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Sound MagicのフラッグシップピアノMIDI音源「Supreme Piano 5」、MIDI 2.0で512以上のダイナミックレイヤーを実現

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Sound Magicから、同社のピアノ音源シリーズの新たなフラッグシップとなる「Supreme Piano 5」がリリースされました。価格は80,000円(税込)。VST 3.7とAudio Unit V2に対応し、PCとMacの両方で利用できます。

Sound Magicといえば、これまでもDTMステーションで何度か取り上げてきたとおり、MIDI 2.0への対応をいち早く進めてきたメーカーのひとつです。以前、無料のピアノ音源として生まれ変わったPiano OneやCineGrand2を紹介した際にも、MIDI 2.0とMPE(MIDI Polyphonic Expression)への対応が大きなトピックとなっていました。今回のSupreme Piano 5は、その系譜の最新かつ最上位に位置する製品ということになります。そこで、Sound Magicの開発担当者にもメールでいろいろと話を聞いたので、その回答も交えつつ、詳しく紹介していきましょう。

16種類のピアノと4台のVirtuoso Grade

まずは説明の前に以下のビデオをご覧になってみてください。

いかがですか?かなりいいサウンドのピアノ音源であることが感じられると思います。このSupreme Piano 5には合計16種類のピアノが収録されていますが、このうち中核となるのが「Virtuoso Grade(ヴィルトゥオーゾ・グレード)」と呼ばれる4台のピアノです。Sound MagicにVirtuoso Gradeの定義について聞いたところ、次のような回答がありました。

「私たちにとってVirtuoso Gradeとは、単にピアノのサイズやサンプル数の話ではありません。Virtuoso Gradeのピアノには、際立った音楽的個性と卓越した録音品質という2つの要素が欠かせないのです。Supreme Piano 5に収録した4台のピアノは、それぞれがまったく異なる音楽的個性を持つように選定・収録されています」

その4台とは、以下のとおりです。

Mega D:世界的なSteinwayのコンサートグランドにインスパイアされたモデルで、4台の中でもっとも幅広いトーンパレットを持ちます。ブリリアントかつパワフルな一方、温かく叙情的な表現も可能で、ソロ演奏から映画音楽、現代的な楽曲制作まで高い汎用性を発揮します。
Italian F308:Fazioli F308にインスパイアされたモデルで、より洗練され叙情的な性格を持ちます。最大の強みは鍵盤全体、そしてダイナミクス間の連続性で、それぞれのダイナミクスが個性を保ちながらも自然につながっており、演奏者にとって非常になめらかで表現力豊かな反応が得られます。
Imperial Grand:Bösendorfer Imperialにインスパイアされたモデルで、温かくビロードのような音色と卓越した深みが特徴です。高音域は美しい歌うような質感を持ち、力強い低音域はバランスや明瞭さを損なうことなく重厚さと豊かさを提供します。表現豊かで映画的な演奏にとくに適しています。
Mega CFX:よりスタジオ寄りの、即戦力的な性格を持つモデルです。近接収録により、明瞭で明確なアタックを捉えつつ、ブリリアントで開放的、倍音豊かなトーンを実現しています。同時に弱いダイナミクスでもディテールと表現力を保っており、現代的な楽曲制作や、ミックスの中でピアノがクリアに存在感を保つ必要がある場面でとくに効果を発揮します。

Sound Magicは、この4台について「同じピアノの4つのバリエーションを作るのではなく、まったく異なる4つの音楽的なボイスを作りたかった」としており、パワーと汎用性のMega D、叙情的な洗練のItalian F308、温かみと深みのImperial Grand、明瞭さとアーティキュレーションのMega CFXという住み分けになっているようです。

127層のサンプルが512以上のダイナミックレイヤーになる仕組み

Supreme Piano 5の製品ページには、MIDI 1.0では127層のTrue Sampled Velocity Layers、MIDI 2.0では512以上のダイナミックレイヤーという記載があります。127という数字はMIDI 1.0のベロシティ値の上限そのものですが、これがどのような仕組みで512以上に拡張されるのか、Sound Magicに聞いてみました。

「重要なのは、127層のTrue Sampled Velocity Layersが基盤である一方、Supreme Piano 5はその127個のサンプルを単純に切り替えているわけではないという点です。私たちのFreeform Layers V2という技術は、演奏情報を追加で利用することで、元のサンプル層と層の間に新しい層を生成しています」

「たとえばこのエンジンは、現在弾かれたノートのベロシティだけでなく、直前のノートの長さや挙動といった情報も考慮します。これにより、それぞれのベロシティ層を独立した段階として扱うのではなく、サンプル層間をどのように遷移すべきかをエンジンが判断できるようになります。こうして、録音された127層は、より大きくなめらかな表現空間を生成するための参照点となるのです」

ここでMIDI 2.0が重要になってくるといいます。MIDI 2.0は16bitのノートベロシティに対応しており、MIDI 1.0の128段階に対して、最大65,536段階の値を扱えます。ただしSound Magicは、この数字をそのままマーケティングに使うことはしていません。

「とはいえ、人間が実際に65,536段階のピアノのダイナミクスを聴き分けられるとは、私たちも主張していません。開発とリスニングテストを重ねる中で、生成する層の数をこれ以上増やしても、多くのリスナーにとって有意な聴覚上の違いを生まなくなるポイントを見つけました。この実用的な表現の範囲を表す言葉として、512以上の実効ダイナミックレイヤーという表現を使っています」

つまり、127個のサンプルがそのまま512個のサンプルになるわけではなく、127のTrue Sampled Layersを土台に、Freeform Layers V2が演奏情報を解析して音楽的に適切な中間層を生成するという流れになっています。そしてこの実用的な表現の範囲を表す言葉として、Sound Magicは「512以上の実効ダイナミックレイヤー」という表現を使っています。これは、512以上に細分化しても、多くのリスナーにとって有意な聴感上の差が生じにくくなるポイントを指しているとのことです。

「これが、私たちがFreeform Layers V2を技術の重要な一部と考えている理由でもあります。このエンジンは単にMIDIの数値上の解像度を上げているだけではなく、追加の演奏情報を使って、サンプルの参照点同士のつながりをより自然で表現力豊かなものにしているのです。簡単にいえば、127のサンプルが本物らしい録音の土台を提供し、Freeform Layers V2がその間の表現空間を作り出します。MIDI 2.0は、演奏者のタッチについてはるかに精密な情報をエンジンに与えることで、このプロセスをより細かい解像度で機能させているのです」

Sound Magicはこの技術の狙いについて、「大きな数字を印象的に見せることが目的ではなく、演奏に対して楽器が連続的かつ自然に反応していると演奏者に感じてもらうことが最終的な目標」だとも語っています。

言葉で説明されてもピンとこない部分もあると思うので、実際にこの技術がどのように聴こえるのか、以下のデモ音源で確認してみてください。

Italian F308による「La La Land Suite(Jazz)」です。タッチや音量の変化に応じて、ピアノの反応がなめらかかつ連続的に変化していく様子に注目して聴いてみてください。F308ならではの洗練された叙情的なキャラクターにより、微妙な表現の違いもクリアかつ自然に伝わってきます。

続いてMega Dによるショパン「革命のエチュード」です。繊細なパッセージから力強く表情豊かな演奏まで、ピアノの広いダイナミックレンジを確認できます。とくに、演奏がさまざまなダイナミクスを行き来する中でも、音色のクリアさとキャラクターが保たれている点に注目してみてください。

第10・11世代となるNeo Piano Yosemite Engine

Supreme Piano 5のマニュアルには「Neo Piano Yosemite Engine」という名称が登場します。一方、製品ページにはImperial GrandがNeo Piano Engineの第5世代、Neo Pianoが第9世代というように、世代を重ねてきたエンジンの歴史が記載されており、Yosemiteがこの系譜のどこに位置するのか気になったので、こちらも聞いてみました。

「Neo Piano Yosemite Engineは、私たちのNeo Piano Engine技術の第10・11世代にあたります」

興味深いのは、Sound Magicがエンジンの進化を測る基準として、単純な処理速度ではなく「データ効率」と「表現力」という2つの指標を重視している点です。

「音楽ソフトウェアの場合、CPUのベンチマークのようにエンジンを評価するのは難しいものです。目的が単純な処理速度ではないためです。長年ピアノ音源を開発してきた中で、私たちにとって特に意味を持つ2つの指標を見出しました。それがデータ効率と表現力です。データ効率とは、与えられたデータ量とリソースでどれだけの音楽的情報を届けられるかということ。表現力とは、エンジンがどれだけ多様で自然な可能性を生み出せるか、つまり演奏者が体験できる表現の幅やバリエーション、リアリズムの度合いのことです」

「エンジンの世代が進化するにつれて、私たちが目指してきたのは、単にデータとリソースの要件を低く抑えることではなく、データや処理コストに対する表現力を大きく引き上げることでした。Yosemiteはその発展における大きな一歩です。これまでの世代で培った経験と、高度なハイブリッドモデリングやFreeform Layersのアプローチといった新しい技術を組み合わせることで、ライブラリのサイズを単純に増やすことなく、はるかに豊かで応答性の高いピアノ体験を生み出せるようになりました。ですから私たちにとって、新しい世代とは単なるバージョン番号の更新ではなく、使用するリソースからどれだけ多くの表現力豊かなサウンドを生み出せるかということなのです」

さらに、通常は数年かかるはずのエンジンの世代更新が、今回は比較的短期間で2段階のブレイクスルーとして実現したという、開発の裏側についても語ってくれました。

「これは前の質問の延長にあるお話です。通常、Neo Piano Engineの新しい世代を開発するには数年かかります。しかし今回は幸運にも、比較的短い期間で2つの大きな技術的飛躍を達成できたため、Supreme Piano 5は通常の世代更新よりもはるかに大きな一歩になりました」

「Maestro Gradeのピアノを開発する過程で、CineGrand2と同じデータサイズで約5倍の表現力を達成できることがわかりました。そしてVirtuoso Gradeのピアノでは、データサイズをわずか約60%増やすだけで、約20倍の表現力を達成しています。データ効率で換算すると、CineGrand2と同じデータサイズあたりで、およそ12.5倍の表現力に相当します」

「ですから私たちは、Supreme Piano 5を単にNeo Piano Engineの新しい世代というだけでなく、それ以上のものと捉えています。重要なブレイクスルーは、データとリソースの量を比例的に増やすことなく、はるかに表現力豊かでリアルな音楽的可能性を生み出せるようになったという点です。私たちにとって、データ効率と表現力の組み合わせは、ピアノエンジンの進化を測るもっとも重要な指標のひとつなのです」

この効率の高さを裏付ける具体的な数字として、Supreme Piano 5全体のインストールサイズは、16種類のピアノを収録して6.4GBに収まっており、1台あたり平均400MBという計算になります。なお、ダウンロードサイズはこれよりもさらに小さい約4GBです。高品位なピアノ音源では1台だけで数十GB規模になることも珍しくないなか、この数字はSupreme Piano 5のデータ効率の高さをよく表しているといえるでしょう。

Sound MagicからDTMステーション読者へ

最後に、DTMステーションの読者に向けたメッセージも聞いてみました。

「DTM Stationの読者の皆さんには、ぜひ先入観を持たずにSupreme Piano 5を弾いてみて、耳で判断していただきたいと思います。私たちの目標は、最大のピアノライブラリを作ることでも、単にサンプルを増やすことでもありませんでした。データとリソースの要件を現実的な範囲に保ちながら、ピアノをより表現力豊かに、より応答性高く、より音楽的に生き生きとしたものにしたかったのです」

「Supreme Piano 5には、長年にわたるピアノ開発の蓄積、新しいエンジン技術、MIDI 2.0、Freeform Layers V2、そして4つの異なるVirtuoso Gradeピアノのキャラクターを詰め込みました。しかし最終的に、これらすべての技術には1つの目的しかありません。ミュージシャンにとって、より自然で表現力豊かな、演奏し音楽を作るための楽器を提供することです。Supreme Piano 5が、皆さんのコレクションの中のただのもう1本のピアノプラグインではなく、もっと演奏したくなるようなピアノになることを願っています」

操作面の主な特徴

サウンド面のほかにも、Supreme Piano 5にはMagic HubによるMIDI 2.0/MPEデバイスとの統合、EZ Gestureによるジェスチャー操作、MDIR Sound Stageと呼ばれる仮想空間でのマイキング・空間表現など、操作性やワークフローに関わる機能も数多く搭載されています。これらの機能の一部は、以前ご紹介したCineGrand2の記事でも触れていますが、Supreme Piano 5ならではの活用法や設定については、次回の記事で改めて詳しく紹介する予定です。

価格・購入について

Supreme Piano 5の価格は80,000円(税込)です。なお、DTMステーション読者向けに20%オフとなるクーポンコードを入手することができました。具体的には

クーポンコード:DTM20%OFF

というものです。合計金額が100ドル以上の購入から適用となりますので、購入の際はぜひ活用してください。

127層のTrue Sampled Velocity Layersを土台に、Freeform Layers V2が演奏情報をもとに層のあいだを埋めていくという発想、そしてそれを支えるNeo Piano Yosemite Engineという新世代エンジン。数字のインパクトだけでなく、「演奏者が自然な反応を感じられるかどうか」を軸に開発が進められている点は、実際に鍵盤に触れてみるとよくわかります。次回はMagic HubやEZ Gestureなど、操作面にフォーカスして紹介していきたいと思います。

【関連情報】
Sound Magic Supreme Piano 5製品情報

 

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