選んで使うことができます。


標準で15種類用意されているGadgetの中から使いたい音源を選択する(この画面の上2つはオプション扱い) 

選択画面の左には、いかにもというカッコいい機材写真が出ていますが、実はどれも実在するハードウェアというわけではないんです。ビンテージ音源を再現したのかな……なんて思ってしまいますが、どれもKORG Gadgetオリジナルであるのが一つのポイント。こんなハードが売ってたら、買ってしまいたくなる魅力を持つ音源ばかりです。


新たに追加された音源、ワンショット型サンプラーのBilbao

ちなみに今回の1.0.3へのバージョンアップでは、さらに2つの音源が追加されています。「今この瞬間に欲しいビートを、電光石火のスピードで創り出す」という触れ込みの16パート対応のワンショット型サンプラーのBilbao、ループサンプルを瞬時に自動スライスし、自由自在にグルーブを操ることができるAbu Dhabiの2種類で、これらはアプリ内課金で追加購入する形になっています。


ループサンプルを自動でスライスして組み替えることができるAbu Dhabi 

こららを入手すれば17種類の音源を使って音楽を作れる、というわけなのです。「音源があっても、鍵盤は弾けないし、そもそも操作方法もさっぱり分からないよ……」と不安になる人もいると思います。でも大丈夫。KORG Gadgetは、ある意味パズルのような感覚でフレーズを作っていくことができるのです。


リズムトラックはマス目をタップしてビートを置いていけば、適当に作ってもリズムができてしまう 

たとえばドラムは、マス目に合わせてビートを置いていけば、適当に操作してもリズムができてくるし、ある意味偶然性でいいリズムができてしまいますからね。もちろん、3分も触っていれば、「ドン・ドン・ドン・ドン」という4つ打ちはどうやってできるのかは、すぐに理解できるので心配はありません。


シンセサイザの下にある鍵盤はデタラメに押しても、外さない音が出る 

また、優れものがベースやシンセサイザ。コードや譜面が分かる人なら、頭の中で組み立ててから打ち込んでいくことも可能ですが、苦手な人にとっては至難の業。ところが、Gadgetのキーボードは、デタラメに弾いても、それなりにカッコよく弾けちゃうのがミソ。


デタラメに弾いても、カッコよく決まるのは、スケールが設定されているから。これを変更すると違うコード、キーになる

先にリズムが出来上がってたら、それに合わせて、弾く真似事をするだけで、それっぽいものになっちゃうんから面白いんです。録音ボタンを押せば、その演奏がレコーディングされていきます。「音楽制作って、こんなに楽しいものだったのか!」って感じること間違いなしですよ。


iOSの設定で、Gadgetを選び、一番上の「Audio Latency」を「Faster」に変更すると気持ちよく演奏できる 

ちなみに、デフォルトの設定だと鍵盤を押してから実際に音が出るまで微妙なタイムラグがあって、デタラメとはいえ、弾きにくいかもしれません。そんなときはiPadの設定画面においてGadgetを選ぶと、「Audio Latency」という項目があるので、これを「Faster」に設定してみてください。これによってかなりスムーズに弾けるようになるはずです。ただ「Faster」にするとiPadのCPUに負荷がかかるため、古いiPadだと音が出なかったり、ブチブチといってしまう可能性もあるので、そのときは諦めて、「Standard」とか「Safer」に設定してください。


楽しみながらどんどんトラックを増やして音を厚くしていくことができる

こんな感じでドラム、ベース、シンセ……と、どんどんトラックを増やして音を重ねていくことができます。必要に応じて同じガジェットを使ってもOKですよ。

また、シンセサウンドの場合、演奏しながらフィルターを用いてサウンドを変化させていくというのも曲作りの醍醐味。初めてシンセを触る人にとっては難しいものに見えるかもしれませんが、触って壊れるものではないので、適当にいじってみるといいですよ。
 

フィルター部を動かすと、トラックにはその情報も記録されていく

実際に打ち込んだデータを再生しながら、パラメータを触っていくといいのですが、FREQ、RESO、CUTOFF、PEAKといった単語が書かれたパラメータを触ると、ドラスティックにサウンドが変化していくので、楽しいと思います。また、このパラメータを動かす際に、レコーディング状態にしておけば、そのパラメータの動きも記録していくことができます。


これまでもAudiobusを利用することでKORG GadgetのサウンドをDAWへレコーディングすることはできた 

と、ここまで初心者向けに説明してきましたが、このKORG Gadgetはプロミュージシャンだって使えるアイテムであり、まさに実践で利用可能な機能、性能を備えています。これまでも、Audiobusの入力デバイスとして対応していたので、出力デバイスにGarageBandやCubasis、Auria、FL Studio Mobile HD……といったDAWをセットすれば、KORG Gadgetの音を劣化させることなく、iPad上のDAWへ受け渡すことが可能でした。

ところが、今回新たになった1.0.3ではiPad内にとどまらず、MacやWindowsとの連携も可能になったのです。具体的にはAbleton Liveへエクスポート機能の装備です。KORG Gadgetでのプロジェクトは、基本的にMIDIデータとして扱われていますが、これを内部的にオーディオに変換した上で、Liveのデータとして出力することができるのです。


エクスポート機能の一つにAbleton Liveが加わった

データの受け渡しは2種類。iTunesを使って渡すか、Dropboxを用いて渡すか。これは通信環境などによって選べばいいです。


DROPBOXでファイルの受け渡しができた!

データをLiveに持ってきたら後は自由自在。つまりLiveで使うループ素材をKORG Gadgetを使っていくらでも好きに作ることができるというわけです。これは、まさに画期的ですよね。


プロジェクトをAbleton Liveで読み込めば、KORG Gadgetでのサウンドを再現できるし、加工の自由度も高まる 

でもAbleton Liveは持ってないんだ……」という人にとっては朗報!なんと、KORG Gadgetを買うと、Ableton Live 9 Liteが無償でダウンロードできてしまうのです。これだけでも、かなりいろいろなことができてしまうDAWですから、Ableton Live 9 Liteを入手するためにKORG Gadgetを購入したって損はないほどです。

Snap4
Ableton Live 9 Liteを無料で入手できるのも大きなポイント 

とはいえ、普段はCubaseを使っているので」とか「Pro ToolsやSONARで使えない?」なんて質問も来そうだから、予め説明しておくと……できます!これも1.0.3からの新機能なのですが、従来からあった2チャンネルのステレオファイルの書き出しに加え、トラックごとにオーディオデータを書き出す機能を備えたので、これを使って、WAVファイルとして渡せば、どんなDAWでも大丈夫ですね。これもやはりiTunes経由かDropbox経由で受け渡しができます。

KORG Gadgetだけで曲を作るのも楽しいですが、普段使い慣れているPCのDAWで利用するための素材作りシステムとして使えてしまうというのも、便利というか、スゴイなぁ、と。

ちなみに、今回の1.0.3では64bitネイティブ対応しているので、処理速度が高速化しているのも大きな特徴です。これまでよりも、さらに動作が軽快になって、いい感じですよ。ある意味、KORG GadgetだけのためにiPadを買っても損はしないように思いますが、いかがでしょうか?

なお、1.0.3公開記念として、通常は3,900円のKORG Gadgetが9月8日までの限定で2,900円のセール価格となっているので、今買っちゃうのがよさそうです!



iKaossilatorもVer3へとアップデートし、Liveとの連携機能が搭載された

そのほか関連でいうと、KORGのiKaossilatorもアップデートされて、Ableton Liveとの連携機能が搭載されたようです。9月4日のアップデートとのことですが、14時現在まだ2.3.0なので、まもなくVer3が登場すると思われます。こちらも9月8日までセール価格で半額の1,000円となっているので、買うなら今がチャンスですね!

【関連情報】
KORG Gadgetダウンロード購入(App Store)
iKaossilatorダウンロード購入(App Store)
KORG Gadget製品情報
Gadget Cloudウェブ