初心者でも狙った音圧と質感に!SNSや音楽ストリーミングサービスでカッコよく音を聴かせるマキシマイザー、DeePopMax

「ミックスが終わった後、自分でマキシマイザーを掛けて、音圧を上げてみようと思っても、思ったようにならない……」、そんな悩みを抱えている人も多いと思います。やはりマスタリングは、独特なテクニックや知識が必要になってくるし、ミックスとも大きく関係してくるので、かなり奥が深いのです。そんな中、ミックスバランスが多少悪くても音圧を気持ちよく上げてくれるマキシマイザープラグイン、DeePopMaxをあのDotec-Audioがリリースしました。

このDeePopMaxは、グィッと持ち上げるだけで爆音にできるDeeMax、音の雰囲気をまったく変えずに音圧を上げられるDeeMMaxに続く3番目になるマキシマイザーで、このシリーズの中では一番手軽に使えるもの。ビギナーやミックスに時間を掛けたくないユーザーにとても便利なツールです。DeePopMaxという名前からも想像できるようにポップスなどにマッチするプラグインであると同時に、YouTubeなどにUPする際の配信用のマスタリングツールとしても大きな威力を発揮してくれ、音圧を上げるだけでなく、音質まで整えてくれるというもの。では実際、どのように使うのか(まあ、グイッとやるだけですが…)、これまでのMaxシリーズとどう違うのか、どうしてビギナーにおすすめなのか……など、新しいDeePopMaxを試すとともに、開発者のフランク重虎さんにもお話を伺ったので、紹介してみましょう。

初心者でも狙った音圧と質感を作れる、ポップス向けマキシマイザーDeePopMax

次々とユニークな製品を生み出す日本の小さなプラグインメーカー、Dotec-Audio。これまでDeeMaxはじめ、太い音を作るDeeFat、強力なコンプDeeComp、オートメーションを書かなくて済む魔法のプラグインDeeTrim、知識不要で機能してくれるDeeEQ、音像を思いきり広げてくれるDeeWider、圧倒的な重低音を実現するDeeSubBass……などなど、シンプルかつ簡単に操作できる、高性能なプラグインを次々とリリースしてきました。

そうした中、また新たに登場したDeePopMaxがどんなプラグインなのか、Dotec-Audioで説明ビデオをアップしているので、まずはこちらをご覧ください。

「DeePopMaxは、配信、ストリーミング、SNSなど、モバイル環境での再生が主流な現代に向けたマキシマイザーになっています。なので、ミックスバランスを変えて、そういった再生デバイスに最適化するような仕組みになっています。また、元のミックスバランスが崩れていたり、ラフミックスであっても、バランスと音質も整えてまとめてくれます。ぜひ、EQやCOMPを使った下準備が苦手な方にも使ってもらいたいですね」と話すのはDeePopMaxの開発者であり、ミュージシャンのフランク重虎さん。

DeePopMaxの開発者、Dotec-Audioのフランク重虎さん

試しに下準備をしていないラフミックス音源にDeePopMaxを強めに掛けてみると、音圧が上がるだけでなく、音のバランスや音質もいい感じに仕上がってくるのは驚きます。通常マキシマイザーを使う際の基本的な前提として事前のミックスダウンで、帯域ごとの音量を整えておくという「お約束」があります。とはいえ、それをしっかり整えておくのは、なかなか大変なところです。さらにYouTubeやSNSなどにUPする音源をキレイに聴かせようとなると、さまざまなノウハウが必要になってきますが、それらの処理をすべて任せることができるDeePopMaxは、魔法のツールともいうべきものなのです。

強めにDeePopMaxを掛けてあげることで、いい感じの音圧感に仕上がる

「DeePopMaxは、ポップス向けのマキシマイザーで、名前にもあるようにPopで手軽な使用感を意識しました。ビギナー方に使っていただきたいと思うのと同時に、モバイル系のマスタリングを意識しているので、SNSや音楽配信でカッコよく音楽を聴かせたいユーザー向けに開発を行いました。最近は海外でも、モバイル環境での再生を意識したマスタリングが主流になってきています。それこそ、ジャスティンビーバーやビリーアイリッシュなどは、時代の需要に準じたマスタリングになっていますね」と重虎さん。

また使い方はいたって簡単で、例によってレバーをグイッと持ち上げるだけ。だから、エフェクトを一切使ったことのない初心者でも、テレビのボリュームを上げる感覚で使うことができます。またどれだけ音圧を上げるかは初心者にわかりやすい%表示と、DAWなどに慣れた人にわかりやすいdB表示を切り替えて使うことが可能。ちなみにDeeMaxやDeeMMaxも最近のバージョンアップで%やdBの単位が表示できるようになっていたんですね。

%表示とdB表示を切り替えて使うことができる

またDeePopMaxには、WARMTHというちょっと特殊なパラメーターが用意されています。これについても説明してもらいました。「WARMTHは、音に温かみを与えるパラメーターとなっています。今まで、配信用やポップス用のマスタリングでは、低音が邪魔になるので、マルチバンドコンプなどで抑えて、全体の周波数を平にしていました。これが一般的な手法なのですが、どうしてもオリジナルで良かったはずの低域が薄く聴こえて、最終的にカマボコ状になってしまいがちでした。なので、聴覚上カッコよく聴こえるように、WARMTHで低域の温かみをもう一度取り返すことを可能にしました」

WARMTHをコントロールすることで、低域に温かみを付加できる

今回リリースされたDeePopMaxを含めると、Dotec-AudioのマキシマイザーMaxシリーズは3機種になるのですが、それぞれ特徴があり、より効果的な使いどころがあるとのこと。「DeePopMaxは、これまでリリースしたMaxシリーズの中で一番手軽なマキシマイザーとなっていますが、モバイル系の機器でも気持ちよく聴けるような音作りにするために、あえて音を調整しています。それに対し、DeeMaxとDeeMMaxは、ミックスバランスをそのまま上げるという利点があります。なので、ちゃんとミックスしてあるものであれば、DeeMaxやDeeMMaxの方が音量を稼げます。また低音が命のクラブミュージックだったり、モバイル系のヘッドホンやスピーカーで聴くのではなく、それこそクラブの大きなスピーカーで出力する楽曲では、DeeMaxやDeeMMaxの方が狙った音が出やすいです。ただそういった曲でも、SNSで流すなど、モバイル系に最適化するならDeePopMaxを使うと効果的です」

Dotec-Audioのマキシマイザーは、DeeMax(左)とDeePopMax(中央)とDeeMMax(右)の全3種となった

DeeMaxはレイテンシーがないので各トラックに挿して使うことができるし、DeeMMaxはミックスをそのまま高音質に音圧を稼ぐことができるので、うまく使分けるとよさそうです。以前DeeMaxとDeeMMaxについて「DeeMMax 1.5.0へのバージョンUP。マスターで使うならDeeMMaxとDeeMaxどちらを選ぶべき?」という記事も書いているので、ぜひ気になる方はご覧ください。

また重虎さんに、DeePopMaxの構造についても詳しく聞いてみました。「DeePopMaxは、今までのMaxシリーズよりも手軽なマキシマイザーになっていますが、その分一番凝ったものに仕上がっています。仕組みとしては、内部に可変の3バンドマキシマイザーが搭載してあり、それぞれ高・中・低と割り振っています。その3バンドが、あるアルゴリズムに合わせて可変し、リリースタイムなどを自動で調節しています。これにより、音量を突っ込んでもマキシマイザー訛りが出ないです。またコンプレッションの部分は新設計し、動作の処理の負荷を減らしました。またオートリリースのアルゴリズムも新しいものです。さらに3バンドマキシマイザー後の2段目には、リミッター兼ウェーブシェイパーを搭載しました。これにより、音に丸みを与え、3バンドマキシマイザーの音なじみをよくしています。」

マルチバンドマキシマイザーの後段にリミッター兼ウェーブシェイパーを搭載している

見た目はシンプルな作りをしていますが、内部的にはかなりすごい作りになっているのが、Dotec-Audioの特徴なわけですが、なぜ3バンドのマキシマイザーなのか気になったので、その点についても聞いてみました。「技術的には5バンドや16バンドなど、何バンドに増やしても構わないのですが、バンドを増やすほど周波数全域を均等にしやすい反面、全て均等にするという機械的な考えで平坦化されてしまいます。音楽的な考えでは、隣り合う帯域の関係性が重要なんです。バンド数が多すぎると、こもって聴こえてしまう帯域の音圧が上がってしまったり、音色の味となる部分が埋もれて目立たなくなってしまう現象が起きてしまいます。なので、これらを考慮して3バンドを可変させているのです」と重虎さん。

3バンドマキシマイザーを可変させることで、音楽的にカッコいいサウンドを作ることが可能

もうひとつユニークなのは、このUI。見るからに80年代のポップカルチャーを意識した作りになっていて、アニメーションで☆が流れる辺りは笑ってしまいそうですが…。「今回のデザインはDeeSubBassでもお世話になった、福田興業さんにお願いしました。シティーポップをイメージして、中央のスライダーはピンボール風に、ロゴは飛びださせたりしています。またランダムで星が流れてきたり、ビルが光っていたり……、それぞれレイヤーに分けてパーツを作っていただき、気合をいれてUIを作りました」と、説明するのはDotec-Audioの飯島進仁さん。


ランダムで星が流れ落ちてくるアニメーションなど、UIにも力を入れたDeePopMax

「この画面を動かしたりするのは、DeeSubBassでの経験を活かしていたり、音の処理もこれまでの経験を活かしたものになっているので、ある意味集大成なプラグインに仕上がったと思います。DeePopMaxを開発するにあたって、世の中に出回っているほぼ全部のマキシマイザー50種類以上試してたりと、かなりの自信作です!」と重虎さん。

Dotec-Audioの飯島進仁さん(左)とフランク重虎さん(右)

さて、このDeePopMaxは、DeeMaxやDeeMMaxと同じ税抜き5,000円と手ごろな価格です。しかも、これまでDotec-Audio製品を購入した方であれば、シリアルキーを入力すると1,500円引きになるというシステムが適用されるので、3,500円と激安。

さらに今回は、初めて「M3特価でのネット販売」というものが2月26日~3月1日の5日間、実施されます。そう、お気づきの方も多いと思いますが、Dotec-Audioは、音系・メディアミックス即売会[M3]に合わせて、新製品を開発することが多く、その会場に来た人限定での特価販売を行ってきました。そのM3、この春は3月1日に東京流通センターで行われる予定で、Dotec-Audioもブース出展します。

2月26日~3月1日の5日間、M3特価でのネット販売も行われる

「今回も、Dotec-AudioとしてM3に出展します。ここでは、シリアルキー割引よりもさらに安いM3特価での販売をします。DeePopMax以外にも各種製品をM3特価で販売しますので、ぜひいらしてください。ただ昨今の事情で、会場まで来れないという方もいらっしゃると思いますし、遠方で東京までは来れないという方も多いと思うので、初の試みとしてM3特価でのネット販売を行ってみます。特製バッグの配布などは会場限定ではありますが、ぜひこの機会にDeeシリーズを試していただければと思います」(飯島さん)

なお、このM3特価期間はシリアルキー割引は適用されませんが、ネットで購入する価格としては、これまでの最安値となるので、このチャンスにまとめ買いしてしまうのもよさそうですよ。

※追記
2020年3月10日にニコニコ生放送およびYouTube Liveでの生配信番組DTMステーションPlus!で、フランク重虎さん、飯島進仁さんをゲストにお招きし、「誰でも手軽に使えるDotec-Audioプラグイン」と題し、DeePopMaxを含め、Dotec-AudioのDeeFX、DeeSubBase、DeeMMax、DeeCrystal、DeeWiderなどのプラグインを実演を交えながら特集しました。ぜひご覧ください。

【関連情報】
DeePopMax製品情報

【DTMステーションPlus!】
2020年3月10日 20:30~22:30
◎ニコニコ生放送 ⇒ https://live2.nicovideo.jp/watch/lv324504319
◎YouTube Live ⇒ https://youtu.be/Y7qf1UPDSPU

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