独ESIが再上陸!とっても小さなオーディオインターフェイス、4種類が便利!

みなさんはESIというブランドをご存知ですか? 一昔前、PC内蔵のオーディオインターフェイスメーカーとして国内でも勢いがあったところで、当時あったEGO-SYSという製品群の上位ブランドとして位置づけられ、高性能な製品をいろいろと出していました。その後、ドイツ資本の会社として生まれ変わり、体制が変わったことから国内では、あまり見かけなくなっていたのですが、このたび正式に日本の代理店がつき、国内再上陸することになりました。

ESIとしては、さまざまな製品群があるようですが、まず第一弾として10月31日から発売されるのは、とっても小さなオーディオインターフェイス、4機種。小さいながら8ポートの出力を持った製品やS/PDIFのオプティカル、コアキシャル端子を持った製品など、かなり独特な特徴を持つ製品ばかりですが、実際に試してみたので紹介してみましょう。

ESIのオーディオインターフェイスが久しぶりに国内復活。第一弾の4製品が10月31日リリー

今回、ESIの国内代理店として名乗り出たのはBITWIGfabfilterCME PRO……などを扱っているディリゲント。そしてESIの第1弾製品として発売するのは

GIGAPORT HD+
MAYA44 USB+
U24XL
MAYA22 USB

の4機種。いずれもシルバーボディーのコンパクトなオーディオインターフェイス。たとえば、Steinbergのオーディオインターフェイス、UR22mkIIと比較すると、いかに小さいかが分かると思います。

SteinbergのUR22mkIIと比較すると、とっても小さいのが分かる

実は、いずれも開発自体は4~5年前になる製品だから、決して新しい製品というわけではありません。その証拠ともいえるのが、U24XL以外の端子がMiniUSBであること。最近の製品でMiniUSBを採用しているものはあまりないですからね。逆に言うと最近っぽくないのは、そのくらい。このコンパクトさ、堅牢さは他社製品にはない特徴であるからこそ、今も現役の製品として販売されているのです。

上からMAYA22USB、U24XL、MAYA44 USB+、GIGAPORT HD+

では、それぞれについて簡単に紹介していきましょう。まずGIGAPORT HD+は8ポートをパラに出力することに特化したオーディオインターフェイス。リアに8つのRCA端子がズラリと並んでいるため、たとえばライブ会場に持ち込んで、PA行きの信号、クリック信号、ボーカリスト行き信号……などと分けて使うのにはとっても便利。このサイズ、軽さですから、ポケットに入れて持ち運ぶことも可能です。

小さいボディーに8ポート出力を持つGIGAPORT HD+

フロントにはフォンジャックが2つありますが、これはヘッドホンモニター用となっており、左側は1ch/2chを、右側は全体のミックスをモニターできるようになっています。またサンプリングレートは44.1kHz、48kHz、96kHzから選択する形になっています。

GIGAPORT HD+の出力はすべてRCA

そのGIGAPORT HD+と見た目はそっくりですが、8OUTではなく、4IN/4OUTとなっているのが、MAYA44 USB+です。やはりリアパネルに8つのRCA端子が並んでいるのですが、左半分が出力用、右半分が入力用となっています。信号の入出力があるとフロントパネルのLEDが光る仕様となっているので、入力がちゃんと入ってきているのか、出力がしっかり出て行っているのか、一目で確認してチェックできるというのも現場向きといえそうです。

見た目はGIGAPORT HD+とほぼ同じながら、4IN/4OUTのMAYA44 USB+

フロントパネルの仕様はGIGAPORT HD+とは異なり、右側にあるのはステレオのミニ端子がです。ここはモニター用のヘッドホン端子となっているほか、実はS/PDIFオプティカルの出力も兼ねているのが特徴。必要に応じて、音質劣化のないデジタル出力をすることもできるわけです。ここに何を出力するかは、コントロールパネルのミキサー画面で設定できるようになっています。

MAYA44 USB+の入出力はアナログRCMとS/PDIFオプティカル

またMAYA44 USB+の面白いのは、DirectWIREという機能を装備していること。そう、これこそが一昔前にESI製品が広まった大きなポイントだったのですが、これはバーチャルにオーディオの入出力を実現するという機能なんです。今でこそ、ループバック機能というものを装備したオーディオインターフェイスが多くあり、ゲーム実況などのネット配信用であったり、ビデオ作成用に活用されていますが、DirectWIREはそのループバック機能のより高度で汎用性の高い機能なんです。

各種オーディオドライバ間をパッチングできるDirectWIRE

このWindows版のDirectWIRE画面を見るとMME、WDM、ASIO、GSIFという4つのポートが並んでいます。GSIF=Giga Sampler Interfaceがあるところに、ちょっと歴史を感じてしまうところではありますが、各オーディオポートを自由にパッチングすることができるのです。たとえばASIOの3ch/4chの出力をMMEの1ch/2chの入力にルーティングすると、ASIO用に出力した音がMMEに入ってくるため、DAWの出力をそのまま外部ミキサーなどを使わずに生放送することができるわけですね。

U24XLのフロントパネル

続いて紹介するとU24XLはフロントに、4つのTRSフォン(バランス)の端子が並んでおり、左2つが入力、右2つが出力となっているほか、右から2つ目はヘッドホン端子としても使えるという、ちょっと変わった仕様です。

U24XLのリアパネル

一方リアを見ると真ん中にUSB端子があり、左2つがコアキシャルのデジタル入出力、右2つがオプティカルのデジタル入出力となっており、PC側から見る2in/2outという仕様です。このうちアナログ端子を選ぶのか、デジタル端子を選ぶのかはコントロールパネル側で設定する形になっているほか、この際デジタル出力において、コンシューマー仕様のS/PDIFにするか、プロ仕様のAES/EBUにするかの選択、さらにはS/PDIFでのやり取りの場合、著作権保護信号(SCMS:Serial Copy Management System)のオン/オフの設定などもできるようになっています。

U24XLのコントロールパネル

最近こうしたデジタル入出力に関しての細かな設定ができる機材はほとんどなくなっているので、そういう意味でも貴重な機材といえそうですね。

そして最後に紹介するMAYA22 USBは、今回紹介する製品の中で、もっとも普通なオーディオインターフェイスかもしれません。フロントにはコンボジャック入力とHi-Z入力が1つずつあり、一番右がヘッドホン端子となっています。コンボジャックは+48Vのファンタム電源供給も可能になっているので、コンデンサマイクも接続できる仕様です。

コンボジャック入力を持つMAYA22USB

一方のリアにはTRSフォンのステレオ出力とRCAのステレオ出力があるので、モニタースピーカーでもオーディオアンプなどにも接続できる仕様。このリアの2つは同じ信号が出力される形になっています。

このMAYA22USBも、先ほどのU24XLも、バーチャルルーティングを行うためのDirectWIREに対応しているのは他社製品との大きな違い。もちろん、コンパクトさという意味では圧倒的なアドバンテージを持つし、このシリーズ4製品共通ですが、アルミボディーでしっかりしているので、多少乱暴に扱っても大丈夫というのも安心なところだと思います。

MAYA22USBのリアパネル

なお、MacBook Proユーザーなど、USB Type-C端子を使っているユーザーの方の中には、「せっかくオーディオインターフェイスが小さくても、miniUSB端子だとUSBハブを間に入れなくてはならならず不便」と思う方も少なくないと思います。そこで、Amazonで315円で売っていたUSB Type-CとUSB Type Aを変換するアダプタを取り付けて試してみました。

手のひらに載せてもこのサイズ

具体的には「YOKELLMUX typec to usb3.0 変換アダプタ」というもので、なぜか同じものが2つセットで315円というもの。もちろん使うのは1つだけですが接続してみたところ、まったく問題なく使うことができたので、これなら大丈夫そうですね。

誰でもが買うべきオーディオインターフェイス、というのとは少し違いそうですが、コンパクトで機動力の高い機材が欲しい、という人にはとっても便利な製品だと思います。
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