M-AudioCTRL49AKAI ProfessionalAdvance Keyboardsシリーズ、さらにAlesisVX49といったコントロール機能付きUSB-MIDIキーボードVIP Softwareというユニークなソフトウェアがバンドルされているのをご存じでしょうか?

先日、VIP Software Version 2にアップグレードされたばかりなのですが、これは上記キーボードでVSTプラグインを内蔵音源のように使えるようにするだけでなく、さまざまなVSTインストゥルメントのプラグインを統合した上で、AUAAX環境でも使えるようにできるし、なんとキーボードなしでも使えちゃうという、すごいシステムなんです。ややマニアックなネタかもしれませんが、今回はそのVIPについて紹介してみたいと思います。


VIP Softwareを使うことで、さまざまなVSTインストゥルメントを統合することができる
 
VIPとはVirtual Instrument Playerの略で、現在のところ
・M-Audio CTRL49
・AKAI Professional Advance 25/49/61
・Alesis VX49
のそれぞれの商品にバンドルされており、単独での販売はされていないソフトウェアです。「なんで、単独販売もされてないソフトが複数のメーカーの製品にバンドルされてるの?」と疑問に思う方もいると思いますが、実はM-AudioもAKAIもAlesisも現在は同じ会社なんです。ほかにもair、DENON Professional、SONiVOX、marantz Profesional、Numarkなど、数多くのメーカーが合併した形。まさにDTM界のコンツェルンともいうべきinMusicという会社になっているんですね。


VIP Softwareは現時点、M-Audio、AKAI、Alesisの一部製品にバンドルされるソフトウェアとなっている 

つまり、M-Audio、AKAI、Alesisというのは、現時点においてはアメリカ企業であるinMusicのブランド名であり、日本の発売元もinMusicの日本法人であるinMusic Japanという会社となっているんですよ。


現在inMusicが展開する各ブランド

そのinMusicが生み出した、新たなテクノロジーであり、多くのDTMユーザーにとって、非常に有意義なのが、VIP Softwareというソフトウェアなんです。

このVIPを一言で説明すれば、VSTインストゥルメントを束ねて1つのソフトウェア音源にしてしまうというシステムソフトウェアです。普通なら自分の使いたい音色を鳴らすためにNative InstrumentsのKONTAKTだったり、ArturiaのProphet Vだったり、フリーウェアのSynth1だったり……というソフトを1つずつ設定して音を出すわけですが、VIPを介せば、これ1つで、さまざまなソフトウェア音源の音を出せるようになるんです。


VIP Softwareを図で表すとこんな関係性になる

でも、それにどんな意味があるのでしょうか?実は、ここにはさまざまなメリットがあるのです。私が思いつくものを挙げると、以下の6点。

1.最大8つの音源をレイヤーしたり、スプリットして使える
2.VSTエフェクトと組み合わせて管理できる
3.複数の音源の音色を横断的に検索し、選択できる
4.DAWなしにスタンドアロンで使うことが可能
5.CTRL49などinMusicのキーボードと強力な連携が可能
6.VST非サポートのDAWでもVSTiの音源を利用できる

簡単に説明していきましょう。CubaseでもStudio Oneでも、ひとつインストゥルメントトラックを作って、VIPを設定したとしましょう。このVIPは単に1つの音源を鳴らすだけでなく、8chのコンソールのようなシステムになっていて、それぞれに別のVSTインストゥルメントを割り当てることができるのです。


VIPでは最大8つまでのVSTインストゥルメントをレイヤーしたり、スプリットすることができる

したがって最大8つまでをユニゾンで鳴らすことができるわけなんです。しかも鳴らす音域を設定できるので、キースプリットさせて、低音域はベースを、高音域はオルガンを……なんてこともできるわけですね。

もちろん、DAWから見ればVIPは普通のVSTインストゥルメントなので、複数のインストゥルメントトラックにVIPを立ち上げることが可能です。そのため、8つ束ね音源を何個も使うことができるわけです。もちろん、たくさんの音源を起動する場合は、CPUやメモリの使用量などはチェックしたほうがいいかもしれませんが……。

しかも、このコンソールは4つのバスがあり、それぞれのチャンネルにはインサーションでエフェクトを入れることが可能になっているんです。そのエフェクトとはVSTプラグインのエフェクト。したがって、DAW側ではなく、VIP内でエフェクトを組み合わせた音作りまでできてしまうわけなのです。ちなみにエフェクト機能はVIP Version 2で加わった新機能ですね。


各チャンネルにインサーションでVSTエフェクトを入れたり、バスにエフェクトを入れて制御することも可能 

そして、VIPが非常にユニークなのは、さまざまなVSTインストゥルメントを横断的に音色管理ができるようになっているという点です。ベース、ブラス、ドラム、ギターr……というように楽器で絞ることもできれば、明るい、クリーン、複雑、ドライ……と雰囲気で選んだり、アコースティック、アンビエント、アナログ……とスタイルで絞り込むことなどが可能になっているんです。

 
VIP Softwareでは数多くのVSTインストゥルメントの持つ音色を一元的に管理し、検索できるようになっている

「え?でも、その音色のタグ管理はどうするの?まさか自分で1つずつ設定するのでは……」と思いますよね。私も、それが疑問だったんですが、実際に使ってみてビックリ。Native InstrumentsでもArturia、SpectaraSonics、IK Multimedia……と主要プラグインメーカーの音源のデータベースを持っているらしく、どれをインストールしても自動で区分けして管理してくれるんです。


音色を選んだ後は、もちろん、その音源をエディットすることが可能
 
しかもすごいのは、フリーウェアなんかもちゃんとプリセット音色を知っているんですよね。日本が誇る名プラグイン、Synth1はもちろんのこと、TALのフリー音源とか、DX7を再現するオープンソース音源DEXEDなんかもバッチリですよ。聞くところによると、VIPがアップデートするごとに、このライブラリも拡充しているようで、一般的なもののプリセット音色ならほぼ問題なく自動で組み込めます。また自分で作った音色の場合はタグ付けが必要ですが、設定自体は簡単ですよ。

そして4番目に挙げたいのは、VIPがスタンドアロンで起動するということです。そう、DAWなしで動作し、VIP自体がオーディオとMIDIのやりとりを可能にしているのです。つまりVIPをスタンドアロンで起動させて、VSTインストゥルメントの音源を設定すれば、もうそれで楽器になってしまうわけです。これならDAWがない分、とっても軽く動作するし、前述のとおり、エフェクトもセットで使うことができるので、制作はどうでもいいから「演奏したいんだ!」というニーズにはピッタリマッチするわけです。


PCのVIP Software上とほぼ同様の操作をCTRL49のディスプレイとノブ・ボタンだけで行える

その次に挙げるのがCTRL49やAdvance Keyboardsシリーズ、VX49との連携です。本来は1番に挙げる部分かもしれませんが、これはすごくよくできているんです。いずれのキーボードにもディスプレイと各種ボタン、ノブなどが搭載されていますが、これらを操作することで、PCをまったく見ることなく、音色を選んだり、パラメータを設定することができるようになっているんです。


CTRL49のディスプレイ上でSynth1のSlap Bassを呼び出す 

たとえば、Bass音色の中からSynth1のSlap Bassを呼び出すとキーボード上の液晶にはSynth1の画面も登場し、ここでノブを回せば、フィルターの周波数を動かしたり、LFOの深さを設定できるなど、ホントにキーボード側のコントローラだけで動かせてしまうんです。


各種パラメータが自動的に、CTRL49のノブに割り当てられる 

もちろん、DAWを介してVIPを呼び出している場合も同様。この場合はCTRL49などのフェーダーでDAWのミキシングコンソールのフェーダーを操作することもできるし、もちろん、録音、再生、早送りなどのトランスポート機能も利用できるので、とっても便利ですよ。


キーボード搭載のフェーダーでDAWのミキサーを操作したり、RECボタンのON/OFFなどの操作ができる

ちなみに、どのDAWを使うかによって、CTRL49などのキーボード側の設定を変更する必要があるわけですが、これがまた簡単。SETUPボタンを押してDAWを選べばいいだけなんです。具体的に設定が用意されているDAWとしては
・Ableton Live
・Pro Tools
・Logic Pro X
・Cubase
・BITWIG STUDIO
・FL STUDIO
・Reaper
・Studio One
・MPC
のそれぞれ。ほかにも汎用のメニューも用意されているので、ほとんど何とでもすぐに使えそうですよね。
 

SETUPボタンを押して、使用するDAWを選択すればセッティングはOK 

そして、VIPのもう一つの大きなメリットは、VST非サポートのDAWでVSTインストゥルメント、VSTエフェクトが使えてしまうという点です。VIP自身はVSTインストゥルメントとしてDAWに組み込めるだけでなく、スタンドアロンでも動作するほか、AudioUnitsのプラグインとしても、AAXのプラグインとしても使える仕様になっているのです。


Pro Tools上で、VIP経由でSynth1を動かしてみた

だから、Logic Pro XにVIPを組み込めば、VIPを介して各種VSTプラグインを使えるし、Pro ToolsにVIPを組み込めば、ここでVSTプラグインを使えるようになるわけです。これまでも別のプラグイン規格を包み込むように使えるようにする「ラッパー」と呼ばれるツールは存在していたので、VIPが初というわけではありませんが、やはり便利ですよね。

ただし、VIP自体が音源という位置づけになっているので、VSTエフェクトだけを利用するということはできません。あくまでも音源に付加するエフェクトとして使えるだけですね。


上がAKAIのAdvance Keyboards 49、下がM-AudioのCTRL49で、どちらにもVIP Softwareが付属する 

このようにVIP Softwareは非常に強力で便利なツールです。これを入手するには、AKAI ProfessionalのCTRL49、M-AudioのAdvance 25/49/61、もしくはAlesisのVX49を購入すれば、ダウンロードできるようになっているのです。とはいえ、これ、別にこれらのキーボードがないとインストールできないとか、動作しないというようなことはなく、VIPだけで使えてしまう点も嬉しいところなんですよね。

なお、これらキーボードを購入すると、VIP Software以外にもVacum Pro、Hybrid3、Eighty Eight Ensemble、LOOM、Transfuser、Xpand!2、Velvetという各種ソフトウェア音源もバンドルされてきます。いずれも単品売りしている音源ですが、これらの音源を別途購入したらキーボードの値段を超えてしまうので、いかにお得かが分かりますよね。


これらのUSB-MIDIキーボードにはVIP以外にもこれだけのソフトがバンドルされる 

さらに、Pro Toolsに標準バンドルされているのと同等のプラグインとしてCREATIVE FX COLLECTIONというものがついてきたり、Ableton Live Lite 9もバンドルされているので、ものすごくテンコ盛りな内容ですよね。


もちろんWindowsでもMacでも使えるハイブリッドなシステムになっている

ある意味、VIP Softwareを購入すると、強力なキーボードと、数多くのプラグイン音源が付いてくるというように表現してもおかしくないと思いますが、とっても強力でお買い得な製品だと思います。願わくは、VIP Softwareだけの単独売りもしてほしいな…と。

【関連情報】
M-Audio CTRL49製品情報
AKAI Professional Advance Keyboardsシリーズ製品情報
Alesis VX49製品情報
 
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