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DAWによって音は違う!?Digital Performerが唯一無二と主張するレコーディングエンジニアの意見とは

スペックが同じなら、どのDAWでも音は同じになるというのが常識的な考えだと思います。でも、細かなところまで見ていくとやはり微妙な違いはあるようです。そうした中、いろいろなDAWを使ってみた結果、Digital Performerだけがミックス時にキレイに音がにじみ合い、輪郭、奥行きのある音作りができるという理由で、長年、使い続けているレコーディングエンジニアがいます。

現在はHD Impressionという自らのレーベルを立ち上げ、e-onkyo musicなどのハイレゾ配信サイトでオーディオファンを相手に数多くのヒット作品を飛ばしている阿部哲也さんです。8月21日にリリースする「牧山純子 京都コンポーザーズジャズオーケストラ」によるバイオリンとジャズオーケストラのコラボ作品『Luxury Red』のレコーディングに合わせ、Digital Performer 10を導入し、レコーディングをするという話を聞いたので、そのレコーディング現場を見学させてもらうとともに、阿部さんにいろいろお話を伺ったので、インタビュー記事として紹介してみましょう。

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私が阿部さんに最初にお会いしたのは、12年前。元Le Couple(ル・クプル)の藤田恵美さんのレコーディングを長時間かけて取材したときでした。そのときの様子はAV Watchの連載記事「『かないまるルーム』で生まれる究極のSACDとは?」でレポートしていますが、当時から阿部さんはDigital Performerを使ってミックスを行い、ハイレゾのサラウンドを用いて、まるでコンサートホールで目の前で演奏を聴いているかのような作品作りを行っていたのです。

その後も、取材を重ねるごとに、立体的に音をレコーディングするためのマイクシステム(複数のマイクを組み合わせてワンポイントで多方向からの音を収録できるもの)を自作するなど、新兵器が導入されていき、現在その手法はほぼ確立されてきたようです。その阿部さんが、今回Digital Performer 10を導入して、レコーディング、ミックス、マスタリングを行った結果、従来のバージョンよりも、さらにいい音に仕上げることができたとのことなので、どういうことなのか、聞いてみましょう。

今回リリースされるアルバム『Luxury Red』

--Digital Performerユーザーって、MIDIシーケンサのPerformer時代から使っているMIDIの打ち込み系の方が多い印象を持っていますが、阿部さんはオーディオ用としてDPを長年使っているんですよね?
阿部:20年ほど前、スタジオのエンジニアとして仕事をしていて、フリーになるちょっと前、DP 3.xのころに使ってみたのが最初です。当時は、まだSONYのデジタルレコーダー、PCM-3348が主流の時代でしたが、これをMOTU 2408を介してHDDにデータを落とせば、自宅でDPを使って編集できるということで使ってみたのですが、それ以来DP一筋です。もともとはずっとアナログでレコーディングしてきたということもあり、その当時もアナログが好きだったため、わざわざアナログで録ったものを3348に落として……といったことをしていましたが、その後アナログより直接96kHz24Bitで録り込み、それをそのままDPで編集できるという意味で、とても使い勝手のいいシステムでした。

お話を伺ったレコーディングエンジニアの阿部哲也さん

--20年前だと、業務用のスタジオだとやはりProToolsにどんどん置き換わっていった時代だと思いますが、ProToolsは使わずにDPを使う形だったのですか?
阿部:まあ、録りにおいて、スタジオはProToolsが標準になっていったので、録りは仕方がないし、そんなに大きな問題はないので、自分でもProToolsを使ってきました。僕が嫌なのはミックスにおいてなんです。ProToolsに限ったことではないですが、ほかのどのDAWを使っても、音がキレイに混じらないんですよ。それまでアナログの現場でやってきたような音の混ざり方をしないんです。確かに、各トラックをミックスすると、それぞれのトラックの音量差は出るんだけれど、奥行き感が出せないというか、影を付けられないというか……、ちゃんと音がにじまないので、どうしても輪郭が出てこないのです。ところがDPを使ってみると、それがすごくうまくいく。まさにアナログ感覚で使えるのが唯一、DPだったんです。

バイオリニストの牧山純子さん(左)と阿部さん(右)

--感覚的な話で、なかなか分かりにくいところでもありますが、先日行われたDP10のイベントの中で、ギタリストの小林信一さんも似たニュアンスのことをお話されてました。ところで、今回DP7からDP10にアップグレードされたと聞きましたが、なぜDP8、DP9を飛んでDP10に?
阿部:これまでDP3からバージョンアップを重ねてきたのですが、DP7が非常に安定していたので、これを使っていました。過去でいえばDP5の音が非常によく、DP7で少しぬるい印象は持っていましたが。またDP8、DP9も試してはみたのですがDP7が安定していたので、そのまま使っていたのです。しかし、今回DP10を試してみたところ、DP5を超えるクオリティーでDP7より断然いい。たとえばEQのパラメータを動かしたとして、DP7だと0.05変えると違いが分かったのに対し、DP10なら0.01をプラス、マイナスするだけで、ハッキリと変化する。細かく作れる分、より作業が大変になった面もありますが、とても丁寧な音作りができますね。音の純度がいいんだろうな、ということはよく分かります。細かく調整すればするだけ、追い込んでいけるという意味で、アナログミックスの世界にどんどん近づいてきた感じがします。もうDP7には戻れません。

今回のレコーディングに合わせてDigital Performer 10を導入

--各DAWもかなり進化し、アナログのミックスコンソールをはるかに超えるシステムになってきているとは思いますが……。
阿部:機能面ではそうだと思います。でも、昔のレコードとか、バランスは悪いけど、音楽的にすごくいいと感じられるものがあったじゃないですか。音楽性だけで作られている作品というか……、音が生き生きしていれば、少々バランスが悪くても、音がぶつかっていても成立してしまうような……。でも16bit/48kHzなどになったら、とにかく隙間を明けてやらないとダメになってしまった。キックとベースがぶつかったら、マスキングしてぶつからないように整理する。でも、そんなことをしたら当然、本来の音が削れてしまって、音楽としての良さも失われてしまう。でも、アナログ時代のミックスは、そんなマスキングなんてしなくても、うまくにじみ合ってくれたんです。それが今のDP10なら同じようにできるようになったのです。

バイオリンのソロ演奏に対し9トラックで同時にレコーディングしている

--楽器同士の周波数レンジが重なったら、うまくEQ操作でズラすというのは、基本的な手順と言われていますが、阿部さんはそれはしない、と?
阿部:はい、できるだけしないですし、今回の作品では、音色をいじるようなことは一切していません。サラウンドでミックスしているということもありますが、音量の調整と左右の定位の調整、また音像の上下の高さの調整でミックスをしているのです。こうすることで、小さい音は小さい音なりにしっかりと存在していて消えない。ミックスにおいては、いかにキレイに配置するかを心掛けているのであって、音を作り込むといったことはしていません。とくに今回の作品では牧山さんのバイオリンと16人にビックバンドのメンバーがいて、大人数。それぞれの音を1つ1つしっかり配置してやることで、演奏している人たちみんなの気持ちも前面に出てきます。このそれぞれの人の音の配置がDP7と比較してDP10でよりハッキリ見えるようになったのです。ただ、これまで見えなかったような小さなゴミまで見えるようになっちゃったので、全員のレイアウトをしっかり考えた上で配置するという面では、かなり気を使いました。

大阪でレコーディングしたものに合わせ、バイオリン部分を差し替える形でのレコーディングだった

ーーすごく細かな作業をされていることはよくわかりますが、それを実感するためには、高級オーディオでサラウンドでの再生環境を整えないと、その違いは分からないということですか?
阿部:今回の作品『Luxury Red』だけではありませんが、サラウンドのハイレゾ作品とは別にCDもリリースします。もちろん、多くの方はサラウンド環境を揃えているわけではありませんから、普通のPCオーディオ環境で聴いてもインパクトのある仕上がりにする必要があります。そこにも細心の注意を払いながらミックス、マスタリング作業をしています。また、ここでいい音に仕上がれば、MP3やAACなどに圧縮してもいい音に残るんです。質感は変わらないので、音楽的には落ちない。だからこそ、ポータブルプレイヤーを含め、ごく一般的な再生環境でも十分楽しめる作品にしています。

オーディオインターフェイスにはMOTU 896HDと896mk3、RMEのFireface 800を持ち込んでレコーディング

--ところで、先ほどEQで各楽器の音を変えたりしない、という話がありましたが、エフェクトについてはどのように捉えていますか?DP10でも充実したプラグインエフェクトが搭載されているし、もちろん各社から膨大なエフェクトが出ていて、それをDP10で使えるわけですが。
阿部:できる限りエフェクトは使わず、原音のままレコーディングし、いい位置に配置することでミックスをしています。そのために、この特殊なマイクを使い、8方向からの音を同時に録っており、今回の牧山さんのバイオリンではオンマイクも1つあるので、9トラックに同時レコーディングしています。ちなみに、このマイクアレイはDPAのマイクを2本とNeumannの184を6本組み合わせていて、オンマイクはU-87Ai。これらがMOTU896に入ってきています。このようなホールでレコーディングしているのは、空間を含めて録るため。だからリバーブも使わないのです。この8トラックの反射音を調整することで、PANでの左右だけでなく、高さの配置や、奥行きの配置ということも可能になるのがポイントなんです。エフェクトに関して言うと、UADの1176のブラックと、EMT-140だけは、本当のUAD初期のころから使ってはいます。まさにアウトボードのアナログエフェクトという位置づけで使っているんですが、アナログ機材とまったく同じ音だし、何よりアナログ機材よりも安定しているので、確実な再現性があるのもいいところ。派手な演出をするわけではありませんが、便利なツールとして活用しています。

1ポイントで8方向を同時収録する阿部さん特性のマイクアレイ

--バイオリンのレコーディングにおいてはDP10でレコーディングしていますが、ビックバンドである京都コンポーザーズジャズオーケストラのレコーディングもDP10を使っているのですか?
阿部:これは新大阪のKOKO PLAZAという大きいところで事前に一発録りをしていますが、ここでは設備の関係もあり、現地のProToolsを使って録りました。大部屋でブラス十数名と別の部屋にピアノ、ベース、ドラムとそれぞれ入る形で、すべてを一発で録っています。バイオリンだけは小さな部屋しかないので、後からここ横浜のサンハートというホールでバイオリンダビングという形で録っているわけです。これらをミックスで合わせて1つの作品に仕上げました。

横浜・二俣川駅上にあるホール、サンハートでレコーディング

--最後にDPのWindows版についてのどう思われているか、教えていただけますか?
阿部:以前からWindows版には非常に興味があり、試してみたいと思っています。今回もそんなことを少し考えたのですが、余裕がなく手持ちのMacBook Airを持ち込んで使っています。ただ、DP10を32bit Floatで扱っていることもあって、エフェクトは使っていないものの、それなりに処理パワーが必要になり、このMacBook Airだとやや物足りなかったのも事実。その意味でも比較的安価に導入できるWindowsでの音がどうなのか、ぜひ近いうちに検証してみたいと思っています。

--ありがとうございました。

 

牧山純子さんコメント

京都コンポーザーズオーケストラとは昨年のジャズフェスで一緒に演奏するなど、お付き合いはあったのですが、今年の年明けにリーダーの谷口知巳さんから一緒にアルバムを作れないかと持ち掛けられたのが、制作のキッカケでした。でも、作るなら、ちゃんとした音じゃないと嫌だという思いもありました。そうした中、以前何度か一緒にやってきた阿部さんなら信頼できるし、HD Impressionというご自身のレーベルも持っている。そこで阿部さんにお願いし、阿部さんの元でアルバム制作をすることになったのです。ただ、京都コンポーザーズジャズオーケストラのメンバーは関西、私は東京。どう録るかを相談した結果、後からバイオリンをホールで録ったものに差し替えるという手法が決まったのです。どんなアルバムに仕上がるか、今からとても楽しみです。

 

牧山純子 with 京都コンポーザーズジャズオーケストラ
「Luxury Red」リリース記念ライブ」情報

【東京】渋谷JZ Brat Sound Of Tokyo(http://www.jzbrat.com/
8月10日(土) 1st Open 14:00 Start 15:00 / 2nd Open 17:30 Start 19:00
【名古屋】NAGOYA Blue Note(https://www.nagoya-bluenote.com/
9月1日(日) 1st open 5:00pm start 6:00pm / 2nd open 8:00pm start 8:45pm

 

【関連情報】
Digital Performer 10製品情報
旧バージョンのDPからDP10へのアップグレード
MOTU製品情報
HD Impressionサイト
牧山純子 京都コンポーザーズジャズオーケストラ/『Luxury Red』

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1件のコメント
  • Gonzales Iwasaki

    京都コンポーズジャズオーケストラ・谷口さんとの付き合いは10年以上になるのかなぁ〜
    あのマイクの配置だと、それぞれのマイクの位相特性・指向性がボド良くブレンドされ、新しい自然な音像を作りやすい。
    しかし、大阪での一発どりを、空間ブレンドを使わないでデジタルミックスかぁ〜、、、面白そうですね♬
    究極の音響と音質を追求し、どんな作品になるか楽しみです♬

    2019年8月3日 12:31 AM

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